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まっくら、奇妙にしずか

2008/08/31 Sun 07:00

まっくら、奇妙にしずかまっくら、奇妙にしずか
(2008/07/12)
アイナール トゥルコウスキィ

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狂気という放射能を放つ絵本

★ブラティスラヴァ世界絵本原画展2007年グランプリ受賞
★レーゼペーター賞 ★トロイスドルフ絵本賞2席
★画材は1本のシャープペンシルのみで、3年を費やした。

という事実はたしかにすごいでしょうが、ボクにとってはささいなことです。
なぜなら賞や制作方法なんて知らなくても、絵をみた瞬間に
作者の狂気的才能が一直線に伝わってきたから。

モノクロームの静かな空間は「メタフィジカル・ナイツ:たむらしげる」
と相通じるものがあり、緻密に構築された確固たる世界が生み出されています。
そこに心をゆだねて空想旅行するのも、ひとつの楽しみ方ですね。

ただし、画面全体を支配する退廃感と、欲が破滅をもたらす展開は
末期を迎えた人類の未来をみているようで、危険なエネルギーが
放射されていることはまちがいないです。

狂気的美しさに汚染されないよう注意してよまれたし。
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こわがりやのクリス だっしゅつだいさくせんこわがりやのクリス だっしゅつだいさくせん
(2008/05/25)
メラニー・ワット

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勇気をもってチャレンジしよう

この本を読もうかどうか、ず~っと迷っている方にお尋ねします。

  ●安全な家にじっとしているのが好きですか?

  ●薬用せっけんを愛用してますか?

  ●万一に備え、救急箱の中にイワシの缶詰を入れてますか?

  ●いざとなったら死んだふりができますか?

  ●あなたは緑の火星人ではないですよね?(←かなり重要)


すべてイエスと答えた方は、ぜひとも読んでください!
クリスの体験をとおして、自分が変わる可能性にきづくことでしょう。

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昨日はデリーにオープンした寿司屋に思い切って足をはこびました。
雑誌に紹介されていた写真はモダンな雰囲気だったのですが、
店内に入った瞬間 眼にしたものは!!!!

4人でラーメン一杯だけ食べて退散。
それでも新しいチャレンジをしたことに後悔はしていません。

ご参考→  http://www.sushiyaindia.com/index.php
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かんがえるアルバート ぼくのいるところ (講談社の翻訳絵本)かんがえるアルバート ぼくのいるところ (講談社の翻訳絵本)
(2008/07/01)
ヤマモト.L.

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考えるという冒険もある

雨つづきで、外にもでられず、室内ですべての遊びをやりつくした
アルバートが始めたことは、考える事。

彼の思考は天気なんてそっちのけ、家をとびだし、町を見下ろし、
空高く飛翔しつづける。ついには地球を離れ、星の海へ踏み込んでいく。
そして好奇心というジェット噴射で、宇宙の先へと向かう!
アルバートならではのやり方でね。ここがポイントです。

そういえば、ボクも小学生のとき宇宙旅行したっけ。
部屋を暗くし、宇宙図鑑に描かれた岩崎一彰さんのイラストを
ジーっと見続けていると、そこに到達できたのです(笑)

ところでアルバートは無事にもどってこれたのだろうか?
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トイレでうんちできたかな? (こどもプレス)トイレでうんちできたかな? (こどもプレス)
(2008/06)
わたなべ あや

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新感覚のトイレ絵本、ブリブリッと楽しもう

トイレトレーニングをテーマにした絵本。
といっても、中身はかなりシュールな香りで満ちています。

赤、青、黄色のカラフルなウンチちゃんたちが登場。
そして!ウンチがウンチをしてしまうのだ!!!
卵が卵を生む、あるいはお尻から自分が出てくる、くらいの衝撃を感じましたが、
要はどんな容姿をしていようが関係なく、みんなウンチをするんだよ
ってことなのでしょう(冷や汗)

しかも!ウンチちゃんのママは便器で、パパはトイレットペーパーときた。
ってことは、ママもウンチをするのか…? では出産とのちがいは…?
ウンチちゃんたちは成長するとどうなるのだ…?
たぶんウンチ型のさなぎがやぶれて、女性は便器、男性はペーパーに
なるのでしょう。いや、でもトイレットペーパーのおばあちゃんが出てきたなあ。

………

わかった! ここはトイレワールドなので、便器系、ウンチ系、ペーパー系
といった血筋があるんだ。

なんてことを気にするような人は、甘いのかもしれません。
子どもは素直にこの本を楽しめると思いますから。

もちろんウンチがケーキを食べたっていいんです。
人によっては生理的な嫌悪感を生みやすいテーマを
あっけらかんとしたパワーで描ききった作者の勝ちです。
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したのどうぶつえん

2008/08/22 Fri 07:05

したのどうぶつえんしたのどうぶつえん
(2008/05)
あき びんご

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アンダーグラウンドな世界へ

うえの動物園があるなら、したの動物園があってもいいだろう
という妄想が発展して生まれた絵本ですね。

一風変わった動物たちが読者を迎えてくれます。
シマウマならぬシマウシ、キリンならぬキリンゴ。
ほとんど駄洒落の世界です。

しかし、ニワトリワニやブタコブラクダ等にいたっては
ちょっと不気味… というか行き過ぎた環境破壊や遺伝子操作の
産物ではと想像してしまい素直に笑えませんでした。

もっとマンガチックな絵であっけらかんとやってくれれば
よかったのですが。笑いと悪夢が紙一重。

その意味では文字通りアンダーグラウンドな動物園と言えます。
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迷いの路

2008/08/20 Wed 07:07

迷いの路迷いの路
(2008/07/30)
ふくだ としお

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今 迷っている方、あるいは迷いたい方へ

曲がりくねった山道を犬とともに歩く男の表紙は、
どことなく思索的な空気をただよわせている。
この男の行く末には何があるのか?

