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西遊記〈3〉火焔山をこえて (決定版!大型絵本)西遊記〈3〉火焔山をこえて (決定版!大型絵本)
(2006/03)
唐 亜明

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暑い日に読むと、より熱くなれるでしょう

中国を代表する絵本作家コンビによる、西遊記絵本の第三巻。
一巻、二巻ときたので、ついでに最後となる本書もレビューしときます。

今回は、行く手を巨大な火で阻む火焔山を越えるべく、火を消す事のできる
芭蕉扇を手に入れるための、羅刹女や牛魔王との戦いがメインとなります。

読んでてハタと気付いたことがあります。パーティを組んで、町や村で情報を
集め、必要とするアイテムを入手するために魔物と戦うというストーリーは、
全くRPGゲームそのもの!

そう受け止めると、西遊記が昔から多くの読者を魅了してきたのも、
うなずけますネ。

ただ現在では、インターネットで世界中の情報が瞬時に手に入り、地球の裏側までも
気軽に旅行できてしまいます。お経をもらう為に長旅をするという行為は
今の子供たちには、理解しがたいかもしれません。

ただ単にゲームや漫画的なおもしろさで終わらないためには、
原書に近い翻訳本も読む必要があるかなと思いました。
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西遊記〈2〉金角銀角のひょうたん (決定版!大型絵本)西遊記〈2〉金角銀角のひょうたん (決定版!大型絵本)
(2006/03)
唐 亜明

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見どころは魔物兄弟と悟空との駆け引き

中国を代表する絵本作家コンビによる、西遊記絵本の第二巻。
一巻目をよんで、好印象をうけたので続いてこちらも手に取りました。

ただし、やっぱりなあ。という不安が的中。

確かに、あの膨大な話しを絵本全3巻にまとめるとなると、極限まで中身を
削らなければならないでしょう。ですから、本書では金角銀角兄弟との
戦いに的をしぼって描いているのは判るし、それば充分楽しめます。

その分、猪八戒、沙悟浄との出会いのエピソードは、たったの数文で
済まされているし、あとは居ても居なくてもいい存在になっているのが、
非常に残念でした。

すでに、西遊記という物語全体をわかっている者が、
絵本で楽しむための作品です。
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おじいちゃんは水のにおいがしたおじいちゃんは水のにおいがした
(2006/04)
今森 光彦

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水は人の心までも映す

10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 水は人の心までも映す, 2006/6/29

琵琶湖のほとりで60年以上も漁をしつづけている一人のおじいちゃんを
通し、水と人との繋がりを美しい写真で伝えてくれるドキュメンタリー絵本。

驚いたのは、おじいちゃんの住む町では、川の水が水路を通して各家庭に
循環していき、すべての生活を支えていることだ。『かばた』という、まるで
水の駅のような自然の浄化槽が重要な役割をはたしている。

湧き水の豊富な湖畔ならではの生活の智恵なのですが、
水道の蛇口から出る消毒された水でなく、増してやペットボトルの水を買うような
生活とは無縁の世界が存在し得ることを知って、素直に嬉しくなった。

もちろん全くタダで水が使える訳ではない。自然への感謝の念と引き換えなのだ。
ともすれば忘れがちな、自然環境からの恩恵について考えさせてくれる作品でした。

それにしても、これだけの撮影をするには、かなりの時間がかかったでしょう。
絵なら、雪とか鳥とか何時でも描けてしまいますが、写真ではそうもいかない。
琵琶湖をのぞむ田園にアトリエを構える写真家:今森さんによるところが大きいです。

むずかしい事は考えず、透明感あふれる水の写真をながめるだけでも充分です。
それだけでも心が浄化されていくのを実感できます。
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こどものとも0.1.2 2006年 04月号 [雑誌]こどものとも0.1.2 2006年 04月号 [雑誌]
(2006/03/03)
不明

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ピンクのペン画によるラストメッセージ

タイトルから連想するのは、約30年前の傑作絵本「ごろごろにゃーん」。
ごろごろ---は猫が飛んでいくのに対し、ころころ---は子猫がころがっていく
という、ほのぼのした赤ちゃん向けの作品。

単独でも、もちろん楽しめるが、2冊を併せてよむと感慨深さが増してくる。
なぜなら、ころころ---は長さんの最後の絵本だからだ。
原画が完成したのは亡くなる10日前ということで、長さん自身も
遺作となることを意識されていたと推察できます。

そうなると、ダ・ヴィンチ・コードならぬ、チョウシンタ・コード的な
見方をしたくなってしまいますね。
「ごろごろにゃーん」との関連性に秘められたものは何か?
それは、ボクにはまだ判りません。

ただ、少なくとも本作に出てくる父猫からは、長さんの、奥さんや子供たちへの
感謝の気持ちが伝わってきました。
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あっちゃんのはたけ

2006/06/24 Sat 01:20

あっちゃんのはたけあっちゃんのはたけ
(2006/04)
大西 ひろみ

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なるほど、食育絵本だったのですね

あっちゃんは野菜嫌いの女の子。おばあちゃんは、なんとかして
あっちゃんに野菜好きになってもらおうと、畑へ連れ出し、
いっしょにキュウリを育てます。

確かに、食べ物が食卓に登場するまでは、それぞれのストーリーがある。
それを知ることで、食材への興味が増し、食べようとするきっかけには
なるでしょう。

ただ、こう言っては元も子もないですが、食材への興味と好き嫌いは、
別の問題だと思います。結局はウマイかマズイかですから。
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ぼくはほんとはかいじゅうなんだ (絵本・だいすきおはなし)ぼくはほんとはかいじゅうなんだ (絵本・だいすきおはなし)
(2006/05)
後藤 竜二

