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まるいね まるいぬ

2007/04/30 Mon 07:30

まるいね まるいぬまるいね まるいぬ
(2006/12)
ケビン ヘンクス

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まるまるまるいぬの話

タコの「オズワルド」といい パグ犬の「ダサいぬ」といい
ヤッカリーノの描く動物ってどうしてこんなに魅力的なんだろう。

動物のなかからカワイイ遺伝子をうまく抽出し、シンプルな色と形に
変換してみせる技は 今回もいかんなく発揮されています。

「まるいぬ」というタイトルどうり、本作では形の対比が効果的に使われている。
寝るときはマルの字、起きてるときは胴長の体という、静と動のメリハリ。
四角い形のものや、同じ丸い形のものも、味のある脇役として描かれてます。
赤と黒の2匹のまるいぬによって生まれる、2拍子的なリズムも心地いい。

そんなデザイン的エッセンスもぜひ味わってほしい作品です。
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ちゃいます ちゃいます

2007/04/29 Sun 07:32

ちゃいます ちゃいますちゃいます ちゃいます
(2007/04)
内田 麟太郎

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関西親子の電話コント

関西弁で繰り広げられる、男の子と父親の電話での
ごっこ遊びを描いた愉快な作品です。

ところで、電話というものは、なかなか想像力をかきたてる道具ですね。
受話器の向こうにいる相手の表情や状況を、音声だけを頼りに思い描くことができる。
さらに他人が電話しているのを聞いても、片方の話す内容から相手の言っている
ことを推察したりできる。

本作ではそんな電話の特徴がぞんぶんに生かされています。
帰宅途中の父ちゃんが家に電話すると、でたのは 怪獣ごっこをしていた、たあ君。
そこで「わたしは だれでしょう?」といった父ちゃんに「ニワトリさんでっか?」と返す。
子どものちゃめっけに「こけこっこー」と応える父ちゃんがイイ! しかしこれは序の口。

犬でっか? サボテンでっか? と どんどんどんどんエスカレートしていくのだ。
アホな会話だけでなく、絵を通して普段の親子の親密ぶりもしっかりと描かれている。
最後はしっかりとオチもつく。これは携帯のCMにもつかえますね。

長谷川義史さんの絵本が好きな方は、この作品も間違いなく気に入るでしょう。
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まがなった

2007/04/28 Sat 07:34

まがなったまがなった
(2006/11)
砂山 恵美子

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耳からも暖かさを味わえる作品

へぇーっ、雪国の子どもたちは、外へ遊びに出るのにここまで重装備するんですね!
身支度をする(=まがなう)ことがひとつのイベントになってしまうわけだ。

体に頭に、そして足の先に至るまで完全防寒装備に向かう男の子をみていると
思わず汗が噴き出しそうになってしまいました。

しかも、津軽弁のオンパレードで臨場感たっぷり。
日常のひとコマを通し、雪国の生活ぶりが存分に伝わってきました。

ストーリはシンプルながら、寒さをものともせず遊びにむかう子どもの元気さ、
そして、それをさりげなくサポートする家族の暖かさも感じられます。
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メグとモグ―メグとモグのおはなしメグとモグ―メグとモグのおはなし
(2007/02)
ヘレン ニコル

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子どもが喜ぶ毒もあり

メグは魔女でモグは猫。仲良しコンビのカラフルで愉快な絵本。
イギリスではシリーズ化され30年以上も愛されているとのこと。

今回は料理がテーマ。メグの朝食や魔女たちがハロウィーンパーティで
つくる夕食がみものです。使う材料がとんでもなく、ご遠慮したくなるものが
いっぱい入っている。まあ、朝食くらいならチャレンジできなくもない。

勇気がある方は夕食を作って感想を聞かせてください。
まともな人間のままでいられればね(笑)
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ハルとカミナリ

2007/04/26 Thu 07:37

ハルとカミナリハルとカミナリ
(2006/12)
ちば みなこ

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へそってどんな味?

ハルという女の子の家にカミナリの親子がやってくる。
彼女を「へそまつり」に招待するために。

ちょっと唐突に始まるストーリですが、すんなり入っていけたのは
絵の力によるところがおおきい。表紙の女の子の髪型からしてユニーク。
カミナリにいたっては黒い悪魔風でシャレている。
でも、へそを好むところは、やっぱりカミナリなわけで、とくれば…

「またおいで」といわれてもボクなら断る。
「ふざけんじゃねえ!」といって。
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さくらのまち

2007/04/24 Tue 00:42

さくらのまちさくらのまち
(2007/02)
小林 豊

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お花見気分でゆったりと眺められる作品

桜の花が咲き始め、みんなを楽しませたあと、散って行くまでを追った構成。
昭和時代を舞台に、桜の木をとりまく町や人々が懐かしいタッチで描かれています。

花びらは、まるで桜色の絵具ですね。町並みや川が花びらで染まっていくシーンには
ハッとなるものがありました。

また来年も桜の花に出会えるだろうか?
毎年こんなシーンが見れる人と自然の関係であって欲しいと願いたくなります。
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のりののりこさん

2007/04/23 Mon 00:45

のりののりこさんのりののりこさん
(2007/03)
かとう まふみ

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文房具たちが生き生きしてます

同作者の「えんぴつのおすもう」を思い出しました。
机の上の文房具たちが、勝手に動き出すところは、いっしょですが、
今回は試合ではなく、お絵描き大会。それぞれの得意技がうまく
発揮されています。

