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Elephants Never Forget

2010/07/06 Tue 06:50

Elephants Never ForgetElephants Never Forget
(2007/05/01)
Anushka Ravishankar

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ゾウとして生きることに変りはないけど

とつぜんの嵐で群れから離ればなれになってしまった幼いゾウが、
バッファローたちに向かい入れられ、彼らの中で成長していく話。
容姿が異なっていても、心が通じ合った者同士の絆は強いという
メッセージがゾウの生き方を通して伝わってきました。

話は非常にシンプルなので、いったいどうしてこうなるの?という
疑問がところどころでありました。例えば子どもを失ったゾウたちは
嵐の後でどうしたのか? 子ゾウは別れた仲間に会いたくないのか?
などなど。話を受け入れるには、彼らが何を考えたのかを
想像力でおぎなう必要があるでしょう。

木版画による青と黒の力強いタッチは、大自然での暮らしを
生き生きと描写しています。また文字の大きさや組み方を変えて
音感を表現しているところも特徴的です。

--------------------【Review for Review】--------------------
異文化の中に暮らすことで自分を再発見する。というのは確かにある。
緑は青の中よりもオレンジの中にいたほうが際立つ。
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To Market! to Market!

2010/04/18 Sun 08:08

To Market! to Market!To Market! to Market!
(2007/04)
Anushka Ravishankar

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ポケットに好奇心をつめ、いざインドへ

映画のスクリーンのような横長の画面とカラフルな表紙に注目。
人と動物でごったがえす通りを走り去った自転車には5人もの男が乗車!
色鮮やかな商品が並ぶ店と同じく色鮮やかなサリーを着た女性たち。
確かにここはインドのマーケットです。

本をめくると、あなたの心も遥かインドへ。ポケットにルピーを入れた
女の子といっしょにマーケットを散策しましょう。
上下に分かれた見開きの片方には、様々なお店の様子が描かれ
女の子ならずとも心がワクワク。もう片方にはリズミカルな文章が
タイポグラフィクに添えられ声にするとウキウキ。

しかし、ゴミゴミした世界をよくぞここまで描写しきったものです。
絵は著名なイタリア人イラストレーターによるものと知って納得。
海外では異国情緒が受けるでしょうが、インドに住んでいる方は
内輪受け的な楽しみかたができる絵本です。

-----------------【Review for Review】------------------ 
でも本書に描かれている人たちは、この絵本を買わないだろうなあ。
彼らにとっては大金の650ルピーもだして(ボソっと)
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Anything But A Grabooberry

2010/03/01 Mon 10:27

Anything But A GrabooberryAnything But A Grabooberry
(2004/08/15)
Rathna Ramanathan

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インド人のデザインセンスやいかに?

タイポグラフィーという書体によるデザインを駆使したインドの絵本。
こちらの作品としては珍しくグラフィカルなセンスにあふれてますが、
実は10年以上も昔(1998年)に出ていたとは驚きです。

テーマは自分がなりたいモノ。動物や日用品、緯度や記号まで
様々なモノが文字遊びと共に紹介されています。

例えば、i want to be an elephant. というページでは
elephantという文字が象の形になっているという調子。
まあこれは実際に見てもらうのが一番いいですね。

あっそうそう、タイトルにでているGRABOOBERRYとはいったい何か?
これだけは絶対になりたくないモノとして何度も紹介されています。
それが何なのかは、あえて秘密にしておきましょう。フフフ
(ちなみに辞書には出てませんヨ)

-----------------【Review for Review】------------------ 
ヒンズー語の特徴は、文字の上に横棒が入っているところ。
けっこう文字遊びできるので、そんな絵本も登場して欲しいです。
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The Flight of the Mermaid

2010/01/26 Tue 10:16

The Flight of the MermaidThe Flight of the Mermaid
(2009/08)
Gita Wolf

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インド風味の人魚姫

アンデルセンの童話「人魚姫」をインドの民族画で描いた異色絵本。
基本的なストーリーはオリジナルをなぞってますが、絵のタッチが
変わったことで、新たな味わい方ができる作品です。
大きな特徴としては人魚姫の主観的世界が中心に描かれているところ。
王子への想い、自分が理解されない悲しみ、最後の葛藤など、
みどころは沢山あります。インド先住民族の画法を通すことで
魔女の呪術的な力や超自然的な力に一層のリアリティを感じました。

また、彼女が自分の責任で最後まで決断しきったところなどは、
古い慣習から抜け出し、自らの力で社会に進出していこうとする
新しいインドの女性像とダブって見る方も少なくないでしょう。

2種類の紙を使ったり、魚の型抜きになっている表紙など
装丁上の演出もなかなか凝っています。

-----------------【Review for Review】------------------ 
今日(1月26日)はインドの共和国記念日。今年でちょうど60周年になります。
そんなわけでインドの絵本を取り上げてみました。
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I Like Cats

