ワニくんのアップルパイ
2009/04/30 Thu 06:43
![]() | ワニくんのアップルパイ (2009/02) みやざき ひろかず 商品詳細を見る |
売り切れていると余計に欲しくなる
わかる、わかる! このワニくんの気持ち。
欲しいタイミングで手に入れなきゃ意味がない物って確かにあります。
その時に売り切れていたりすると、よけいに欲しくなってしまいます。
ワニくんの場合はアップルパイ。ふと食べたくなってしまうんですね。
その欲求がピークになってきたところで、実は売り切れていたという
意地の悪い現実に直面します。あきらめきれずに自分で作ろうとするのは
エライのですが、オッチョコチョイのワニくんですから、追い打ちをかける結果に…
実は今、ボクは日本に帰国しています。観たいと目星をつけていた人気作の
DVDを借りようとしたところ GWのせいか全部貸し出し中。
他を探せば、以前観たかった作品はいくつかあるので、それを代わりに借りれば
いいかというと、そう単純ではないんですね。最終的には他の作品を借りるとしても
そこに気持ちを至らせるまでが、また一苦労。なんて経験ありませんか?
この絵本をアップルパイを食べながらよんで、優越感を味わうのも悪くないかも。
ごめんねワニくん と言いながら。
てぶくろがいっぱい
2009/04/29 Wed 06:44
![]() | てぶくろがいっぱい (2008/11) フローレンス スロボドキン 商品詳細を見る |
手袋がハートマークにみえた
翻訳版の絵本をみるときは、かならず原書のタイトルや出版日をチェックしてしまいます。
ちなみに本書では「Too Many Mittens / 1958年」とありました。
50年以上も前にこんなすばらしい作品が出ていたとは!
全体的に古さは感じますが、そこがかえっていい味になっていますね。
さて、 話しの始まりは、男の子が、なくした赤い手袋を探し始めたこと。
そのことを知った近所の人達や知り合いが、次々に「これがそうでは」と
手袋をとどけてくれたので、家には赤い手袋がいっぱいになります。
それだけ出てくるということは、無くした人もたくさんいるわけですが、
そこで妙案の登場というわけです。
人から人への思いやりや親切心が赤い手袋をやりとりすることで視覚的に
描かれているのは絵本ならではの表現。
本書に赤い手袋を添えて贈り物にするなんて、一度やってみたいものです。
この作品はきっと50年後も読み継がれていることでしょう。
よぞらをみあげて
2009/04/28 Tue 06:46
![]() | よぞらをみあげて (2009/02) ジョナサン ビーン 商品詳細を見る |
眠れない夜のひとときに
今、ボクは静かに静かに感動をかみしめています。
小声で すごい! とつぶやきながら、そっとキーボードをたたいています。
空気の小さな振動さえ感じとれるほど、五感が冴えて眠れない女の子が
ベットをぬけだして、向かったところは屋上。そこは表紙で母親が洗濯物を
干したり、女の子が鉢植えに水をやったりしていた場所です。
ひんやりとした夜の空気につつまれた屋上は、冴えた感覚をクールダウンする
のにちょうど良かったのでしょう。女の子はイスを組み合わせただけの即席ベットで
毛布にくるまり、満足げに目を閉じます。
話しの展開はシンプルですが、絵も含めて多くの事が語られている作品です。
遠くに見える都会の夜景、河を下る船、近所の窓の明かり…
作中に登場するのは女の子と家族だけですが、画面からは多くの人の存在感が
しっかりと伝わってきました。
空高くのぼった満月の浮かぶ夜空の絵をながめていると、読者もきっと
女の子とともに、世界のつながりを実感することでしょう。
大きく深呼吸した後、ボクはマウスを静かにクリックしました。
Wendel's Workshop
2009/04/19 Sun 06:47
![]() | Wendel's Workshop (2008/06/06) Chris Riddell 商品詳細を見る |
あなたはロボットに何を望みますか?
ネズミのWindelは天才的な発明家。次から次へとアイデアがひらめき、
寝食をわすれるほど設計や制作にのめりこむのはいいのですが、
夢中になりすぎて、彼の研究所はちらかりほうだい。
こりゃいかんと思った彼は発明家らしく片付けロボットを作ります。
しかし、Clunkと名付けた一作目の仕事ぶりはいいかげんなもので、
外へ廃却し、2作目を作り上げます。ところが今度は完璧すぎて…
後片付けも大切ですが、度がすぎるとたいへんなことになりますね。
究極の整理整頓は全てを無くしてしまうことですから。
Windelが 失敗作と思っていたClunkの適度ないいかげんさに
魅力を見いだすというラストは味わい深いものがありました。
作中に登場する 細部にわたって描き込まれたロボットたちは魅力いっぱい。
機械好きの読者(特に男の子)の好奇心と工作意欲を刺激することでしょう。
近い将来には、ロボットが家事をこなす世界が実現するでしょう。
ところで、インド人がこの文を読んだら怒るかもしれませんが、
ある程度の階層の家では、召使いがいて 料理、掃除、洗濯、車の運転、
など自分でする必要がありません。高価なロボットより安く家事をしてくれる
人たちがいるので、インドでロボットが普及するのは先の先になるかも。
天のおくりもの
2009/04/17 Fri 06:49
![]() | 天のおくりもの (2009/02) グスターボ マルティン=ガルソ 商品詳細を見る |
あかちゃんという贈り物
いねむりしている間に自分のあかちゃんを見失った母親が2人登場します。
ひとりは人間で、もうひとりはヒツジの母親。
実際これはたいへんなことなのですが、絵本の中ではちょっとした
忘れ物をした程度に感じさせてしまうところが、この作品の最もすごいところ!
