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だいすきなもの―ネパール・チャウコット村のこどもたちだいすきなもの―ネパール・チャウコット村のこどもたち
(2007/10)
公文 健太郎

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小さなことが素敵に感じられる作品

チャイコット村に住むこどもたちの生き生きとした姿と、彼ら彼女らの
大好きなものの紹介で構成された写真絵本。

ネパールという国は日本人には、あまり馴染みがないかもしれません。
ましてや、そこのチャイコット村といっても、いったいどんなところなのか?
ただ、表紙の女の子の笑顔が魅力的だったこと、
そして、ネパールは今ボクが住んでいるところの隣の国であること、
などからとても興味が惹かれました。

こどもたちの答えは、実に新鮮で、ときにハッとさせられるものが多い。例えば、

「地面がすき。地面がないと、ぼくたちは歩くことだってできないもん」

なんて発想いったいどっからでてくるだろう。
彼らにとっては、ただ純粋に生きること、自然に感謝すること、があたりまえの
ように身についているんでしょうね。

あとがきに出てくる少女の答えにいたっては、もはや詩人の域だ。

それぞれの答えには、それぞれの想いがある。
画面をじっとながめていると、いろいろと物語を膨らんでくる作品です。

ちなみに「貯金箱=お金」「サッカー」「バイク」といった答えもありますよ。
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輝ける鼻のどんぐ

2007/12/29 Sat 23:55

輝ける鼻のどんぐ輝ける鼻のどんぐ
(2007/12)
エドワード リア

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色々と疑問がわいてくる謎多き作品


      狂おしく 彼は行く 恋の闇路を。

これは作品中の一文ですが、すべてを象徴しているように思います。
“どんぐ”が見初めた“じゃんぶりー”の乙女に再会するために彼が
とった行動は異常としかいいようがない!

さきっちょにランプの入る大きな長い鼻をつくり、夜な夜な森を
さまようのですから。そんなことする前に“じゃんぶりー”をめざして
船で出かけるべきだと思うのですが…

大きな光る鼻は何かを探し出すための方向指示器。あるいは動く灯台と
とみることもできるので、全く理解できないわけではない。
が、どことなく作品の世界観に精神的ないびつさを感じてしまいます。

ただ、そんなことは外から“どんぐ”を見ているから言えるのでしょう。
他の世界から見れば我々も盲目的な行動を何かしているかもしれませんし。

ところで、他の作品にもでてくる“じゃんぶりー”という場所は
かなり良いところらしいですね。残念ながらボクはまだよんでないのですが、
この作品を理解するために、その「ジャンブリーズ」をよもうという
気にはならなかったです。
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おたまさんのおかいさん

2007/12/27 Thu 23:56

おたまさんのおかいさん (エルくらぶ)おたまさんのおかいさん (エルくらぶ)
(2002/12)
日之出の絵本制作実行委員会

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おたまさんの大声が画面から響いてきます

タイトルの「おたまさんのおかいさん」
意味はわからなくても、なんとなく暖かみのある響きがいいですね。
おかいさん:とは関西弁でお粥のこと。

戦後の日乃出(大阪市内)を舞台に、そこで暮らす人たちを
生き生きとした筆致で描いた人情味あふれる作品です。

その中心になっているのが、おたまさんという肝っ玉ばあちゃん。
孫の面倒をみたり、ご近所に食べ物をわけたり、喧嘩の仲裁をしたりと大活躍。
巻末には日乃出の生活や現代に至るまでの歴史なども丁寧に解説されており、
当時を深く知る手がかりにすることもできます。

この作品は読むだけでなく、味わうこともできますよ。
見開きにおたまさん直伝の おかいさん、ごっちゃに、きざみ の
作り方が紹介されているのがうれしい!
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ミレドーさんちのこびとたちミレドーさんちのこびとたち
(2007/12)
ひだ きょうこ

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たいせつなことをわすれかけた方へ

ミレドーさんの仕事は楽器を売ること。
代々つづく人気店のミレドーさんは、いそがしくて商品の手入れが
できないにもかかわらず、なぜか楽器はピカピカでいい音色。
実は夜中にこっそり働く小人たちが、影でお店をささえていたのですね。

ミレドーさん自身からは、楽器への思い入れが強くは感じられなかったので、
その点、もの足りなさがありました。

ただ、先代の教えを大切にすること、勤勉に働くこと、物をいたわること、
といったところをキーとするならば、小人そのものがミレドーさんの
心を具現化した存在とみてとることもできましょうか。

おとぼけ顔のミレドーさんと 小人たちの顔も、どことなく似てますし。
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マーガレットとクリスマスのおくりものマーガレットとクリスマスのおくりもの
(2007/11)
植田 真

