マーシャと白い鳥

2007/06/07 Thu 11:17

マーシャと白い鳥 (世界のお話傑作選) (2005/10) ミハイル ブラートフ出久根 育 商品詳細を見る

魔法の輝きに満ちた世界を味わう

先日、「ムサビと絵本」展で本書の原画をみる機会があった。
厚さ数センチはあろうかという石膏パネルに描かれた濃厚な絵は、
紙に描かれた他の原画とは明らかに異なる輝きを放っていた。

画面に吸い寄せられるまましばらく眺めていると、絵と対峙しているときの
作者の息づかいや、アトリエを取り巻く空気までもが感じられ、心地よくなってきたの
が印象にのこっている。わずかではあるが創作中の豊かな時間を共有できたかのような
気持ちになれるのは、原画と出会うときの魅力だ。

絵本をみたのはその後になる。原画独特の存在感は、紙に印刷されて薄れるのは
やむをえないものの、描かれたものにじっくりと向かい合うことはできる。
こんなものが登場していたんだ、と　新たな発見もあった。
ミルクの小川とチーズの岸や、ババヤガーのニワトリの足がついた家など、
見どころはいっぱいある。

俗世間の喧騒をはなれ、異国で生まれた魔法的世界にひたるにはもってこいの作品。