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わかりますとも! (五味太郎の「干支セトラ絵本」 12) (五味太郎さんの干支セトラ絵本)わかりますとも! (五味太郎の「干支セトラ絵本」 12) (五味太郎さんの干支セトラ絵本)
(2008/04/10)
五味 太郎

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トリからはじまる干支シリーズ(その12 申)

やったぁ! 干支セトラシリーズもサルの登場でついにゴールイン。
最後なので、サルくんが勝手に何かやらかすのでは?と、心配しましたが、
あくまでも12分の1として、みごとなチームプレーをみせてくれました。
と、まとめたいところですが…

1:なんだか自分のことが描かれている気がする
2:わからないものがあるってことがわかった

読後に人ごとならぬ、サルごとに思えないなって感じた人は
ボク以外にも、けっこういるのでは? 普段あなたがやってること、
考えてること、ちゃんとみんなに理解されていますか?

心配になるとすれば、それは自分のことをみんなにわかって欲しい
と思っているからでしょうね。しかし、そうそう簡単なものではない。
世界を見渡すと、よくわからないヤツのほうが多いもんです。

相手が宇宙人なら、わからなくても納得できてしまいますが、
似た者同士だと、わからないことが気になるんでしょうな。
そこはアートやパフォーマンスの一種だと思って楽しみましょうよ。

3:わからないほうが、かえっておもしろい

だって、そう思うしかないじゃん。そうだよね?サルくん。

さて、それでは またトリにもどろうか。
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ユゴーの不思議な発明

2008/04/19 Sat 22:38

ユゴーの不思議な発明ユゴーの不思議な発明
(2007/12)
ブライアン セルズニック

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本を開いた瞬間、あなたの書斎は古き良き時代の映画館に!

□                                      □
□辞書のような分厚さと重さをもった黒い本というだけでも異質ですが、      □
□                                      □
□中身もかなり異質。なんとページの大半はモノクロームの鉛筆画なのですから。  □
□                                      □
□連続する絵と絵の間に文章が入るという実験的な構成は、一見すると奇をてらった □
□                                      □
□かのようにも見えるでしょう。しかし、けっしてそれだけではありません。    □
□                                      □
□物語のモチーフである創世記の映画にちなんで必然的に生まれた表現形式なのです。□
□                                      □
□その意味で、二重にクリエイティブな作品ともいえますね。           □
□                                      □
□ボクは冒頭のシーンからドキッとさせられ、画面から眼をそらせなくなりました。 □
□                                      □
□少年の謎の行動と気難しそうな玩具屋の老人。それぞれの視線が交錯する     □
□                                      □
□瞬間までの五十数ページはかなりスリリングな展開です。            □
□                                      □
□そこで好奇心というゼンマイがフルに巻かれてしまい、後戻りできなくなりました。□
□                                      □
□新たな読書体験をしたい方、映画マニアの方、ミステリー好きな方におすすめ。  □
□                                      □

--------------【Review for Review】--------------
左右の四角はフィルムの送り穴をイメージしているのですが、
等幅フォント以外で表示されると意味不明ですね。一応補足まで。
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うさぎ座の夜

2008/04/14 Mon 22:48

うさぎ座の夜うさぎ座の夜
(2008/01)
安房 直子

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選ばれし者だけが観れるうさぎの人形劇へ

うさぎ座というのは、うさぎ達による人形芝居のいち座。
(星座じゃないですよ)
小夜という女の子は、紅葉の葉でできた招待状をうけとり
土曜日の夕方、林の奥のよもぎ谷へ一人で出かけていきます。

たった一人で家から離れた場所へ出かけることで、
だんだんと現実世界から物語世界へ入っていけるわけですね。
そして、そこの住人である動物たちと出会い、自然に言葉を
交わしていくことで、新たな世界での居場所を得るという展開。
このあたりは同作者の絵本「初雪のふる日」「てんぐのくれためんこ」
にも通じるものがあります。
新たな世界の中では、ちょっとしたミステリーがあり、緊張感が生まれます。
不安と期待が交錯しつつも最後は解決し、余韻とともに現実世界へ。
そこで読者の空想体験も心地よく終えられるとうわけです。