2009/08/15 Sat 13:29

I Like CatsI Like Cats
(2009/06)
Anushka Ravishankar

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本棚に収めてしまうのはもったいない芸術的猫たち

本日8月15日はインドの独立記念日。
という訳で最近よんだインドの絵本を紹介しましょう。

出版社のtara BOOKSはかなり芸術的な本を作ることで有名ですが、
本書もなかなか凝った造り。シルクスクリーンで印刷された表紙は、
暖かみのある触感と、刷り立てのインクの香りがして、手にする
だけで気持ちを盛り上げてくれました。

そしてページを開けば、猫の絵のオンパレード。
描いているのは、インド各地から選りすぐられた民族画の名手たち。
様々な技法で、独自の視点で描かれたユニークな猫たちの姿は、
日本人には想像もつかないほど、バラエティに富んでいます。

欲を言えば、それぞれの絵が何を意味しているか解説があると
良かったですが、そのまま額装できる絵のおまけは嬉しい(笑)
猫好き、絵本好き、美術好き、インド好きへおすすめの作品。
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Alphabets Are Amazing Animals

2009/06/03 Wed 18:45

Alphabets Are Amazing AnimalsAlphabets Are Amazing Animals
(2004/05)
Anushka Ravishankar

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単語の組合せが生み出す 意外な動物たちの姿

タイトルのごとく、英単語の頭文字をそろえた文章で
動物たちを紹介した、インド生まれのABC絵本です。

例えば表紙に描かれている動物の場合は
Baby Buffaloes Blow Big Blue Bubbles

ってな調子。風船の色が違う? いやいや中身はちゃんと青です。
それぞれの画面は白をベースに黒と青または緑かピンクという
シンプルでグラフィカルな色使い。

風邪をひいたワニや卵好きなウナギ、ものまねするイグアナ、
飴をなめるライオンなどなど、文章に合わせて描かれた
動物たちのユニークな行動が笑いをさそいます。

ついつい共感してしまったのが、
Dull Donkeys Dance Daily 最近、疲れているせいでしょうか…
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Cricket

2009/04/04 Sat 07:43

CricketCricket
(2007/03)
Sandhya Rao

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スナップ写真でみる路上のクリケットプレイヤー

インドの国民的スポーツといえばクリケット!
公園で、空き地で、町中で、本当にいたるところでプレイされている
のを見かけます。待合室やレストランのTVで生中継されていようものなら
みんなの視線がそこに集中。特にライバル国のパキスタンとの試合が
あろうものならインド中の業務はストップしてしまうのではないかと
心配になるくらい熱く盛り上がります。

当然それをテーマにした絵本もあるはずと思っていたら、ありました!
写真絵本で英語とヒンズー語のバイリンガルです。
プロの試合ではなく、そのへんにいる人たちを撮っているのがいいですね。
画面の中からヒンズー語の歓声が聞こえてくるかのようなライブ感に
あふれています。つい先月、WBCで歓喜した日本にとっての野球、
インドにとってのクリケットはそれをはるかに凌駕することを実感できる絵本です。

余談ですが、今日はデリーの空港へ行き、帰国する駐在員を見送りました。
1年9ヶ月と短い間でしたが、スポーツを愛し、自らクリケットをプレーするほど
のインド好きでもあったことを今日の思い出に記しておきます。
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The Night Life of Trees

2009/03/11 Wed 07:51

The Night Life of TreesThe Night Life of Trees
(2006/06)
Gita Wolf-SampathSirish Rao

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インドの魂が見た夜の木々たち

インドの大きなお祭りのひとつにホーリーがある。
街中みんなが色水や色粉をかけあって春の到来を祝う特別な日だ。
祭日は年によってかわり、2009年は3月11日の今日となる。
いたるところに溢れるカラフルに染まった人たちはインドならでは
の光景だが、外出時は色水を降りかけられる覚悟がいる。

さて、そんな日にはやっぱり特別なインドの絵本をとりあげたい。
本書は2008年ボローニャ国際絵本原画展でニューホライズン最優秀賞を
獲得しただけのことはあり、かなりの風格がある絵本です。

中央インドで村落を成すゴンド族にとって木々は生命のシンボルでもある。
彼らの言い伝えによると、昼間の木々は他のものの為に尽くし、夜になると
本来の姿を現すとのことだ。本書ではそんな夜の木々がゴンド民族画法の
名手3人によって、明らかにされていきます。深みのある黒を基調にした
画面からは、生命の輝きが静かに伝わり神聖な気持ちになってきました。

樹皮を彷彿させる紙の質感といい、シルクスクリーンによる手作業といい
本というよりアート作品ですね。巻末にはシリアルナンバー付きです。
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London Jungle Book

2009/02/22 Sun 11:57

London Jungle BookLondon Jungle Book
(2005/10)
Bhajju Shyam

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ロンドンは近代文明のジャングルだった!

