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ぬーくぬく

2007/05/31 Thu 23:06

ぬーくぬく (わくわくたべものおはなしえほん)ぬーくぬく (わくわくたべものおはなしえほん)
(2007/04)
飯野 和好

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味のある作家がタッグを組んだ、味のある話し

とある村の小さなお寺の縁側で、干し大根と干し芋が会話を始める。
はじめは互いのことを軽く牽制しあっていたが、そのうちどちらが食べ物として
優れているかの言い合いになり、最後はうまく収まる。

読者は干し大根と干し芋の自慢話しや言い争いを楽しみながら、食べ物の知識まで
得られてしまうという 実にうまい構成だ!

ちょっと妖怪じみた大根と芋は見もの。不気味さの一歩手前で食べ物としての
品位をギリギリ保っている。キザなむらさきいもアイスは笑えた。
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しゃっくりがいこつ

2007/05/29 Tue 23:07

しゃっくりがいこつしゃっくりがいこつ
(2004/10)
マージェリー カイラー

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最強にして最恐のお笑い芸人現れる

がいこつがコントを始めたら、こんなに怖いことはないだろう。
怖いというのはお笑い芸人にとっての話し。

まず表紙から笑わせてくれる。しゃっくりを止めようとして
鼻をつまみながら水をのんでいますが、スカスカの体では全く意味なし。
こんなネタをやられたら、人間ではとても太刀打ちできないですな。

しかし、中身をみると がいこつはかなりマジでこまっているよう。
彼(彼女?)は体が骨だけであること以外は、全く我々と同じように
日常生活を送っているのですから。シャワーもあびるし、歯もみがくし、
遊んだりもする。なんとか、しゃっくりを止めようと悪戦苦闘しますが、
果たして成功するのか。

ラストはちょっと意外。がいこつのしゃっくりはクセ者でした。

がいこつネタで笑える絵本としては
偕成社刊「みんながいこつ」もおすすめ。
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星の使者―ガリレオ・ガリレイ星の使者―ガリレオ・ガリレイ
(1997/11)
ピーター シス

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ガリレオの生涯を描いた究極の絵本

2009年は国際天文年とのこと。ガリレオが望遠鏡で天体観測をはじめてから
ちょうど400年の節目にあたるそうだ。

ガリレオといえば 地動説を唱えたため、宗教裁判により有罪にされたことで知られている。
ピータ・シスは、時空を超えた視点から、その悲しい運命を精緻に描写しきった。
星の輝きにみたてたガリレオの誕生。繰り返される円形の構図は、地動説のみならず
彼を中心にまわっていた当時の世界までも、みごとに象徴化している。
文字のレイアウトも凝っている。惑星の軌道のごとく渦巻き状に組んだり、見開いた目の形に組んだりと
全体から細部にいたるまで、一貫したテーマが込められている。

1992年になって教会が過ちを認め、彼に与えた罪がゆるされたことは、本書で初めて知った。

一人の人生を通し、信じることの意味と重さを伝えてくれる重厚な作品。
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あけるな

2007/05/27 Sun 23:11

あけるなあけるな
(2006/12)
谷川 俊太郎

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30年以上の時を経て復刊された魔書





            「みるな」





なんて書くと、かえって見たくなるものですよね。表紙は何重にも板で
封印された怪しげな扉。ページをめくるたびに打ち付けられた板が
はがされていきますが、その度に繰り返し現れる あけるな という警告文。
いったい扉の先には何が?  悪い事は言いませんからこの本を手に
取るのはおやめなさい。 もう一度いいます。







            「みるな」






それでもやっぱり、見たいですか? あなたの期待しているようなものは
登場しませんよ。閉所恐怖症ぎみの方は、魂が本の中に封印される恐れが
あります。それでもかまわないという勇気のある者だけにすすめます。 
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たいようオルガン

