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ポコがすきなのは

2006/05/31 Wed 23:08

ポコがすきなのは (チューリップえほんシリーズ)ポコがすきなのは (チューリップえほんシリーズ)
(2005/11)
今井 俊

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ポコがおしえてくれる好き好きパワー

ポコが好きなものがいろいろと紹介されます。
きもちいい天気、おいしいもの、愉快な遊び等々。
それに加えて、嫌いなものまでも。

見開きの左に好きなもの、右側は嫌いなものという対比で
ポコの好みがよくわかるように工夫されています。

さて、ポコ君の好みですが、ある出会いがきっかけで
ガラリと変わってしまうところが見どころ。
恐るべし愛の力というところか。

何にせよ好きなものが多ければ多いほど、幸せになれる
ことはまちがいなさそうです。
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ひつじぱん

2006/05/30 Tue 23:09

ひつじぱん (たんぽぽえほんシリーズ)ひつじぱん (たんぽぽえほんシリーズ)
(2006/05)
あきやま ただし

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パンと羊は相性がいい

表紙に描かれたパン屋のひつじを見て思わず、あっ と言ってしまった。

むかし作ったひつじにそっくりだったからだ。ボクが使ったのは食パン。
耳をクルクル丸めて角にし、写真に撮って、ひつじ年の年賀状に登場させました。

ですから、まるで家を出た自分の子供から久々に近況報告の便りを
もらったような錯覚とともに本書を手にしました。

さて、本書:ひつじぱんの味わい方としては、

まず、こねているパンを焼くと、かまからどんな煙がでるかを想像して
つぎのページにすすむといいでしょう。

そして今度は、煙の形から、どんなお客さんがやってくるかを想像して
つぎのページにすすむといいでしょう。

それぞれ関連性があって、楽しめます。

最後にパンの味を想像して本を閉じれば、自分もパンが食べたく
なるでしょう。
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ふわふわくもパン

2006/05/29 Mon 23:11

ふわふわくもパンふわふわくもパン
(2006/04)
ペク ヒナキム ヒャンス

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韓国発の特撮的絵本

変わった絵だ。いや、この場合は写真かナ。
一度描かれた絵を切り抜いて、空間にレイアウトし、それを撮影すること
で不思議な立体感や遠近感を生みだしている。つまり3次元のコラージュなのです。

たむらしげるさんのランスロットシリーズでも、同様の表現がみられましたが、
本書の方では、布地や綿やダンボールなどの質感までも利用しているのが、
特徴的といえるでしょう。

この技法によって、空飛ぶ猫の兄弟の姿が臨場感いっぱいに伝わってきます。
ふわふわの雲を焼いてくもパンを作るという発想もいいですネ。

読者の心までも、ふわふわ体験させてくれるユニークな作品。
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でっかいでっかいモヤモヤ袋 (そうえんしゃ・世界のえほん)でっかいでっかいモヤモヤ袋 (そうえんしゃ・世界のえほん)
(2005/11)
ヴァージニア アイアンサイド

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あなたは袋が見えますか?

見えないものを、視覚化することは絵本の得意とする表現。

この作品では、不安や不満、心配、疑い、など女の子が抱きはじめた
様々な悩みを、モヤモヤ袋に置き換えてユーモラスに描いています。

袋の中には、お化けや怪獣の類いが潜んでいて、悩みと共に
増え続けるし、袋は体からはなれない。

女の子は両親や学校の先生に相談しようとしますが、思い留まります。
「こんなことを言えば、こんな返事をされるに決まってる」なんて考えて。
わかってるんです、あてにできないことが。

これには共感しました。確かに、自分の子供時代を振り返ってみれば
よくわかります。言いたくても言えないという分厚い壁があるんです。
かといって、一人で悩めば悩むほど、モヤモヤ袋は巨大化していきます。

親身に話しを聞いてくれる人がいるだけでも、楽になれるんですけどネ。

身の上相談の回答者としても活躍している作者ならではの、
心理学的テーマを扱った傑作。

ちなみに、すずき出版「わたしのかいじゅう」は、心の視覚化という点で
共通した表現を楽しめます。こちらはポジティブな怪獣です。
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しってるねん

2006/05/27 Sat 23:14

しってるねんしってるねん
(2006/03)
いちかわ けいこ

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女装してる人がいるぞ、食事中泣いてる人もいるぞ

普段、職場でいつも顔をあわせる人であっても、街中で私服の姿で
出会うと、ガラッと印象が変わって気付かないこともある。
サングラスや帽子やマスクなどしていると尚更わかりにくい。

相手から、あいさつされて初めて気付いたという経験がある方は、
本書の男の子の気持ちがよくわかるでしょう。

さっき、声をかけられたおばちゃん だれやった?

男の子は商店街を歩きながら、一所懸命に思い出そうとします。
薬屋、花屋、魚屋、と店で働くおばちゃんが次々と6人も登場。
この中にいるのか? それとも?

