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いわたくんちのおばあちゃんいわたくんちのおばあちゃん
(2006/08/01)
天野 夏美

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やさしいタッチで描かれたあの日の記憶

アメリカ人にとって9月11日がそうであるように、
日本人にとって8月6日は特別なものであるはずだ。
世界で初めて原爆が投下された日で、あえて同じ日に本書は出版された。
60年ほど前のことなので、今では体験していない人のほうがはるかに多く、
8月6日と聞いてピンとこない人も少なくないだろう。

この絵本に登場する、いわたくんちのおばあちゃんは被爆体験者のひとりだ。
おばあちゃんは、みんなといっしょに写真にとられることをいやがる。
それには、悲しく辛い理由があるのだ。

巻末に載ったセピア調の写真。理由を知ってみるのと知らないでみると
では、まるで意味が変わってくる。読者はしばらく目が釘付けになるはずだ。
そして被爆体験の一端を共有することになるでしょう。

ともすれば残酷さ悲惨さが表に現れがちなテーマ。
しかし、おばあちゃんの孫の世代にあたる小学4年生の男の子の視点で
語ることで、未来へ託すメッセージがしっかりと伝わってきました。

舞台となった小学校は実在しているのでしょうか?
広島に行く機会があったら、ぜひ訪れてみたいです。
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