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そよそよさん

2006/03/31 Fri 23:00

そよそよさんそよそよさん
(2006/02)
仁科 幸子

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目覚め時がおすすめ

ベッドタイムの為の絵本があるのなら、目覚めの時に読む絵本あってもいい。
朝専用絵本、モーニングストーリーとでも言うジャンルがありそうだ。

そんな可能性を感じさせてくれたのが、この作品。
そよそよさんという春の精が、花や樹や、冬眠している動物たちを、
やさしく起こしていくという、季節の変化をテーマにしています。

手をたたく音があり、深呼吸のシーンがあり、あくびをして、
そして最後に大物がボムッと目覚める という流れがとても心地よい。

朝の読み聴かせにもピッタリだと思います。
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ぶらんこ ぶーちゃんぶらんこ ぶーちゃん
(2005/06)
矢玉 四郎

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そうそう、ブランコだって乗り物だ

ぶらんこのぶーちゃんは、顔があり手足までもある。
そして、女の子がこぐと歩き出すのです。

公園をぬけだして、原っぱや川など いつもとは違った場所で
ぶらんこ遊びができるなんて、想像するだけでもワクワクしますね。

そんな期待を素直にかなえてくれる作品です。
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オオカミくんはピアニスト

2006/03/27 Mon 23:05

オオカミくんはピアニストオオカミくんはピアニスト
(2005/10)
石田 真理

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格調高い絵に秘められた力強さ

細長い手足と繊細な指、坂本龍一を彷彿させる長いまつげとサラサラした髪の毛。
うんっ、オオカミくんの外見は正にピアニストですね。

そんな彼は、ひとりで重いピアノを引いては、演奏する場所へ出かけます。
その姿は、まるで屋台を引く石焼き芋屋ですね。

ただし、「音楽はいらんかね~ ピアノをきかせるよ~」なんて呼び込みはしない。
小鳥が配達する手紙に応じて出かけていくのです。

リクエストのためには、砂の道だろうと、険しい山だろうと、幾日もかけて進んでいくのです。
もちろんオオカミくんにとっては、そうするだけの価値があり、それが何なのか次第に
気付いていくのですが。

それにしても、なぜピアノなのか? バイオリンとかフルートとか、もっと持ち運び
しやすい楽器でもいいのでは。 と考えたとき、はたと気付いた事があります。
大きなピアノを引きずる姿の中に、オオカミくんの陰の努力や、孤独のつらさ、
人生を歩んでいく力強さというものを、いつの間にか感じ取っていたことに。

軽い楽器だと、それは伝わりません。
他の楽器をもった動物といっしょになって演奏し、音楽最高!イエーィで終わったり、
きれいなオオカミの女性と出会って、ラブラブハッピーな結末になってしまったかもしれない。
しかし、そうはならない。そういうテーマではないのだ。

オオカミくんの旅は軽やかな歩みとともに続くのですから。
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遠くをみたい―星の贈りもの遠くをみたい―星の贈りもの
(2004/10)
寮 美千子

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百三十億光年の旅を実感

中学生の頃、理科の教科書中に、ついつい見入ってしまう小さな写真があった。
それはアンドロメダ大星雲の写真だ。渦巻く求心的な形をしているせいもあるが、
それだけでなく、光の中に懐かしい世界があるように感じてならなかったのだ。
なんとかしてそこへ行きたいという強烈な想いは、物理的に不可能なんだと理性で
強引に納得させるしかなかった。

しかしながら、寮さんの言葉は、人間には心という光よりも早い翼があることを
気付かせてくれた。さらに、東さんの素敵な絵が、想い焦がれた世界を
しっかりとボクに見せてくれた。

そう! 人の心は物理的な制約を越えて飛翔できるのだ。

それだけではない。今度は逆に宇宙の彼方から我々の地球に思いを馳せる
ことさえ可能にしてくれた。すると地球そのものに懐かしさを感じるという不思議な
感覚が生まれてくる。 今、実際に存在している場所なんだけどね。

