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あひるのハナ

2006/01/30 Mon 11:42

あひるのハナあひるのハナ
(2005/12)
山村 アンジー

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人見知りの児童に勇気をあたえる作品…かな?

この作品の元になっているのは、第5回PinpointPictureBooksCometition入選作。
2004年の夏にギャラリーで拝見したときに比べれば、自然な作品になってますが、
ストーリ的にはまだ説明不足の感。

あひるのハナの悩みは、日曜日に公園へひとりで散歩にでかけること。
実は、他の動物や鳥たちの目が気になって、公園の入り口から先に進めないのです。

別に散歩は義務ではないので、イヤなら無理することはないのですが、
同居しているインコやカメが、ハナに外の話しをしてもらうのを楽しみにしてる
のが理由のよう。このあたりは、もっと分かりやすく描いて欲しかった。

ハナの悩みを知ったインコが、次は自分もいっしょに行くと言います。

ここは、かなり重要なところ!

飼い鳥のインコにとって、外は未知なる危険な世界。かなり勇気を出している
シーンだと思うのですが、それも充分に伝わってきませんでした。

木版画によるアヒルの表現は秀逸なだけに、話しが舌足らずなところ
が残念に思いました。
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まんげつのよるに

2006/01/29 Sun 11:44

まんげつのよるに (シリーズあらしのよるに)まんげつのよるに (シリーズあらしのよるに)
(2005/11/02)
木村 裕一

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カーテンコール的な作品ですね

最終巻にしては、なんか中途半端だなあ…
読み終えてから、そんな感想がすぐにわき上がってきました。

もちろんシリーズを無理に終わらせる必要なんてありません。
ただ前作で一度は完結編と謡っており、中身もそれだけの気合いが
感じられただけに、この作品が出たことついては複雑な気持ちです。

前作「ふぶきのあした」で納得された方は、正直言って読む必要はないです。
逆に、前作にやるせなさを感じていた方は、本作で救われることでしょう。

ここでシリーズが描いてきたテーマを思い返してみると、

『食う者と食われる者のあいだで友情は成立するか』
『友情のためには、世間の常識やタブーを破れるか』
『互いの命が危険な中、どこまで友を信用できるか』

といったように、どんどん深化し続けてきました。
この流れからみると、避けて通れないのが

『相手がこの世にいなくなっても、友情は続くのか』

というテーマだったと個人的に思うのですが、
ウマく避けられた気がします。
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はらぺこくま

2006/01/28 Sat 11:45

はらぺこくまはらぺこくま
(2005/10)
ハインツ ヤーニッシュ

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東欧にしてはめずらしく陽気なタッチの作品

おなかをすかせたクマが、ミツバチにそそのかされて、
蜂蜜山をさがしにでかけるという話しです。

そんな都合のいい場所はあるはずないとも知らずに、
クマは出会った動物たちに蜂蜜山についてたずね続けます。

ところが、たずねられた動物らは、知らないと答えるかわりに、
それぞれにとって都合のいい場所を示します。
そんなやりとりが、この作品の一番のおもしろさになってます。

例えばネズミだったら、チーズのピラミッドのそばにあるよ、
といった調子。

自分がクマに聞かれたらなんと答えるか想像してみたら
いいかもしれませんね。

ちなみに、ボクだったらココアの温泉の近くにある
と答えるでしょう。(笑)
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はらぺこライオン

2006/01/27 Fri 11:46

はらぺこライオン (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)はらぺこライオン (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)
(2005/12)
ギタ ウルフ

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インドのイソップ話、国際レベルの絵に注目

獲物を狩るために駆けずり回るのがいやになった、めんどうくさがり屋の
ライオンが登場。当人はいろいろと智恵を使っているつもりが、
結果的にはいつも以上に駆けずり回っている、というナンセンスな話しです。

表紙からも分かるように、ライオンの表情が実にいいです!
インドのワルリー族に伝わる手法で描かれているとのことですが、
まるで太古の壁画を彷彿させ、シンプルな物語に深淵さを
与えているといえましょう。
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せかいいちながいへび

2006/01/26 Thu 11:48

せかいいちながいへびせかいいちながいへび
(2005/11)
みやざき ひろかず

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ヘビは続くよどこまでも

しっぽの先がかゆいので、かいてくれたら食べるのはよそう、とヘビに
言われたネズミがしっぽの先へ向かったはいいが。

なにせ世界一長いヘビですから、それがとてつもない冒険の旅と
なってしまったのです。

1枚の紙がクルクルと折り畳んで製本してあるので、読み終えると
ながーいへびが一望できるよになります。

ネズミくんは道中で、ヘビより危険!なことにも出会うのですが、
しっかりと約束を守ろうとするところがえらい!

