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大きなわるーいオオカミがっこう (児童図書館・絵本の部屋)大きなわるーいオオカミがっこう (児童図書館・絵本の部屋)
(2001/02)
ジョナサン アレン

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立場が違えば価値観も変わる

昔は悪役だったオオカミも、今や主役として人気が高まってきました。
例えば「あらしのよるに」や「ともだちや」といった絵本はシリーズに
なっているのでご存知の方も多いのでは。

攻撃的、ワガママ、肉食 という悪いイメージがあるからこそ、
ときおり見せる やさしさ、繊細さ、孤独感 がきわだち、
人間味あるキャラクターになっているのが受けているのでしょう。

絵本界ではポピュラーな動物:犬 をチョイ悪にしたような外見も、
ライオン・ワニ・サメなどより、親しみやすさがありますね。

日本に限らず、翻訳物でもオオカミの絵本をよくみかけるのは興味ぶかいです。

前置きが長くなりましたが、この海外からきた作品にはオオカミの学校が
登場するのです。ここでは、いかにしたら悪くなれるかを徹底的に教えてくれます。
例えば、悪そうな目線の使い方、恐ろしいうなり声のあげ方、ダメなブタの見分け方など
楽しい!?課題がいっぱい。オオカミならではの価値観が学べます。

逆の見方をすれば、ここの落第生は世の中ではマトモってことになる訳で、
そこがこの作品のミソ。
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えんふねにのって

2006/05/18 Thu 23:22

えんふねにのってえんふねにのって
(2006/03)
ひがし ちから

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川を舞台にした絵本の傑作が登場

えんふねとは、川をつたって幼稚園へ送ってくれるふねのこと。
川のそばにある園ならではの、通園方法なんですね。

作者のひがしさんは、幼稚園の美術教諭をされているそうです。
おそらく実際にモデルになった園があるのではないでしょうか。
ん~そこに行ってみたい!

私はともかく、子供がこの本をよんだら、ふねにのりたいって
言い出すことまちがいなし。

ふねを待つ女の子のわくわく感、自然の心地よさ、農家のおばあちゃん
とのふれあいなど、えんふねならではの魅力がいっぱいつまってるから。

さらにその魅力は、とあるハプニングから決定的なものになるんです。
絵本的な演出も無理がなく、とても好感がもてました。

夏になったら、青空の下でまた読もうと思います。トマトをかじりながら。
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あかちゃんにちゅっ!

2006/05/17 Wed 23:23

あかちゃんにちゅっ! (ほんやくえほん)あかちゃんにちゅっ! (ほんやくえほん)
(2004/07)
メアリー マーフィ

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おもわず抱きしめたくなる本

あかちゃんはあかちゃんをみてカワイイと思うだろうか?
たぶん思わないでしょう。

なぜなら、あかちゃんをカワイイと思う段階で、当人はあかちゃん
ではなくなっているでしょうから。

カワイイと思われるほうがあかちゃんなのである。

その意味で本書はあかちゃんのような作品。

画面のほとんどが白黒ですが、とてもあたたかみがあります。
手書きの文字も生きてますね。

動物達のうわさばなしで、あかちゃんのイメージが
どんどんふくらんでいき、会いたくてたまらなくなりますよ。

満を持して登場するあかちゃんは、何度みてもハッピーになります。
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モーイイヨ

2006/05/15 Mon 23:28

モーイイヨ (五味太郎干支セトラ絵本)モーイイヨ (五味太郎干支セトラ絵本)
(2006/03)
五味 太郎

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トリからはじまる干支シリーズ(その5 丑)

干支セトラ絵本もネズミ年をもって三分の一が刊行されたことになる。
いよいよ中盤にさしかかり、ウシの登場となった。
2匹のウシがかくれんぼする構成は、トリ年の「どこどこ ここ・ここ…」
とにている。この作品のポイントとしては、

1:モーイイヨには2つの意味がある
2:モーイイカイとモーイッカイは仲がよさそう

ウシとくればモーこれしかないと思ってしまうほどシンプルな内容。
モーから始まるウシ言葉で終始一貫しているが、おなじ言葉でも
状況によって意味が変身するという仕掛けがある。

さらに言うと、おなじ意味なのに言葉を変えているところもある。
モーイッカイは別の言い方もできるのだ。ただ、意味は違うが
モーイイカイと併せて使われるとうれしくなる。

ちょっと言葉をかえて、おおきく意味をかえるおもしろさだ。
かといって、

3:モモやイモやイカもイイカモなどと思ってはいけない

もちろんダメだ。 次はトラか。
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ガシガシねずみくん

2006/05/13 Sat 23:30

ガシガシねずみくん (五味太郎の「干支セトラ絵本」)ガシガシねずみくん (五味太郎の「干支セトラ絵本」)
(2005/12)
五味 太郎

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トリからはじまる干支シリーズ(その4 子)

