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納豆の大ドンブリ―家族の短歌 (めくってびっくり短歌絵本)納豆の大ドンブリ―家族の短歌 (めくってびっくり短歌絵本)
(2007/03)
不明

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この絵本は短歌の宝石箱

【世界音痴/小学館】現実にうまく溶け込めない歌人の内面を赤裸裸につづったエッセイ集
【桃太郎/ピエ・ブックス】芥川竜之介の短編を毒々しく視覚化したインパクトある絵本

それぞれ最近よんで気になっていた作品ですが、その 穂村弘:編 & 寺門孝之:絵 に
よる短歌集絵本とくれば手に取らざるをえまい。

古今の歌人による家族をテーマにした14首が収録されている。特徴は見開きのつくり。
右側は絵の一部と短歌、そして左側は全部色面になっていて、隅に小さく作者の紹介がある。
左のページは縦に折られて2重になっており、開くと3ページにわたる絵の全貌が現れ、
短歌の解説も登場するという構成になっている。

全てをいちどに見せないことで、読者はまず短歌に集中し、想像をめぐらす間が
生まれるのである。

寺門さんが描く家族は全て鬼だ。といっても怖くはない。
これが不思議と短歌にマッチしている。どこにも無い世界であるが故に、あらゆる世界に通じている。
また、人間の家族で成り立つことは、鬼に置き換えても成立するのだと示してみせることで、
テーマの普遍性が強調されているとも言えよう。

穂村さんの解説もいい。教科書的な説明ではなく、それぞれの歌が生まれる瞬間の空気を
歌人ならではの観点で優しくすくいとっている。短歌の前奏としてよんでも効果的。

贅沢な絵本だ。
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