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カラクリ江戸あんない

2010/12/31 Fri 06:48

カラクリ江戸あんない (福音館の単行本)カラクリ江戸あんない (福音館の単行本)
(2010/11/17)
太田大輔

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手作り感あふれる江戸案内

木版画で雰囲気いっぱいに江戸時代の人々を描いた絵本。
筒形のスコープを通して、現代の子どもたちが時空を超えた世界を
のぞくという趣向になっているところがポイント。今と昔、子と先祖という
繋がりが実感できるようになっています。派手なイベントやゴージャスな遊園地など
ない時代にあっても、風情ある楽しみ方が色々あったものですねえ。
時代劇で見るドラマチックな世界からかけ離れた普通の人々の生活ぶりが
とても新鮮に感じられました。巻末の絵地図も解りやすかったです。

--------------------【Review for Review】--------------------
日本で無事に大晦日を迎えられたことに感謝。3年ぶりかぁ。
去年の今頃はインドで遺跡巡りをしてたっけ。楽しかったなぁ。
と過去を振り返ってみる。
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グミと さちこさん

2010/12/30 Thu 06:27

グミと さちこさん (講談社の創作絵本シリーズ)グミと さちこさん (講談社の創作絵本シリーズ)
(2010/10/26)
大宮 エリー、荒井 良二 他

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犬の胸キュン絵本

この話に涙する人はけっこういるのでは。特に犬好きの方は。
けなげなチワワのグミがいいです。受験生のさちこさんに、想いを寄せる
姿がグミの視点で主観的に展開されていくのですが、想いの強さ深さは
神様がやってきてグミに試練を与えることで表現されています。
ベタな展開ではあるものの解りやすいですね。もしもこれがCMに使われたら
「グミに代わってこの商品があなたの願いをかなえます」となるかしら。

犬つながりでは「小さな犬/町田 尚子」もおすすめです。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日はスタンドで車を洗車してもらいました。年末のせいか混んでて1時間待ち。
しばらく店内にいましたが、煙草の煙に我慢できず外へ出てしまいました。
寒かったけど・・・ スタンド内で煙草を吸う人の割合はなぜか多いですね。
喫煙者と非煙者の立場が逆転する数少ない場所なのかも。
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だがしかし

2010/12/29 Wed 06:22

だがしかしだがしかし
(2010/12)
内田 麟太郎

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だが しかし けど でも おもしろい

「だが」が口癖の駄菓子屋のだがさん。「しかし」が口癖の歯科医師のしかしさん。
というユニークな二人の旅を描いた絵本。言うまでもなく言葉のやりとりが見所。
つまり、一人が何かを言えば、もう一人が だが、しかし、と否定し合うのです。
ほとんど無理矢理に近い否定が笑いをさそいます。

だが、しかし、否定の否定は肯定になるわけで、メデタシのラストへ。
日本語のおもしろさを再発見する絵本でもあります。
英訳すると「Mr.But & Mr.However」とでもなるのでしょうかネ。

--------------------【Review for Review】--------------------
「要は」「ってゆうか」「という意味では」「とはいうものの」
職場でも人それぞれに口癖があって注意するとおもしろい。
インド人に日本語の「ま」の意味を聞かれたことがある。間のことかと思いきや
そうではなかった。話の節目に使う「まっ、そういうことで」「まぁ いいか」
の「ま」である。そう言われてみると自分も含めけっこう無意識に使っている人が
多いことに気づく。これが日本語を学び始めた者には奇異に聞こえるらしい。
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カラス笛を吹いた日

2010/12/28 Tue 21:21

カラス笛を吹いた日カラス笛を吹いた日
(2010/11)
ロイス ローリー

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冬に郊外で読みたい作品

最近、鼻の先や耳の端をプツプツと刺激する寒さを心地良く感じます。
本書を開いたときも、それに似た冬の空気感が伝わってきました。
舞台は戦争を終えたばかりのアメリカ。戦地から帰ったばかりの
父親と、しばらくぶりに再会した娘が2人で山へカラス狩りに出かけます。
はじめは微妙だった2人の心の距離感。それがしだいに氷解していく様子が
生き生きした描写と共に心地良く伝わってきました。
カラス笛、男物のシャツ、チェリーパイなど小道具の演出がみごとだなと
思っていたら、実話と知って納得。父親は娘と散歩したくなる絵本かも。

--------------------【Review for Review】--------------------
今日は仕事納めの日。担当区域を決めて、みんなでいっせいに掃除をします。
ただ、配信されたメンバーリストに自分の名前がなかったのがちょっとショック。
作成者に連絡して追加してもらいました。もちろん寒くなくて楽チンそうな場所に。
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とうさんとうさんいかがなものか?とうさんとうさんいかがなものか?
(2010/12)
穂高 順也

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ほのぼのユーモアで幸せに

穂高・西村コンビの第三弾。
1作、2作は間抜けな囚人3人組、間抜けな3人兄弟が登場しましたが、
今回は八百屋と石屋と花屋の親バカとうさん3人組ですね。
花屋の娘と結婚したいと相談をもちかけたのは、八百屋の菜っ葉と石屋の石。
大事な大事な商品の頼みとあってはなんとかせねばと、それぞれ
真面目に考えるところが笑いを誘います。もちろん花屋のとうさんはカンカンに。

しかし、意表をつく展開があり最後は結婚式をあげるのです。
1:突然意表をつく 2:期待されて意表をつく 3:必然的に意表をつく
というように意外な事も3度起こるとうまく収束するものです。アハハハ

知人が結婚祝いのプレゼントにこの絵本を買いました。おめでたい作品ですが、
もらったほうはいかがなものか?

