ねずみちゃんとりすちゃん なかよしの巻
2006/04/30 Sun 00:35
![]() | ねずみちゃんとりすちゃん なかよしの巻 (学研おはなし絵本) (2006/03) どい かや 商品詳細を見る |
共感してくれる友がいる幸せ
楽しい事、うれしい事は相手とわかちあうことで、よりいっそう味わえる。
逆に、つらい事、かなしい事は相手につたえることで、心の重荷が軽くなる。
割と頻繁に語られたり書かれたりしているコミュニケーションの効用。
それを、ここまでストレートに描いた絵本は無かったのではないでしょうか。
今は、何かあるとすぐに携帯で写真やメールを送り合える。
伝える相手がいるってことは、幸せな事です。
おなら犬ウォルター
2006/04/29 Sat 00:36
![]() | おなら犬ウォルター (2006/03/02) ウィリアム・コツウィンクルグレン・マリー 商品詳細を見る |
子供は気にしないかもしれませんが
もっと、かわいい絵だったらよかったのに…
まるでひと昔前の、暴力的な米国製TVゲームを思わせるタッチだ。
これは生理的に好みが分かれるでしょうね。
ただ、話しの中身はまともなので、絵さえ気にならなければ
読んでみるのもいいでしょう。
おならが止まらない犬、ウォルター。
どうも生まれついての体質で、薬もまるで効かない。
それでも受け入れてくれる子供たちと、飼い続けることに反対する
両親とのあいだで、彼は揺れ動く。
みんなから認めてもらえないと悩んでいる人、
あるいはちょっとした他人の欠点が気になっている人に
向けての作品。
どうしたらいい、ブルーカンガルー?
2006/04/28 Fri 00:37
![]() | どうしたらいい、ブルーカンガルー? (児童図書館・絵本の部屋) (2006/04) エマ・チチェスター クラーク 商品詳細を見る |
カンガルーくん考える
青いカンガルーのぬいぐるみと女の子リリーちゃんが登場。
よんだあとで知ったのですが、シリーズ化されてて本書が4作目なんですね。
本国のイギリスでも高く評価されているとのこと。
その理由はブルーカンガルーにあるようです。
なんと、このカンガルーは動かない!
ぬいぐるみですから当たり前と言えば当たり前!?
いやいや、絵本ではよく、ぬいぐるみが動いて話しかけたりするでしょ。
だから全く動かないと かえって、おやっ となるのです。
動かないのは、自分はどうしたらいいかって考えているからなのです。
リリーへ対する、カンガルーの内面描写はみどころのひとつ。
そして、最後の最後に自分はどうしたらいいか思いつく。
読者に、自ら考え行動することをやさしくうながしてくれる作品です。
ねどこどこかな?
2006/04/27 Thu 00:38
![]() | ねどこどこかな? (2006/01) ジュディ ヒンドレイ 商品詳細を見る |
役者がちがいますな
訳者に注目!
谷川俊太郎&覚和歌子のコンビだ。谷川さんはいうまでもないですね。
覚さんは「千と千尋の神隠し」の主題歌作詞でのレコード大賞金賞を
はじめ、詩作や音楽方面でかなり活躍している方だ。
読むまえに、ついついタイトルの訳をチェックしてしまいました。
すると「ねどこ どこかな?」の原題は「SLEEPY PLACES」と判明。
うわぁやられた!ってくらい完璧ですね。音感まで日本語に変換されている。
中の文章でも、リズミカルで心地よい響きが心の奥底まで伝わってくる。
おだやかな色彩の絵と合わせて、やすらかな眠りは保証されたといえよう。
子守唄というより、まるで催眠術にちかいものがある。
これは原書を買って、読み比べてみる価値があるゾ。
へんてこりんなおるすばん
2006/04/26 Wed 00:39
![]() | へんてこりんなおるすばん (2006/03) 角野 栄子 商品詳細を見る |
留守番という魔法の力
じめて留守番をしたときのことを覚えていますか?
知らない人がきたらどうしよう。静寂、孤独、不安に襲われる。
その一方で、自立、権力、自由を獲得した気持ちにもなれる。
まるで、家という国の王様になったように。
さて、ランちゃんという女の子のはじめての留守番。
留守宅の鍵を開けて入るところからはじまるのがイイですね。
読者もランちゃんといっしょに、へんてこりんな世界へ入場。
へんてこりん度NO.1は食器棚のおばさんに決まり。理由は絵をみてください。
角野さんの文の通りに、かわかみさんがみごとに描き出してくれました。
他にもいろいろと、へんてこりんなヤツらが登場して楽しませてくれます。
かわかみさんの作品では、「わたしのおへやりょこう」という
自宅の部屋巡りを旅行にみたてた傑作もあるので、
読み比べてみるといいでしょう。
クマさんのドーナツ
2006/04/25 Tue 00:40
![]() | クマさんのドーナツ (2006/03) みやざき ひろかず 商品詳細を見る |
結局、さいごはドーナッた?
