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怪僧タマネギ坊

2010/10/31 Sun 07:02

怪僧タマネギ坊 (野菜忍列伝 其の 4)怪僧タマネギ坊 (野菜忍列伝 其の 4)
(2010/10)
川端 誠

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たまねぎだけに一皮むけた

インドの山奥で修行した特撮ヒーローがいましたね。レイン坊男だったっけ?
怪僧たまねぎ坊もインドで修行を積んだのかどうかは判りませんが、
スパイスを使った術を用いたり、唱える呪文も印度風味。怪しいです。
でも日本人であることは間違いない。なぜならインドのたまねぎは紫色だから。

それはともかく、戦いが料理に見立てられているのが特徴のこのシリーズ。
今回は豪快です。大海を舞台にスパイスをまいて巨大なイカ、タコ、エビを
退治するというのですから。見開きいっぱいの迫力ある攻防は見物。
そして最後の宴とくれば、もちろんシーフードカレー。いやぁ、実に判りやすい。

日本と印度を結んだ心意気に大拍手です。機会があったら、たまねぎにちなんで
鬼女(オニオンナ)を紹介しましょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
ちなみにこれがインドのたまねぎ。インド料理では、薄くスライスしてレモン汁
をかけたものが、付け合わせで出て来ます。
2009010551270701.jpg
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ぶどう酒びんのふしぎな旅

2010/10/30 Sat 04:59

ぶどう酒びんのふしぎな旅ぶどう酒びんのふしぎな旅
(2010/04/13)
藤城 清治

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ワイン片手に味わいたい作品

藤城さんは、ボクが物心ついた頃から存在していた画家です。
TVや雑誌などでよく作品を見かけ、切絵といえば真っ先に彼を思い浮かべるほど
の存在感がありました。なのに自ら絵本を手にしたのは、実を言うと本作が初めて。
インドに居た頃、近くにあっていつでも行ける観光名所は、帰国直前まで行かな
かったのと似ていますね。絵本のレビューも最近出たものばかりを中心にしている
せいもあります。いずれにせよ、今この作品に出会えて本当に良かった!

時代や世界を渡り歩いたぶどう酒ビンを通し、多くの人生が交錯する原作の
物語は一言では語れないほどの深さがあり、藤城さんが絵にすることで、
よりいっそう輝いたものとなりました。もとは童話ですが、本書はそれなりの
経験を刻んだ大人の為の絵本です。キーワードとなるのは「巡り巡っての再会」。
若き頃に最初に出した絵本を、約60年の時を経て再び手がけるという作者の
創作意欲ともオーバーラップし、静かな迫力で迫ってくる力作です。

--------------------【Review for Review】--------------------
ボク自身も、人生の新たなステージへ進む決意をもって帰国しました。
いままでの出会いに感謝しつつ、さらなる旅を続けていきます。
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あめがふってよかったね

2010/10/29 Fri 05:20

あめがふってよかったね (どんぐりえほんシリーズ)あめがふってよかったね (どんぐりえほんシリーズ)
(2010/05)
よしい たかこ

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雨でも心は暖かく

晴れた日がいい天気とはかぎらない。雨のほうがいい時もあるし、
それを待ち望んでいる者だっている。例えばカタツムリ。カタツムリの運動会は
雨が降らなきゃ開催できないとなれば、晴れは最悪というわけです。
というわけで、男の子の運動会とカタツムリの運動会、共に明日ってことになれば、
かたや晴れろ、かたや雨ふれっとなるわけですね。

でも、カタツムリと出会うことで、男の子の気持ちが変化します。
世の中には色々な価値観があることを知り、やさしい気持ちになれる作品。

ひとつ気になったのは季節感について。ふつう運動会は10月頃開催されますが、
アジサイの花が咲くのは6月頃ですから。時期を6月頃とするなら遠足やピクニック
のほうがマッチしたのでは?

--------------------【Review for Review】--------------------
なぜか洗車した後、雨に降られることが多いです。しかし、よくよく考えると
説明できなくはない。洗車するのは車が汚れているからで、そうなるのは
雨の日に走った後が多い。その時は雨が降りやすい時期と言えます。
そして、たとえ一週間後に降ったとしても、気持ち的には洗ったばかりなのに
と思ってしまうわけです。
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いちばんあいされてるのはぼく (絵本の時間)いちばんあいされてるのはぼく (絵本の時間)
(2010/09/02)
宮西達也

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実の親はいずこへ?

