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ぶす

2007/07/30 Mon 22:59

ぶす (狂言えほん)ぶす (狂言えほん)
(2007/07)
内田 麟太郎

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一回戦はこちらに軍配

狂言えほん「ぶす」といえば、数ヶ月前 講談社から出たばかり。
全く同じテーマで、なんとポプラ社からも登場しました!
(偶然だと思いますが、こんなことってあるんですね)
ポプラ社版は二番煎じの形になったとはいえ、内田さん&長谷川さん
という絵本界のビッグネームをそろえただけあって、完成度が高いです。

「ぶす」という演目は狂言では、かなり有名なものなのでしょう。
両社が最初に取り上げるくらいですし、往年のアニメ「一休さん」
でも全く同じネタがつかわれていました。
一言でいうと、けちんぼな主人 vs 食い意地のはった2人の家来
による、とんち話です。

この伝統芸能を描いた、長谷川さんの筆運びは、かなり気合いが入ってます。
時に大胆に、時に繊細に、人物の表情から着物の柄、構図や色使いに至るまで
楽しませてくれます。長谷川ファンならずとも魅了されること間違いなし。
内田さんの文章も、ところどころにさりげなく遊び心を加えてあるのがニクいですね。

これから本屋では、2冊並んだ同名の作品をみかけることも多いでしょうが、
ヒマな方はお客さんの様子を観察してみてはどうでしょう。
おそらく選ばれるのは、こちらの方でしょうな。

次回作もあるのでしょうか? まさか「くさびら」じゃないでしょうね(笑)
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はしれワニくん!

2007/07/28 Sat 23:01

はしれワニくん!はしれワニくん!
(2007/06)
うすい かなこ

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おもいっきり笑ってスカッとしたいときにどうぞ

表紙に描かれた二頭身のワニくん、走っている姿からして笑いをさそう。
しかも、ワニくんの走る先にはネズミ達が… こりゃ何か起るな。
なんて想像した方は大正解。おおいに期待してページをめくってください。

すると、ワニくんが走っている理由がわかります。
寝坊してパーティの時間におくれそうだからなのですね。

走るだけでなく、ときには飛んだり、ときには滑ったりと まるで障害物競走の
ごとく目的地へ急ぐワニくん。カートゥーンのように大胆な展開が、
横長の画面いっぱいに繰り広げられます。当人は必死なのですが、端からみると
その姿があまりにも変なので、笑わずにはいられません。

ボクがこの作品に出会えたのも笑い声がきっかけでした。
本屋でゲラゲラ笑っているカップルがいたので、手にしているものを
みたらこの絵本だったのです。

本書はすでに、世界数カ国で出版され人気を集めているというのも納得。
絵をみるだけでも 充分おかしさは伝わりますから。
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うみのポストくん

2007/07/27 Fri 23:02

うみのポストくんうみのポストくん
(2007/06)
山下 明生

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たこと ポストくんとの交流を描くという いたって真面目な作品

そもそも なんでポストが海の中に立っているのかというと、
水中で手紙を出したいダイバーのためにあるとのことだ。
絵本の中だけの話しでなく、きっと、どこかに実在しているのでしょう。
世の中には物好きな人もたくさんいますから。
水中で結婚式を挙げたり、水中でサッカーをしたり、水中でコンサートをしたり etc.
絵本のように、赤い者同士ということで、たこがやってきて住み着いてしまうなんて
ことも実際ありうるでしょうね。

おおおっ!と感激したのは、ポストが たこの子ども達に文字を教えるシーン。
たこの子ども達が書く たどたどしい文字の中に 人間と自然とが心の奥でつながる
瞬間を感じとれました。これは絵本だからこそ成しうる表現!

