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ぼくのしんせき

2010/09/30 Thu 06:40

ぼくのしんせき (えほんのぼうけん 15)ぼくのしんせき (えほんのぼうけん 15)
(2010/07/17)
青山 友美

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昔のアルバムをみているよう

色々な顔がずらりと並んだ表紙に、昔みた映画「マルコビッチの穴」のポスターを
連想して、サイコちっくな印象を持ちましたが、中身は真っ当です。

たまたま発見した家族親戚の集合写真から、ぼく(こうすけ君)を起点に
おじいちゃん、ひいおじいちゃん、おじさん、いとこ と関係をたどっていく内容です。
テーマとしては面白いですね。ただ、総勢31人にもなるし、架空の家族なので、
顔と名前を一致させるのに一苦労でした。もっと解り易くて共感しやすい表現も
あったのでは。逆に言うと、繰り返しよむことで味がでてくる作品と言えます。

--------------------【Review for Review】--------------------
帰国後よく見るTV番組はニュース関連です。昨日気になった話題は、北朝鮮の
後継者選び。生まれつく家系によって、それぞれのドラマがあるものですね。
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じゃがいもポテトくん

2010/09/29 Wed 06:49

じゃがいもポテトくんじゃがいもポテトくん
(2010/07/08)
長谷川義史

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目で耳で舌でじゃがいもを楽しめる絵本

北の国から、家族や親戚ともども八百屋にやってきて、店先へ並べられたじゃがいもたち。
彼らはお客さんに買われて、離ればなれになるものの、とある場所で再会します。
ちょっと都合が良すぎるのでは、という展開ですが、お弁当タイムのある幼稚園などでは
けっこウケそうな内容ですね。これからじゃがいも料理を食べるときは、こいつはいったい
どっからやって来たのだろう? なんて想像してしまいそうです。

巻末にテーマソングが載ってますが、せっかくなら作者の肉声によるCDなど
つけて欲しかった。

--------------------【Review for Review】--------------------
ヒンズー語でじゃがいもはアルー(Aloo)と言います。インドのものはけっこう甘みが
あって美味かったですね。彼らが ナマステ、ティーケ などと言いながら育っている
様子が目に浮かびました
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エイモスさんがかぜをひくとエイモスさんがかぜをひくと
(2010/08)
フィリップ・C. ステッド

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絵本的表現を静かに味わう

エイモスさんの仕事は動物園の飼育係のようです。ようです、と言うのは
動物園に行って餌を与えたり、掃除をしたりするのではなく、ゾウとチェスを
したり、カメと駆けっこをしたり、ミミズクに本を読んであげたりしているので。
飼育というより、友達として動物たちとつきあっているのです。
そして、エイモスさんが風邪で寝込んでいると、反対に動物たちが彼の家まで
やってきて・・・

と、 ここまで書いたものの、本書の魅力を文章で伝えるのは難しいですね。
木版画とエンピツを使い、色味をおさえてキリリと描いた絵がポイント。
確かなデッサンによる具体的な描写ながら、伝わってくるのはかなり内面的な世界。
抽象的なことは具体的に、具体的なことは抽象的に描くとテーマに立体感がでる、
というようなことを誰かが言ってた覚えがありますが、その好例ですね。
動物たちとのコミュニケーションを通し、心がゆったりと癒される絵本です。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日、日本の職場へ復帰しましたが、集合場所へはいきなり遅刻してしまいました。
道中、雨が降ってるし、道も混んでるのでまあいいか、と思ったけど、いや待て!
ここはインドじゃなくて日本だと気づきおおあわて。10分遅れでなんとか到着。
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ひみつのばしょ