インドの民族画法ゴンド画の名手:Bhajju Shyamが故郷の村から
いきなりロンドンへ渡ることになり、生まれて初めて出会った異国の様子を
描き残した異色的な紀行絵本。

まずは表紙に注目! いったいこれは何を表していると思いますか?
大きな時計の目をもつニワトリ。顔は柱のようなものに支えられています。
実はこれ、ビックベンなんですね。
ロンドンの人々に時刻を知らせる時計台の姿が、彼の故郷の村で同じく時を
知らせるニワトリの姿とダブってみえたことから、こんなユニークな
絵が生まれたというわけです。

そんな独創的な絵が次から次へと登場します。
飛行機、地下鉄、二階建バス、パブの人たち、若者のファッション、
などなど、初めて目にした彼はどのように解釈したのか?
今インドに住んでいるボクの関心も画面に釘付けとなりました。

ちなみに本書のタイトル、するどい方はピンときたかもしれませんが、
有名な児童文学「ジャングル・ブック」からの引用とのことです。
これは英国人の作家キップリングがインドで過ごした経験から誕生した作品で、
この絵本が生まれたプロセスと対を成しているわけです。

英訳された彼へのインタビューは、素直な表現で分かりやすかったです。
巻末には編集者の苦労話なども紹介されており、インド好き、ロンドン好き
にはたまらない絵本です。
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Busy Busy Grand-ant

2009/02/08 Sun 12:02

Busy Busy Grand-antBusy Busy Grand-ant
(2007/04)
Kanchan Mitra

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世界へ向かうアリたち

インドの書店でこの絵本をみつけたとき、すぐに思い浮かべたのは
たむらしげる:作「ありとすいか」でした。どちらの表紙も、
スイカの上で楽しそうに遊ぶアリたちの姿が描かれているからです。

では、共通したモチーフをインドの作家はどのように料理したのか。。。

というボクの興味は、あざやかに裏切られました。
本編の中にスイカは一度も出てきません。そのかわりアリが旅行
しながら世界各国を紹介していきます。ニュージーランド、
オーストラリア、中国、ネパール、インド。うれしいことに日本も登場!

近隣諸国と並列させることでインドの特徴を浮かび上がらせた、
という観点で楽しめました。

アリだからこそできる意外なラストには、おもわずニヤリ。
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That's How I See Things

2009/01/30 Fri 12:07

That's How I See ThingsThat's How I See Things
(2007/08)
Sirish Rao

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常識にとらわれない発想をたたえる絵本

この作品に登場する画家は、物事を人とは違うユニークな
視点でとらえ、自分の想ったまま感じたままを絵にします。

例えば、彼の描いたブタは、体にクジャクの羽が生えていたりします。
ブタがダンスするときに楽しめるだろうと想って描くと
そうなってしまうのです。他にもライオンの頭をした鳥や
カニの脚がついたゾウなど、おかしな動物たちの絵が次々に
描かれ、読者の眼を楽しませてくれます。

しかし、奇妙な動物達の絵が「こんな姿にされては困る」 
と言い出したので、彼は困ってしまいます…

この作品の魅力は何と言っても、ゴンド画による動物達の絵。
ゴンド画は中央インドのゴンドという村落発祥の伝統画法で、
本作の絵を手がけたBhajju Shyamはその有名な使い手の一人。
細い線と点による装飾的なタッチが特徴です。本来なら笑ってしまう
動物達の奇妙な姿にも、神々しさが感じられるのは、伝統画法が
もつ力の成す技と言えましょう。

また、昔ながらの伝統と現代的な感覚が出会うという意味で、
激変しつつあるインドの一面を象徴している作品として見ると
興味深いものがあります。
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Old Animals' Forest Band

2009/01/28 Wed 12:08

Old Animals' Forest BandOld Animals' Forest Band
(2008/10)
Sirish Rao

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こちらがオリジナルでは! と思いたくなる

グリム童話で有名な「ブレーメンの音楽隊」のインド人作家に
よるリメイク版。ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリ というグリム版に
対して、ネコではなくウシが入っているのが、いかにもインド的。

ゴンド画という先住民族の伝統画法によって生み出された格調高い
様式美が大きな魅力になっています。よく知られている童話を、
全く新しい作品として味わう事ができました。

「ブレーメンの音楽隊」はグリム兄弟がインド旅行したときに、
この昔話を聞いて童話化した、と言ったら誰もが信じてしまう
くらいの風格を持った絵本です。
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Today Is My Day

2008/07/19 Sat 22:24

Today Is My DayToday Is My Day
(2005/01/15)
Anushka Ravishankar

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今日はキミの日でもあります

インドの「TARA PUBLISHING」といえば知る人ぞ知る有名な出版社。
アーティスティックな本造りが特徴で、絵本も数多く出しています。
その中から、今日紹介したいのが本書です。

「今日は私の日」と主張する女の子が登場。
一年の中でも、この日だけは彼女に特別な力が宿るようなのです。
絵をみただけでも何かひとクセありそうな表情が印象的ですね。
(確かにこんな子、こっちにいるなあ)

早く起きろ! 歯をみがきなさい! 845×3はいくつか答えなさい?

などと、彼女にいろいろと指示したり、問いつめたりした者が
その日、どうなってしまったかが、みものです。
なんたって彼女の日なんですから。

いつも大人に命令されてうんざりの子どもにとっては痛快な作品。

文章の中にさりげなく「Tokyo」という言葉がでてくるのが
日本人としてはちょっと嬉しかったりします。
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