直接、絵をかけないノリがどんな活躍をするかがポイントですね。
途中で、絵本の世界と現実の世界が交差するので あっ と驚きます。
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ドテラウルス

2007/04/22 Sun 00:46

ドテラウルス (学研おはなし絵本)ドテラウルス (学研おはなし絵本)
(2007/03)
のざき まいこ

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14番目に注目

作者が絵本で最も伝えたいことを簡単に知るには?
それは、終わりから2番目の見開きに着目すればいい。

なぜなら絵本の構造上そこに描かざるを得ないからだ。
(絵本は製本の都合で32ページ、つまり15見開きとなることが多いので、
ほとんどの場合、14番目の見開きともいえる)

言うまでもなく、作品は始まりから終わりに向かって進む。あたりまえだ。
そこに物語をつくるとなれば、クライマックスは終わりの方にやってくる。
もし、クライマックスの後でも物語がしばらく続くと間延びした作品になってしまう。
かといって、一番最後にもってくると唐突に終わり、尻切れトンボになりがちである。
そうなると最もいいポジションは終わりから2番目の見開き(第14見開き)という訳である。
そして、最後の見開き(第15見開き)は読者がクライマックスの余韻にひたりつつ、
自然に絵本の世界からフェードアウトする役割をになう。

これは漫画のようにコマ割を多用せず、一つの見開きに一つの画面を描くことが多い絵本ならでは
の特徴ともいえる。だから、それぞれの見開きに最も適した役割が理屈の上で存在するのだ。
(もちろん表紙、裏表紙、見返し、1ページ目、ラストページなどが担う役割もあります)
ボクなりに導きだした絵本の見開きの法則あるので、機会があればもっと詳しく述べてみたい。

すみません。今回も前置きが長くなってしまいました。
何が言いたいかというと、この作品の第14見開きに注目してくださいということです。
これがなかなかいいんです。「ドテラウルス」というタイトルは、土手にいるとされる怪物の名前。
土手って非日常的な空間ですよね。突然風景が開ける快感を求めて上ったり、一直線の道を
夕日に向かって散歩する誘惑にかられたかたにお勧めです。

土手の魅力をこんな形で表現できるなんて…絵本の力はすばらしい。
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名前をつけるおばあさん

2007/04/20 Fri 00:49

名前をつけるおばあさん名前をつけるおばあさん
(2007/02)
シンシア ライラント

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ところでおばあさんの名前は?

んんん… これは考えてしまいますね。

おばあさんは、友達よりも長生きして独りぼっちとのこと。
年齢としては、80から90代といったところか。
丘の上にぽつんと建った家に一人で住んでいる。そこは郵便屋も来ないほど、
町から離れたところ。もちろん近所付き合いはない。
乗っている自動車は、どうも彼女の趣味とは思えない派手なスタイリング。
たぶん家族の誰かが使っていたのでしょう。
文には直接書いてないですが、その家族も失っていると思われます。
おそらく戦争や事故のような悲しい出来事があったのではないでしょうか。
届くはずのない誰かからの手紙を期待して、郵便局へ出かけるのが日課になっています。

さびしい… 誰かに声をかけたい でも 誰もいない ってことですね。

そんな訳で彼女は身の回りの物に名前をつけて呼びかけるようになったらしい。
しかも丈夫な家とか椅子とかベッドや自動車などなど、自分よりも長生きする
「物」ばかりを選んで。命あるものはいつかは亡くなりますからね。
だから彼女になついた子犬にさえ、名前をつけて呼ぶことはあえてしなかったのです。

考えてしまうというのは、作品として何が言いたいのかがよく判らなかったので。
死という別れがあるからこそ、出会いを大切にしようということなのか?
本当に言いたいことって、作品の中ではこれから始まっていくように思うのですが。

んんん… うまく伝えられないなぁ。

例えば「アンジェロ」という絵本も老人と動物の出会いと別れが描かれていますが、
とても味わい深い読後感がありました。そこまで描ききって欲しかった。
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テツガクうさぎに気をつけろ (おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記 3)テツガクうさぎに気をつけろ (おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記 3)
(2007/01/30)
きむら ゆういち

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あなたの自身の存在理由はなんですか?

「あらしのよるに」では、食う者と食われる者の友情をみごとに描いたきむらさんさん。
このゴンノスケシリーズでは 食う者=♂オオカミ と 食われる者=♀ウサギ 
の追いかけっこがコミカルに描かれています。これが恋愛にも見立てられるところがミソで、
大人もムフフとなりながら楽しめます。

さて、今回登場するウサギはかなりの知性派。
食べられそうになっても平然とし、哲学のないオオカミにはワタシを食べる資格はない 
というようなことを言ってゴンノスケをケムにまきます。
困惑したゴンノスケは自分自身の存在理由を明確にするため哲学書を読みあさりますが…

哲学の勉強するのはいいとして、目的がウサギを食べるためというのが笑える。
といっても素直に笑えるわけではない。オオカミと似たようなことをけっこうやってたりするわけで…
とくに男子諸君はね。

最後にこのウサギに一言いいたい。哲学はキミにとってはアクセサリーだったんだね。
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