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黒グルミのからのなかに

2007/09/30 Sun 06:59

黒グルミのからのなかに黒グルミのからのなかに
(2007/08)
ミュリエル マンゴー

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スコットランドの民話をもとにした「死」を考える絵本

本書にいったい何が描かれているのかをタイトルから想像できたかたは
おそらく少ないのではないでしょうか。

ボクは海辺を舞台にした男の子のひと夏の思い出を描いた作品かなと
軽い気持ちで手に取りました。ところが、あつかっているテーマが「死」という
重いものであるとわかり、ちょっと面食らいました。
(しかし考えてみれば、予期せぬときにやってくるのが「死」というもの
 ととらえることもできますね)

表紙で男の子がもっているものをよく見てください。最初ボクは
旗かと思っていたのですが、実はこれ死神の鎌なのです!
母親を迎えにきた死神の老婆より、男の子がむりやり奪い取ったものなのです。
力を失った死神はというと、足もとの黒グルミの中にとじこめられています。

母は死をまぬがれることができました。しかし、それと引き換えに
「死」の消えた世の中ではいろいろな問題が発生してきます。

男の子の視点から「死」の意味について考えさせる哲学的絵本。
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Toot & Puddle: Let It Snow

2007/09/29 Sat 07:01

Toot & Puddle: Let It Snow (Toot and Puddle)Toot & Puddle: Let It Snow (Toot and Puddle)
(2007/10/01)
Holly Hobbie

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出会いの奇跡に乾杯

レビューした冊数とランキングの順位が今回でピッタリ一致しました!
その数字は「628」 ムニャムニャと覚えておこう。
そんな奇跡的出会いの日には、やはり仲良し2人組の作品を、
というわけで Toot & Paddle の最新作を取り上げたいと思います。

日本では 「Let it Snow」 というには早すぎますが、彼らの住んでいる
ウッドコックポケットでは、クリスマスシーズンが到来し、雪がふります。
一夜にして現れた銀世界は2人にとって特別な日となりました。
なぜなら、パドルが生まれてはじめて雪をみたからです。
「この感動をいつまでも心にしまっておきたい」 そんな想いとはうらはらに
雨がふって雪はあっというまに消失。2人はがっかりします。

しかし… そこで2人はそれぞれ決意するのです。
クリスマスに相手に何をプレゼントするかを。それが何かは見ての
お楽しみ。ちゃっかり者のオパールちゃんもいい味だしてます。

巻末には円型に切り取って使えるツリー用の飾り付き。
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たびはみちづれ (五味太郎の「干支セトラ絵本」)たびはみちづれ (五味太郎の「干支セトラ絵本」)
(2007/08)
五味 太郎

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トリからはじまる干支シリーズ(その10 午)

来年からは干支が一巡してネズミ年のスタートとなります。
それまでに、このシリーズも全冊そろいぶみといきたいところ。
ここはひとつウマの脚力を見せてもらおうじゃありませんか。
ところで、もしあなたが歩き疲れたな とおもったら

1:たまにはウマの背中に乗せてもらおう
2:乗ってる時間はウマにまかせよう

ウマはパコパコひとり旅をしていますが、実はみちづれもいいものだな
と思っているので、道中いろいろなものを乗せてくれます。
エェーッ! というものまで乗せちゃいますから、あなた一人くらいどうってことない。

だだし、もっと急げとか、どこそこへ行けとか、言ってはいけません。
その瞬間、ウマはいなくなってしまい、あなたはまた一人歩く事になるでしょう。
まさにウマが合うかどうかが重要なのです。

たとえ一人になっても、あわてることはありません。
この世に存在するものは、すべからく何かに乗っているのですから。

3:あなたの背中も見捨てたもんじゃない

枕元では羊が出番をまってます。
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もりのくうちゅうさんぽ―あまがえるりょこうしゃ (福音館のかがくのほん)もりのくうちゅうさんぽ―あまがえるりょこうしゃ (福音館のかがくのほん)
(2007/06)
松岡 たつひで

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紙飛行機にのって自然界をみると

このアマガエルくんはなかなか仕事ができる!
人間のこどもたちが遊んでいた紙飛行機をもとにして、
空中旅行ビジネスを立ち上げてしまうのですから。

飛行機の設計はもとより離陸システムまでしっかりと考えられている。
でも、行き先は風まかせでは…なんて心配した方。
表紙をよくみてください。すばらしいプロペラがついているのです。

飛行中に鳥におそわれたり、強烈な花のにおいで卒倒したりと、
他の動物や植物の生態はありのままに描かれているのところが
いいですね。空想的な話しに真実味が加わっているし、
自然についてさりげなく学べるのは、さすが自然科学絵本の第一人者、
松岡さんならではです。
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トイレせんちょう (わくわくメルヘンシリーズ)トイレせんちょう (わくわくメルヘンシリーズ)
(2007/08)
片平 直樹

