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ぼくがラーメンたべてるときぼくがラーメンたべてるとき
(2007/08)
長谷川 義史

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受け狙いはいっさい無しのビターな絵本

読み終えた今、ちょっと混乱しています。
家族の笑顔や温もりあふれる長谷川さんの世界に、また出会えると
おもっていたら、そうではなかったから。かなりシリアスな内容です。
とくに14番目の見開きの絵は強烈すぎる!!!!!

重々しい色づかいの殺風景な見開き。
ここで「んっ、何か違うな」という予感はあったのですが…

○○が~しているとき…。 ●●は~している。

という文章の繰り返しと共に、ぼく、隣のネコ、隣の家、隣の町、隣の国と
と視点がどんどん移っていく。おんなじ時間でも、やってることは人それぞれ。
前半は、いつもの長谷川節で空間的な広がりを楽しませてくれる。
しかし、楽しいことばかりではない。いつものような盛り上がりを期待していると
肩すかしをくらうことになる。

とある国の現実を、われわれの日常と同列に提示することで、
世界が直面している「今」について考えさせる作品。
であると同時に人気絵本作家の新境地へ向かう決意も伝わってくる衝撃作。
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つぎはぎ おばあさん きょうも おおいそがし (講談社の創作絵本)つぎはぎ おばあさん きょうも おおいそがし (講談社の創作絵本)
(2007/07/21)
たかしま なおこ

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見返しから伝わるドラマも味わいたい

様々な色や形の柄をもった布を組合わせて出来る、
おばあさんのつぎはぎは、かなり魅力的。
それが、そのまま絵本の魅力にもつながっています。

洋服にカーテンに帽子にぬいぐるみ、ヨットの帆や気球にまで
使われたりと、おばあさんのつぎはぎが大人気になるのも
素直にうなづけます。

布と布をつなげることが、おばあさんと様々な人をも
つなげていくところが、嬉しいですね。
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ぴっけやまのおならくらべぴっけやまのおならくらべ
(2003/06)
かさい まり

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心のガス抜きにもどうぞ(笑)

ぴっけやまの、ねずみ、くま、つる、いたち。
くらべっこ大好きな4匹による、おならくらべ大会の始まり始まり~
おいもを食べて準備万端、彼らの成果をとくとご覧あれ。
おならといっても色々とあるものでですね。
そして、プププッとおもいっきり笑い飛ばしてください。
みんなすごいぞ! (拍手)
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ぼくのコブタは、いいこでわるいこぼくのコブタは、いいこでわるいこ
(2007/07)
マーガレット・ワイズ ブラウン

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時を経て実現したコラボ絵本

今は亡きマーガレット・ワイズ・ブラウンの未発表作とのこと。
それが人気イラストレーター:ヤッカリーノにより、キュートな絵本と
なって登場しました。

コブタを飼いたい男の子ピーター。彼のリクエストが冴えている。
「いいこすぎなくて、でも わるいこすぎない コブタが いいな」

あえて普通 と言わないところがいいですね。
いいこすぎるとつまらない、かといって わるいこすぎても こまってしまう。
農場のおじさんは、ピーターの願いにちょうどぴったりのコブタを
みつけてくれました。時にはわるいこともするけれど、ちゃんと言う事を
聞いてくれる。 両方あわせて大きな魅力になってるんですね。

いいこだなと褒められたい一方で、ときにはハメをはずして遊びたい。
そんな子どもの気持ちも、コブタを通して伝わってきます。
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人食いとらのおんがえし

2007/08/27 Mon 00:45

人食いとらのおんがえし (朝鮮の民話絵本シリーズ)人食いとらのおんがえし (朝鮮の民話絵本シリーズ)
(2007/04)
松谷 みよ子

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ここまでしなくても…

想像を絶するほど義理堅いトラが登場します。
いちど受けた恩を若者にかえす為とはいえ、ここまでやるか!

盗みはするは、女性をさらうは、自らの命までさらすはで、
いくらなんでもやりすぎでは…と思わず言葉を失いました。

確かにトラの恩返しで若者は幸せを得るのですが、
本当にこれでいいのか? という疑問は最後まで残りました。

もとは朝鮮の民話。その徹底ぶりというか執念からは
日本人とは違う民族性を感じました。
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Tatty Ratty

2007/08/26 Sun 00:48

Tatty RattyTatty Ratty
(2002/03/14)
Helen Cooper

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想像力を刺激するウサギの冒険旅行

Tatty Rattyは女の子の大好きなウサギのぬいぐるみ。
ボロボロでうす汚れてボタンも外れちゃっているけど、
彼女にとっては大切な友達なのです。

ところが、そのウサギをどこかに無くしてしまったから、さあたいへん。
家中をさがしてもみつかりません。実は家に帰るとちゅうでバスの中に
置き忘れたようなのですが、ママがバス会社に電話しても、無いとの返事…!

さて、彼女のママとパパは、どうしたのでしょうか?
すぐに、かわりとなる物を買ってあげたりせずに、娘の気持ちになって
ウサギの行方に想いを馳せるところがポイントですね。

3人はパスから飛び降りて家に向かうウサギのことを想像します。
それは三匹の熊、シンデレラ、海賊、なども登場する大冒険旅行へと発展。
空想の世界のウサギが現実世界の女の子の状況とさりげなくリンクして
いるのが笑みをさそいます。

さて、ウサギは無事に女の子のもとへたどり着けたでしょうか?

