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どっちがへん?

2006/09/17 Sun 17:09

どっちがへん?どっちがへん?
(2006/06)
岩井 俊雄

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コミュニケーショングッズとなる絵本

見開きの右と左に、ちょっとだけ違いのある絵が並べてある。

          例えば

鼻水を下にたらした顔 と 鼻水を上にたらした顔
   シャツを着た人 と シャツをはいた人
    雨をふらす雲 と 花をふらす雲
   木になるリンゴ と 木になるイチゴ   
     
     などなど全部で23組あります。

始めから順番にながめてもいいが、見返しの解説にもあるような楽しい遊びもできる。
適当なページをパッと開いて見せ、どっちが変かをサッと当てさせるのだ。

言葉では表しにくい変な状況の絵もけっこうある。
左と右のどちらかがボケ役になってて、変だけど笑いをさそうところに
岩井さんの遊びごころを感じます。

どっちがへん? ではなく どっちがすき? と聞いたら答えが変わるかもね。
CDサイズの小さな絵本なので、手軽に持ち運べるのもいい。
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こどものとも 年少版 2006年 10月号 [雑誌]こどものとも 年少版 2006年 10月号 [雑誌]
(2006/09/02)
不明

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たまのりひめ(玉乗り姫)

最近読んだ新聞でこの本を知りました。
絵本編集者が美術家である牡丹靖佳さんの絵と出会い、この人に絵本を作らせて
みたいという思いから生まれた作品とのことだ。

頭に犬をのせ、玉のりをしながら、しゃなりしゃなりと お供たちをたずさえ
て行進するたまのりひめ。みんなの表情は白いつんつるてんの丸顔と
リアルに描かれた目鼻口のせいでちょっと不気味な印象だ。
何か普通じゃないものを本能的に感じさせるものがある。

読者は催眠術のように、いつの間にか作者のペースにはまりラストページの
小さな絵で、はっと我に返ることになるでしょう。
この人の絵と文だからこそ成り立つ世界である。しかも絵本でしか描けない世界だ。

ここまでの完成度を見越していた編集者の眼力にも恐れ入った。

この独特の世界、幼児向け月刊雑誌で終わらせるのは実に惜しい。
ぜひ、単行本化してほしい。
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Toot & Puddle: The One and Only

2006/09/15 Fri 17:11

Toot & Puddle: The One and Only (Toot and Puddle)Toot & Puddle: The One and Only (Toot and Puddle)
(2006/09/06)
Holly Hobbie

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あたらしい友達が登場

前作と同様に約1年後の2007年秋頃には、この本の日本語版がでるはず。
ですから英語の翻訳に興味のある方は、一足先に訳してみるという読み方もできますね。
絵本なので、そんなに解りにくい文章はないものの、ちゃんと原文のニュアンスまで
伝えようとすると、けっこう頭をひねることになります。

ボクはタイトルの「The One and Only」でいきなり悩んでしまいました。
中身を読めば、なんとなく意味はわかるのですが、ピンとくる日本語が思いつかない。
OとOのくり返しにかけて、「お段」の言葉を組み合わせられないかとか、
あるいは、今回の主役であるオパール(Opal)に結びつけられないかとか… んーっ。
まあ、1年先の楽しみとしておきましょう(笑)

ということで、今回はオパールの話し。
転校生のバブルスは、オパールが好きで、何でもかんでもオパールのマネをします。
そのうち本家を追い抜いて、オパールがやろうと考えたことを、バブルスが
先にやってしまい、それが先生に褒められてしまいます。
それを見た友人のダフネは、バフルスを気に入りませんが、当のオパールはどうしたか。

今回も友情あふれる物語をステキな絵で堪能できます。

ところで、たくさん登場する子豚ちゃんたち。誰が誰かを、顔だけで見分けられますか?
表紙に出ているのは、オパールちゃんなのか、それともバフルスちゃんなのか。
これも、しばし悩んでしまいました。
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アンジェロ

2006/09/14 Thu 17:12

アンジェロアンジェロ
(2006/05)
デビッド マコーレイ

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人生のフィナーレはこうありたい

アンジェロという老人の仕事は古い教会の補修をすること。
彼にとって建物を汚す鳥たちは迷惑な存在。長年にわたってためられた
木の枝や羽を始末しないことには、仕事にならないからだ。

そんな彼が、建物の片隅で傷ついた鳩を助けたことから物語が動きだします。
アンジェロには鳩の面倒をみる時間や理由もない。それでも鳩が元気に
回復するまで手当てをするのです。

アンジェロはイタリア語ですが「ANGELO」と標記すれば、
その意味するものにピンとくる人もいるでしょう。
彼は鳩の手当てに打ち込むことで、自分自身の翼の手当てを
していたのではないでしょうか。

肉体的に衰え、かつてのペースで仕事が進まなくなったアンジェロに
とって、鳩との間に生まれた友情は何よりもの力となります。

老人と動物との友情は、運命的に悲しい別れを内包していることが多い。
この話しも例外ではない。ただし、アンジェロの「最後の仕事」をしっかり
と見届けることができるので、悲しさよりも満たされた気持ちになります。

これからこの本を読まれるかたは、余韻にひたる時間も
充分に確保しておいてください。

人生の味わいがしんみりと伝わってくる大人向けの絵本です。
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いわたくんちのおばあちゃんいわたくんちのおばあちゃん
(2006/08/01)
天野 夏美

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やさしいタッチで描かれたあの日の記憶

アメリカ人にとって9月11日がそうであるように、
日本人にとって8月6日は特別なものであるはずだ。
世界で初めて原爆が投下された日で、あえて同じ日に本書は出版された。
60年ほど前のことなので、今では体験していない人のほうがはるかに多く、
8月6日と聞いてピンとこない人も少なくないだろう。