2007/05/27 Sun 23:10

たいようオルガンたいようオルガン
(2008/09)
荒井 良二

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無手勝流創作法の極み

最近、TV(たけしの誰でもピカソ)でも紹介されていた荒井さんの最新作だ。
ごらんになった方はわかると思いますが、彼の描き方はとてもスリリング。
料理にケッチャップをたらすように、絵具をチューブから直接、画面にひねり出した
かとおもえば、それを筆でなく手や紙でこすって広げて行く。
突然、クレヨンを使ったかとおもえば、色紙を切って貼付けたりもする。
何を描くかは決めてない。描いているうちに見えてくるそうだ。

途中で思考を介在させず、ピュアな感性を最速で画面に定着させることに
非常なこだわりをもっている。手の汚れをいちいち洗うのももどかしいのでしょう。
服ですぐに拭いてしまうので、荒井さんの着ている物は、カラフルなカモフラ柄に
なってしまっている。いいですね。ボクもやってみようかな。

そんなふうにして生み出された荒井さんの世界を、自由気ままに楽しめるのが本書。
小さく描かれたゾウバスは、画面を散策するための乗り物だ。
もちろんあなたも乗る事ができますが、途中でおりたってかまいません。
たいようオルガンの光を全身で浴びられるように、ぜひ心を裸にして
のびのびと味わって欲しい作品です。

ちなみにボクは、よんでる途中で靴下を脱いでみました。
草や土、砂や海が足の先で感じられましたよ。
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ジス・イズ・ミュンヘン

2007/05/25 Fri 23:14

ジス・イズ・ミュンヘンジス・イズ・ミュンヘン
(2006/01)
ミロスラフ・サセック

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フェーン風の紹介ではお茶目なサセックの絵がみれます

ジスイズシリーズ(翻訳版)もいつの間にか増えている。
ヒストリックブリテン オーストラリア ホンコン ローマ ギリシア 
イスラエル ワシントンDC … まだまだ旅を楽しめそうだ。

さて今回はドイツを代表してミュンヘンへ。黄色い表紙からビールを連想した方も多いのでは。
原書が出たのは40年以上も前なので、内容が現代と合ってない箇所も増えている。
ことに近代的な都市になるほど、その傾向が強くなるのはやむを得ないだろう。

確かに本来の目的だった旅行ガイドとして見るならば、実用性に欠けている。
しかし、絵本作品としてみると、過去と現在の違いは かえって味になるから面白い。
例えば、世界のどこをさがしても これほど たくさんの カメラが並ぶ 街はない
とありますが、現在カメラの名所NO.1は日本の○○○となっている。
また、ハウス・デア・クンスト(芸術の家)に展示されていた ゴッホの「ひまわり」は
今では東京の美術館に所蔵されているとのことだ。

とはいえ、歴史的建造物は今でも健在。そして、ビアホールのコースターをコラージュした
タイトルページやモザイク調に街を俯瞰したオープニングの絵は、いつものようにサセックの
世界へと導いてくれることを保証します。
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つきのゆうえんち

2007/05/25 Fri 23:13

つきのゆうえんち (絵本の時間)つきのゆうえんち (絵本の時間)
(2001/06)
のぞえ 咲

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6年ぶりに読んでみました

この作品を最初に手にしたは6年も前のことだ。
とても印象的な世界が描かれていたので、いつか再び読もうと思って
いるうちに今になってしまった。なんということだ…

歳月を経て記憶も薄れてきたとはいえ、忘れていた事がけっこう多いことに驚く。

【忘れていた事】
・母親の存在感……インパクトある登場の仕方なのに
・梅林と桃林をとりちがえていた……まあ似たようなものではある
・埼玉の越生が舞台だと思っていた……作者は飯能市に在住だが舞台は特定されてない
・クライマックスシーン……何かにドキッとしたなあという印象のみ

【覚えていた事】
・小さな女の子が主人公……まあこれくらいは
・不思議な読後感……心地よくダマされるということ
・昔懐かしいお祭りの世界……こういうのがたまらなく好きなんです

思ったのだが、再び読もうとしたので、内容を忘れようとする無意識が働いたのではなかろうか。
そうすれば、もういちど楽しめますからね。でも全く忘れてしまってはそれきりになってしまう
ので、作品の雰囲気だけはしっかりと覚えていたのでしょう。

