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ゆかいなクレヨンぐみ

2006/10/30 Mon 16:07

ゆかいなクレヨンぐみゆかいなクレヨンぐみ
(2005/02)
真木 文絵

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絵本に落書きしたくなる作品

クレヨンぐみの仲間は全部で8色。(いや8人か)
ひとりだけこっそり抜け出した、黒いクレヨンの「くろすけ」をさがしに
スケッチブックの中をさがすという構成になっている。

クレヨンやらくがきを描いた絵本は数多くでてますが、この作品の特徴としては、

絵本の見開きそのものが、スケッチブックそのものという見せ方をしている。
つまり、くろすけの足跡が黒い線や落書きとして等身大で残っているので、臨場感がある。
しかも! 画面に穴があったり、ドアのようにめくれたりと仕掛け付きだ。これは楽しい。
さらに、ページが薄いクリーム色になっている点もみのがせない。
いつもは無視されがちな白いクレヨンにも、かつやくの場があたえれられているのだ。

クレヨンの絵本といえば
「そらとぶクレヨン/竹下 文子・鈴木まもる 」…クレヨンロケットのスピード感に興奮
「ぼくのくれよん/長新太」…ゾウくんのダイナミックな落書きが痛快
「はろるどとむらさきのくれよん /クロケット・ジョンソン 」…クレヨン物の原点
「くれよんのくろくん/なかや みわ 」…仲間はずれの黒いクレヨンが登場
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のはらのせんたくやさん

2006/10/29 Sun 16:09

のはらのせんたくやさんのはらのせんたくやさん
(2006/09)
神沢 利子

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どんな子がこの絵本を楽しむの?

顔をあらう。歯をみがく。手をあらう。
といった、毎日の生活習慣をテーマにした作品です。

男の子に使われない【洗面器・はぶらし・石鹸】の3人組が、仕事をもとめて
家をでてしまい、せんたくやを始めるという展開はユニーク。
そこにいろいろな動物たちがやってきて繁盛しはじめます。
それを見つけた、男の子が自分も洗って欲しくなるという訳です。

ただ、作品としては、焦点が定まってないような印象を受けました。
おそらく、お客様(ママ)にいろいろと気遣いしすぎたせいだと推察します。

例えば、男の子が、顔や手や歯をあらわない理由=めんどくさがりだから 
ということですが、本当に全部そうなのでしょうか?
顔や歯とちがって、手のばあいは汚れが自分でわかりますよね。
そのままだと服や玩具や食べ物まで、触ったものが汚れてしまうでしょう。
自分で歯をみがけるだけの年齢ならば、それぐらいわかるし
わざわざ絵本で言わなくてもしつけられるのでは。

前半のユニークな展開に反して、後半は教育的な空気に変化したのが残念。
「きたなくしてたら、病気になるよ」と、洗う理由を言葉でかたづけてますが、
それを伝えたいならば、ちゃんと目に見える形で描くのが絵本ではないでしょうか。

はぶらしだけが、野原の動物たちの為に残るのがどうも不自然。
動物のからだを洗ったブラシで、歯をみがくのは不衛生だからか。
あるいは「動物たちは洗わなくても平気なの?」という質問への配慮か。

ボクは【洗面器・はぶらし・石鹸】のせんたくやさんの活躍をもっと膨らませて
描いて欲しかったし、それで充分テーマは伝わると感じました。
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なーらんだ

2006/10/27 Fri 16:12

なーらんだなーらんだ
(2006/09)
三浦 太郎

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覚えてますか? 生まれて初めて並べたものを

バラバラだったものが、次のページで一列になる。
たったこれだけのことが、なぜか楽しいから不思議だ。

あとがきによれば、作者の三浦さんには2歳になるお子さんがいるとのこと。
その子がおもちゃを並べることに夢中になっているのをみて、作品の着想を
得たそうです。子育て中の、ちょっとしたことを、しっかりと捕らえて
絵本にもってくるあたりはさすがですね。

並ぶものは、ちいさなアリさんたちから始まって、ちょっとづつ
ステップアップしていきます。そしておもわずニッコリするラストへ。

前作「くっついた」と併せて本棚に並べたくなる作品。
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うんてんするのはだあれ?