この絵本に登場する、いわたくんちのおばあちゃんは被爆体験者のひとりだ。
おばあちゃんは、みんなといっしょに写真にとられることをいやがる。
それには、悲しく辛い理由があるのだ。

巻末に載ったセピア調の写真。理由を知ってみるのと知らないでみると
では、まるで意味が変わってくる。読者はしばらく目が釘付けになるはずだ。
そして被爆体験の一端を共有することになるでしょう。

ともすれば残酷さ悲惨さが表に現れがちなテーマ。
しかし、おばあちゃんの孫の世代にあたる小学4年生の男の子の視点で
語ることで、未来へ託すメッセージがしっかりと伝わってきました。

舞台となった小学校は実在しているのでしょうか?
広島に行く機会があったら、ぜひ訪れてみたいです。
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あかがいちばん

2006/09/10 Sun 17:15

あかがいちばんあかがいちばん
(2005/11)
キャシー スティンスン

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赤好きもそうでない人も

本書の女の子は「赤が一番」好きなのだ。
「いや、赤は二番目」とか「一番は 青だ」とか言いたい人もいるでしょうが、
ここはひとつ、女の子に付き合って最後まで読んでみてください。

これは、こだわりの本なのです。
赤好きでない人は、赤を自分の一番好きな色に置き換えればいいこと。
好きな色のモノを身につけたり、使ったりするとき、色が不思議な力を
あたえてくれることには、だれもが共感できるでしょう。

女の子の例でいうと、
赤いくつしたなら他の色より高く飛べる。
赤いコップで飲むジュースはだんぜんおいしい。
赤のピンどめをすると髪の毛が笑いだす。
などなど

もっともです。たしかにその通りです。

(でもボクは緑もいいなと思います)
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さんすうくんがやってくる

2006/09/08 Fri 17:16

さんすうくんがやってくるさんすうくんがやってくる
(2006/07)
五味 太郎

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五味太郎 × 算数 = さんすうくん

●本の大きさ:縦247mm 横(閉じた状態)217mm 厚さ10mm
●頁数:56ページ
●定価:1500円(税別)
●重量:?グラム(家に秤がない…)

んーっ、算数で絵本のおもしろさを伝えようとしたが、やっぱりムリが
ありそうだ。

顔まで数字になっている、さんすうくん。
身のまわりの様々ものを、数えたり、計算したり、測定したりします。
曖昧なものを、すべて数字でハッキリさせるのが好きらしいですね。

この本で一貫しているのは、算数は算数そのものであるということ。
温かいとか、冷たいとか、得したとか、疲れたとかは無関係なのだ。
五味さんの作品にしてはめずらしく読むのに頭を使いますが、
がんばって読み終えると、なんとなく算数の本質が見えてきます。

ちなみに さんすうくんは全部で34回登場。
回数が多いか少ないかは算数には関係ありません。
よろしく。
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やまおやじ―季節がめぐる 命がめぐるやまおやじ―季節がめぐる 命がめぐる
(2006/08)
今森 光彦

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やまおやじの声を聞いてみよう
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きょうりゅうたちがかぜひいた (世界の絵本コレクション)きょうりゅうたちがかぜひいた (世界の絵本コレクション)
(2006/06)
ジェイン ヨーレン

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かぜ薬といっしょに常備したい絵本

こども達(特に男の子)にとっては、あこがれの存在の恐竜達。
鋭い牙、大きな角、堂々とした体を持つ彼らは、今でも存在している。
生息場所はこども部屋。

前作「きょうりゅうたちのおやすみなさい」に引き続き、
やんちゃで元気溢れるこども達が、恐竜達の姿を借りて再び登場しました。
普段はパワフルな彼らも、ときにはかぜをひくことがある。

そんなときは、泣きべそかいたり、薬を捨てたり、医者に行くのをイヤイヤしたり。
威風堂々とした姿と、情けない行為の組み合わせが、なんとも笑みをさそう。

そう、やっぱりこれは変。 あこがれの恐竜たちのそんな姿はみたくない。
この絵本をよんでいるキミは、お医者さんのいうことを聞いて、
ちゃんとかぜを直せるよね?

っていう作品。
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お野菜戦争 (cub label)

2006/09/05 Tue 17:20

お野菜戦争 (cub label)お野菜戦争 (cub label)
(2006/07)
デハラ ユキノリ

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楽しいけど毒に注意して読もう

ちょっと不気味な野菜のフィギュアーを使ったユニークな写真絵本。
擬人化された野菜フィギュアーは、素朴な埴輪のような姿だが、毒々しいほど
カラフルに染められていて、一度みたら忘れられないほどインパクトがある。

ストーリーも尋常ではない。
いきなり野菜たちの死体があらわれ、さらにそれを「私には関係ない」の
一言でかたづけてしまう主人公の人参娘キャロライン。
彼女の両親は3日前から行方不明で、それを忘れようとファーストフード店で
ミンチバーガーを食べまくる。野菜が肉を食べる!

どことなく今の日本の風潮を風刺しているようにも感じられる。

階層社会のようなランクづけが存在し粗悪品は家畜のエサにされたり、
大企業が生み出したみどりジャイアントが刺客として送り込まれたり、
遺伝子組み換えの犠牲でおぞましい姿にされた野菜たちが登場したり、

TVの深夜放送のように、何かいけないものを見てしまった
子どもの気分になりました。

それにしても、このフィギュアーには中毒になりそうだ。
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