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おたこまつり

2006/09/29 Fri 16:58

おたこまつり (そうえんしゃ・日本のえほん)おたこまつり (そうえんしゃ・日本のえほん)
(2006/08)
吉村 竹彦

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これぞ日本の祭り?

とある海辺の村では、毎年夏になると「おたこまつり」が盛大に開かれる。
それを作者の吉村さんが、丹念に取材し絵本化した作品です。
ボクは本書で初めてこの祭りを知りましたが、かなりユニークな祭りです。

中でも、《たこおとこ》を決めるシーンは圧巻!
やぐらのてっぺんで待つタコをめざし、男達が駆け上がって行く。
一番乗りをはたした者だけに《たこおとこ》としての称号が与えられるのだ。
(たしか、テレビでそんなシーンが紹介されていたような気がするナ)

そして祭りの後半では、神聖なる《お言葉の儀》がとり行われる。
これはタコからありがたい一言をいただく儀式で、その一言を紙に
書いてもっていると一年間のお守りになるそうだ。
(そういえば昔、母方のおばあちゃんから見せてもらった気がするナ)

全国的にみても例のない特異な祭りなので、ボクも行ってみようと、
2時間かけてネットで調べたのですが、場所が判りませんでした。
今はもう無くなってしまったのでしょうか。
巻末に補足情報が欲しかったですネ。
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あなたはだあれ?

2006/09/28 Thu 17:00

あなたはだあれ?あなたはだあれ?
(2006/08)
五味 太郎

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会話がゲームになる

【問い】あなたはだあれ?
【答え】うさぎさん
【受け】じゃ わたしは おおかみ
【感想】まいった!

という4拍子のリズムですね。
こんな調子で繰り返される、2人の小気味いい言葉のやりとりが楽しめます。
本当に変身してしまうところは絵本的です。

繰り返すといってもワンパターンにならずに、ちょっとづつくずして
いくところが五味さんならではの味わい。
ティーブレイクで終了とおもわせて実はよくみると…

まいった!
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あかりをけして

2006/09/27 Wed 17:01

あかりをけしてあかりをけして
(2006/08)
アーサー ガイサート

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新しいタイプのベットタイムストーリ

ボクは寝るとき、できるなら明かりをつけておく。
目覚めたときに二度寝しないで済むからだ。それはともかくとして、

本書の子豚くんも、明かりを消したくないようだ。
ベットの上にすくっと立ち、こちらをにらみつけている表紙から察するに、
よほど真っ暗になるのが嫌いらしい。
しかし、パパとママには「8時になったら明かりをけして」といわれています。
そこで、子豚くんは考えたのですね。ヒモをひいてもすぐに明かりが消えないように、
とある仕掛けを作ってしまいました。

子豚くんは8時きっかりに、明かりのヒモを引きます。
そして、ここからがこの絵本の真骨頂。我々は子豚くんのからくりが作動する
様子を追いかける事になります。ドミノや三輪車、シーソに磁石など、
仕掛けは屋根裏から家の外にまで展開していきます。

始めのページをのぞいて、文章はありませんが、見るほうは意外と頭を使います。

これがこう動けば・あれがあそこに移って・・やがてバランスがくずれて・・・
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きつねのでんわボックス

2006/09/26 Tue 17:02

きつねのでんわボックスきつねのでんわボックス
(2006/07)
戸田 和代

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ささやくようなタッチの絵が効いてます

狐と人間がからみあう童話は、泣ける話しが多いように思います。
すぐに思い浮かぶところでは、新美南吉の「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などがありますね。
しかし今日からボクは、この「きつねのでんわボックス」を真っ先に思い浮かべるでしょう。

子どもを亡くした母ぎつねは、電話ボックスへやってくる男の子をみつける。
その子は遠い町に入院する母親と話しがしたくて、毎日電話しにやってくるのだ。
母ぎつねは、男の子と我が子とダブらせるようになり、電話ボックスでの会話に
耳をかたむけるようになります。ところがある日…

最近は電話ボックスもほとんど利用されなくなった。子どもまでが携帯を持つようになると、
この話しのようなシチュエーションは過去のものになってくるんでしょうね。
かといって、この作品が古くなることは決して無い。
なぜなら、ここに描かれている親子の心情は、いつの時代も変わらない、
変わらないでいて欲しいことなのである。

物語は後半で、ちょっとした奇跡が起こります。

現実の世界でも、そんな奇跡が本当に起こっているのだと信じたくなります。
自分が気付かないだけで…
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おふろごっこ

2006/09/23 Sat 17:03

おふろごっこおふろごっこ
(2006/04)
きむら ゆういち

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なるほどこの手があったか!

お風呂に入ることを冒険にみたてた愉快な絵本。
「おふろごっこ」というのは「おふろで探検ごっこ」といえる。

男の子の装備は裸に真っ赤なタオル一枚、隊長はパパ。
ドアのむこうは、霧(湯気)で視界がかすむ ぶくぶくザーザ島だ。

というぐあいに、パパの巧みな演出で、風呂にはいることが
まるで遊園地のアトラクションのごとく変身してしまう。

単なる遊びではなく、ちゃんと風呂に入れるよう気を使っているところも見逃せない。

《中に何がいるかわからないから》と言って、そうっと湯船に入るようにしむけたり
《雲のなかをお散歩だ》と言って、しっかり泡立てて全身を洗うようにしむけたり
《潜水艦で帰ろう》と言って、ゆっくり肩まで湯につかるようにしむけたり

欲を言えば大ダコの襲撃は、ちょっと絵からは解りにくかったかな。
これは、男の子を洗髪するパパの手をタコの触手に見立ててるんですね。
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はたらくくるま みちをつくるはたらくくるま みちをつくる
(2006/08)
こもり まこと

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またミニカーが欲しくなってしまった

子どもの頃は、工事車両のミニカーでよく遊んだものだ。
とにかく可動部分があちこちに付いているのが魅力でしたね。

本書には工事現場ではたらく車がたくさん登場。
これらを見て目のかがやかない男の子がいるでしょうか?
ブルドーザーにダンプ、ショベルにクレーン、細部まで丁寧に描かれた
絵からは機械としての魅力が充分に伝わってきます。

しかけ付きなので、見開きを可動させながら、それぞれの車がもつ
得意技を堪能することもできます。これはポイント高い!

