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りんごちゃんとビートルカードりんごちゃんとビートルカード
(2010/09/14)
中川 ひろたか

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おもわずニヤリの悪ノリ絵本

昨年はビートルズ結成50周年をむかえましたが、こんな絵本まで
でていたとは、昨日まで知りませんでした。
ビートルカードは、一目でそれとわかる4人組が、助けられたお礼に
りんごちゃんへあげたもの。こまったときに役立つカードとのこと。
当然のごとく迎えるピンチ。石がローリングしてきたり、ドーナツ好きの
もみあげ男がでたり、イーグルの編隊に捕まったりと、往年のバンドに
ちなんだハプニングの連続にパパママ世代はニヤリとなるでしょう。
こどもは裏の意味はわからなくても、ファンキーな絵がもつ魔力に
何かを感じ取るのではないでしょうか。単純に絵本としても楽しめます。

そういえば、りんご=アップルとビートルズも深い関連がありましたね。
他にも、判る人には判ることが隠されていると思いますが、
全部を説明しようとしない潔さがいいです。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨晩は畳の上でうつぶせになってうたた寝。起き上がろうとしたら
身体中がシビれていた。あぶないあぶない。
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あおいでんしゃにのって

2011/02/27 Sun 04:39

あおいでんしゃにのって (5領域絵本シリーズ)あおいでんしゃにのって (5領域絵本シリーズ)
(2009/11)
穂高 順也

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空想力を乗せて走る

こどもの自由な空想は一枚の画用紙じゃ収まりきれない。
勢いあまってハミだしたのは クレヨンで描いたとしくんの青い電車。
おとなりのえみちゃんを乗せて、どんどん進んでいきます。
いったいどこまで行くのか? 魔女や怪獣やヒーローも登場。
途中で出くわすハプニングがいかにもで笑えました。
子どもはガハハ、大人もニヤリ。幼稚園なんかで先生
(特に若い女性)が読み聞かせしたら、ぜったい盛上がるなぁ。
そして気づいたら誰もが絵を描き始めていることでしょう。

作品として注目したいのは、多くの絵本で文を手がけて来た穂高さんが
初めて絵も描いた点。大御所にはできない すっとぼけた絵が、
絵本のテーマを完璧に成立させています。

--------------------【Review for Review】--------------------
この絵本は昨日おじゃました展覧会で手に入れました。
穂高順也&なかむらしんいちろう「かぼっちゃん」の絵本原画と小作品展。
coffee & gallery ゑいじう 
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アンネの木

2011/02/26 Sat 06:50

アンネの木アンネの木
(2010/12)
イレーヌ コーエン=ジャンカ

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木が語るアンネの記憶

タイトルになっているのは、アンネ・フランクらが大戦中に隠れていた
家の窓から見えたマロニエの木で、日記にもしばしば登場しています。
この絵本では、歴史の証人ともいえる木が、アンネの生活ぶりを語る
という構成をとっており、当時の空気感が伝わってきました。
一歩も外へ出れない彼女は、この木を通して四季の変化を感じ取り、
生きる元気や未来への希望を募らせていったようです。
色調をおさえた画面と木の慈愛に満ちた語りが印象的な作品です。

残念ながら、その木は昨年の8月に倒れてしまいましたが、
苗木は数カ国に贈られ生き続けているとのことです。日本にも存在する
ようなので、対面すれば当時の様子を語ってくれるかもしれません。

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レビューを書いたあと、ある事が思い浮かんで、しばらく物思いにふけって
しまいました。今日は休日ですからあわてることなく行こうと思います。
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ちことゆうのおだんごやさん (学研おはなし絵本)ちことゆうのおだんごやさん (学研おはなし絵本)
(2010/03/03)
まつしたさゆり

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遊びでも気持ちは本気

ちことゆうの2人がママゴト遊びではじめた土のお団子づくり。
気持ちがのってきて、そのままお団子屋さんを始めちゃいます。
土の団子って誰が欲しがるの? という心配は無用。
これならボクも欲しくなるなあ。ごっこ遊びの感動が伝わってきました。
そういえば自分も花や草木で色水を作ってジュースがわりにしてたっけ。
本気で遊ぶ子どもが見ている世界って、こういうのがあたりまえだよね。
お客さんの暖かい気持ちもうれしい作品でした。

--------------------【Review for Review】--------------------
なにげない日常も視点を変えれば新鮮に映ります。例えば未来の自分が
訳あって過去に戻ってきているのが今の世界とか。
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はやくはやくっていわないではやくはやくっていわないで
(2010/10/30)
益田ミリ

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よくぞいってくれました

べつにだれかをせかそうようとしているわけじゃないんです。
なかまとおなじようにマイペースでうごいているだけ→時計

はやくめのまえからきえろっておもわれてるのはわかってる。
でも そうすると こまるひともいるんだよ→赤信号

はやいっていわれるとうれしいし、みんなもよろこんでくれる。
おまけに やすくて うまけりゃ もんくなし→某牛丼

でもこころがうごくスピードはひとそれぞれ、
はやくはやくっておさえつけるのはやめてちょうだい→本書

益田さんのエッセイはインド在中によくよみました。
つかれたときにホッとするし、肩の力もぬけるし、食事中でも
もたれない内容だし。この絵本も らしいなと思いましたが、
絵は別の方なんですね。

--------------------【Review for Review】--------------------
ミントジャムという広告事務所を発見。http://mintjam.jp/menu.htm
ちなみにボクとは関係・・・ありません。
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タップのゆめ

2011/02/23 Wed 03:21

タップのゆめ (講談社の創作絵本)タップのゆめ (講談社の創作絵本)
(2010/11/16)
アン マサコ

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これぞ職人の技

表紙をみたとき、新作映画を絵本化したのかな、と勘違いしてしまった。
絵本のほうがオリジナルなんですね! いやぁすごい!