作者のHelen Cooperは、「かぼちゃスープ」のシリーズが有名で
翻訳版も何冊か出ています。キュートな動物たちと色彩溢れる世界の
魅力を知ったら、きっと未訳作までよんでみたくなることでしょう。
本書は英文もわかりやすいですし、絵を追うだけでも充分に伝わってくる
のでおすすめです。
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ちびっこきかんしゃだいじょうぶ (にいるぶっくす)ちびっこきかんしゃだいじょうぶ (にいるぶっくす)
(2007/04)
ワッティー パイパー

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I think I can.

原題は「THE LITTLE ENGINE THAT COULD」
機関車はLOCOMOTIVEとも言いますが、単純にENGINEでもいいのですね。

シュッ シュッ シュッ ポッ ポッ ポッ と山道を一生懸命のぼる小さな機関車。
故障した機関車にかわって、おもちゃやお菓子を子どもたちに届ける為に、
一度も登ったことがない山を超えようとします。
「きっと だいじょうぶ… だいじょうぶ…だいじょうぶ…」と自らを鼓舞しながら。
ここが英語では 「I think I can. I think I can. I think I can.」と繰り返されるようです。
声に出してみると、まるで機関車の動く音みたいですね。

本書は1930年に発売以来、アメリカで愛されてきた絵本とのこと。
イラストを手がけたローレン・ロングは、母から何度も聞かされ
困難に立ち向かう勇気を与えてくれたというこの作品を 新たな絵で
紹介してくれました。

旅客車をひく新型機関車や貨物をひく大型機関車、さびだらけの老機関車、
なども登場。とても機械とは思えない豊かな表情で存在感をだしているところ
も見どころです。

この話しはかなり有名で、色々な画家の手で絵本化されています。
それらと読み比べてみるのもいいでしょう。
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わたしはあなたをあいしています (絵本の時間)わたしはあなたをあいしています (絵本の時間)
(2007/06)
宮西 達也

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食う者と食われる者の出会いは悲劇しかないのか (その4)

自らの食欲や本能と戦いつつ愛や友情を伝える肉食獣ティラノサウルス。
このシリーズも第6弾まで到達しました!

ところで毎年年末になると、その年を象徴する漢字が選ばれます。
2006年は「命」でしたね。2007年は何が選ばれるだろうか?
最近のニュースをみていると、ボクの中では「偽」という字の存在感が
日に日に大きくなっています。

こんなことを言うのは、この作品の冒頭でも偽るシーンが出てきたからです。
翼竜のタペヤラとティラノ君の関係がそう。騙すほうが悪いのか騙されるほうが
悪いのか。まるで現代の世相が映されているかのようで思わず苦笑い。

だからこそ、ティラノ君が異国で出会った3匹の小さなホマロケファレとの
間で築かれていく友情が よりいっそう清々しく感じられました。
今回は言葉の通じない者通しでのコミュニケーションが大きなテーマと
なっています。ティラノ君は彼らに自分の言葉を教えようとしますが、
それが悲劇になろうとは…  これ以上は書けません。

意味は解らなくとも、心に伝わる言葉があります。
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いのちのまつり―「ヌチヌグスージ」いのちのまつり―「ヌチヌグスージ」
(2004/10)
草場 一寿

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沖縄の文化も伝わる命の絵本

サブタイトルにある「ヌチヌグスージ」とは沖縄の言葉で「いのちの祭り」と意味するとのこと。
絵本の冒頭で、お墓の前に集まった家族や親類らが、歌ったり踊ったりするシーンがあるので、
これがヌチヌグスージなのでしょうか。ご先祖さまに感謝の意を伝えるためだそうですが、
なんとも楽しいお墓参りですね。

その様子を初めて目にし、おどろいているコウちゃんに、おばあちゃんが命のつながり
について語って聞かせます。命をくれた人をご先祖さまというのだよと。
最も身近なご先祖さまが、お父さんとお母さん。そして、そのご先祖さま。
さらにそのご先祖さま・ ・ ・ ・とコウちゃんは想像を膨らませます。

絵本は途中にしかけがあり、命の広がりを視覚的に魅せてくれます。
一度あっとおどろき、さらに追い打ちをかけておどろかせてくれる演出は感動ものですね。
横開きのページで表されるコウちゃんの時代に対し、縦の広がりで時間軸の深さを
みせるやりかたは絵本としても出色の構成です。

「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」 長谷川義史:作
と併せてよむと、さらに楽しめるでしょう。
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じゅうにしのおはなし

2007/08/22 Wed 00:52

じゅうにしのおはなしじゅうにしのおはなし
(2004/12)
ゆきの ゆみこ

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正月には十二支について考えてみましょう(その9)

十二支の成り立ちをテーマにした絵本を時々みてますが、
実に多様な作品があるものですね。

本書もそんな中のひとつ。基本的なストーリーをおさえつつも独自性が加わっています。

たとえば本書で注目してほしいのは、神様主催による年明けの競争について説明するシーン。
パンダにタヌキ、もくらやブタ、ヒョウ、キツネ、シカ、シロクマ、カンガルーまでもが、
登場しているのです。 ネコはもうすでに寝ています(←おい! ちゃんと話しを聞け)

十二支の個性もよく表現されている。特に竜とニワトリの見せ場が多いので、
辰年のひと、酉年のひとは ちょっと得した気持ちになれますよ。

さて、来年は十二支の一番目となるネズミの年。
年末は新たな十二支の絵本が登場すると思われます。
期待して待つことにしましょう。
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