さて、その意味で言うと、今回のミステリーは上演中に登場する
ある人形にあります。小夜はそれがとても気になって劇に
集中できなくなりますが…

味戸さんによる絵は、他の童話でもよく目にしているので、
新たにハッとするものはないけれど、安心してみることができました。

偶然ですが、昨日はインドにきて初めて人形劇を観ました。
ポストに届けられたパンフで上演があることを知ったのですが、
一人で慣れない世界へ観劇に出かけるところは、本作と共通してますね。
ただし、こちらでは劇よりも現実世界のほうがミステリーにあふれて
ますけどね(笑)
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てんぐのくれためんこ

2008/04/13 Sun 22:51

てんぐのくれためんこてんぐのくれためんこ
(2008/03)
安房 直子

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めんこ遊びに興じた大人にもおすすめ

安房さんの童話を絵本化した作品として、今だ強く印象に残っているのは、
「雪窓/山本孝:絵」だ。最近よんだ絵本では「初雪のふる日/こみねゆら:絵」
も良かった。それぞれ絵の魅力と文章の相乗効果で一冊の本としての満足度が高いです。

もともと文章だけで完結しているし、多くのファンを持つ安房さんの童話にだけに、
絵をつける方は大変だと思います。ともすれば文章を説明するだけの絵に
なってしまいがちだし、かといって絵が頑張りすぎると原作の世界観が失われてしまう
可能性がありますから。理想は両者のハーモニーによって新たなオリジナルが生まれる
ことですね。(言うのは簡単ですが)

さて、本作は めんこ をモチーフにした元気あふれる作品。
男の子はついつい引き込まれてしまうスポコン系ファンタジーです。
早川さんの勢いある筆運びは、この童話を素直に視覚化したといえるでしょう。

ただ、ボクはこのシリーズに期待するものが、どんどん大きくなってきているせいか、
もうひとつ何かないかなあ、なんて、ぜいたくな欲求をちょっと抱いてしまいました。
(絵本をよみすぎるのも、困ったもんですな)

例えば(ありえないですけど)C.V.オールズバーグ が絵をつけたら、どんなものになっただろう
なんて想像しだすと、止まらなくなってしまうものですから…
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スイカぼうず

2008/04/12 Sat 22:53

スイカぼうずスイカぼうず
(2007/12)
とみた 真矢

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いちばんスゴい力は?

黒々として大地にどっしりとかまえたスイカぼうず。
なんと、彼は修行をしていたんですね!
いったい何の修行していたのかは、直接描かれていません。
ただ、「俺より強い者はいない」と言い切る自信から、
かなり過酷なことをしていたのでしょう。

そんな彼を戒めるように、どこからか声がとどきます。
「修行が終わるのは おまえがひっくり返されたときよ」と。

丸い形のスイカなんて、簡単にひっくり返せるだろうと
思いきや、彼もなかなかのもの。
次々にいどんでくる、山の主や海の主や空の主を、気合いもろとも
ひっくり返してしまうほどですから、言うだけのことはあります。

彼は手足がないのに、どうやって移動したり、作業をしたり
するんだろうなんて思いましたが、おそらく強靭な精神力で
なんとかしているんだなと勝手に納得しました。

そんな彼も、遂にはひっくり返されてしまいます。
いったいどんな力が そうさせたのか?

さらりとよんでも、じっくりよんでも味わえる
懐の深い作品です。
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ヒメちゃん

2008/04/09 Wed 22:54

ヒメちゃん (おひさまのほん)ヒメちゃん (おひさまのほん)
(2008/03)
荒井 良二

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今日はヒメがつヒメにち

たからものを探しにでかけたヒメちゃん。
でもそれがどんなものだったのか、忘れてしまうのですね!

たからものというからには、彼女にとって大切なものなんでしょう?
忘れる以前に覚えていないのでは、と言ってやりたくなりますが、
あげくに「たからものー でてきてえー」なんて大声に出してしまう
ところに、ただならぬものを感じました(笑)

しかも、その呼びかけに応えてくれるヤツらがつぎつぎに登場。
おいしいものや、美しいものや、強いもの など出してくるものの、
彼女の探しているものとは、なんだかちがう。

  そのときです!  

