fc2ブログ

落語えほん しまめぐり

2011/05/31 Tue 02:58

落語えほん しまめぐり落語えほん しまめぐり
(2011/03)
桂 文我

商品詳細を見る

落語絵本としても珍品

元の落語は、ほとんど高座にかけられることがない珍品扱いとのことですが、
確かに荒唐無稽な異国への旅物語は、いわゆる落語の枠からはみ出してますね。
蟻のような小人の国や、オシッコが滝になるほどの巨人の国なんて登場します。
だから絵も規格外のもの、ということでスズキコージさんが手がけたんでしょうが、
これは好みが分かれるかもしれません。

落語絵本といえば川端誠さんのシリーズが有名で、作品が生まれた江戸時代の
雰囲気まで伝わってきます。川端さんとはいかないまでも、島巡りも同じ方向で
写実的に視覚化したものを見たかった。ホラ話的な内容だからこそ、本当に
あったかのように語って欲しかったので。

スズキさんの絵が好きな方は楽しめると思います。極彩色のご飯つぶなんて
なかなかお目にかかれないでしょうから。

--------------------【Review for Review】--------------------
めざまし占いって悔しいほど当たるんだよな。やる気が空回りするという
12位の昨日は本当最悪だった。とツイートしようと思ったけど、日をまたいだ
ので、こっちで言っとく事に。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
ふくろうはかせのものまねそうふくろうはかせのものまねそう
(2011/04)
東野 りえ

商品詳細を見る

心の声に気づく

ひねくれ者のキツネが、ふくろう博士からプレゼントされた
ものまね草の助けで自分の本当の気持ちに気づく話。
読後は胸のつかえが取れたようなスッキリ気分になれます。

ものまね草とは言われたことを勝手にまねする変り草。
「ともだちなんて ほしくない」
キツネは自分が思わず言ったことを、何度も耳にするはめに。
でもおかげでキツネ自身の気持ちを客観的にみつめることができて、
ついには本音が引き出されてしまうのです。
ふくろう博士は薬草の研究家とのことですが、この草は
心に効く薬と言えますね。なかなか味のある処方ですな。

安定感のある文と絵は、メッセージを素直に伝えてくれます。
ピクニックに行きたくない素振りをしつつ、さりげなく
準備してある水筒やリュックがいじらしかった。

--------------------【Review for Review】--------------------
風邪はなんとか回復つつあります。今朝はちょっといい気分。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
まちのいぬといなかのかえる (大型絵本)まちのいぬといなかのかえる (大型絵本)
(2011/02/16)
モー・ウィレムズ

商品詳細を見る

笑顔の犬は絵本史に残る名シーンだ

出会いの春、友好を深める夏、想いにふける秋、別れの冬・・・
人生の中で誰しもが経験する出会いと別れを、変わりゆく四季の
表情と共に美しく語る絵本。ひとつひとつの文や絵に味わいがあり、
再読する度に、新たな気づきを引き出してくれる作品でもあります。

読後に色々な想像や疑問がわき起こってきました。蛙の生態を
考えれば心配ないのではと思ったり、でもこれはいつの日か
起こりうることだなと思ったり。犬と蛙が出会う前に、それぞれが
経験している別れはどんなものだったのかと思いを巡らせたり、
今という瞬間には、過去と未来が共存しているんだなと哲学的に
なってみたり。そんな風に、いろいろと解釈できる余地があります。
その意味では読者の様々な気持ちを、懐深く受止めてくれる、
聞き上手な絵本だなと思いました。

関連するテーマで思い浮かぶ絵本は「くまとやまねこ」
熊と鳥と猫を通して極限の別れを直視した名作です。
こちらはかなりメッセージ性が強いのでよむのに覚悟がいります。

--------------------【Review for Review】--------------------
季節の変りめのせいか風邪気味です。今日は静かに過ごそうかな。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
きつね、きつね、きつねがとおる (ポプラ社の絵本)きつね、きつね、きつねがとおる (ポプラ社の絵本)
(2011/04/08)
伊藤遊

商品詳細を見る

こども視点で見えるもの見えないもの

感覚的なことは主観によるとこが多いので、他人との比較はむずかしい。
自分の見ている赤い色の鮮やかさとか、激辛といってもそれほどでないなとか、
煙草の煙に人一倍不快になるとか、は客観的な数値に置き換えにくいし。
でも、見えるか見えないかだったら、話は単純。写真にとってみればいい。

そうなると、ちいさな子どもは不利で、人混みの先とか、塀の向こう側とか、
背伸びしても目がとどかない場所が多くていやだな、なんてことが
本書の前半で描かれています。画面では視点を子どもに設定してるので、
読者も前が見えなくて、いったいどうなってんだ?と共感できます。

しかし、後半では子どもだからこそ見えるものが登場します。
それが狐火。いわゆる物の怪的な存在ですね。狐たちの奇妙な行列が
現れて、ねえねえ父さん母さん見て見て、となるわけです。
でも大人には見えません、が読者は見れますよ。空想というか
妄想というか、これも主観的なものと言えるけどね。

けっこう写実的な絵。逆に日常世界で狐の行列が見えなくて、
自分は何か欠けているのでは、とがっかりする子どもがでてこないか、
ちょっと心配になったりして。

絵本の中を白昼夢の世界が通り過ぎたことは事実です。

--------------------【Review for Review】--------------------
霊的な存在が見えるという人がいるけど、これも主観的と言えるし、
見えたから何かがどうにかなる、という訳でもないのが、もどかしい。
そんな人たちを集めて、見えるものを別々に描写させてみたいもの。
内容が一致していれば、その信憑性が検証できると思うのだが。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

