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アンジェロ

2006/09/14 Thu 17:12

アンジェロアンジェロ
(2006/05)
デビッド マコーレイ

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人生のフィナーレはこうありたい

アンジェロという老人の仕事は古い教会の補修をすること。
彼にとって建物を汚す鳥たちは迷惑な存在。長年にわたってためられた
木の枝や羽を始末しないことには、仕事にならないからだ。

そんな彼が、建物の片隅で傷ついた鳩を助けたことから物語が動きだします。
アンジェロには鳩の面倒をみる時間や理由もない。それでも鳩が元気に
回復するまで手当てをするのです。

アンジェロはイタリア語ですが「ANGELO」と標記すれば、
その意味するものにピンとくる人もいるでしょう。
彼は鳩の手当てに打ち込むことで、自分自身の翼の手当てを
していたのではないでしょうか。

肉体的に衰え、かつてのペースで仕事が進まなくなったアンジェロに
とって、鳩との間に生まれた友情は何よりもの力となります。

老人と動物との友情は、運命的に悲しい別れを内包していることが多い。
この話しも例外ではない。ただし、アンジェロの「最後の仕事」をしっかり
と見届けることができるので、悲しさよりも満たされた気持ちになります。

これからこの本を読まれるかたは、余韻にひたる時間も
充分に確保しておいてください。

人生の味わいがしんみりと伝わってくる大人向けの絵本です。
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