という大きな文字の後に、毎回 登場するオージくんと
その日の結果をまとめたヒメちゃん日記が いい味だしてます。

終わりのほうでは、たからものなんてどうでもいいじゃないか
という気持ちになってきました。

あっ、そうそう けっきょく たからものは みつかるんですけどね。
それがどんなものだったかは、よんでのお楽しみ。
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ニャンニャンシティマラソンニャンニャンシティマラソン
(2008/02)
谷川 晃一

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猫による東京マラソンの前座?

なにげに本書の初版発行日をみたら2月16日とありました。
2008東京マラソンの2月17日に一歩先駆けての登場ってわけですね。
ランナーはすべてネコ。ネズミをみつけてコースを外れるヤツがいたり、
給水地点に魚があったりと、ネコならではの演出がうれしかったりします。

しかし、後半クロドラくんを襲ったハプニングは、いかがなものでしょう。
マラソンとは直接関係のない要素なので違和感がありました。
ボクとしては、もっと走る楽しさを素直に描いていただきたかったです。

ネコ好きの方、マラソン好きな方からみると、それぞれ食い足りなさを感じる
内容かもしれません。
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氷河ねずみの毛皮

2008/04/06 Sun 22:56

氷河ねずみの毛皮 (日本の童話名作選)氷河ねずみの毛皮 (日本の童話名作選)
(2008/02)
宮沢 賢治

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賢治の世界を贅沢な絵とともに味わう

氷河ねずみって実在の動物? おそらく賢治の造語だとおもいます。
実在するにせよ しないにせよ、ネズミで毛皮のコートをつくるとなると、
かなりの数が必要になることはまちがいありません。
本書に登場する男の話によれば一着につき450匹も使ったとのことです!

舞台の中心はイーハトーブから北極のほうへ向かう列車の中。
おもいおもいに防寒対策をほどこした乗客たちは、みな一癖ありそうですが、
中でも赤ら顔の太った紳士はかなりクセ者。
彼が自慢げに自分の着込んだ服について語り始めるとともに 
列車の中が不穏な空気につつまれていくので、こりゃあとんでもない
ことが起こるだろうなと、思わず引き込まれてしまいました。

原作は有名なようですが、もしこれから読まれようとしている方は
本書をぜひ手に取ってみてください。なんといっても挿絵がいいです。
暖かさや寒さが体の芯まで伝わってくるかのような情感にあふれ、
まるで自分も列車で幻想を見ているかのような気持ちにひたれます。

C.V.オールズバーグ的な世界が好きな方にもおすすめ。
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デッカイノがやってきた

2008/04/05 Sat 22:57

デッカイノがやってきたデッカイノがやってきた
(2008/02)
高岡 洋介

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大自然の意思が感じられる絵本

大地の恵みをテーマにしたスケールの大きい話ですね。

土でできた巨人を デッカイノ と言ったり、
雪を しろいもの と言ったりする独特の言葉づかいは、
言語表現もままならない太古の世界を感じさせるものがあります。

ただ、鳥、雨、花や芽 花びら、花粉 といった言葉は、
そのままになってるところに、ちょっと違和感がありました。
結果的に、画面の内容を文で説明するだけになってしまいますから。

詩的で象徴的な言い回しを徹底したほうが、絵とのバランスもとれ
神話的作品として、より味わい深いものになったのではないでしょうか。
(あくまでもボクの好みですが)
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ありがとうターブゥ

2008/04/03 Thu 22:58

ありがとうターブゥありがとうターブゥ
(2008/03/15)
わたなべ まりな 文

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Thank you.

2年前のボクなら、本書についてこんなことを思っただろう。
・わすれんぼうの主人公がおつかいをする話ってよくあるな とか
・動物たちの名前のつけかたが、安易だな とか
・みんながあつまって食事をするエンディングはありがちだな とか

しかし今は、そんな表面的なこと どうでもいいじゃないかという気持ちが強い。
日本と勝手の違う生活しているせいか、たいていのことは受け入れられるように
なったからかもしれません。

本書の核になっているのは、「ありがとう」という言葉にこめられた感謝の気持ち。
それは昨年、男児を出産された満里奈さんが 我が子に最初に伝えたいメッセージを
形にしたものと言っていいでしょう。

「ありがとう」って 言われた方もうれしいものです。

本書がきっかけで「ありがとう」が世の中にひとつでも増えたら
すばらしいなと素直に思いました。
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