--------------------【Review for Review】--------------------
インドの村落ではヘビや犬と結婚する女性がいる。すごいなあと思っていたら、
先日、クリスマスツリーと結婚を考えている男がイギリスにいると、ラジオで
耳にしました。いろいろな価値観があるものですなあ。
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まだまだつづきがあるのですまだまだつづきがあるのです
(2010/11)
カンタン グレバン

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因果関係の妙

ことわざ:風がふけば桶屋が儲かる。あるいはバタフライエフェクト
(ブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスでトルネードを引き起こしうるという理論)
を彷彿させる内容の絵本。オレンジが樹から落ちたことをきっかけに飛び立った蝶。
それがさらなる動物の動きをさそって・・・ついには街中が大混乱になる。

タイトルにもあるように「まだまだつづきがあるのです」とリズミカルに
繰返される言い回しで、次はどうなるかと期待が高まっていきます。
舞台となっている中東の街が寓話的内容にいい雰囲気を与えてますね。

--------------------【Review for Review】--------------------
さて、あなたが今これを読んでいるのは何がきっかけ?
絵本を読む人、売る人、作る人。作るきっかけになったのは
やっぱりオレンジが落っこちたからか。
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カミナリこぞうがふってきた (絵本のおもちゃばこ)カミナリこぞうがふってきた (絵本のおもちゃばこ)
(2010/06/12)
シゲリカツヒコ

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すごい絵本がふってきた

他の方も評価されているように絵がいい!突拍子もない話がリアルな
迫力で迫って来ます。実際に起こったこととして、細部まで抜かり無く
描いているので、絵本の世界に入って充分に楽しむ事ができました。
嘘を真実のごとく描く絵本作家といえば、思い浮かべるのは
デイヴィッド ウィーズナーですが、彼に勝るとも劣らないのでは。
子ども達の表情、大道具や小道具の設定、空間の奥行き表現のみ
ならず、物語を見せる絵になっているところは、ベテランならでは。
と言いたいとこですが、これが初めての絵本なんですね!

突然空から降ってきたカミナリこぞうのごとく、これから絵本界に
作品を轟かせていって欲しいものです。

--------------------【Review for Review】--------------------
さて今年もあとわずか。一日一冊のレビューを書くとすれば、あと6冊。
いったいどの絵本を取り上げようか・・・
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クリスマスのきせき

2010/12/24 Fri 06:45

クリスマスのきせき (えほんのぼうけん18)クリスマスのきせき (えほんのぼうけん18)
(2010/10/16)
高畠 那生

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ご苦労様です

毎年この時期に登場するのがクリスマス絵本。心温まる奇蹟をムードたっぷりに
描いた作品を期待する方も多いかと思います。本作はそのものズバリのタイトル
ですが、ドタバタ喜劇が展開される点で異色と言えましょう。

七面鳥にプレゼントを届けようと巨大な箱を運ぶペンギンたちが登場。
ビルほどもあろうかという箱の中身はなんと雪そのもの。
雪景色を送ろうというわけですが、かなりあぶなっかしいです。
案の定、箱はかってに動きはじめバラバラに・・・ どうすんのよ?

でも話はなんとかうまい方向に転がりだします。え~っ、こんなのあり?!
という内容ですが、いいでしょう。今日だけの奇蹟ですから。

--------------------【Review for Review】--------------------
通勤中の車のラジオでよく耳にするクリスマスソングは
「A winter fairy is melting a snowman」しかし、英語の部分のみ
意識してしまうせいか、日本語で何を言っていたか思い出せない。
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どろんこのおともだち

2010/12/23 Thu 04:22

どろんこのおともだちどろんこのおともだち
(2010/10/29)
バーバラ・マクリントック

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泥の付き合い付け合い

日本名のタイトルがいいですね。同作者の「ないしょのおともだち」を
連想しページを開く前から期待が高まりました。ちなみに原書のタイトルは
「DAHlIA」で表紙も人形のみです。表紙の絵まで変えてしまうのは
あまり賛成しませんが、前書との関連性という意味では成功していると思います。

ダリアは、どろんこ遊びの好きなシャーロットのもとへおばさんから送られて来た
お上品な人形です。女の子は女の子らしくというメッセージが込められている
と受け止める事もできるプレゼント。しかし、シャーロットはダリアを連れ出して
どろんこ遊びに加えます。彼女らが元気いっぱいに遊ぶ姿からは、どろんこ遊びの
楽しさが伝わってきます。もちろんダリアも泥だらけ。

さて、その日の午後に送り主のおばさんがやってきて、その人形と対面することに!
そこが、この絵本のクライマックスと言えるかもしれません。おばさんは
人形についた泥に何を見いだしたか?

古き良き時代を彷彿させるマトリントックの気品ある絵が輝いています。

--------------------【Review for Review】--------------------
遊びの電子化、携帯化はどんどん加速してます。そのうちどろんこ遊びも
携帯ゲームでできるようになるのでは?!
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あおいくも

2010/12/22 Wed 04:44

あおいくもあおいくも
(2010/06)
トミー ウンゲラー

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さすがウンゲラー!

すばらしい!平和を願う気持ちを、これほど明解に表現できるとは。
色を象徴的に用いた視覚的アプローチで、争いや心の変化が描かれています。
よみ始めたときは、人の姿をした青い雲がひと騒動するユーモラスな絵本かな
と思ってました。しかし後半で一転し、人類の争いごとへの批判が展開されます。
シリアスな内容ですが、説教や教訓めいた方向へ行かず、最後まで絵本的表現で
押し通したところはさすが巨匠ウンゲラー。絵本の可能性を新ためて実感しました。
これは後世に残る名作と言っていいでしょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
滞在中に訪れることはかないませんでしたが、インドに青い街と呼ばれる
地域があります。Jodhpurというとこですが、きっと平和な街なのでしょうね。
jodhpur.jpg
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