今回のティラノサウルスシリーズは、今までと趣向が違います。
これまでは「食うものと食われるものの間で心を通い合わせることができるか」
というテーマが根底にありました。本作では、タイトルにもあるように、
誰が一番父から愛されているかをめぐっての、兄弟同士の関係が描かれている
からです。その意味では父親がティラノサウルスでなくても成立する話です。
シリーズ第四弾の「あなたをずっとずっとあいしてる」のように、
子どもの側をティラノサウルスにするという選択もあったでしょう。
本来のテーマに対して、父親ティラノサウルスのキャラに意識が行ってしまう
ところが、やや残念でした。

--------------------【Review for Review】--------------------
言葉というのは、扱いがむずかしい。こうした文章なら途中で修正できるし、
客観的にみれるけれど、言葉はいちど発したら直しようがないですから。
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あふりかのあかいみち

2010/10/24 Sun 08:49

あふりかのあかいみちあふりかのあかいみち
(2010/08)
山下 明生

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小さな体に大きな志

広大なアフリカの大地にある一本の赤い道。そこを小さなクロアリが地平線を
めざして歩き出すという、果てしなく雄大な作品です。ヒッチハイクのごとく
途中で出会った動物の背中に乗せてもらうのですが、出会う動物もだんだん
大きくなり、次はどうなるのかと期待が高まりました。クロアリが最後に
見つけたものは何だったのか?

パターン化された展開で、スナックをつまむようにサクサク楽しめる作品。
クロアリ親子のラストシーンがとても詩的です。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日は実家の荷物の整理。古い写真や学生時代の課題作品を次々に発掘。
頑張ってた当時を思い出し、ついつい見入ってしまいました。
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1ねん1くみの1にち

2010/10/23 Sat 06:36

1ねん1くみの1にち1ねん1くみの1にち
(2010/09)
川島 敏生

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1日だけ教室になった気分

1ねん1くみの教室を表紙のような視点で黒板側から定点観測風に撮影し
1日を追った写真絵本です。舞台は東京都小平市の小学校でなかなか立派な
とこですね。運動会の練習をしているので、時期は9月でしょうか。
入学から約半年がたち、生徒らに初々しさが残りながらも、自分たちなりに
学校へ馴染んでいる姿が微笑ましいです。朝の会や帰りの会の様子は、
いかにも学校なんだなと感じで懐かしくなりました。

とは言っても、自分の1年生の頃に通った木造の校舎と比べると、だいぶ
イメージが変わってますね。教室もキレイだし、新しいカリキュラムもあります。
子どもにとっては 入学前、入学後、卒業後。大人にとっては 父、母、先生と
それぞれの立場で受け取め方も変わる絵本です。

写真に生徒らの言葉が吹き出しで入っていますが、やや不自然な感がありました。
活字よりも、手描き文字のほうが雰囲気に合っていたのでは。
いずれにせよ、このような形で一日を切り取っておくことは、おおいに賛成です。

あっそうそう、裏表紙にのってる詩集「きんじょのきんぎょ」もお勧め。

--------------------【Review for Review】--------------------
今日は実家のほうへもどります。久々に小学校をのぞいてみようかな。
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おばけなんていないよ!

2010/10/22 Fri 06:00

おばけなんていないよ!おばけなんていないよ!
(2010/06/03)
エマヌエル・エーコート

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新感覚のおばけ絵本

あなたの家にはおばけがいますか?

●「いないよ!」って言う方へ
ひょっとしたら見えていないだけかもしれません。
本書の男の子のようにね。ボクも見えないのですが、実は周りにたくさん
存在している可能性もあります。でも、どうやって確かめたらいいんでしょうか?

●「いるよ!」って言う方
すぐに病院へ電話を・・・じゃなくて、この作品はかなり楽しめると思います。
本書のおばけのように、遊んでくれたり、料理作ってくれるなら大歓迎ですが、
ひょっとして精気を吸い取られてたりしませんか?