クマさんの忘れん坊も、ここまでくると一つの才能ですね。
だって、自分の食べたいドーナツを買いに出かけたのに、
あるいているだけで忘れちゃうんですから。
ドーナツにも原因があるかもしれませんね。
だって、まんなかにポッカリと穴があいているから、
記憶だってポッカリ抜けてしまうんでしょう。
でも、何かを忘れていることに気付くところが、クマさんの
エラいところ。道々での出会いや、ふとしたきっかけで
ちゃんと思い出すんです。でもまたすぐ忘れますけど…
忘れる 思い出す 忘れる 思い出す 忘れる ・・・
さて、クマさんは無事にドーナツを食べられるでしょうか。
みやざきさんならではの、ほのぼのサスペンスを味わってください。
チータカ・スーイ
2006/04/24 Mon 00:41
![]() | チータカ・スーイ (日本傑作絵本シリーズ) (2006/01/01) 西村 繁男 商品詳細を見る |
子供はもちろん、かつて子供だった大人へ
読み終えたあと、耳に音がのこって離れなくなってしまった。
チータカ チータカ スーイ スーイ ウォー ガオー
童子公園を出発した子供楽団は、大きな竜と2匹の獅子舞とともに町中を練り歩く。
不思議なことに、これだけ派手な編成にもかかわらず、大人は誰もその存在に気付かない。
家の中を堂々と通っても、新聞を読んでいたり居眠りをしていたりするのだ。
昭和初期の時代を思わせる懐かしい町が舞台。
そこに西村さんは、子供達だけが楽しめる痛快な世界を描き出した。
子供はもちろん大人だって、ちょっとだけ童心にかえれば、絵本を通して
楽団に参加できるでしょう。
絵にはいろいろな謎解きが仕掛けられているので、2度3度読み返して
楽しめる作品だ。
コメント
カッパがついてる (絵本のおもちゃばこ)
2006/04/23 Sun 00:42
![]() | カッパがついてる (絵本のおもちゃばこ) (2006/03) 村上 康成 商品詳細を見る |
自然の生き物としてのカッパに出会える
村上さんといえば、アウトドアライフと絵本を結びつけた先駆者としての
印象がつよくある。自然の生き物、海、川、森、などの魅力をグラフィカルに
みせてくれる絵は、いつみても心地よい。
この作品には、カッパという架空の生き物が登場する。
いや、架空といってはいけないかもしれない。
なにせ、村上さんが描くくらいだから、実際に川の中にいるはずだ。
ヤマメやナマズ、コイにアユ。 カワウソやカワネズミ、カワガラスといった
川の住人たちも描かれている。そして彼らと共に生活しているはずなのである。
でなきゃ、絵本に描かれるわけがない。
この本の女の子のように、ちょっとした好奇心を持って、川にでかければ
あなたにもカッパが見えるでしょう。
ラストページにカッパの笑顔を感じました。
庭の小径で
2006/04/22 Sat 00:43
小さな王さまヌーノ
2006/04/21 Fri 00:43
![]() | 小さな王さまヌーノ (2003/11) マリオ ラモ 商品詳細を見る |
かぶってみて分かる王冠の重み
百獣の王と言われるライオン。漫画や劇では王様役としてしばしば登場します。
「ジャングル大帝レオ」や「ライオンキング」は有名ですね。
当のライオン自身はどう思っているのか知りませんが、実際に王様になると
したら大変なものがあるでしょう。ただ単に強ければいいでは済まされません。
王としての人望、いや、獣望も必要で、他の動物たちの困り事にも
耳を貸さなければならないのですから。
この絵本の中にも、そんな世界観が登場。
でも、ユーモラスな作風が持ち味のマリオ・ラモだけあってひとひねりあります。
表紙から想像がつきますね? 父が倒れたため、その大役を幼くして務めること
になったのがチビライオンのヌーノ。はたしてうまくやれるのかどうか?
自分が王様だったら、どうやって問題解決するか。ニーノといっしょに考えながら
よむと、その苦労を分かち合えるでしょう。
子供の背中にのしかかる重圧と開放感を通して、父の偉大さを伝える作品。