また、文字っておもしろいなと 素直に思える作品でもあります。
この作品をきっかけに、手紙を書きたくなる子ども達も増えるのでは。
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狂言えほん くさびら

2007/07/25 Wed 23:03

狂言えほん くさびら (講談社の創作絵本)狂言えほん くさびら (講談社の創作絵本)
(2007/06/29)
もとした いづみ

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「ぶす」に続く狂言えほんの第二弾登場

「くさびら」とは聞き慣れない言葉ですが、キノコのこと。
家に大きなくさびらが生えて困った男に、なんとかして欲しいと
頼まれた山伏。さっそく男の家に行って呪文を唱えますが、
効果がなく、かえって、事態はどんどん悪化します。
ならばと、新たな呪文を唱えますが…
繰り返しのリズムと、次はどうなるといった期待で
気持ちが盛り上がっていく作品。

落語のようにはっきりしたオチがないのが物足りませんでしたが、
古典的なナンセンスの世界を、おもいっきり描いた竹内さんの
絵はある種の痛快さがありました。
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かばくんのラジオ

2007/07/23 Mon 23:04

かばくんのラジオ (ひまわりえほんシリーズ)かばくんのラジオ (ひまわりえほんシリーズ)
(2007/06)
遠山 繁年

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オトボケなかばくんが登場

舞台となっているのは「ピンクの空」のもとに広がる草原。
とくれば、ボクはどうしても長新太のナンセンスワールドを連想してしまう(笑)
また、大自然の中で暮らす、かばくんと ラジオという思わせぶりな
組合わせに、何かとんでもない事が起るのではとドキドキしてしまった。

が、そんな想いとは別に展開されるのは、かばくんならではのオトボケワールド。
なんと、かばくんは ずーっと寝たままなのです。しかもラジオはつけっぱなし。
「おいおい、ラジオをみんなに自慢するんじゃなかったのかい? 起きろ かばくん!」
なんて大声をだしたくなってしましました。

まあ、ラジオはラジオでしっかりと動物たちにアピールしていたようですが…

ラストはエッとなりましたが、ちょっともったいないかな。
ボクの好みからすると、もう一度ふりだしに戻るような構成にして欲しかった。
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ポヤップとリーナ京都へいく (ポヤップとリーナの旅えほん)ポヤップとリーナ京都へいく (ポヤップとリーナの旅えほん)
(2007/03/15)
たちもと みちこ

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This is Kyoto

京都を訪れた絵本界の有名人では、リサとガスパールが記憶に新しいですね。
空想の世界と現実の世界が出会うという興奮にワクワクしました。
   →「リサとガスパールにほんへいく」ブロンズ新社

旅行記絵本といえば、ミロスラフ・サセックの「ジス・イズ シリーズ」ですね。
作家が生で感じた世界の街や国がグラフィカルなイラストで描写されています。
(残念ながら日本は紹介されていません)

そんな2つの特徴を併せ持つのが、このポヤップとリーナの旅絵本。
前作の沖縄に続く待望の第二弾は京都です。
空飛ぶトランクに乗って冒険しながら、名所をめぐるという構成になっているので、
ハラハラドキドキしながら古都の魅力も堪能できるというわけです。
金閣寺、清水寺 などの歴史的名所だけでなく、錦市場の活気溢れるお店の
様子まで描かれているのが印象的でした。

欲を言わせてもらえれば、ねずみのポヤップとりすのリーナの普段の生活ぶりを
伝える工夫があるとよかった。彼らと読者との接点が何かあると、さらに物語の中へ
入り込めますから。
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ながいながいかみのおひめさま (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)ながいながいかみのおひめさま (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)
(2006/02)
コーミラー ラーオーテ

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経済成長を続けるインドという視点でみても面白い

パリニータは長い長い黒髪のお姫様。
どれぐらい長いかというと、毎日の手入れに100人も要し、
お城のいちばん高い窓から外にたらすと、地面にとどくかというくらいある
から相当なものだ。ただ、当人にしてみれば、重くて外出もままならないので
なんとかしたかったようですが、王様を始め皆が髪を賞賛するので切るに切れず
そのままになっていたのですね。

そんな彼女が18の誕生日を前に、意を決して外の世界へ足を踏み出します。
そこで出会うのは、寒さにふるえる赤ん坊をかかえた母親や、使い物にならない網
を前に途方に暮れる漁師たち。 お城のぜいたくな暮らしとは、うって変わって
日々の生活に精一杯の人達に直面した彼女がとった行動は?

