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いのちのおはなし

2007/03/31 Sat 07:07

いのちのおはなしいのちのおはなし
(2007/01/11)
日野原 重明

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「いのち」について考えるきっかけに

95歳で今なお、医師として活動されている日野原先生が、10歳の小学生にむけて
おこなっている「いのち」の授業を紹介した絵本。

「いのちは、どこにあると思いますか?」

授業の中で先生は子どもたちに問いかけます。むずかしい質問ですね。
なぜなら、命は生きている者みんなが持っていながら、直接見れませんから。
ただ感覚的に、自分自身の体のどこかにあると思うのではないでしょうか。

命の姿は見えないけれでも、表現したり感じたりすることは出来ます。
例えば、先生が黒板にチョークで引いた長い直線。これも命。
先生が貸してくれた聴診器から聞こえてくる心臓の鼓動。これも命。

では、先生の答えが何だったか? それは本書を読んでみてください。
説明を聞いて、なるほどと思いました。
「いのち」に意味を与え、未来に視点をおいたわけですね。

大人が読んでも、読後にはウワーッと視野がひらけることでしょう。
まあ、95歳生きた先生から見れば、ほとんどの人は子どものようなもの
でしょうから。
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さあ、犬になるんだ!

2007/03/29 Thu 07:08

さあ、犬になるんだ! (村上春樹の翻訳絵本集)さあ、犬になるんだ! (村上春樹の翻訳絵本集)
(2006/12/16)
C・V・オールズバーグ

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オールズバーグの魔術に期待しすぎたかナ

怪しいポーズの女性が、セピア色のパステルタッチで描かれている表紙。
オールズバーグのファンならば、一目で彼の作品とわかるだろう。
村上さん訳による、タイトルも抜群にいい! 絵との相乗効果満点。
表紙をめくる手にもおもわず期待がこもる。

あのオールズバーグの奇妙な世界へ入っていけると… しかし

ーいたずら好きの少年とかしこい妹ー この一文と催眠術をめぐる話し
というところから、ラストの展開が途中でよめてしまうのが残念だった。

オールズバーグのファンならば、ほぼ99%の人が独特(毒特ともいえる)なラスト
の余韻を魅力としてあげるでしょう。ただ それを本作に期待すると60%の人は
がっかりするかもしれません。なぜならば、この話しは現実にもありうることだからです。

実際はありえない、でもひょっとしたら起こりえるかも?… という現実と非現実の狭間に
読者を誘い込み、不安や恐怖、あるいは夢や期待をあたえてくれる。
ボクは彼の作品にそんなことを求めるようになってしまった。まるで中毒のようにね。
だからこそ、現実的につじつまの合ったラストには少し不満が残った。

原題の「PROBUDITI !」は本作に登場する催眠術師が、術を解くときに唱えた言葉。
オールズバーグの魔術も、ひょっとして本作が最後? なんて、考え過ぎか。

ちなみに普通の絵本として見ればレベルは高いし 充分楽しめる作品であることは
間違いありませんので、本文は単なる1ファンのグチと受け取ってください。
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あっぱれアスパラ郎

2007/03/28 Wed 07:10

あっぱれアスパラ郎 (野菜忍列伝 其の 2)あっぱれアスパラ郎 (野菜忍列伝 其の 2)
(2007/03)
川端 誠

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あっぱれ! 野菜と時代劇がみごとにシンクロ

うおおお、ついにきたな! まっていたぞ。
「忍者にんにく丸」の登場から、早一年半。野菜忍列伝其の二がおでましだ。
今度は「あっぱれアスパラ郎」ときたか。 なるほどなるほど。

これで、このシリーズが何を狙っているかが見えてきたぞ。
まずはタイトル。主役の野菜名に関連させた言葉を組み合わせるわけだな。
「にんじゃ&にんにく」「あっぱれ&あすぱら」 おもしろいじゃないか。

