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ぴったりはまるの本

2006/11/30 Thu 23:18

ぴったりはまるの本 (ピタゴラブック)ぴったりはまるの本 (ピタゴラブック)
(2006/10)
佐藤 雅彦ユーフラテス

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はまった!

こんなアイデアで本になっちゃうんですね。考えたほうも出版したほうもスゴい。
見開きは、とある物の形をふちどった実物大の輪郭線と簡単なヒントで構成されています。
誰もが知ってる、手にしたことのある身近な物が次々に18個も登場。

本をみているとき、その物がちょうど手元にあったので、置いてみると
輪郭線にぴたりとハマった。「ヤッター!」と思わず叫んじゃうほどこれが気持ちいい。

本は厚紙でできているので、開くと実物をしっかり置けるようになっている。
この本をさりげなく台がわりに使うとおもしろいかもね。
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ともだちおまじない

2006/11/29 Wed 23:20

ともだちおまじない (おれたち、ともだち!)ともだちおまじない (おれたち、ともだち!)
(2006/11)
内田 麟太郎

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いままでのシリーズをまた読み返したくなります

おれたちともだちシリーズの第8弾は、とっても贅沢な作品となりました!
ページ数もアップし、オールキャストが勢揃い! 
懐かしい面々にもまた出会えたのが、なんともうれしかった。
猪やイタチ、ヤマネ、ヘビ、あの蟻さんまで登場している。

今回は物語形式ではなく、5・7・5調の ともだちおまじないと
それにちなんだ絵の組み合わせで、構成されています。

まじないと絵のコンビネーションが実に絶妙。
例えば、ともだちやを開業する前の狐がコスチュームの
スケッチをあれこれと描きまくっているシーンでは
「ともだちを だれよりほしい ともだちや」ってな調子です。

いままでのシリーズの舞台裏が色々と分かるし、隠れたエピソードも満載。
降矢さんの饒舌な絵と内田さんの思わせぶりな文から前後のストーリーを
勝手に想像してニヤニヤしたりジーンとするのもいいですよ。

春から始まり夏、秋、冬と四季の流れも味わえるようになっています。
全巻手元に用意してから読むと楽しさ倍増です。
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火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)
(2006/09)
赤木 かん子H.C.アンデルセン

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ペーパークラフト劇場は驚きの連続

いまだかつてない表現に出会って、読後の興奮がおさまらない作品です。
これまで400冊近く絵本のレビューをかいてきましたが、こんな
気持ちになったのは久々ですね。

なんと言っても高野さんのイラスト(ペーパークラフト)に目を奪われました。
平面に描いた線画に切り込みをいれ、立ち上げることで、2.5次元的表現を
展開しているのです。それをライティングしデジカメで撮影することで、
不思議な遠近感のある世界がみごとに誕生というわけです。

最近のたむらしげるの絵本(ロボットのランスロット)でも似たような
表現がみられますが、高野さんの場合は元の絵が黒い線だけの平面的なもの
で、紙の色も緑とオレンジだけなので、かえって折り曲げたときの立体的効果が
はっきりと見えます。ん~ 文で説明するのもめんどうですね。とにかく見て見て!

アンデルセンの「火打ち箱」は、魔法使い・王・姫・犬 が登場し、3という数字を
キーにした 兵隊の出世物語。典型的な昔話ともいえます。
だからこそ、変化球的イラストがハマるんですね。

高野さんは漫画家とのことですが、絵本をもっともっと描いて欲しい。
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もしもねこがサーカスにいったら (講談社の創作絵本)もしもねこがサーカスにいったら (講談社の創作絵本)
(2006/10/31)
石津 ちひろ

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幸せとは何かを考えさせる作品

サーカスの団長にスカウトされた、黒猫と白猫が主人公。
きびしい特訓の末、華やかにデビュー! と思いきや、そうではない。
あれれれーっ と失敗の連続なのだ。

なんて書くとユーモラスで微笑ましい作品にみえますが、ボクはそう感じなかった。
理由のひとつは、作品全体の色彩にある。サーカスの舞台や衣装などは渋めで、
華やかなイメージがまるで無い。観客席も真っ黒で、人もまばらだ。

もちろん作り手の意図があってのことでしょう。
ならば、そこで表現しようとしたこと、あるいは表現されてしまったことは何か?