この作品は地球上に生きるすべての命へ、大いなるメッセージを発信している。
その意味で、科学と芸術を通して生まれた聖書と言ってもいい。

さあ、あなたには宇宙に至る2つの選択肢がある。
多大な資金や訓練時間を費やしてロケットに乗るか、それともこの本をよむか。
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絵本 ライオンと魔女

2006/03/24 Fri 23:09

絵本 ライオンと魔女 (ナルニア国ものがたり)絵本 ライオンと魔女 (ナルニア国ものがたり)
(2005/09/22)
C.S. ルイスC.S. Lewis

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ナルニアに至る選択肢が増えた

レビューの前にひとつ告白させてください。
実はファンタジー系の大作物って、どうも苦手なんです。

それを自覚したのは、ハリーポッターの第一作目を読んだときでした。
映画:ロード・オブ・ザ・リングも途中で退席してしまい、やっぱり
この手の世界は自分の肌に合わないと確信しました。
(理由は魔法の描き方にありますが、ここでは説明を省略します。)

そんな訳で、ナルニア国物語も存在は知っていましたが、よほどのきっかけが
なければ読むことはないだろうなあと思っていました。

しかしながら、絵本化されたとなると話しは別です。
現時点で映画も上映されているし、絵本なら時間もかからないので
読んでみる事にした訳です。

結論から言うと、この絵本はボクのような立場の人にピッタリです。
臨場感のある絵は原作の要素を過不足なく再現しているように感じられるので、
とりあえずナルニアの世界をかじる事が出来たという満足感を得られました。

映画を観ようか、観まいか迷っている方。あるいは時間をかけて原作を読もうか
読むまいか迷っている方。まずは、この本で適正判断してみたらいかがでしょうか?

ボクはおそらく、映画も原作もみないと思いますが、絵本については
続巻も続けて読みたいなという気になりました。
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どこどこここ・ここ…

2006/03/23 Thu 23:10

どこどこここ・ここ… (干支セトラ絵本)どこどこここ・ここ… (干支セトラ絵本)
(2004/12)
五味 太郎

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トリからはじまる干支シリーズ

五味さんの作品をみつけた時のボクの反応は3つある。

1:えっ、こんな本がでてたのか!
2:あっ、こんな本をだしたんだ!

ということで酉年(2005)生まれのこの作品については、1となる。
出版されてから1年以上経て、この本とめぐりあったので。

鶏とヒヨコが登場するこの作品は、タイトルが全てを暗示している
といってもいい。描かれているのは、親子の散歩の様子。
かくれんぼ風に展開するところがシャレている。

もちろん、これだけでも、ひとつの作品として楽しめますが、
これから登場するすべての干支まで見届けないと、読み終えた
ことにはならないだろう。

はたして、自分の干支はどう描かれるのか?
すべての干支が出そろったところで何が完結するのか?
最後に控えている申が気になるゾ。

などなど、いろいろと想像する楽しみまで提供してくれた。

3:さて、どんな本がでるのかな?

ということで、このシリーズの12回戦を楽しみましょう。
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やぎのブッキラボー 3きょうだい (世界の絵本コレクション)やぎのブッキラボー 3きょうだい (世界の絵本コレクション)
(2005/08)
ポール ガルドン

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ガルドン版「がらがらどん」

初めは、例の作品のパロディかなと思ったのですが違いました。
例の作品とはマーシャ・ブラウンの「三びきのやぎのがらがらどん」。

実を言うと、マーシャの作品を読んだという自覚がない。
それにもかかわらず、なぜかタイトルも内容も知っている。

おそらく「がらがらどん」という一度聞いたら忘れない言葉の響きと、
シンプルでわかりやすいストーリのせいだろう。
絵本紹介でもよく取り上げられるし、人形劇化されることも多い。

