岸辺のふたり
2010/06/11 Fri 07:48
![]() | 岸辺のふたり―Father and Daughter (2003/03) マイケル・デュドク ドゥ・ヴィット 商品詳細を見る |
人生という道を自転車で走る
少女のときに別れた父への想いに焦点をあて、一人の一生を俯瞰した絵本。
娘と父が自転車で土手を走る。父は川縁で別れの言葉をかけ、ボートを漕いで
水平線へと消え行く。またすぐ会えると思っていた少女はやがて妻になり、
母となって老女となる。その間に様々な出来事があったことは想像に難くない。
しかし彼女は、ずっと娘として待ち続けたのだ。
人は必ず別れを体験する。それはいったい何なのか?
人生には長い時をかけて、ゆっくりと理解していくこともある。
そんなメッセージが、色味をおさえたセピアのトーンに乗って、静かに
優しく伝わってきました。
変わりゆく娘と父の関係をゆるやかに描いた絵本では
「てをつなご。: あいはら ひろゆき/植田 真」があります。
こちらも河原が舞台になってますが、対照的な作品なので、
読みくらべると、味わいも深まるでしょう。
--------------------【Review for Review】--------------------
インドで聖なるガンジス河は別れの場所でもある。河の流れに時間の流れを
重ね合わせる感覚は、人間の本質的なものなんだろうな。
| HOME |