Fanny
2009/08/31 Mon 13:10
![]() | Fanny (2008/09/01) Holly Hobbie 商品詳細を見る |
Holly Hobbieの新シリーズは女の子と人形の物語
子豚のToot and Puddleシリーズで人気の作家 Holly Hobbieによる、
女の子のFannyを主人公にした新たなシリーズです。
人形やぬいぐるみの好きな彼女は誕生日のプレゼントにConnieという
おしゃれな人形をおねだりしますが、ママは聞き入れてくれません。
それならばと、意を決して彼女は自分で人形を作ってしまいます。
Annabelleと名付けたその人形は、たとえ見栄えは良くなくとも、
世界にたった一人だけの特別な存在になっていきます。
様々な商品に溢れた今は、お金さえ出せば、何から何まで揃えられます。
しかし、ひょっとしたら手に入れた物と引き換えに、何かを工夫したり、
どこにも無い物を創造する喜びを失っているかもしれません。
女の子を意識したキュートな装丁とお菓子のように甘い色使いの絵柄は
Toot and Puddleとはひと味違う、新しい世界に導いてくれます。
そうそう! 子豚ちゃんも、さりげなく出演してますね。
余談ですが、昨晩は「Bollywood Bandwagon」という人形劇を観ました。
人間の顔の下にネクタイのように体を合体させた、ユニークな3頭身の
キャラクター達が歌い踊る姿はかなり笑えました。
The Adventures of the Dish and the Spoon
2009/08/30 Sun 13:11
![]() | The Adventures of the Dish and the Spoon (2006/08/08) Mini Grey 商品詳細を見る |
皿とスプーンの消息が気になっていた方へ
この本に興味をもたれた絵本好きの方なら、きっとマザーグースの
「Hey diddle, diddle」というユニークな詩をご存知では?
皿とスプーンが駆け落ちしたところで終わっているのですが、
2人のその後の消息を描いたのが本書となります。
都会に出た彼らは、華やかなステージに立って大成功をします。
一攫千金に酔いしれ、羽振りのいい生活を堪能するものの、長くは続かず
やがて借金地獄にはまり、遂には犯罪にまで手を染めてしまう!
元の詩からは想像できないほど、なんとも生々しい展開をみせます。
マザーグースに慣れ親しんだ欧米の読者は笑って受け止めるのでしょうかね?
ボクは皿とスプーンという異色な存在が、笑いを取るというよりも、
現実世界の厳しさを際立たせているように感じられました。
たとえ真っ当な人生から脱落しても、心改めればやり直しができる。
という前向きなメッセージも伝わってきました。
Red FoxからCD付きの絵本も出ているので
耳からも楽しみたい方はそちらを購入してみては。
うちゅうたまご
2009/08/27 Thu 13:15
![]() | うちゅうたまご (こどもプレス) (2009/07) 荒井 良二 商品詳細を見る |
世界的絵本作家がとても身近に感じられました
確かにスゴイね!
だってこれは荒井さんの創作プロセスそのものでしょ。
もっと言えば生きた証そのものが絵本になってるんですから。
始まりは白い壁面に、腕をいっぱいにのばして描いた黄色の卵。
そこに色々な色が積み重ねられていく。何かの形になったと思ったら
別なものに変わり、ひとつの形に留まることがない。
ここには1つの宇宙があります。生命への讃歌があります。
なんて感激しながらも、子どもが泥遊びをするがごとく宇宙ごっこを
して楽しんでいる荒井さんがいるなと思ったりもしました。
ホント面白いことをするよねぇ。そしてボクも宇宙ごっこを
いっしょに楽しませてもらいましたよ。
もっと深淵なものを感じ取れよと怒る人がいるかもしれませんが(笑)
ねこはなんでもしっている
2009/08/26 Wed 13:17
![]() | ねこはなんでもしっている (こどもプレス) (2009/07) 青山 友美 商品詳細を見る |
町のことはノラネコに聞け
海辺の町にすむネコのせいじろう。ノラネコならではのフットワークと
愛想の良さ武器に集めた、町や住人の情報はかなりのもの。
そんな彼の一日の様子と、飼い主からはぐれた子犬のめんどうをみる
エピソードで構成されています。
猫視点での縦横無尽な町の散策は、なかなか壮快ですね。
巻末の紹介によると、作者は神戸市垂水で生まれたとのこと。
この町がモデルになっているのでしょうか?