店の看板や、行き交う人達の顔など、絵探し的なおもしろさも含んでいる
ので、誰だったかわかった後も繰り返し楽しめる作品です。
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しろくまくんのながいよる (にいるぶっくす)しろくまくんのながいよる (にいるぶっくす)
(2005/07)
ローラ トンプソン

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熱い夜のエアコンがわりに

表紙がステキだと思いませんか? 
氷原で星の光をあびて輝くシロクマくん。
あとがきによれば、リノリウムによる版画だそうです。

シンプルな色づかいで面と線を主体としたグラフィカルな描写ながら、
生命感にあふれ、立体的な奥行きまで感じさせてくれます。
版画は、ともすれば平面的になりがちなんですけどネ。

氷の上にシロクマで、しかも夜を舞台にここまで描くのは
並大抵のことではできませんよ。

夜中に目をさましたシロクマくんが散歩に出かけるという
話しは、とてもわかりやすく、静かで幻想的な氷の世界を経て
やすらかな眠りを約束してくれるでしょう。

早速、原書(POLAR BEAR NIGHT)を買うことにしました。

訳者:きたやまようこ 装丁:鈴木成一 という 知る人は知る
大御所が関わっているので、オリジナルと読み比べようと思います。
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わたしのかいじゅう (

2006/05/25 Thu 23:16

わたしのかいじゅう (たんぽぽえほんシリーズ)わたしのかいじゅう (たんぽぽえほんシリーズ)
(2005/11)
もとした いづみ

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今日も怪獣パワーでいこう!

「女の子と怪獣」というめずらしい関係が描かれています。
怪獣は女の子の家にいて、どんなときも彼女といっしょにいるんです。

そして女の子が困ったとき勇気をくれたり、楽しいときを分かち合ったり
してくれるのですが、他の人、特に大人から見たら何事かと心配してしまう
かもしれません。ぬいぐるみのクマやライオンならともかく、牙をむき出しで
動きまわる怪獣ですから。

でも、大丈夫。

読み進んでいくうちに、怪獣がいるのは、実際の家ではなく、
彼女のこころの中に住んでいることに気付きます。

彼女が生き生きとなるにしたがって、怪獣もだんだん大きくなるという
描き方は、見えないものを視覚化する絵本ならではの見事な演出。

それにしても、怪獣ですか……

昨今の子供が起こす事件と考えあわせると、女の子といえ心の中に獣性が
育まれていると思ってしまうことがあります。あるいは、怪獣くらいのパワー
がないと、生きていけないくらい厳しい世の中になってきているとも。

失礼、深読みしすぎました。
ただ、怪獣の目に光った涙が気になったもので。
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おじいちゃんのごくらくごくらく (ひまわりえほんシリーズ)おじいちゃんのごくらくごくらく (ひまわりえほんシリーズ)
(2006/02)
西本 鶏介

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「ごくらくごくらく」という言葉の魔法

絵本では、しばしば『老人と子供』という関係が描かれます。
それは過去を背負う者と未来を担う者という関係でもあり、
現在の話しであっても、大きな時間的スケールを感じさせる
魅力的コンビと言えるでしょう。

また年齢差を考えると、遠からず別れを迎える運命だけに、
ドラマを内包している関係とも言えますね。
子供にとって祖父母は、死に直面し乗り越える機会を与えてくれる
最も身近な家族と言えるかもしれません。

ボクのおばあちゃんはそうでした。

本作では、おじいちゃんが生前にお風呂で唱えた「ごくらくごくらく」
という口癖が、男の子に大きな力を与えてくれます。

ひょっとしたら、この言葉は男の子のおじいちゃんのおじいちゃんも
唱えていたのかもしれません。また男の子がやがておじいちゃんに
なった未来の世界でも、きっと唱え続けられることでしょう。
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かかしごん

2006/05/22 Mon 23:18

かかしごんかかしごん
(2004/12)
成田 聡子

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画集的な魅力もある絵本

モノクロの絵が非常に特徴的な、かかしの冒険物語です。

形や質感のハーモニーが絶妙で、黒のみを使いながら
そこに豊かなイメージを感じ取れました。

短い文章が、ピンクがかった赤で添えられており、これまた
絵のアクセントとして効いています。

話しとしては、かかしの願いがかなうシーンが、あまりにも唐突。
もっとそれらしいキッカケが欲しかったですネ。

とはいっても、絵の魅力から比べると些細なことかも知れません。
次回作が楽しみです。
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おおかみとキャベツばたけ

2006/05/21 Sun 23:19

おおかみとキャベツばたけおおかみとキャベツばたけ
(2006/05)
ひだ きょうこ

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意外性にあふれた作品

オオカミが主役の絵本がまたまた登場しました。ほんと最近ふえてきましたね。
男の立場としては共感しやすい動物だし、作り手も男性が多いだけに、
女性のひださんの描くオオカミという点で興味をひかれました。

かわいい動物が主役の絵本は、初めの数ページをみればその後の展開も
ほとんど予想がつくのですが、この作品はそうはいきませんでしたネ。ハハッ。
読者は多くの意外性にであうことでしょう。

【タイトルと表紙=オオカミとキャベツを作った者とが関係するのか?】
 ハズれた。キャベツ畑の持ち主は登場しません。

【本文見開きの角が全部丸くカットされている=仕掛け絵本だったのか?】
 ハズれた。カットを利用した仕掛けはありません。

【オオカミは光り輝く蝶に出会いウットリする=蝶との切ないロマンスか?】
 ハズれた。ハンカチを準備する必要はありません。

【中盤で思いがけない物が登場=やっぱり仕掛けあるのか?】
 ハズれた。でもブルーノ・ムナーリ的な演出はおもしろかった。

こうなってくると、後は作者のなすがまま。あまり深く考えないほうがいいでしょう。
読み終えてみれば、この話しはオオカミを出す必然性が弱いように思いました。
例えば、キツネでもイノシシでも成り立ちます。

一つ、誤植を発見。「とびら」が「どびら」になってました。
次版で修正されるでしょうから、初版本は価値がでるかもしれない。

などとレビューするボクは、ひねくれた奴だなあと自分でも思います。
ちなみにオオカミには、かなり共感するタイプです。
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