そしてストーリ。野菜忍が悪人(悪野菜か?)をやっつけるわけだが、
それだけに終わらない。戦い終わるまでの流れが、
なんと調理にみたてられているではないか! むむむっ、これは高度な技だ。
アスパラ郎と玉子(たまこちゃん)との出会い。じゃがいもの悪人たちを、
みごとな刀さばきでツンツルに。戦いの疲れは、温泉でゆったりと。
ときて、最後の宴で登場するメニューが見ものというわけじゃ。

見開きの絵が左右でつながっているのか、別れているのかが
分かりにくいページがあるところが、唯一の弱点だな。

しかし、これで完全に川端ワールドが出来上がったといえよう。
次回作も楽しみに待っているぞ。 さらばじゃ。
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あかちゃんのおと

2007/03/27 Tue 07:12

あかちゃんのおと (はじめての絵本たいむ)あかちゃんのおと (はじめての絵本たいむ)
(2007/01/20)
みやにし たつや

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音と赤ちゃんの愉快な関係

あかちゃんが生み出した音がいろいろと登場します。

例えば、「あかちゃんのおと がらがらがら がらがらがら ゆかいだね」
という文には、おもちゃであそんでいるあかちゃんの絵が。

「あかちゃんのおと ○○○ ○○○ …だね」という調子で、
ゆかいなとき、おいしいとき、おもしろいとき、など あかちゃんの発した
色々な音が、ほのぼのとした絵とともに紹介される構成です。

あかちゃんといっしょに読むというよりは、あかちゃんの魅力を
こどもにつたえる作品ですね。
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ハエくん (ほんやくえほん)

2007/03/25 Sun 07:34

ハエくん (ほんやくえほん)ハエくん (ほんやくえほん)
(2007/02)
グスティ

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愛らしいハエくんが見もののメキシコの絵本

ハハハ、これは愉快。
ゴキブリとならんで嫌われ虫のトップにくるであろうハエが主人公ときました。
見返しには、いきなり数百匹ものハエが! ここで鳥肌がたつ人も出てくるかもね。
これは、まともな内容じゃすまされないと思ったかたは、いいカンしている。
読書中の食事はひかえたほうがいいかな…なんて思ったかたは、そうしてください。

なんて脅しはこれくらいにして、表紙に描かれたハエくんに注目。よく見りゃキュートでは。
そんなハエくんが、わくわくしながら泳ぎに出かけます。
といっても、普通の海やプールではない。 どこだかわかりますか?
とんでもないモノが登場するのですが、シャレた絵の表現が救いとなってます。

ママは鼻をつまんで、子供には大受け。 そんな作品です。
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絵本の中のおいしいスープ

2007/03/24 Sat 07:37

絵本の中のおいしいスープ―こどもとつくるものがたりのレシピ36 (INFOREST MOOK)絵本の中のおいしいスープ―こどもとつくるものがたりのレシピ36 (INFOREST MOOK)
(2006/10)
東条 真千子

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心と体を夢で満たしてくれる本

物語に登場する料理のレシピを考えるのは、なかなか難しい。
空想の世界ではできても、現実の世界ではできないことも多い。
読者の思い入れもそれぞれあるでしょうから、みんなを共感させるのも至難の技。
料理としての完成度まで問われるのは言うまでもない。

そう考えると、本書は「なかなかうまいな!」と思いました。

1:テーマの選択がうまい
作者はDear.SOUPというスープ専門店をたちあげた方なんですね!
得意領域にポイントをしぼったことで独自性と中身の信頼性がアピールされてます。
お店にも行ってみたくなりました。

2:絵本の選択がうまい
巻頭に表紙入りで紹介されている34冊の絵本に思わずうなってしまいました。
過去の名作だけでなく、最新作までしっかり網羅されている。
例えば、「かぼちゃスープ」「ポテトスープが大好きな猫」をいれたのは
ボク的にはポイントが高いです。あなたの好きな作品もきっとみつかるのでは。

3:プレゼンテーションがうまい
スープの完成品を絵本の見開きと並べて写真にしたのはいい。
魔法をつかって画面から飛び出してきたかのようです。レシピには子供も料理に
参加できるような工夫も加えてありますね。

4:味はうまい?
実際に作ってないので判りませんが、きっと満足できることと思います。
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トリクシーのくたくたうさぎ (にいるぶっくす)トリクシーのくたくたうさぎ (にいるぶっくす)
(2006/10)
モー ウィレムズ

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原題は「Knuffle Bunny」

「くたくたうさぎ」はトリクシーのお気に入りの ぬいぐるみ。
彼女はパパと近所のコインランドリーへ行って、帰りにハタと気がつく。
いっしょに持っていった「くたくたうさぎ」がいないと!