答えはないが、進むべき路はある。
時にはいきどまったり、だまされたり。
近道をしようとしてうまくいかなかったり、
あえて回り道をしてみたり。
迷いと決断の連続に終わりはあるのか?

そんな体験を味わいたい方はどうぞ。

数行の文章にそえられたイラストは一見すると
迷路になっているとは気づかない。
ゲームじみた読み方を強要していないところに
大人の風格が感じられる渋い絵本。
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あいさつ団長

2008/08/17 Sun 07:08

あいさつ団長 (cub label わんぱく小学校シリーズ 3)あいさつ団長 (cub label わんぱく小学校シリーズ 3)
(2008/07)
よしなが こうたく

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耳にも体にも響く元気な絵本

子ども達(子どもの心をもった大人も)よ! 北京オリンピックの熱戦を
クーラーの効いた部屋で観るのもいいけど、たまには太陽の元へ飛び出そうぜ。
絵本をよむなら、熱い絵本をよめ!大声でよめ!あいさつは元気よく!

というわけで「あいさつ団長」のお出ましだ。
画面いっぱいに炸裂する、わんぱくパワーはシリーズ3作目でも
容赦なしにせまってくるぞ! 吹っ飛ばされないように覚悟してよめよ。

今回は青い眼のサムソンくんが登場。役者も国際的になってきたね。
テーマはあいさつ。あいさつとは何なのかを心の中だけでなく、
肉体の隅々まで注入してくれる気合いのこもった作品だ。

そういえば絵本オリンピックの開催が密かに検討されているという
噂が本当であれば、ボクからは日本代表として本作を推薦しよう。
種目は「学校絵本:わんぱく級」に決まり!
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クラウディアのいのり

2008/08/15 Fri 07:09

クラウディアのいのり (絵本のおもちゃばこ)クラウディアのいのり (絵本のおもちゃばこ)
(2008/07)
村尾 靖子

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ロシアの片隅の村で生まれた大きな愛の物語

スパイの疑いをかけられ戦後のロシアで家族と別れて半世紀ものあいだ過ごした
日本人男性と、彼の無実を信じ共に支え合ったロシア人女性との実話をもとに
した絵本です。

「クラウディア奇蹟の愛/村尾靖子」として出版もされ
「クラウディアからの手紙/斉藤由貴出演」で演劇化されているので
ご存知のかたもいるかと思いますが、ボクは本書でこの史実を初めて知りました。

戦争という大きな力は、人の運命をほとんど無力化してしまいます。
しかしながら、そんな過酷な中でも前向きに生き続けることに、
大きな意味があると思い知らされる作品です。

・帰国を断念しロシア人として生きることを決意した男性
・いつかは日本に帰ってくると信じて彼を待ち続ける妻
・そんな境遇まで含めて彼を愛し続けたロシア人女性

いづれの立場になっても辛いものがあり、またそれぞれが
幸せを得る権利があります。

クラウディアが最後にくだした決断から限りない愛の純粋さ伝わってました。

50年という歳月の重みは、とても限られたページ数の中に収めきれる
ものではありませんが、戦争や愛について考えるきっかけになる絵本です。
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かたつむり

2008/08/13 Wed 07:13

かたつむり (狂言えほん)かたつむり (狂言えほん)
(2008/06)
内田 麟太郎

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演目名は「蝸牛」でも牛は出てきません

巻頭の解説によると、かたつむりは とても縁起のいいものなので、
食べると長生きするのだそうだ。かたつむりを食べるのはフランス人
だけかと思っていましたが、日本人も昔は食べてたのでしょうか?

まあ、そんなわけで 主人からかたつむりを取ってこいと命令された、
太郎冠者が どういうわけか やまぶしをつれて帰ってくるという
こっけいな狂言をもとにした作品です。

勘違いもここまで、やってくれるとなかなか壮快ですなあ。

画面のすみずみにまで、描かれた動物たちが、話に彩りを添えている
のは絵本ならでは味わい。
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こんな町、つまんない!

2008/08/12 Tue 07:41

こんな町、つまんない!こんな町、つまんない!
(2008/07)
マーク ローゼンタール

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平和が何よりですが

表紙には「こんな町、つまんない!」と書かれたプラカードをもった
ふてくされ顔の男の子が登場。いったい何が不満かといえば、
自分のすんでいる町では、何事もおこらなくて退屈をもてあまして
るんですね。

じゃあ、本当にそうなのか? というと男の子のまわりでは
実にいろいろな事が起こっているのです。うつむきかげんで歩く
彼は、それらに全く気づいていない!

という状況を、はたから見て楽しむ作品です。

やけくそになって、男の子が蹴飛ばした空き缶が、
めぐりめぐって彼にサプライズをもたらす展開がみどころ。

欲を言えば、もっと大げさな展開があってもよかったかな。
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