現実的にみれば、猫にオートバイ乗りや空中ブランコなんてできるわけない。
たとえ絵本の世界であっても、できないものはできないと言っているのだ。

裏を返せば、世の中には理不尽なことだらけ。
甘い言葉につられて行ってみれば、そこは期待とは裏腹だったなんてこととか、
無理な要求をつきつけられ、能力をはるかにこえた努力を強いられたたりとか。
そして辛い目にあう当事者を、世の中はただ冷たく舞台の外から見るばかり。

空虚な夢や理想に踊らされているのは、猫ではなく我々なのだ。
なんて考えると素直に楽しめる作品とは言えない。
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ねぎぼうずのあさたろうその6 みそだまのでんごろうのわるだくみ (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろうその6 みそだまのでんごろうのわるだくみ (日本傑作絵本シリーズ)
(2006/11/09)
飯野 和好

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シリーズ6作目、前作から約1年半ぶりの登場

今回の舞台は八丁味噌で知られる八丁村。
なんでも、家康の生まれた岡崎城より西へ八丁はなれたところらしい。
秩父から始まったあさたろうの旅も 愛知まできたことになりますね。

食べ歩きならぬ、戦い歩き。今回は「みそだまのでんごろう」が相手です。
味噌屋の危機を救うため、あさたろうが ぴゅるるるっる といつもの活躍。
迫力ある大胆な画面構成は相変わらずです。

それにしても、味噌田楽が食べたくなりました。
食欲をそそる時代劇絵本、次回の名産は何が登場するのか楽しみは尽きない。
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おへそのあな

2006/11/20 Mon 23:32

おへそのあなおへそのあな
(2006/09)
長谷川 義史

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たしかに見えました,

赤ちゃんが生まれてくる前の家族のワクワク感を、
なんと! 当人の視点から描くという、離れ業をやってます。

ママのおへその穴から、見える見えるというわけですが、
服がジャマで見えないだろうなんて考えちゃいけません。
これは小さな命そのものが、感じていることなのですから。

穴からのぞくと見えるのは、お兄ちゃん、お姉ちゃん、パパ。
みんなが逆さまになっているのがミソ。相変わらずうまいですなあ。
さらには、匂い、音、までも感じとり、これから自分が生きて行く世界に
思いを馳せる様子がよく伝わってきます。

赤ちゃんが愛おしくなっちゃう作品。
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ぼくにもそのあいをください (絵本の時間)ぼくにもそのあいをください (絵本の時間)
(2006/10)
宮西 達也

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食う者と食われる者の出会いは悲劇しかないのか (その3)

大好きなティラノサウルスシリーズ第5弾! 本屋で新刊をみつけ思わず立ち読み
したのはマズかった。途中で涙が止まらなくなってしまったのです(泣笑)

今回もこころ暖まるストーリーをありがとう! ティラノ君、いえ宮西さん。 

凶悪乱暴で力の強い者が一番と信じて生きてきたティラノサウルスもやがては年老いる。
かつての力を失ったティラノサウルスは、トリケラトプスの子どもたちに出会い、
食べるどころか仲良くなってしまいます。このあたりの展開は手慣れたものですね。
  ※ここでハンカチが必要になります。

次のみどころは戦わないティラノサウルス。力を失ってもその強さはまだまだ健在。
体をはってトリケラトプスの子ども達にあるメッセージを残します。カッコイイぜ! 
  ※ここでハンカチの替えが必要になります。

さらに年月がたち、トリケラトプスの子どもが父親になって、子どもを危険から
守ろうとしたときに、そのメッセージがなんだったか明らかになります。
  ※ここでティッシュも必要になります。

それは、種の違いを超えて、世代間を超えて、伝わる普遍なもの。

この作品は、国境を超えて世界中(特に今は○○)の人達に読んで欲しいと願います。
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サーカス