しかし…… トリクシーはまだ充分におしゃべりできない。
必死でパパにうったえるのですが、でてくる言葉は「う~ぎ~」。

もちろん、読者はうさぎがどこに忘れられたかはわかっています。
これは、読み聞かせすると盛り上がる作品ですね。

街のモノクロ写真に、マンガチックな絵を組み合わせてた絵もユニーク。
妙なリアリティを感じるのは、作者の体験がもとになっているからでしょうか?

ちなみに同作者の「はとにうんてんさせないで」は一読の価値あり。
笑えます。どちらかと言えば、こちらのほうがボクの好み。
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いちばんのなかよし―タンザニアのはおはなし (アジア・アフリカ絵本シリーズ)いちばんのなかよし―タンザニアのはおはなし (アジア・アフリカ絵本シリーズ)
(2006/07)
ジョン キラカ

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アフリカの空気にあふれてます

アフリカはタンザニア生まれの絵本。
表紙からも伝わってくると思いますが、印象的だったのは登場する動物たちの描き方ですね。
日本の絵本のように、可愛らしい表現を見慣れているせいか、初めは違和感がありました。
鋭い目といい、がっしりとした手足といい、たくましさにあふれています。
アフリカのきびしい環境で暮らすとなると、これぐらいがちょうど良いのでしょうか。

話しは、ネズミとゾウが、生活の糧となる食べ物をめぐって喧嘩し、仲直りをするという構成。
昔話がもとになっているらしく、わかりやすいです。

巻末には、訳者による解説や地図があるので、絵本の背景となったタンザニアについて
理解を深めることができるのもうれしい。
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あたまに とりが すんでるよ!あたまに とりが すんでるよ!
(2006/07/13)
ハリエット・ラーナースーザン・ゴルドール

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髪の毛は人それぞれ、生き方だって

タイトルと表紙からわかるように、女の子のちりちりした巻き毛の中に、
なんと小鳥が居着いてしまうのです。女の子と小鳥の楽しいエピソードを描いたの
かな、なんて思った人はちょっと裏切られるかも。もちろん、いい意味でね。

小鳥と髪の毛を通して、自分の価値観をつらぬくことの意味が語られているのです。

とかく世の中、何が正しく、何がまちがっているかなんて、言い切れない事が多い。
人の意見もコロコロかわるもの。彼女の髪の毛にうんざりしていたママも
こんな姉といっしょにいるのは恥ずかしいといってた妹も、途中でコロっと180度、
見方が変わってしまうのですから。

周囲の雑音に流されず、自分の意思を守り通すことも 時には大切ですね。
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みんなのこびと

2007/03/18 Sun 07:43

みんなのこびと (cub label)みんなのこびと (cub label)
(2007/01/31)
なばた としたか

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ショック! 枝豆の中にも生息していた!

「こびとづかん」の続編。前作で「こびと」に魅せられた男の子が、時を経て
研究者となり、各地から寄せられる「こびと」の目撃談や質問に答えるという構成。

ボクも先日タイに出張したときに「こびと」らしきものをみつけました。
ナイトバザールを散策中 サソリや毒グモの標本といっしょに、黒く乾燥した小さな
着ぐるみ状の物体が売られていたのです! たぶん「こびと」の抜け殻だったのでは。
タイでは ポクポンという人型のお守りが有名ですが、そのもとは「こびと」だという
説も、怪しい日本語を話すトゥクトゥク(三輪タクシー)のドライバーから聞きました。

まあ、信じるか信じないかは、各人におまかせしますが、
彼らの存在を肯定することによって、多くの自然現象が説明できることも事実です。
我々はもっともっと「こびと」に関心を向けるべきではないでしょうか。
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