名なしのこねこ

2007/01/06 Sat 00:59

名なしのこねこ (2006/10) とりごえ まり 商品詳細を見る

もしも、すて猫に出会ったら

この絵本は作品として、どうこう言うのは難しいですね。
［多くの作品を生み出したベテラン絵本作家による本］という認識で
読むと別な見方もできるのですが、今回はそれを忘れることにします。

［すてネコと出会った一人の人間による本］なのです。
創作性やお涙狙いの演出をあえて省いたドキュメンタリーです。

散歩中にかわいい子猫とであって、おもわず家につれて帰り、
ミーちゃんと名付けて、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。

なんてことは現実の世界では甘いのだ！　と作者は生々しく伝えてくれます。

命にかかわる伝染病の問題や、自宅にいるネコとの相性問題。
動物愛護センターという、保護してくれそうだが不幸な結末も内包している施設。
愛護動物を守るための法律はあるもののどれだけ効力があるのか。
人と動物との関係について様々なことを考えさせてくれます。

作者と出会った子猫は幸いです。名前がつけられ元気に暮らしているとのこと。
この本によって、失われる運命の命がひとつでも救われることを願ってます。