2010/09/27 Mon 03:37

ひみつのばしょ (PHPわたしのえほん)ひみつのばしょ (PHPわたしのえほん)
(2010/07/02)
ひがし ちから

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心の中の地図にある場所

さやちゃんが公園でみつけた秘密の場所は、茂みの中。ちいさな隙間があって
そこから中に潜り込むと、身を隠すのにちょうどいい空間がある。
茂みの隙間から外の様子が見えるし、ときどき小鳥や猫もやってきます。
さやちゃんの想像力が秘密の場所で、のびのびと広がる様子が心地良いですね。

ボクもときどき行く小金井公園の中に秘密の場所があるので、よくわかります。
とある場所に背もたれにするとちょうどいい樹の幹があって、ここでのんびりお茶しながら
本を広げたりします。すると公園が自分の書斎になったかのような気持ちを味わえるのです。

自分の心を開放できる秘密の空間の魅力を、子どもの視点で豊かに伝えてくれる作品です。

--------------------【Review for Review】--------------------
インドで約3年の任期を終え、土曜日に日本へ帰ってきました。
久々に公園の例の場所へいってみようかな。
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HORN PLEASE (SUSHANT LOK)

2010/09/19 Sun 06:33

引越し先のホテル(COURTYARD MARRIOTT)周辺を散歩中に撮影。
左:近代的ビルとトラックの取り合わせ。赴任した3年前はありえなかった光景。
右:ガスボンベ供給会社の3輪トラック。手書きのペイントが味わい深い。
DSC04888.jpg DSC04890.jpg

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The Little Book of Hindu Deities

2010/09/15 Wed 08:15

The Little Book of Hindu Deities: From the Goddess of Wealth to the Sacred CowThe Little Book of Hindu Deities: From the Goddess of Wealth to the Sacred Cow
(2006/10/31)
Sanjay Patel

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インドの神々を楽しもう

インドには実に様々な神様がいる。象の頭をしたガネーシャや孫悟空のモデルに
なったといわれるハヌマーンは日本人も馴染みがあるだろう。シバやクリシュナ、
日本につたわり吉祥天となったラクシュミなど聞いたことがある方もいるのでは。

そんな神々を紹介してくれる絵本としておすすめなのが本書。
表紙のガネーシャからもわかるとおり、まずグラフィカルな絵が魅力的だ。
作者は映画で有名なピクサーのアニメーターだと知っておおいに納得。
現地でみる神の像やポスターなど生々しいものがありますが、アメリカ的
センスでファーストフードのごとく気軽に味わえるようになっています。
とは言っても、ちゃんと押さえるべきとこは押さえてあるのでご安心を。
神が身につけているもの、手にもっているもの、傍らにいる動物など
それぞれに意味があるのですが、ポップな絵の中にも忠実に再現されています。
見開きの半分が神の絵、もう半分にわかりやすい英語の解説付き。
140ページにもわたってフルカラーという贅沢な造りで、インド神々辞典としても
充分に活用できますよ。

--------------------【Review for Review】--------------------
しかし、インドカルチャーは知れば知るほど奥深いもの。本当にネタの宝庫です。
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よーするに医学えほん からだアイらんど インフルエンザ編 (講談社の創作絵本)よーするに医学えほん からだアイらんど インフルエンザ編 (講談社の創作絵本)
(2010/04/10)
きむら ゆういち川田 秀文

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自分の体が愛おしくなる

人型の島国を舞台にした医学絵本の第三弾はインフルエンザがテーマ。
ウイルスや細菌、薬剤や白血球などをキャラクター化。島に侵入したスパイ
たちを撃退するという物語仕立てで、インフルエンザに感染した人体で何が
起こっているかを楽しく理解できるようになっています。

マイクロファー人、コーセイブツ氏、セキドメンなど各キャラのネーミング
も親しみやすさに一役買ってますね。タミフルにはウイルスそのものを
殺すのではなく、増殖を1日遅らせる働きしかないなど、絵をみて納得。

体内で繰り広げられるみごとな連携プレーを通じて、人体の機能に
改めて感銘しました。親世代にとっては、昔懐かしいSF映画「ミクロの決死圏」
を思い出す方もいるでしょう。アニメ化しても受けるのではないでしょうか。

