fc2ブログ

つみきのいえ

2008/11/30 Sun 18:38

つみきのいえつみきのいえ
(2008/10)
平田 研也

商品詳細を見る

人の記憶と家の建造が見事に融合

各国映画祭で絶賛されたアニメーションの同作者らによる絵本バージョン。

海の町でひとり暮しするおじいさんはの家は、上へ上へと増築していったもの。
その町は、すこしずつ海面が上昇しており、その度に今の家の上に新しい家を
積み重ねていったのだ。

ある日、自宅の増築中に工具を落としてしまい、おじいさんは海中へ。
かつて住んでいた家を下へ下へと訪れることで、自らの思い出も
よみがえってくる。おばあさんとの別れ。孫と楽しんだカーニバル。
娘の結婚式。そして一番最初に住み始めた家。

淡いタッチの水彩画はテーマとマッチし絵本としても充分に楽しめる。
南欧を彷彿させる建物と生活感あふれる描写が空想的世界にリアリティーを
もたらしている。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

チョコレータひめ

2008/11/29 Sat 18:40

チョコレータひめチョコレータひめ
(2008/10)
もとした いづみ

商品詳細を見る

ダイエット用に一冊どうぞ

寒くなるとチョコレートが恋しくなります。
ボクにとってチョコレートといっしょに絵本を読むのは至福の時でもあります。

本作には甘~いお菓子の大好きなお姫様が登場し、美味しそうなチョコレート、
ケーキ、クッキーなどが次から次へと登場します。これはぜひお気に入りの
スイーツ片手に読んでくださいとおすすめしたいところですが、
単純にそうは言い切れない。

触れたものすべてをお菓子に変えられる魔力を授けられた
お姫様は、ありとあらゆるものをお菓子にしてしまうのです。
最初はその力を楽しんでいたのですが、いくら美味くてもお菓子になることで
価値が下がってしまうものもあるし、人間までチョコレートになっては悲劇。

何も食べずともお腹がふくれてきて、ごちそうさましたくなる絵本です。
その意味では、チョコレート中毒の方におすすめか(笑)
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
飛行機になりたいオーラフを、サンタクロースがどのようにたすけたか飛行機になりたいオーラフを、サンタクロースがどのようにたすけたか
(2008/10)
フォルカー クリーゲル

商品詳細を見る

異色のサンタとヘラジカのコンビが空中飛行へいどむ

まず本書より先に「ヘラジカのオーラフが、サンタクロースと友だちになったわけ」
をよむことをおすすめします。オーラフの片方の角が折れているのは何故か?
サンタクロースとどのように出会ったのか? といういきさつが良くわかるからです。

本シリーズに登場するサンタクロースは特別な力があるわけでなく、
普通の人間として描かれており、そこが作品の味わいにもつながっています。
友が怪我をしても奇跡の力で直すわけでもなく、空を飛ぶなんてことは
魔法のじゅうたんでもなければ無理。

だから、自分は空を飛べると思い込んで大けがをしたオーラフを元気づけるために
サンタがしたことは、ある意味まともな事と言えるでしょう。
魔法に頼らず、自らの力で何かを成し遂げる達成感が伝わってきました。

絵本にしては文章が多めですが、そのぶん絵だけの終盤が生きてますね。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

いいからいいから〈3〉

2008/11/27 Thu 18:43

いいからいいから〈3〉いいからいいから〈3〉
(2008/09)
長谷川 義史

商品詳細を見る

いいのかなあ?

(他の方のレビューでチェックしたら) あっ ほんとだ、幽霊さんがいた! 
「いいからいいから2」で登場してから、家に住み着いてしまったのですね。
3のほうを先によんだので気づきませんでした。

ここまでのシリーズを通して言えるのは、おじいちゃんの所へ とんでもないお客が
やってきて、とんでもない事態になってしまうのですが、それを「いいから いいから」と
受け入れていく心のゆとりが描かれていること。

しかし、貧乏神まで家につれてきてしまうのはいかがなものか?
このご時世に、おじいちゃんも 家族の苦労を考えた方がいいのでは。
なんて心配をしつつつも、こんなご時世だからこそ「いいから いいから」の
精神が大切なんだろうなとも思いました。

でも、そのうち誰かが「だめじゃあ!」と怒鳴るかも(笑)
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
ペネロペ こわいゆめを やっつけるペネロペ こわいゆめを やっつける
(2008/10/18)
アン・グットマン

商品詳細を見る

こわい夢に効く絵本

表紙には、キラキラ光るパウダーの特殊印刷がされています。
実はこれが魔法の粉なんですね。こわい夢をやっつける効果があります。

これと全く同じ本が作中にも登場。こわい夢をみて眠れないペネロペに
パパが手渡してくれるのです。効果のほどはみてのお楽しみ。
こわいどころか、すてきな夢の世界がつぎからつぎへとあれわれます。

夢を信じる者には絶大な効果がある絵本ですね。
その意味では、最高の実用書といえるかも。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
せんをたどって せかいいっしゅう (講談社の翻訳絵本)せんをたどって せかいいっしゅう (講談社の翻訳絵本)
(2008/10/11)
ローラ・ユンクヴィスト