この作品が創作されたのがインドということを考えると、
いろいろなテーマが見えてくるでしょう。

ボクは古い因習にしばられず、社会にでて活躍しようとする
現代の女性像を見て取りました。
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ぜったいぜったいねるもんか!ぜったいぜったいねるもんか!
(2007/05)
マラ バーグマン

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遊びの続きは絵本のなかで

今、起きている方に質問です。

【なぜ寝ないのですか?】
1:仕事や勉強などやるべきことがあるから
2:目覚めたばかりだから
3:後でまとめて冬眠するから
4:楽しいことを中断したくないから
5:ロボットなので寝る必要が無い
6:寝るのが怖い

おそらく、子どもの場合は4が多いのでしょう。
絵本でも、寝たがらない子どもがよくテーマになってますね。
ストーリーの基本的な流れとしては、有り余る元気を絵本という
空想の世界でおもいきり解消させて、心地よい疲労感と共に
意識を寝室へ導いてあげるというパターンが多いです。

そんな観点でいうと、本作はドンピシャといえます。
オリバー君はベットから飛び出し、壁に巨大な怪獣を描いたり
車をびゅんびゅん走らせたり、ついにはロケットで街を飛び出してしまいます。
いったいどうやってベットへもどるのかが、見もの。
最後はオリバー君の満ち足りた寝顔に読者も満足することでしょう。
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おばけでんしゃ

2007/07/16 Mon 23:09

おばけでんしゃ (絵本・こどものひろば)おばけでんしゃ (絵本・こどものひろば)
(2007/06)
内田 麟太郎

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おばけと楽しむ電車の旅

毎年、夏が近づくと登場するのが、おばけの絵本。
季節に関係なく人気のあるテーマが電車の絵本。
このふたつが合体したとなれば、面白くないわけがない。

電車の絵本とくれば、魅力は走りながら次々に変わる風景。
それと、次々に乗ってくるお客さんたちと言えますね。
本作はおばけでんしゃだけあって、止まる駅も変わっている。
妖怪駅→暗闇駅→寒々駅 など 行く先々でたくさんの
おばけに出会えます。そして最後に到着したところは意外にも。

ほのぼのとしたタッチの絵なので怖さは全く感じません。
ですが…  最後の画面にはヒヤリとなりました。
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うんこいってきます!―ぼくはうんこヒーローうんこいってきます!―ぼくはうんこヒーロー
(2007/06)
スギヤマ カナヨ

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うんこをするのが楽になる絵本

誰もがすることなんだけど、知られると恥ずかしいことのひとつが、
学校のトイレでするうんこ。特に男子は身に覚えがあるだろう。
無防備な状態、閉まったドアへの視線、音、匂い、自尊心の喪失…
作者のスギヤマさんは女性でありながらも、そんな男の子の心理が
実によくわかってますね(笑)

急にうんこをしたくなった主人公のまことくん。
こっそりとトイレに入ったつもりが、となりのクラスのヤツらに
見つかってしまい 大々々々 ピンチ! そんな彼を救ったものは?

恥ずかしさを含むテーマを、あっけらかんと描いたところが秀逸です。
「うんこヒーロー」とは、学校で堂々とうんこできる者の称号。
トイレのあるすべての学校の図書室に一冊備えておきたい絵本といえます。

余談ですが、小学校のときトイレ掃除の班になったことがあり、
けっこう楽しかった思い出があります。あまり利用されないから
もともときれいだし。ホースやバケツで水をまいたりするのは
なかなか壮快なものがありました。それと、用具入れが女子トイレの
ほうにあったので、このときばかりは堂々と禁断の園へ入れたのです。
男子が居るにもかかわらず、平気で用を足しに入る女の子もいて
かえってこちらがドキドキしたことも。
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