費やしたであろう手間や時間もさることながら、絵柄そのものも魅力的です。
人や靴も生き生きしてるし、作業部屋や町からもしっかり生活感が伝わってくる。
(本当にこれ映画じゃないんですかねぇ?)
内容に踏み込んでみると、靴たちを擬人化したところがユニークです。
作業用や競技用、カジュアルなものからフォーマルなものまで色々登場。
タップはその名のとおり、タップダンス用の靴で靴屋のおじいさんに
修理されて、持ち主と再び踊るのを待っているわけです。

しかし、これって元はCG?実作? よくぞここまで作り込んだものです。
本だけにとどめておくのはもったいない。ぜひ実物も観てみたいです。

--------------------【Review for Review】--------------------
今朝は出かける前に自分の靴をながめてみようかな。インドで苦楽を
共にしたパートナーは今でも活躍中です。
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もし、あなをずっとほってくとちきゅうのうらにでられるの?―かがくたんていだんもし、あなをずっとほってくとちきゅうのうらにでられるの?―かがくたんていだん
(2010/07)
きむら ゆういち、やました こうへい 他

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疑問をグングン掘り下げる

タイトルになっている素朴な疑問を追求した絵本。
実際に試してみるのはツキノワグマの3兄弟で、モグラの力も借りて
下へ下へと進んでいきますが・・・ 縦開きを生かした画面や、途中に
いろいろな仕掛けもあって、科学的な内容が楽しく伝わってきます。
好奇心旺盛なお子さんのいるパパママの助けにもなるでしょう。

ぜひシリーズとして続いて欲しい。と思ったらこれは2作目で、
「ねえ、おつきさまどうしてぼくについてくるの?」が出てましたね。
早速よむことにします。

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科学的な疑問は解説しやすい。人間はなんで生きているの? とか
戦争はなくならないの? とかになるとむずかしいけどね。
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しんかんくんけんかする

2011/02/20 Sun 03:52

しんかんくんけんかするしんかんくんけんかする
(2010/07)
のぶみ

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はだかの心とであう

きのう、同作者の「暴走族、絵本作家になる」を読んだ流れで、この絵本を
手に取りました。暴走族~で語られている、しんかんくんの誕生秘話にふれ、
最新刊をよんでみたくなったので。

デビュー当時はインパクトあるキャラだったしんかんくんも、シリーズ5作目
ともなると、すっかり町の住人と馴染んでいるようですね。かんたろうとの
仲も深まっているようですが、そうなるとケンカすることもあるわけで・・・
問題はそのあと。なかよしでいたいから、謝りたいんだけど、素直にごめんと
言えない。彼が初めていだいた、そんな複雑な想いが丁寧に描かれています。

児童書では王道テーマであるものの、それをしんかんくんで、どう描いたか?
先の暴走族~をふまえてよむと、素直になることの意味がより深く伝わり、
ジーンとくるものがありました。ケンカの発端となったお面の扱いが象徴的。
これからどうなっていくのか楽しみなシリーズです。

--------------------【Review for Review】--------------------
「暴走族、絵本作家になる」もおすすめ。絵本作家をめざすひとは
もちろん、ビジネス書としてみても多くのことが得られますね。
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もりのおくのおちゃかいへ

2011/02/19 Sat 04:46

もりのおくのおちゃかいへもりのおくのおちゃかいへ
(2010/11/03)
みやこし あきこ

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懐かしい雰囲気の新作

木炭によるモノクロームの画面は、デビュー作「たいふうがくる」と同じですが、
今回はより積極的に色が使われていますね。例えば、おばあちゃんの家へ向かう
女の子の帽子と手袋は赤。んっ、途中オオカミに後をつけられるんじゃ・・・ 
なんて心配は無用でした。途中で出会ったのは親切な動物たちで、みんなから
女の子に送られたものには、おおおっ となりました。
ここでも色が劇的な演出となっています。確かな描写によるリアリティと
相まって、本当に夢をみたかのような読後感を味わえました。

--------------------【Review for Review】--------------------
さっきから家のオカメインコが、後ろで吠えている。早く朝食にしろって。
もっと静かにしないと、お茶会に招かれないぞ。
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108ぴきめのひつじ

2011/02/17 Thu 03:55

108ぴきめのひつじ108ぴきめのひつじ
(2011/01)
いまい あやの

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羊たちの秘密があきらかに

大注目の絵本作家:いまいさんの海外デビュー作が日本語でついに登場。
ほんわかとした雰囲気や人間味ある動物たちの描写など、現在の作品に
通じるものが、すでに感じられます。さて、眠れない女の子のために
登場する羊たちですが、108匹めに問題が。女の子のベットをうまく
通過できないのです。眠れないときに数える羊たちにも、登場する順番が
あるのですね。だから108匹目が前に進まないと、カウントを続けられない。
女の子が眠れないという問題が、いつの間にか羊側の問題にすり替わっている
ところがニヤりとさせます。現実と夢の境界を見事に描写した作品。
眠れないときにもおすすめ。巻末の羊たちをあなたの寝室に呼び出しましょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
最近はじめたツイッターで、本書をレビューすると昨晩つぶやいてから
眠りの世界へ急行。ボクのとこに羊の出番は当分なさそうです。
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