商品詳細を見る

線で世界をたどる

表紙から裏表紙まで一筆書きが続く、せんをたどってシリーズ3作目。
すでに前作をごらんになっている方からみれば、予想通りの内容です。
言い方を変えれば、期待を上回るものとは言いがたいかもしれません。

一筆書きの妙技とグラフィカルな画面で魅了した1作目、
家の中という身近な世界を描き、親しみを感じた2作目、
に比べると、いまひとつ物足りませんでした。

もちろん絵としての美しさ、世界の国々をめぐる面白さはありますので
単独でみれば充分楽しめる絵本ではありますが。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
ねぎぼうずのあさたろう〈その7〉さんぞくまつぼっくりのもんえもんのなみだ (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その7〉さんぞくまつぼっくりのもんえもんのなみだ (日本傑作絵本シリーズ)
(2008/09)
飯野 和好

商品詳細を見る

峠の茶店でよみたい絵本

今回の舞台は滋賀県の鈴鹿峠。箱根と並ぶ旅の難所として知られています。
この峠道の途中にあるのが鏡岩。表面が鏡のように磨かれ、山賊はこの岩に
写る旅人を先回りした襲ったとの伝説が残っているそうな。
シリーズ第7作は そんな伝説がもとになっています。

食べ歩きならぬ、戦い歩き。今回は「まつぼっくりのもんえもん」とその子分
「からすうりのきんぞう」 「やまなしのごんじ」が相手です。
道中であった、おじいさんと孫の危機を救うため、あさたろうが ぴゅるるるっる と
いつもの活躍。今回はあさたろうのピンチに○○○が駆けつけ、
スリルあり涙ありの物語となりました。

それにしても、実際鈴鹿峠にいって鏡岩を見たくなりましたね。
旅心をそそる時代劇絵本、次回は何処が舞台となるのか楽しみは尽きない。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

ぼくのかえりみち

2008/11/23 Sun 18:48

ぼくのかえりみちぼくのかえりみち
(2008/10)
ひがし ちから

商品詳細を見る

男の子の試みは成功するか?

前作「えんふねにのって」に続いて、通学時のひとときが描かれています。
思い返せば、ボクは小学校のときは自転車通学していました。
そして、下校時は登校時とは全く対称的なことに新ためて気づきました。
授業からの開放、遅刻とは無縁、たまには寄り道 とマイペースで家に
向かえる自由がありましたっけ。

だから本作で男の子が、帰宅時をゲーム化し道路の白線の上をたどって
家まで行けるかどうか試そうとする気持ちは、実によくわかりました。
誰しも子どもの頃は同じ経験があると思いますが、その試みは途中で線が
切れてたりして、たいてい残念な結果に終わったのではないでしょうか。

男の子もさまざまなピンチに出会います、どうやってそれをクリアーしていくのか?
思わずこちらも夢中になり、冒険の時間にはまることまちがいなし。

さりげない日常が想像力で楽しくなることを描いた秀作です。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

りんごのなかのビリー

2008/11/22 Sat 18:50

りんごのなかのビリー (あかね、新えほんシリーズ)りんごのなかのビリー (あかね、新えほんシリーズ)
(2008/09)
ひだ きょうこ

商品詳細を見る

新聞にどんなお話が書かれていたかは、よんでのおたのしみ

りんごの家に住むいもむしのビリーは、ゆかいなお話をつくるのが得意。
ふくろうのジジットさんのすすめで、ビリーはお話しをのせた新聞を発行しはじめます。

新聞は特製のりんごの紙をつかい、一枚一枚手書きでつくるという味のあるもの。
お話の内容もひとつひとつ違うものになっていて、どこの誰にとどくかは風任せという気楽さ。
しかし、受け取った者がビリーのお話をよんで、けんかをやめたり、遊園地を作ろうとしたり、
はたまた魔女の悪だくみから町が救われたりと、ビリーの新聞は大活躍します。

そんなこと発行者のビリーは知らないのですが、そこがまたゆかいでもあります。
そのうちどこかでビリー新聞を目にするかも、いや、わが家のインコはもう
読んでいるかも なんて、たわいのない想像をたのしむ作品です。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

パパがやいたアップルパイ

2008/11/21 Fri 18:51

パパがやいたアップルパイパパがやいたアップルパイ
(2008/09)
ローレン トンプソン

商品詳細を見る

今世紀最高のアップルパイ絵本!

【注意】これから本書をよまれる方へ

まずアップルパイを用意することをおすすめいたします。
なぜなら読後にたまらなくアップルパイを食べたくなってしまうから。

ページを開くと表れる真っ赤な見返しに100%の人がリンゴをイメージするでしょう。
さらに、ベースにつかわれているベージュの紙に同じく100%の人がリンゴの果肉を
イメージするはずです。明るいブラウンと黒の印刷色からは甘く香ばしい匂いが
ただよってきます。厳選された色使いと、昔懐かしいタッチの絵で描かれた農園や動物たち
が素材のうまみをみごとに引き出しています。大自然の恵みをうけて出来たアップルパイが
おいしくないはずがありません。絵本のレビューなのに、なぜか料理のレビューを
しているような気持ちになってしまいますね。でもそんな作品なのです。

本書をよんでからアップルパイを食べるというのは最高の贅沢だと思います。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
 | HOME | Next »