トリでスタートし、イヌが引き継ぎ、イノシシで加速して、やっとネズミ登場。
本来ならば、十二支のスターターを担うネズミくんであるが、すでに
お膳立てが整っているので、どことなく余裕が感じられた。
ネズミくんは、ただただガシガシすることに専念しているのだ。

1:いろいろなガシガシが聞こえる
2:ガシガシ以外の音も描かれている

はじめから最後までガシガシと展開される作品だ。
しかも、音や言葉も絵の具の一種だという五味さんだけに
いろいろな色や形をしたガシガシを見て取れる。

そしてガシガシとガシガシの間には、別な音も描かれている。
ある人には、「よけいなお世話だい」といった色がみえるでしょうし、
またある人は、「ふぁーあ」というあくびの形を発見することでしょう。

むずかしいことではない。
要するに、読むほうも五感をはたらかせて、耳で色や形を
感じ取ればいいのである。

3:耳を皿にしてよもう

というわけ。 次はウシですね。
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どうぶつさいばん ライオンのしごとどうぶつさいばん ライオンのしごと
(2004/08)
竹田津 実

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殺すという仕事

イトルにある動物裁判という言葉から、裁判を模したコメディ調の
作り話かなと思っていたら、どっこい大違い。

大自然の摂理、特にライオンの存在意義が真面目に描かれていました。
8匹の動物たち(人間も含まれています)の証言は断片的ですが、
それらがパズルのように組み合わされ、ある真実が形作られる様は興奮もの。

はたして、ヌーを殺したライオンは罪を問われるのか?

昨日インフルエンザの流行で大量のニワトリが殺されたというニュースを
を聞いただけに、ライオンの担う仕事の重みがより理解できた。
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まじめなフレッドおじさん

2006/05/09 Tue 23:34

まじめなフレッドおじさん (にいるぶっくす)まじめなフレッドおじさん (にいるぶっくす)
(2005/09)
ティム イーガン

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最近笑ってない人に

表紙からもわかるように、フレッドおじさんの
農場は異様なふんいきだ。みんな目が笑ってない。

たしかに「トマトをみて笑えるか?」とまじめに聞かれたら、
笑えませんと答えるしか無いだろう。農場の動物たちのようにね。

まじめに仕事するのはいいが、度がすぎて誰も全く笑わないのはよくない。
そんな息苦しい農場の空気にたえかねた動物たちは、なんとかして
フレッドおじさんを笑わそうとする。

読者はすくなくとも2回は笑うでしょう。
まず動物たちの奮闘する様子に。そしてフレッドおじさんの…

フフフフフっ、これは読んでのお楽しみ。
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きはなんにもいわないの (学研おはなし絵本)きはなんにもいわないの (学研おはなし絵本)
(2005/09)
片山 健

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これぞ絵本! という快感

ひさびさに絵本的快感を味わいました。さすが片山さん。

「おとうさん木になって」という子供のおねだりを受けて、
おとうさんがどう応えたかが見ものです。

さりげなくスゴいことが起こってますが、
それについては、なんにもいえません。
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風の星

2006/05/07 Sun 23:33

風の星 (日本傑作絵本シリーズ)風の星 (日本傑作絵本シリーズ)
(2004/03)
新宮 晋

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見えない風を感じ取れる作品

光の中で生まれた風が地球を旅する。
それを風自身の言葉で語りかけるという絵本。

作者の新宮さんが、世界の僻地をめぐった体験がもとになっているだけあって、
描かれた舞台は、どこか自然の厳しさが感じられる。

絵の視点が特徴的だ。大地を見下ろしたり、大空を見上げたりする場面のみ
がつづき、水平線や地平線は全く描かれない。
そのせいもあって、どこか閉鎖的で息苦しさを感じた。
しかしそれは、絵の対象と直に向かい合おうと自らを追い込む作者の
姿勢なのかもしれない。視線の延長上には常に地球の中心があることになる。

壮快な読後感を期待してはいけない。
そのかわり、耳元で風の生々しい息づかいを感じ取れよう。
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Thirteen O'Clock

2006/05/06 Sat 23:35

Thirteen O'ClockThirteen O'Clock
(2005/09/01)
James Stimson

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p.m.1:00のことではありません(念のため)

表紙買いして大正解。
レイン・スミスやティム・バートンが好きな方は
きっと作者のJames Stimsonのファンになること間違いないでしょう。

13まで目盛りがある奇妙な時計が、深夜13時の鐘を鳴らし始めると、
化け物たちがつぎつぎに登場する。化け物といってもカワイク、キュートな
やつらばかり。絵の魅力だけでも充分に楽しる。

英文については、「怖い系」「擬音系」の様々な単語が登場するし、
言葉遊びも豊富なので、勉強にもなった。

例えば、friendとfiend。
一字違いでこんなにも意味が変わるなんて知ってましたか?
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