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一瞬の期待に終わった

はぁ………。

なんか煮え切らない。心の準備はできていたとはいえ、
初めに期待するものが大きかっただけに残念だ。

「ぼくはほんとはかいじゅうなんだ」というタイトルから
期待したのは、男の子の有り余るエネルギーを怪獣にみたてた、
痛快な作品でした。一方、あまりにもストレートなタイトルに
ちょっと不安もありました。

本作ではボクの期待に反し、母親に叱られた男の子のイジイジした
マイナスの気持ちが怪獣となって表出してしまうのです。
それはそれでいいとしても、もっと効果的な描き方があるのですが。

TVゲーム世代の現代っ子に向けたと思われる文章は、どこか不慣れな感が
あって、ボクが読んでも説明的なクドさがありました。

さらに、その文章を絵で補足しようとしているので、
わかった、わかった、もういいよ! という気持ちに。

自分は対象年齢でないことは、わかってますが、
作者の放ったシュートは、ゴールの枠外でした。
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ブレーメンのおんがくたい―すまいるママめいさくステッチ (にいるぶっくす)ブレーメンのおんがくたい―すまいるママめいさくステッチ (にいるぶっくす)
(2006/05)
すまいるママ

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正に適材適所とはこのこと

実を言うと、ボクは手芸店をのぞくのが好きだったりします。
絵具のようにカラフルな糸、様々な柄の布、フェルトの触感、宝石のようなビーズ。
色々な素材たち囲まれると、心がウキウキして何かを作りたくなるのです。

そんな沸き上がる気持ちを満たすのにピッタリの絵本といえば、
すまいるママさんのステッチシリーズ。本書はその4作目となります。
今回は、おなじみの名作がステッチによって見事に再現されました。

動物たち、食べ物、自然の風景、建物などが、刺繍材だけで
どのように描かれているかが、見ものです。

こんなステキな絵を作る作者のアトリエってどんなのでしょう?
きっと手芸店のような雰囲気なんでしょうね。

フェルトを使った絵本では、どいかやさんのトラリーヌシリーズも
おすすめです。
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しろしろのさんぽしろしろのさんぽ
(2003/12)
中新井 純子

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散歩=落書き を実感

絵本という表現の中では、絵のタッチが持つ役割は重要だ。
同じストーリーでも絵のタッチによってガラリと印象が変わる。

増してや、絵の描き手=文の書き手 の場合、作者は自身の中で両方を
うまくコントロールしなければならない。

その点、本書は絵のタッチと内容が、心地よくシンクロしていると言えよう。

へびのしろしろは、まるで白いチョークのよう。
真っ赤な風船と共に散歩しながら落書きをしていく。
そこには努力や気合いとは無縁の、お気楽な空気に満ちた世界があり、
絵のタッチにもそれが感じられる。

風にのった散歩の軌跡が、そのまま落書きの線になっていく。
絵のタッチも落書き調で、描き手の気持ち=しろしろの気持ち となって
読み手の心も、楽しい散歩へと導いてくれる。
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ローズとアイリス

2006/06/18 Sun 01:26

ローズとアイリスローズとアイリス
(2003/09)
メグホソキ

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オシャレなイラストをもっと生かせたのでは?

ライフスタイルの対照的な女の子、ローズとアイリスが登場。

タイプのちがう友人との出会いで、お互いの世界が広がるというテーマを
描くなら、もっと絵本的に判りやすい表現があったのではないでしょうか。

例えば、冒頭で、ピンクの好きなローズ、ブルーの好きなアイリスと紹介しておきながら、
その後に登場する彼女たちの容姿は、ピンクやブルーとは無関係。
服やスタイルも似ている2人を区別するのに、とまどってしまいました。

また、2人は友達同士かなと思いきや、それぞれ別に友達がいて、
見知らぬ者同士だったことは、読み進まないと気付けなかった。
既にいる友達との関係はどうなのかも気になってしまいました。

最後に、2人が出会った後で、それぞれ好きなものが増えたといっておきながら、
出会う前と全く変わらない服やスタイルのままというのも解せない。
まあ、スタイルは変えようがないけど、小物づかいなどで、ちょっとした
容姿の変化があるとシャレたラストになったと思うのですが。
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ごきぶりねえさんどこいくの? (詩の国イランの絵本)ごきぶりねえさんどこいくの? (詩の国イランの絵本)
(2006/04)
M. アーザード

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ほのかに伝わる西アジアの感性

ゴキブリ!
黒くて、テカテカして、カサカサ動き回る あのイヤな奴。
そんなの見たくないよって?

ご安心を。表紙の絵でわかる通り、ごきぶりねえさんはとってもオシャレ。
言われなければゴキブリだって、全くわかりません。

ボクが本書を手にした理由は2点。
1………ゴキブリが主人公の絵本はめずらしい
2………イラン発の絵本はめずらしい

話しは、ごきぶりねえさんが貧しい家を出て、遠い街をめざす旅物語。
イランでは馴染みの昔話とのこと。
約3分の1は文章だけのページなので、絵本としては物足りないが、
リズミカルな言葉づかいのおかげで、読むのは苦にならない。

そして何よりザーヘディによる絵が魅力的。
子供の落書きを彷彿させるタッチの中にも、格調高さがにじみ出ている。
イランは06ワールドカップにも出ているが、彼の絵はまちがいなく
ワールドクラスだ。
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