2006/10/27 Fri 16:10

うんてんするのはだあれ?うんてんするのはだあれ?
(2006/08)
レオ ティマース

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ベルギーうまれの素敵な作品

ページをひらくと、車のキーをもった4匹の動物が登場。
みんなが向かう先には、ドライバーをまつ車が。
そこで「うんてんするのは だあれ?」ときて、
次のページで、答えがあきらかになるという構成。

動物たちの服装がおおきなヒントになってますね。

登場する乗り物がバラエティにあふれている。
消防車や高級車、レーシングカーにトラクター etc.
動物たちも、小はカタツムリから、大はゾウまで28匹も!

細部までこだわって描かれたカラフルな絵のおかげで、
答えを知ったあとでも、くり返し楽しめますよ。
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クリスマスなんてだいっきらい! (ART BOX GALLERYシリーズ)クリスマスなんてだいっきらい! (ART BOX GALLERYシリーズ)
(2006/09)
ひがし あきこ

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カエルの子はカエル サンタの子は…

今年はどんなクリスマス絵本に出会えるだろう。
毎年の年末の楽しみのひとつである。

そこで早速、登場したのが、刺激的なタイトルのついた本作。
クリスマスをおもいっきり否定する男の子が出てくるんですから。

その子の名はマルコ。サンタクロース達の村に住んでいるのです。
プレゼントを受け取る側ではなくて、送る側なんですね。
クリスマスイブになると、大人達、つまりサンタクロース達は仕事で大忙し
になり、子どものマルコは誰からも相手にされないので、この日が嫌い
というわけなのです。 なるほど! これは新しい視点ですね。

そんなイブの夜、彼は想いを同じくする小さなトナカイのニコといっしょに散歩へ。
そこで出会った動物たちの困り事を聞いて、2人がどうしたかが見ものです。
実にうまい展開です。そしてちょっとした奇跡も。

サンタの子という視点から、与えることのよろこびを描いた秀作。
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ジス・イズ・ユナイテッドネイションズジス・イズ・ユナイテッドネイションズ
(2006/09)
ミロスラフ サセック

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世界平和は絵にかいた餅ではない

ボクは2005年12月からこのジズイズシリーズにハマり パリ、ニューヨーク、ロンドン、
ヴェニス、サンフランシスコ、アイルランド、ケープケネディを絵本を通して訪れ、
旅行記ならぬ、絵本のレビューをすべて残してきました。そして、今回は国際連合。

今までのシリーズでは、単独の街や国の案内がメインだったので、「おやっ」と思ったのですが、
中身をみると納得。それは国際連合の紹介を通して、国境を越えた世界を伝えてくれるからです。
ここにシリーズとしての必然性と深みを感じました。

実は意外と知らなかった国際連合。
表紙では、赤い着物の女性が国際連合を訪れた各国の人達に、説明をしています。
間にある白い模型は国連の建物。なんとも国際色にあふれウキウキしてしまいました。
しかし、中身はもっともっと華やか。サセック氏の筆にも、いつも以上に力が入ってますね。

国連の生まれた経緯の簡単な説明に始まり、ニューヨークのイーストリバーから見るビル全体の
景観、見開きいっぱいの国旗による(当時の)全加盟国の紹介と続く。それぞれの建物内部の
案内は臨場感にあふれまるで自分もその場所に行ったかのような気持ちにさせてくれます。

見るものすべてが、めずらしい物ばかりで、全く飽きません。
中でも、ボクが関心を引かれたのは、各国が寄贈した平和を祈念するさまざまな芸術作品だ。
なんと、日本でつくった平和の鐘が国連のロビーにあるのだ。
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しろくまさんはどこ?