ほのぼのとしたラストもみやざきさんらしい。

ボクはてっきり、世界をぐるりとまわって、またヘビの頭の
ところへ戻ってしまうのかなと思ってましたが…
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はしれ!たくはいびん

2006/01/23 Mon 11:49

はしれ!たくはいびんはしれ!たくはいびん
(2005/12)
竹下 文子

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真面目に仕事が紹介された作品

いなかのおじいちゃんおばあちゃんから発送されたリンゴが、
都会の家族のもとへ届けられるまでを通して、宅配便が
活躍する様子を描いた作品です。

手渡された荷物が営業所にあつめられ、仕分けセンターを経て、
迅速丁寧に各地へ運ばれていくという流れがとても分かりやすく、
まるで自分もいっしょに運ばれているような気持ちになりました。

取材先へ配慮したのか、それぞれの絵にさりげなく登場するネコも
ちょっとした見どころのひとつ。
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わたしのくまさんに

2006/01/21 Sat 11:53

わたしのくまさんにわたしのくまさんに
(2004/09)
デニス ハシュレイ

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確かに、これはラブストーリーと言っていいでしょう

描かれているのは、ひとりの女性といっぴきのクマの、ひと夏の交流。
そして、ふたりを結びつけているのは、物語の朗読という行為のみ。
クマの性別を示す記述はないし、恋や愛といった言葉はひとつも出てきません。

それにもかかわらず、恋愛感情をしっかりと読者に想起させてくれるのは、
作者の力量が成せる技と感服しました。

ポイントはクマという動物の特徴を、最大限に引き出したところでしょう。
つまりそれは、人間の大きさに近い図体をもちながら、どこか不器用で
それでいて思索的な雰囲気を醸し出しているところにあると言えます。

クマを他の動物、例えば猫とかリスとかに置き換えてみると明らかです。
同じ物語を描いても全く別の意味合いが出てきます。

何が書かれているかも分からないまま取っておいた古い手紙の一部に託して、
女性へ想いを伝えようとするクマは、ただただ切ないばかり。

恋という言葉がこの世に生まれる前の純粋な心の響きを、ぜひ感じてください。
ジム・ラマルシェによる夕焼け色に火照ったクマの描写も見事です!
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Chocolat Book(7) ショコラちゃんの スキー だいすき (Chocolat Book)Chocolat Book(7) ショコラちゃんの スキー だいすき (Chocolat Book)
(2005/11/29)
中川 ひろたか

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ショコラちゃんシリーズ 7巻目は雪

数ある幼児絵本の中でも、動物ではなく人間の女の子が主人公である
ところに本シリーズの特徴を感じます。

医者になったり、レストランを開いたり、ドライブしたりと
毎回大活躍のショコラちゃんは、幼児が抱く夢やあこがれを体現して
くれる存在として、しっかりとポジションを獲得しましたネ。

本作では雪がテーマ。4駆車や雪遊びやスキーなどから
雪の楽しさはもちろんのこと、危険な面もさりげなく描いています。
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12月通り 25番地

2006/01/21 Sat 11:51

12月通り 25番地12月通り 25番地
(2005/11)
ヘレン ウォード

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とても想像力が刺激されるタイトルですが

主人公はプレゼントをさがすひとりの女の子。
しかし、相手にぴったりの贈り物がなかなかみつからず、
何週間後かにたどりついた所がタイトルの場所という設定です。

そこは不思議な玩具屋で、ありとあらゆるものが揃っており、
ついに探し続けていた贈り物をみつけることになりますが…

ぼくは、クリスマスストーリーを味わう上で『暖かい奇跡の演出度』を
一つのバロメーターとして評価しています。

そんな観点からみると、本書の中で起こる奇跡は今ひとつの感でした。
女の子がそこまでして求めつづけた贈り物の重みをもっと
共感できるように描いて欲しかったです。
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ここってインドかな?

2006/01/15 Sun 11:55

ここってインドかな? (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)ここってインドかな? (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)
(2005/12)
アヌシュカ ラビシャンカール

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インド的な人生感までもが織り込まれた作品

ドイツ在住のキルト作家・アニータの絵に、インドの児童文学者が
文章をつけたという国際的なコラボレーションによる絵本です。
絵の素材に使われているのは、アニータがインド旅行のとき感銘して
集めたという、布や織物のはぎれ。

牛、肌の黒い女の子、お寺の象、三輪タクシーなどインドならではの
モチーフが織り込まれた絵は、一見の価値があります。
布のもつ様々な質感や模様と、それらを繋ぐ縫い目の跡はとても
触感的で、人肌の温もりまで伝わってくるかのようです。

そして話しは、インドの思い出が縫い込まれたキルトにくるまって
眠りについた女の子が、青いネズミとなってキルトの世界をさまよう
という構成になっています。
シンプルながらも奥の深い言葉のやりとりが魅力的。

ネズミが自分のいるところを教えてもらおうと尋ねても、返事は、
『どこにいるかなんてかんけいないさ、もんだいは、
 どこにいくかなんだから』
と言った調子で具体性のないものばかり。

でも、それらを人生の道案内として解釈すれば、インドの人々が
目指しているところを伝えてくれるように思えて、なかなか興味深い
ものがありました。
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