--------------------【Review for Review】--------------------
こちらインドは雨期。大量に発生する蚊を媒介してデング熱にかかる人が
増えています。初めてインドを訪れた人はスパイスの効いた脂っこい料理を
食べ続けてお腹の調子が悪くなるときも。人体の中で各キャラが大慌てしている
様子が目に浮かんできました。
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The Red Lemon

2010/09/12 Sun 08:55

The Red Lemon (Deluxe Golden Book)The Red Lemon (Deluxe Golden Book)
(2006/09/12)
Bob Staake

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色の常識がくつがえる!?

黄色からイメージする食べ物は何ですか?

バナナ、卵、カレー・・・などありますが、レモンをあげる人も多いでしょう。
レモン=黄色 は切っても切れない関係にあります。もしも黄色いレモンに
まじって赤いレモンがあったら、絵本に出てくる農夫でなくても混乱するのでは。
レモンは黄色であるからこそレモンなのだとすれば、赤いレモンに対して農夫の
とった行動は判らなくもない。できそこないと見られた赤いレモンですが、
どっこいその先におどろきの展開がまっています。

色をモチーフにしたグラフィカルでユーモラスな絵本であるとともに
読む人によっては深いテーマを見いだすこともできる作品です。

--------------------【Review for Review】--------------------
近所にLEMON TREEというカジュアルでシャレたホテルがあります。
ここのシンボルマークをよくみると赤いレモンが!
ひょっとして作者はこのホテルからインスピレーションを得た?
lemontree.png
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HORN PLEASE (AHMADNAGAR)

2010/09/10 Fri 09:05

DSC04837.jpg
泊まったホテル(YASH GRAND)のそばで撮影。
この辺りはのどかな町でした。
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うさぎのうさぼうときょーふのママだいおう (主婦の友はじめてブック おはなしシリーズ)うさぎのうさぼうときょーふのママだいおう (主婦の友はじめてブック おはなしシリーズ)
(2010/07/07)
ケイト・クリス

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さりげない離れ業に拍手

タイトルにある「恐怖」という言葉とは裏腹に、中身はほのぼのとしています。
それは絵のタッチもさることながら、作品全体を優しく包み込んでいる空気に
よるところが大きい。この安心感がボクにとっては大きな魅力でした。

たとえば、主人公の男の子はウサギで服を着て2本足と擬人化されているのに対して、
サーカス団のメンバーは動物として描かれている。猿が象の上で太鼓をたたき、
アヒルがヤギの上で曲芸をし、ライオンが檻の中に入れられている。
団長は犬で、みな四本足で立っている。つまり普通に2本足で歩いているウサギの
ほうが遥かに高度なことをしているということになる!

冷静に考えれば、つっこみどころなのですが、それが自然に受け入れられる
ユルさが、この作品の空気なのである。おわかりいただけたでしょうか?

ではもうひとつ例をあげると。ウサギの坊やは自分のママを恐怖の大王と称して
サーカスの出し物に仕立て上げようとします。そりゃ男の子にとっては
叱るママは怖いかもしれませんが、ここまでやっていいのか?
期待してやってきたお客さんたちはがっかり、ママもかんかんに怒るかと思いきや
意外な方向へと進んでいきます。まあよんでみてください。

ユルさと緊迫感が絶妙のバランスでストーリを引っ張ってくれます。
そして男の子をとりまく世界の優しさが、人を信じることの大切さを
そっと語っているように感じられました。

--------------------【Review for Review】--------------------
日本への帰任までカウントダウン状態となりました。こちらで読んだ絵本を箱に
詰めはじめたら思ったより多くて、昨日はダンボールを追加発注。ほとんどがレビュー
した作品なので、そのときそのときの思い出が蘇り、ついつい感慨にふける。
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