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トイレに一冊どうぞ

トイレ船長とは何者? 
トイレを使う時のマナーを守らないと注意をするおじいさんなんですね。
小さな船にのってトイレに現れます。汚い汚い海賊もいるようです。

マナーというつかみどころのないものを、船長に置き換えたのは
絵本ならではの絶妙な表現といえます。水廻り関係だから船に
乗った船長というのは、非常に説得力があります。

ならば、お風呂船長、歯磨き船長 もどこかの家を航海しているのでは…
なんて想像がふくらみました。
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どろぼうだっそうだいさくせん!どろぼうだっそうだいさくせん!
(2007/08)
穂高 順也

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もうひとつ何かが欲しかった

1番イチドジル 2番ニスベル 3番サンマヌケル
これは、どろぼう3人のそれぞれの名前である。いいですね。
いかにも失敗をやらかしそうなダメダメ感がでてます。

ところが、名前に反して脱走作戦は意外とあっさり成功しちゃうんですね。
ハラハラドキドキする脱走劇を期待すると肩すかしをくうかもしれません。
3人それぞれが、どろぼうならではの得意技をもっているのかな?
と思いきやそうでもなかったし…

けっきょく最もマヌケなのは看守のほうでした。

後半はシュールな展開で風刺のきいたオチがついてます。
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サバイとピリィ ほしのともだちサバイとピリィ ほしのともだち
(2007/08)
はぎの ちなつ

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シリーズ第3作 ついに登場

ワニとヒヨコというユニークな仲良し2人組のサバイ&ピリィ。
約2年ぶりの新作登場ですね!

きのこ取りに出かけた彼らは、羽をもった不思議な仲間に出会います。
彼女は何かとても困っているようなのですが、はるか遠くからきたらしく
言葉が通じません。そこで、わかる者がいないか森中を訪ね歩きます。

カラフルで丁寧な自然描写は相変わらずステキです。
自分もその中に入って散策したくなりました。
それと、うさぎ博士、ねずみのおばさん、こうもりじいさん、鷲の大王  
といった、彼らが訪ね歩く者たちの家がこれまたよく出来ている。

存在感あふれる画面が空想の世界をより魅力的なものにしています。
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むしたちのえんそく

2007/09/23 Sun 07:07

むしたちのえんそく (絵本・こどものひろば)むしたちのえんそく (絵本・こどものひろば)
(2007/05)
得田 之久

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池にだって虫たちの世界があるぞ

シリーズ4作目のみどころは、遠足先の水辺にいる虫たち。
彼らの持ち味をいかして、林の虫たちを歓迎します。

スピードあふれる水上スキー、ワクワクドキドキの冒険船、
はすの葉の上でお弁当を食べたり昼寝のあとは、おかしな水中バレーを鑑賞。
などといったかなり盛りだくさんの内容を堪能しつつ、水辺に住む虫たちの特徴も
理解できてしまうのがポイントですね。

もちろん遠足は、家を出てから帰りつくまでの道中も楽しいもの。
そのあたりもしっかりと描かれています。

ところで、お弁当の時間にこっそりぬけだしたカマキリは何をしていたの?
(ん~ 意味深だ)
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メグつきにいく―メグとモグのおはなしメグつきにいく―メグとモグのおはなし
(2007/02)
ヘレン ニコル

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お散歩感覚で月へひとっ飛び

この時期(9月)に旬な絵本のテーマは「月」それと「ハローウィン」ですね。
そのふたつを同時に楽しめるのが本書。
なんといっても魔女と黒猫が宇宙船で月に行くというのいうのですから!

もちろん宇宙船は魔法でつくります。
方法はいたってシンプル。あなぼこチーズに特大のくしゃみをまぜるだけ。
魔法の得意な方はためしてみてくださいな。

月のウサギにあいにいこう! といざ発進。といったコミカルな前半の展開
に対して、無重力、月面車、宇宙食 といった、かなり現実的な描写の
後半が魔法のありがたみを際立たせています。
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狂言えほん しどうほうがく (講談社の創作絵本)狂言えほん しどうほうがく (講談社の創作絵本)
(2007/08/23)
もとした いづみ

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能楽堂でも見たくなる作品

しどうほうがく=止動方角 とは暴れだした馬をしずめるための呪文。
咳をすると暴れだす習性がある馬を借りてきた太郎冠者が、
この呪文を使って、わがままな殿様をこらしめるという話し。

文章は絵本化にあたり、わかりやすいシンプルなものになっているので、
本来の狂言をごらんになった方は物足りなさを感じるかもしれません。
そのかわり、絵は臨場感にあふれており、当時の庶民の様子や
動きある画面構成で魅せてくれます。

実際の狂言では、これをどのように演じているのか見たくなりました。

狂言に興味をもたれ、他にどんな作品があるのか知りたい方には、
「狂言・謡曲―ふたり大名ほか」今江祥智編/赤羽末吉画 がおすすめ。
いままで絵本化された ぶす/くさびら/しどうほうがく をはじめ10もの
狂言が紹介されています。
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