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少女の純真さと浮遊感が心地よい

年末になると様々なクリスマス絵本が登場しますが、
そんな中でもボクが気に入ったのは本作。

黒を基調とした表紙、そして白を基調とした中の画面。
植田さんによる格調高い絵は、まるで高級レストランの
デザートのごとく上品な味わいに満ちています。

主人公はサンタクロースになりたい少女。
そんな彼女の夢がついに羽ばたく奇跡の日がやってきます。
奇跡といっても、あくまでも彼女の日常生活の延長上にある
ところがポイント。

白を生かした画面の中に雪はいっさい描かれていません。
赤い服のサンタやトナカイが登場するわけでもありません。
派手なプレゼントがあるわけでもありません。

が、そんなところが逆に作品の魅力になっているのです。
手垢のついた表現からはなれて、純粋に贈る心を描いた
ところがとても清々しいクリスマス絵本の傑作です。
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ともだちになって

2007/12/23 Sun 23:59

ともだちになって (絵本・いつでもいっしょ)ともだちになって (絵本・いつでもいっしょ)
(2007/08)
まつおか たつひで

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外見や文化の異なる者どうしが、友達になるには?

食う立場にある者が、食われる立場にある者と友達になろうと
するのは、なかなかむずかしいでしょうね。
ましてや、外見的にも奇妙にみられがちな「ヘビ」であれば
そのハードルはかなり高いでしょう。

本作のヘビくんは、もちろん相手を食べたり驚かしたりする
つもりは、全くありません。しかし、それがなかなかわかって
もらえないのですね。

そこで彼はヘビならではの特徴を生かして、皆のために
いろいろなことをしてあげるわけですが、その努力は
なかなか痛々しいものがあります。

結局、ヘビは何を食べるのか? という問題が
明確になっていないのが、最後まで気になりました。

ヘビという存在はあくまで象徴的なものだとするなら、
絵のタッチはもっと簡素化して、生態的な事柄を感じさせない
ようにする演出が必要だったのではないかと思いました。
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HORN PLEASE (GURGAON)

2007/12/23 Sun 01:34

HP071223  近所を散歩中に
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おつかいしんかんせん

2007/12/22 Sat 00:02

おつかいしんかんせん (そうえん社・日本のえほん)おつかいしんかんせん (そうえん社・日本のえほん)
(2007/12)
福田 岩緒

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ユニークなおつかい絵本

「おつかい」をテーマにした絵本はいろいろありますが、
おもちゃの新幹線に乗って出かけるという点がユニーク。
電車好きの男の子らしい発想ですね。

ママのおつかいメモ=切符
ガードレールの内側=線路
公園/ポスト/八百屋=駅

というようにみたてられています。

みたて絵本によくあるように、途中で劇的に絵が変化したりとか、
電車絵本によくあるように、さまざまなお客さんが乗ってきたり
という華やかな展開はありませんので、多少物足りなさを
感じる読者がいるかもしれません。

ただ、本作で注目すべきは、男の子と町の人たちとの交流です。
それぞれの人間味が丁寧に描かれている秀作といえます。
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きえないヒョウのつめあと

2007/12/21 Fri 00:03

きえないヒョウのつめあときえないヒョウのつめあと
(2007/11)
甲斐 望

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もっとも危険な動物は 人間なのか

戦争が残した傷跡は動物園にまでおよんでいたのですね。
1943年の9月、大阪の天王寺動物園でおこなわれたのは、
動物たちの処分。もしも檻が壊れて逃げ出した動物たちが
人間を襲ったら危険だ、というのが理由とのこと。

確かにそれは言えるでしょう。
ライオンやトラやヒョウが放し飼い状態になるわけですから。
もし彼らのことを思うなら、人を殺めるという罪をおかさない
ようにしてあげるのが、飼う側の配慮だとは思います。

でも… 本当にそれは正しいことだったのか?

人間のために罪のない命が失われていくやるせなさに
重い溜め息がもれた作品でした。
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はつゆき

2007/12/18 Tue 00:04

はつゆき (レインボーえほん)はつゆき (レインボーえほん)
(2007/11)
西片 拓史

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雪のつくり方を種明かしすると

夜中にボートで湖にこぎだすふたり組。
導入部の展開は、ユリー・シュルヴィッツの名作「よあけ」を
期待させるものがありました。

しかし彼らは雪を待つ側ではなく、降らせる側。
外見とはうらはらに魔法使い的な存在だったのです。
雪が生まれるまでの過程をファンタジックに描いたところが
特徴的な作品です。

雪を作る側の風貌はもっと特別なものにして、雪を作る過程に普通の子供が
からんだほうが、より作品の世界に共感しやすくなったかな。と思いました。
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