そして新たに実感したのは、自分が6年前よりも理屈っぽくなったなあということ。
背景となる女の子と母親の関係をもっと深く描いて欲しいと考えてしまった。
この作品を素直に楽しめ人は、ある意味うらやましい。
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きぜつライオン

2007/05/23 Wed 23:15

きぜつライオンきぜつライオン
(2007/04)
ねじめ 正一

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マーカーの軽やかな絵がいいです

本書の楽しみ方【基本編】

1:まず普通に自分のペースで絵や詩をじっくり味わいましょう。
2:つぎに声を出して 一息で読むことにチャレンジしましょう。
3:さいごに気絶できれば、あなたは完璧な読者と言えましょう。

本書の楽しみ方【応用編】

1:水中眼鏡と本書を用意します。
2:プールにもぐっったまま、読むことにチャレンジしましょう。
3:息が尽きる前に読み終えれば、あなたはライオン以上といえます。

本書の楽しみ方【プロ編】

1:ライオンがトイレを我慢しているという設定で詩をつけてみましょう。
2:何かを我慢しながら読むと楽しめる絵本について考えてみましょう。
3:我慢にも限度があるということを、みんなに教えてあげましょう。
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ハーニャの庭で

2007/05/21 Mon 23:17

ハーニャの庭でハーニャの庭で
(2007/04)
どい かや

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目で味わう飲み易い自然のジュース

500冊以上も絵本のレビューを書き続けているせいか、本を手にとっただけで
中身はともかくとして、読後にどんな感想を自分が抱くかが、おおよそ
判ってしまったりする。本書の場合もそうだった。

自然の美しさ、動物たちの可愛らしさに魅了されて、そんな絵について
レビューで触れるんだろうなあ と。 
一方で、予想通りの行動をするのも、ちょっとつまらないなあと思いもした。

…ということを考えるボクでも、やっぱり書かざるを得ないのは

なんて自然が美しく、動物たちが可愛いんだろう ってこと。
(回りくどいですね。要は褒めているわけです)

舞台は山に囲まれた小さな家の小さな庭。小さくても大自然の一部で
1年12ヶ月を通してみれば 実に色々なことが起ります。 
それらをネコのハーニャの視点を通して、繊細なタッチで穏やかに描かれています。

「可愛いでしょう きれいでしょう どうよ?」といった
押しつけがましさはなく、かといって
「自然破壊はよくないよ」とか「自然の掟はきびしいぞ」といった
メッセージじみたことも表立って出てこない。
「ほら、こんなところに動物が隠れているわよ。みつけなさい」という
ゲームじみた余計な演出もない。

だから、ちょうどいいのだ。
自分のペースで ぼーっと絵をながめていられる。
そして、いつの間にか絵の中の庭を散歩し、ふと動物たちに出会ったりできるのだ。
実はかなり凝っている画面構成も見逃せないところ。

心に自然のビタミンを与えてくれる作品。
日常の喧騒に蝕まれている方はぜひどうぞ。
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ごらん、ごらん、こうやって (詩の国イランの絵本 (4))ごらん、ごらん、こうやって (詩の国イランの絵本 (4))
(2006/06)
カーンビーズ カーカーヴァンド

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イランの読者がうらやましいゾ

表紙の絵、いったい何が描かれているのか?
実は カエル ヒョウ ライオン 小鳥 なのだ。

「まるで子どもが描いたよう」

絵本をほめるとき よく使われる言葉ですが、本書の絵はそれ以上の魅力がある。

「まるで動物が描いたよう」

という ほめ言葉を画家のザーヘディに送りたい。

とにかく彼の描いた色々な動物たちを見て欲しい。
それだけで、充分に満足できるから。

ストーリは チビのカエルが、みんなにお手本をみせてもらいながら
自分の力で食べ物を得られるようになるまでが書かれています。
チビガエルが試行錯誤する様子は 絵ともうまくマッチしてますネ。

ザーヘディは絵本「ごきぶりねえさんどこいくの?」で日本デビューした
イランの画家。 今後とも注目だ☆
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