あえて、ガルドン版の特徴をあげるとすれば、山羊の名前をブッキラボー
と訳したことと、大胆で迫力ある絵でしょう。

特に3匹めの山羊とトロルが対面するシーンは、まるで少年漫画のような
視点のきりかえとアップの絵が続き、相手をやっつけたゾ感が
充分伝わってきました。

どちらの作品を先に読むかによっては、がらがらどんを
マーシャ版「ブッキラボー」と認識する読者も増えるでしょうね。
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おりぼんちゃん

2006/03/21 Tue 23:12

おりぼんちゃんおりぼんちゃん
(2005/09)
まえを けいこ。

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シャレたラッピングをしてプレゼントしたくなる本

おリボンが大好きな、おりぼんちゃんという女の子が主人公。
蝶々結びが出来ないりぼんちゃんに、動物たちがやりかた実演して
彼女もできるようになるという内容です。

表紙をみても解るとおり、絵の一部に色のついた紐をそのままつかってるんです!
こんなデザイン的なセンスと遊び心をもった作者のまえをけいこ。さんって
どんな方だろうと気になりました。

すぐに最後の紹介覧を確認すると雑貨屋関係のプロデュースやコーディネート
にかかわり、自身のショップまでもっていると知って納得。小物の使い方がうまい訳だ。
お店にも行ってみたくなりました。

ちなみにこの本では、具体的に蝶々結びのやり方を図解していません。
あえてそうしたとすれば、親子のコミュニケーションを通して子供が
結び方を学べるようにとの配慮なのでしょう。

子供にとっては、蝶々結びができる前と後とで2度楽しめる絵本ですね。
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まじょのくつ

2006/03/20 Mon 23:13

まじょのくつ (おはなしのほん)まじょのくつ (おはなしのほん)
(2005/04)
さとう めぐみ

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ラストへ向かう急展開が見もの

魔女の黒い靴って、先っちょが三日月のように尖っている。
脱いであるのをみつけたら、頭の上に乗せて「牛!」なんて
瞬間芸をやってみたくなる人も、絶対いるはず。

本作では靴をみつけた子牛が、やっぱりネって感じで頭に乗せちゃうんです。
でも、魔女の靴ですからそのままではすまない。靴はりっぱな角になり、
かわりに子牛の白い模様がペロッととれて、強そうな黒牛になってしまう。

すると、その白い模様をみつけた狸が…
という、調子で、次々に動物がやってきては、自分の体の一部を交換して
別の動物になりきってしまうという意外な展開が続きます。

変な話しですが、変は変なりにちゃんと収拾がついてしまうんです。
見事だなと思ったのは、登場する魔法はこの一種類だけという点。
あっと驚く見事な結末ですね。
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おんぶはこりごり

2006/03/19 Sun 23:14

おんぶはこりごりおんぶはこりごり
(2005/03)
アンソニー ブラウン

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ママが読む前に読もう

ウヒャー、こんな本が登場するとはヤバイ!

なんて、思っている人もいるはずです。とりわけママに家事の負担を
押し付けているパパやこども達!(ボクも含まれているかもしれない)

表紙をみてください。生き生きとした笑顔のパパと2人の子供たちとは
対照的に、無表情に彼らをおんぶしているママの姿。

これには二重の意味がある。
あとがきによれば、原題は「PIGGY BOOK」で PIGGY BACK=おんぶ
と掛け合わせているとのこと。
そして、中身で描かれているのは、家族というより家畜(正にブタ)の世話を
しているかのような、ママの苦労ぶり。

アンソニー・ブラウンならではのユーモラスな表現も随所にみられます。
当人がパパの立場でありながら、こんな本を描けるアンソニーはエライ!

ちなみにこの作品、傑作にもかかわらず、原書が出てから
翻訳されるまで20年以上かかっているんですねェ。
誰か出版に難色を示していたパパがいたのでしょうか?(笑)
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