2006/11/18 Sat 23:35

サーカス (講談社の創作絵本)サーカス (講談社の創作絵本)
(2006/09/16)
高部 晴市

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あっぱれ、高部大サーカス団

満開の夜桜が赤々しい丘の上。そこには紅白のテントが建っている。
ブンチャカ ブンチャカと鳴り響く楽隊の音楽にさそわれ、
テントに入ればいきなりサーカスが開演します。

懐かしくも楽しい雰囲気の中、ちょっと感じる怪しさにドキドキしました。
魚男やヘビ女、箱男に空気女といった うさん臭くてオドロオドロしい
見世物小屋的な演目が特にいいですね。

ジンタタ ジンタタ ジンタッタ のリズムにのって
繰り広げられる高部さんの世界は、耳にも残るし目にも残って
はなれなくなりますよ。

酉の市の季節にもピッタリの作品。
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さよなら動物園

2006/11/17 Fri 23:37

さよなら動物園 (桂三枝の落語絵本シリーズ)さよなら動物園 (桂三枝の落語絵本シリーズ)
(2006/08)
桂 三枝

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素直に笑えない内容

桂三枝の落語絵本第7弾。

なんだかんだ言いながらも、このシリーズすべてにレビューしてきた。
そして、ここにきて初めて気付いたことがある。
いままで絵本のためにオリジナルの落語を作っているものと受け止めてきたが、
そうではなかった。160を超える創作落語のなかから、動物が主人公の8つの噺を
ピックアップしているとのことだ。(パンフレットに書いてありました)
なるほど、ハイペースで出版(絵を描くほうは大変ですが)できるわけだ。
絵本としてのタイトルに一貫性がみられなかったのも、落語の題名をそのまま使っている
とわかれば納得できる。

いままでの作品を振り返ると、動物を語り手に人間社会をおもしろ可笑しく
風刺していたのは、道頓堀川の亀、料亭の鯛、ヤクザな野良犬がでる1・2・3作。
4作目:養豚場のブタでは、その勢いが弱まり、5作目:動物園のワニでちょっと
方向転換し人間が語り手となり、6作目ではカラスと人間、双方の主張がみれた。

今回は、閉鎖間際の動物園が舞台。チンパンジーとゴリラが今後の身の振り方に
ついて、あれやこれやと心配する話しです。まるで長年勤めた会社からリストラされる
サラリーマンにも似た心情が感じられ、人ごとではないと思う読者も多いでしょう。
最近話題になった、広島ドッグパークの悲惨な状況と重ね合わせる見方もできますね。

絵のタッチは好みが分かれますが、今回は動物たちのアップを多用したことで
文章とのバランスがとれて読み易いのではないでしょうか。
人間の身勝手さに心が痛む内容ですが、ユーモアの中にみられる動物たちの
バイタリティが作品としては救いになっている。
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こぶたのブルトン あきはうんどうかいこぶたのブルトン あきはうんどうかい
(2006/09)
中川 ひろたか

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どこまでいくのかタカサキさん

楽しい「こぶたのブルトン」シリーズ。
冬はスキー 夏はプール 春はお花見 ときてついに第4弾の運動会編が登場。
季節物としては、一応そろったことになりますね。

タイトルや表紙をみると、ブルトンが主役のように思えますが、実はちがう。
今回も存在感いっぱいの活躍をみせてくれたのは、ダルマの高崎さんだ。
動物たちの世界に、突然ダルマが登場! 初めてみたときはかなりインパクトがあった。
しかも、名前が「高崎さん」ときた。まるで住民票があって、そのへんで
暮らしているかのように生活感がただよっている。

ダルマと動物たちとのかかわりかたも、自然であればあるほどヘンさがアップ。
この微妙な違和感が実は大きな魅力になっている。未だかつてないヘンな世界だ。
そして高崎さんのハチャメチャぶりに「タカサキさんったら~」とブルトンが
つっこむことで、コントのようにうまくバランスがとれている。
市居さんの絵柄も品があるだけに、このクズしぶりが印象に残って離れない。

結局、ここまできても高崎さんについては謎のままだ。
シリーズはまだまだ続く勢いが感じられるので、そこで明らかになるのか。
はたまた、もう一歩ヘンな世界へ突入するのか。気になるなあ…
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