さらには個性を生かしたチームワークのおもしろさも感じ取れます。
図鑑や資料としても使える絵本です。
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わたしはレナのおにんぎょうわたしはレナのおにんぎょう
(2006/08)
たかばやし まり

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この本で思い出したが

森のなかで人形が一人ぼっちになってしまう状況を描いた絵本では、
「もりのにんぎょう」朝比奈 かおる (著)  があります。
去年読んで以来、強烈な印象がいまだに残っている傑作です。

動物達が次々にやってきたり、女の子に見つけられるという点で 全体の構成は
本書と共通するところが多いですが、展開の仕方はまるで対照的。

今回読んだ作品の原案は、6歳になる作者の娘さんが作った絵本とのことなので、
両者を比較するのは酷な気もしますが、「もりのにんぎょう」のレベルの高さを
再確認する結果となりました。

本書の描き方で特に気になったのは、人形がひとりで動けるのか動けないのかが
はっきりしてないところ。動物達とおしゃべりしたりお茶を飲んだりしておき
ながら、女の子がやってくると急に動かなくなってしまうのは違和感がある。

【人形と動物達】=空想的、【人形と女の子】=現実的 という2種類の世界観が
存在しているものの、その境界があやふやになるところがあるのだ。

その点で言うと「もりのにんぎょう」は 人形と動物達と女の子をひとつの
世界観で描ききっているところも見逃せない。

ぜひ読みくらべてください。
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うさぎのしるし

2006/09/20 Wed 17:06

うさぎのしるし (えほん、よんで!)うさぎのしるし (えほん、よんで!)
(2006/07)
ひだ きょうこ

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うさぎに仮装した女の子も見もの

【想像力は味覚に勝るのか?】

野菜嫌いの子が、なんらかのエピソードを通して食べられるようになる
という絵本はよくみかける。そこでいつも思うのが上記の命題だ。

ボク自身の例でいうと、嫌いな野菜は嫌いなままだし、単独では食べない。
肉や他の野菜といっしょになら食べられる。その時は心の中でこう思う。
「これは体にいいんだ」と。同時に健康で生き生きした姿を想像している。

本作は、うさぎは好きだけどニンジンは嫌いな女の子が登場。
うさぎのパーティに招かれた彼女は、いろいろなニンジン料理に直面し、
勇気をもって口にしてみる。すると…

この作品を読んだからといって、野菜嫌いが直ると期待するのは安直だ。
ただし、うさぎの気持ちになりきることはできる。
「大好きなうさぎさんが作ってくれたニンジン料理だから食べてみよう」
と思って食べるようになれば、想像力の勝ちだ。
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たがや

2006/09/19 Tue 17:08

たがや (落語絵本 (10))たがや (落語絵本 (10))
(2006/07)
川端 誠

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記念碑的作品

川端さんによる落語絵本の第10弾。
最近は落語絵本も数多くありますが、さすが本家本元といった風格と完成度ですね。
今回は、花火大会でにぎわう両国橋を舞台に、人情味あふれる出産劇が堪能できます。
命の誕生を手助けするみんなの心意気が実にいい。これぞ江戸っ子の世界!

実は「たがや」という落語、本来はもっと残酷な話しだったようです。
あとがきを読んで初めて知りましたが、絵本版は川端さんが独自に脚色したとのこと。
落ちの一言は全くいっしょですが、断然、川端版のほうが好きですね。

しかもこの絵本が生まれた今年は「悠仁さま」誕生の年でもあります。
いろんな意味で、粋な作品と言えますな。
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あしたのぼくは…

2006/09/19 Tue 17:07

あしたのぼくは… (みやにしたつやのえほん)あしたのぼくは… (みやにしたつやのえほん)
(2006/08)
みやにし たつや

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YARUKIがわいてくるかも

人は毎日が一生で、一日ごとに生まれ変われる って
誰か偉い人が語っていた覚えがあります。

未来を信じられるってすばらしいです。
今日はできないことも明日になればできるようになると信じて
前向きな気持ちになれる作品です。

きょうはピーマンとニンジンはきらい。でもあしたは… 
というかんじで、男の子の苦手なことと明日はどうなっていたいかが
交互にあらわれる構成です。

明日なんていわずに今日すぐに食べろよ とか
お前、昨日もそんなこと思ってただろう とか
一日でできるようになるわけないだろう とか 

言いたくなる人もいるでしょうが、ここは温かく見守りましょう。
絵のように山盛りのニンジンを平らげなくてもイイじゃないですか。
たとえ一口でも良しとしましょう。気持ちの問題です。

気持ちといえばラストページ。本当に言いたい事はコレなのか?
実は巧妙に演出された、ママへのラブレターとも受け止められるな。
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