だとしたら絵本を片手に訪れたいなぁ。
ピアノは夢をみる
2009/08/23 Sun 13:21
![]() | ピアノは夢をみる (2009/06) 工藤 直子 商品詳細を見る |
作られた作品という印象
100年以上も昔に生まれたノイマン社のピアノ。
人間で言えばかなりのおじいちゃんですね。
彼の語りを詩人の耳で聞き取り、絵を加えたのが本書とのことです。
カバーの隅に紹介されているピアノの写真をみると、確かに年代物で、
工藤さんが「ノイマンじいさん」と呼んでいるのもうなずけました。
そして最も想像力をかき立てられたのも、この写真でした。
個人的な想いとしては、ノイマンじいさんの生の言葉を記して欲しかった。
詩という形になっているせいか、少しピアノとの距離を感じました。
絵は、あべさんが描いているせいか、四角いピアノが動物のように見えます。
作品としての好みは読者によって分かれるでしょう。
ちなみに、ボク的な好みは、小屋たちの声を集めたこの絵本
「こやたちのひとりごと/谷川 俊太郎:著/中里 和人:写真」
My Friend Is Sad
2009/08/22 Sat 13:23
![]() | My Friend is Sad (An Elephant and Piggie Book) (2007/04/01) Mo Willems 商品詳細を見る |
悲しみの本当の理由は
悲しそうにひとり座り込んでいるゾウのジェラルド君。
仲良しのピギーちゃんは、なんとか彼を励まそうとします。
彼の好きなカウボーイの格好で登場したり、クラウンの
格好で芸をしてみせたり、ロボットの格好をしてみたりと
あれやこれや楽しませようとするのですが・・・
友達っていいなと素直に思えるストーリーが、シンプルな英文と
イラストでユーモラスに描かれています。
ピギーちゃんのラストの一言にはクスッと笑ってしまいました。
いいなぁこのシリーズ。一冊よむと他も手にしたくなりますよ。
トロトロトローリ
2009/08/21 Fri 13:24
Today I Will Fly!
2009/08/20 Thu 13:26
![]() | Today I Will Fly! (An Elephant and Piggie Book) (2007/04/01) Mo Willems 商品詳細を見る |
夢は信じ続ければ叶うもの
「今日は空を飛ぶぞ」突然、思い立ったブタのピギーちゃん。
仲良しのゾウくんは、そんなことできるわけないと否定します。
手をバタバタさせて走り回るだけのピギーちゃん。
しかし、そんな彼女を見て助けてくれる者が現れます。
そしてついに・・・
ポジティブ思考とネガティブ思考の対比が、シンプルな英文と
イラストでユーモラスに描かれています。
本書を読めば、あなたの心にも翼がはえてくる!?
BとIとRとD
2009/08/16 Sun 13:28
![]() | BとIとRとD (2009/06) 酒井 駒子 商品詳細を見る |
幼さという贅沢な時間をもう一度
奇妙なタイトルだ。
何かを意味するための断片を集めたということか。
何かというのは、人それぞれ感じ方が異なると思います。
未熟という完成形を成し、人の姿をまとう前の透明な本能
が描かれているのだなとボクは受け止めました。
全編に登場するのは、□(しかく)ちゃんという女の子。
世の中での羽ばたき方やさえずり方という色に染まる前の
無垢な空白をもった存在なのである。白い四角形のごとく。
誰しも生まれたての頃は□ちゃんに近い感覚で物事をとらえていた
のではないでしょうか。しかし悲しいかな、幼さの故に
それらを正確に伝え残す術がない。大人になれば表現技術は
高くなるものの、逆に当時の感覚で物事をとらえられない。
もしも幼い子が大人並の技術で何かを表現したら・・・
本書に限りなく近いものになるのではないでしょうか。
I Like Cats
2009/08/15 Sat 13:29
![]() | I Like Cats (2009/06) Anushka Ravishankar 商品詳細を見る |
本棚に収めてしまうのはもったいない芸術的猫たち
本日8月15日はインドの独立記念日。
という訳で最近よんだインドの絵本を紹介しましょう。
出版社のtara BOOKSはかなり芸術的な本を作ることで有名ですが、
本書もなかなか凝った造り。シルクスクリーンで印刷された表紙は、
暖かみのある触感と、刷り立てのインクの香りがして、手にする
だけで気持ちを盛り上げてくれました。
そしてページを開けば、猫の絵のオンパレード。
描いているのは、インド各地から選りすぐられた民族画の名手たち。
様々な技法で、独自の視点で描かれたユニークな猫たちの姿は、
日本人には想像もつかないほど、バラエティに富んでいます。
欲を言えば、それぞれの絵が何を意味しているか解説があると
良かったですが、そのまま額装できる絵のおまけは嬉しい(笑)
猫好き、絵本好き、美術好き、インド好きへおすすめの作品。