2006/10/22 Sun 16:20

しろくまさんはどこ?しろくまさんはどこ?
(2006/08)
ジャン アレッサンドリーニ

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フランス流に色を味わえる絵本


真っ白の  雪の上では  しろくまさんを みつけることができない。

ところが  ・   ・  ちょっと振り向けば、黒い鼻と目がわかる。
さらには    ▼    七色の虹のまえを あるけば すがたかたちがあらわれる。

というように     しろくまさんが さまざまな色の物と、かさなったり
はなれたり       することで、色と形の関係をたのしめる、グラフィカルな絵本だ。
あかい家         黄色いおひさま みどりのセーター あおい空 むらさきのテントetc.
しろい雪が       色の引き立て役になり、しろいくまが案内役になっているところがミソ。
色に関心を  いだき  はじめた、幼児にピッタリの作品。
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36人のパパ

2006/10/20 Fri 16:22

36人のパパ (世界の絵本コレクション)36人のパパ (世界の絵本コレクション)
(2006/08)
イアン・リュック アングルベール

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どうも数が合わない


36人とあったので、ついつい出てきたパパを数えてしまいました。
本物のパパを加えても、人数が足らないようなのですが…
36という数に、あまり深い意味はないのかな。

いずれにせよ、こんなにパパが出てきたら、本書の女の子でなくてもうんざりするでしょう。
お菓子作りパパにはじまり、家づくりパパや船乗りパパ、さらにはカウボーイパパ、
馬の役のパパ、インディアンのパパ などなど。みんながみんな女の子と遊ぼうとさそってくる。

最初に遊ぼうとさそったのは女の子のほうなんですけどね。
ただ、休憩中の本当のパパが、女の子に「本でもよんでなさい」と断ったせいで、
あやしい魔法の本を見つけ出されて、遊んでくれるパパがこれもかと登場したわけです。

女の子は「もうたくさんだわ!」というくらい満足することになります。
ということは、最初に登場したパパは、実は本当の魔法使いだったってことか?
なんて想像もしたくなりますが、何か手がかりとなるような周辺情報が
もっとちりばめられていると、よかった。
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あかいセミ

2006/10/19 Thu 16:23

あかいセミ (えほんのもり)あかいセミ (えほんのもり)
(2006/07)
福田 岩緒

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罪は消せないけれども


んーっ。なんとも文学的なタイトルですね。
『真っ赤なセミ』でも『あかいセミくん』でもなく『あかいセミ』なのだ。
そこには、主観性やキャラクター性などは、みじんも感じられない。
表紙に描かれた、うわ目づかいの男の子との組み合わせから、負の感情を
なんらかの形で象徴したのが、あかいセミ なのかなと想像しました。

中身をみると、文具店で消しゴムを盗んでしまった男の子がいきなり登場する。
実は、その消しゴムの色が『赤』だったのである。消しゴムは普通は白だけどね。
この色が効果的な演出となっていて、罪に悩む男の子の心理が巧みに展開されます。

似たような読後感の絵本として「ねたふり/小泉 るみ子:作」 があります。
こちらは、お手伝いをさぼった女の子の話し。
どちらも夏休み中の、子どもの出来心を丁寧に扱った秀作です。
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おばけとどろぼう

2006/10/18 Wed 16:25

おばけとどろぼうおばけとどろぼう
(2006/07)
佐々木 マキ

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規格はずれの面白さ


絵本はノートサイズですが、おもしろさは新聞紙サイズといったところか。

ちいさなコマ割りが基本になっていて、泥棒が逃げるルートにあわせて
一筆書きのようにコマ同士が連なっていくのが特徴。

これだけでもユニークですが、さらに本が折り畳み式になっていて、
コマが下へ横へと通常のサイズからはみだして展開して行くので
楽しさがスケールアップしています。

言葉はいっさいありませんが、ウワァー ヒューン ドッボーン ブルルルン
ガシャーン ハアハア ゴロゴロ などの音や声が自然に感じられる絵なので、
ある意味、読み手の感覚で音感を楽しめるとも言えます。

ただ、残念なところは、めくっている途中でラストページが見えてしまう点。
あと、どうせやるなら上へも展開させたり、終わったと思わせて、もう一つ横へ
展開させるといった意外性があれば完璧だったと思います。
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