しかも、お互い別のあかちゃんをみつけて、それぞれめんどうをみはじめてしまうのです。
それがごくごく自然なふるまいに見えるのは、
あかちゃんと母親のそれぞれが、新たな関係を受けいれてしまうという、
母性と信頼感の深さにささえられているところが大きいですね。
生物の壁を超えた本能的な愛情を再発見させてくれる力があります。
よめばよむほど、心に染み込んでくる味わい深い作品。
さらりとしたタッチの中にも繊細なユーモアが光る絵もみどころです。
自分のあかちゃんをとりもどした母親たちの それぞれの思いをつづった
ラストの一文が印象に残りました。
ドーナツだいこうしん
2009/04/16 Thu 06:50
![]() | ドーナツだいこうしん (2009/01) レベッカ ボンド 商品詳細を見る |
雪だるま式にふくらむ好奇心の輪
すべての発端はビリーが糸で腰からつるしたドーナツ。
かけらが落ちないかな とついてきたのが 一羽のにわとり。
するとその後にあしをしのばせ ネコがついてきて、
さらには、犬、女の子、劇団、楽団、ランナー、etc.
行列が行列をよびこみ信じられないようなメンバーまで参加してきます。
あっというまに街中をまきこむ大行進へとふくれあがる様は実に痛快ですね。
ふと思ったのですが、インドでお菓子を腰につるして歩いて
いたら現実に同じ事が起こっちまうだろうな…
勝手にこの絵本のインド版を想像して苦笑いをしてしましました。
さて、にわとりはおこぼれに預かれたのか?
ラストにニッコリ、そしてボクもドーナツが食べたくなりました。
くうきはどこに?
2009/04/12 Sun 06:52
![]() | くうきはどこに? (みつけようかがく) (2009/02) フランクリン・M. ブランリー 商品詳細を見る |
空気を描いた科学絵本
目にみえないし、匂いも無い。普段、意識することはないけれど、
生きていく為に、なくてはならないものが空気です。
「それでは空気ってどこにあるの?」という素朴な質問への答えが
この絵本の中に描かれています。空気の存在を証明できる簡単な実験が
紹介されているので、こどもといっしょに試してみるといいでしょう。
空気には当然重さがありますが、六畳の広さの部屋では
いったい何キロくらいになるか? なんて豆知識もおもしろいです。
ただし、大人にとっては、ほとんど知っている事柄なので
学習用としてみると1300円はちょっと高いかな。
オオカミのおうさま
2009/04/05 Sun 07:42
![]() | オオカミのおうさま (2009/03) きむら ゆういち 商品詳細を見る |
王様というのも楽じゃない
きむら&田島コンビによるオオカミの絵本、第四弾。
それぞれの持ち味を発揮した、ユーモラスな展開と大胆な絵が
魅力ですが、今回もなかなかのものです。
一人がいちばん気楽でいいと言っていたオオカミがいましたが、
ひょんな偶然が重なって、あっというまに1000匹のオオカミを
率いる王様となってしまいます。
このスピーディな立場の変化を簡単にやってのけるのはさすが!
本作のみどころのひとつです。
手下がなんでも面倒をみてくれる立場というのも確かに
考えものですね。ときには自分で何かしたくなることもあるでしょう。
けれども頂点に君臨する立場ゆえ、失敗するところはみせられない。
このオオカミのように見栄っ張りとなると尚更のこと。
彼はもういちど一人にもどろうとして手下にあることを命令します。
人にはそれぞれの性格や能力に合った居場所があるようで…
インドで花見!?
2009/04/05 Sun 00:30
Cricket
2009/04/04 Sat 07:43
![]() | Cricket (2007/03) Sandhya Rao 商品詳細を見る |
スナップ写真でみる路上のクリケットプレイヤー
インドの国民的スポーツといえばクリケット!
公園で、空き地で、町中で、本当にいたるところでプレイされている
のを見かけます。待合室やレストランのTVで生中継されていようものなら
みんなの視線がそこに集中。特にライバル国のパキスタンとの試合が
あろうものならインド中の業務はストップしてしまうのではないかと
心配になるくらい熱く盛り上がります。
当然それをテーマにした絵本もあるはずと思っていたら、ありました!
写真絵本で英語とヒンズー語のバイリンガルです。
プロの試合ではなく、そのへんにいる人たちを撮っているのがいいですね。
画面の中からヒンズー語の歓声が聞こえてくるかのようなライブ感に
あふれています。つい先月、WBCで歓喜した日本にとっての野球、
インドにとってのクリケットはそれをはるかに凌駕することを実感できる絵本です。
余談ですが、今日はデリーの空港へ行き、帰国する駐在員を見送りました。
1年9ヶ月と短い間でしたが、スポーツを愛し、自らクリケットをプレーするほど
のインド好きでもあったことを今日の思い出に記しておきます。
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