五感で感じられないものは、果たして存在しないと言っていいのかどうか。
という深淵な課題がユーモラスに提示されてる絵本です。

おばけテーマの作品としてみるなら、最後にひとヒネリが欲しかった。

--------------------【Review for Review】--------------------
お化け絵本のレビューが5連続となってしまいました。お化けネタは何でもあり
なので色々と空想がふくらみます。友達にするならどんなお化けがいいだろう?
とか。
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まっくろくろのおばけちゃんのぼうけんまっくろくろのおばけちゃんのぼうけん
(2010/08/24)
デヴィッド カリ

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心もカラフルに

闇にカラスという言葉がありますが、真っ黒の島に住む真っ黒のお化けの
困りごとは、写真をとること。全てが真っ黒に写ってしまうのですから。
そこで相棒のコウモリ(もちろん真っ黒)といっしょに、写真がとれる
場所をさがして、様々な色の島へ航海するという内容です。

もう最初の設定からして、展開と結末が織り込まれているような感じですね。
その意味では安心して読めるところがあるものの、非現実的な設定に加え、
主人公がお化けときて、さらに抽象度の高い絵なので、つかみどころのない
ところが気になりました。カメラや写真の絵などは、ほとんど記号ですね。

絵そのものは、どちらかといえば好みです。ただ真っ黒の島の画面などは、
もっと極端に真っ黒にしたほうが、お化けの悩みに共感できたでしょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
闇にインド人とは言いませんが、彼らには割と黒いバイクが好まれていました。
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七福おばけ団

2010/10/18 Mon 04:27

七福おばけ団 (絵本・こどものひろば)七福おばけ団 (絵本・こどものひろば)
(2010/06/25)
大島 妙子

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こんなお化けなら大歓迎

七福神ならぬ七幅おばけ。いったいどんな集団なのか気になる方はどうぞ。
元々はみなしごお化けの集まりでした。ところが住んでたボロ屋が取り壊される
ことになり、人里離れた山のてっぺんにあるサビれた山小屋へ引越して、
そこで一仕事をするのです。お化けたちがそれぞれの能力を発揮し、
山小屋を営む老人の病気を直すばかりか、商売繁盛させてしまうというわけで
災い転じて福と成す、福呼ぶ7人のおばけとなったわけであります。
絵本的にウケる要素が巧みに散りばめられた内容ですね。

たとえお化けといえど、心が通じ合うのは良いもの。七人のお化けは、
みんなの中にある暖かい気持ちを具現化したものと言えましょう。

ところで、7と言えば、映画「七人の侍」を思い出します。他に9人の
サイボーグ戦士や5人の戦隊ヒーローとかインドで修行した7色の力をもつ男など
連想するのは、ボクがかつて男の子だったからでしょうか。自分の特徴を7つあげて
それぞれキャラクター化してみると面白いかもしれません。

--------------------【Review for Review】--------------------
苦手だなと思っている奴ほど、味方になると心強いものです。
今日のレビューでおばけ3連発となりました。
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バケミちゃん

2010/10/17 Sun 04:46

バケミちゃん (講談社の創作絵本シリーズ)バケミちゃん (講談社の創作絵本シリーズ)
(2010/07/21)
おくはら ゆめ

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ええもん よんだー!

お化けのバケミちゃんはガラクタコレクター。「ええもん ひろったー!」と
ゴミのやまからお気に入りをみつけては、自宅へ持って帰ります。
彼女の部屋がなかなかすごい。雛壇や自動車、跳び箱にベッド、各種おもちゃ等
けっこう楽しそう。子どもの頃をふりかえると、確かにゴミの山は宝の山でした。
何が出てくるか心ワクワク、目はキラキラ、しかもタダなのがいい。

今回は意外な出会いとコント的な掛け合いがポイントになってますが、
もっと宝探し的面白さをテーマにして続編も期待したいです。

--------------------【Review for Review】--------------------
日本(特にボクの街)では、ゴミの分別法が細かくなって、いつ何をどのように
して出すのかを覚えるのが大変。ゴミ集積所は整然としてますが、無機的でも
あります。バケミちゃんは絶対にやってこないでしょう。
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