三国志絵本 空城の計

2011/05/27 Fri 03:03

三国志絵本 空城の計 (大型絵本)三国志絵本 空城の計 (大型絵本)
(2011/04/07)
唐 亜明

商品詳細を見る

歴史的兵法は現代に通ず

仕事では、より早く正確に判断し、実行することが求められる。
それは毎日の生活でも同じことで、程度の大小はあれ、我々は常に
何かを判断している。特に刻々と状況が変化し、多くの命に
かかわる場面で、次に何をするか瞬時に決定せねばらないときは、
上に立つ者のプレッシャーは半端じゃない。

本書には三国志の名将:孔明の計略のひとつが紹介されています。
迫り来るのは15万もの大軍、しかも率いているのは知恵者の司馬懿。
対する自軍はわずか2千5百人という絶望的状況。
それを琴を用いた計略によって、孔明はみごとに切り抜けます。

迅速なもの、軽卒なもの、慎重なもの、大胆なもの。戦の中で、
さまざまな判断がくだされます。決めてになったのは、相手の力量を
信頼するからこそできた判断。ううむ、なかなか深いです。

雰囲気のある絵は中国人画家の手によるものですが、
原書は意外や日本生まれ。三国志絵本シリーズでは、
「十万本の矢」「七たび孟獲をとらえる」もありますね。
後ほど楽しむとしましょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
さて、今日の仕事を乗り切れば週末休みだ。がんばるぞ!
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

ナイゾーくん

2011/05/26 Thu 05:32

ナイゾーくんナイゾーくん
(2011/03/08)
さいとう ゆうき

商品詳細を見る

身体の中に住むゾウやトリやチョウと言えば

まあ、いわゆるキャラクター系の作品ですかねぇ、これは。
最近はウンコや元素までがキャラクター化されちゃうくらいですから、
内蔵くんが登場しても全然オッケーです。ちょっとグロテスクでは?
なんて不安もありますが、本書のマンガチックな軽さはその点大丈夫。
理科の授業中にヒマをもてあました中学生が、ウケを狙ってノートに
落書きしちゃいましたってイメージです。

心臓くんが、肝臓、胃袋、膵臓、脾臓、盲腸、腎臓 などなど
それぞれの家を訪ねていくというアットホームな展開に微笑。
いちおう内蔵の機能をふまえた性格付けがされてますが、
学習効果を期待するより、読者がある程度もっている知識を
楽しむという感じですね。骨の橋をわたったり、胃腸の迷路が
あったり、歌のおまけがあったり、遊びに徹した絵本です。
欲を言えば、ちゃんとした補足説明もあるとよかった。

身体の中を舞台にした絵本で、科学的に読み応えのあるのは
「よーするに医学えほん からだアイらんど」シリーズ。
身体を島に例えて、壮大なドラマが展開されてます。

--------------------【Review for Review】--------------------
現在5時30分、一仕事終えたし、ゆっくり風呂に入ろう。
あっ、ブログの時間設定がずーっとまちがってた。2時間もずれてる(汗)
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

妖怪横丁

2011/05/25 Wed 03:11

妖怪横丁妖怪横丁
(2011/03/03)
広瀬 克也

商品詳細を見る

妖怪大売り出し絵本

妖怪横丁は妖怪たちの商店街。
からかさおもちゃ店 ひとつ目めがね店 ロックロクビ楽器店
などなど、妖怪ならではの怪しげなお店が次から次へと登場。
そんなところへ足を踏み入れた男の子がめざすは豆腐屋さん。
というわけで、はたして無事にお使いを果たせるか?

日常生活の中で妖怪たちを紹介していく構成がユニーク。
誰しも初めての場所では、見知らぬ人に出会う緊張感や、
勝手の判らない戸惑いなどあると思います。そんな気持ちも
本書の男の子の視点から伝わってきました。

でもこんな横丁なら、ちょっとのぞいてみたいですね。
最後のオチはいろいろ考えられる思いますが、本書の場合は
あくまでも、お互いの立場を肯定しています。

一言だけ突っ込みを。  ところで豆腐小僧は? 

お化けや妖怪好きにおすすめの絵本としては
「あいうえおばけのおまつりだ」73体もの妖怪が登場。
「コンビニエンス・ドロンパ」お化けのための商品が勢揃い。

--------------------【Review for Review】--------------------
レビューを書いているうちに新たな気づきがあって、
作品の評価が変わってしまうことがよくある。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
おもいでをなくした  おばあちゃんおもいでをなくした おばあちゃん
(2011/03/25)
ジャーク・ドレーセン(Jaak Dreesen)

商品詳細を見る

認知症を優しく語る絵本

タイトルの訳が絶妙!なくしたものを記憶ではなく思い出とした点
もそうでが、原書のタイトルを確認したときにハッとしたので。
元はオランダ語で「OMA IN DE ZOMERWET」、これ直訳すると 
夏の草原の中のおばあさん となるようです。舞台になっている老人ホーム
の名前に結びつけると「夏草荘のおばあさん」という感じでしょうか。

そんなことより、単純に元のタイトルをローマ字読みすると
オマ イン デ → オマイデ → おもいで となりませんか。
訳者の久保谷洋さんは、ぜったい意識していると思う。

それに加えて、認知症を扱った社会的内容の絵本であることも、
タイトル名から察することができますね。ポツンと建っている
老人ホームの表紙絵ともうまくマッチしています。

作中に登場するおばあちゃんは、実の娘や孫が訪ねてきても
わからず、一般客のように応対します。自分への態度がいつもと違って
丁寧すぎる、そこで孫娘のペトラはおばあちゃんの変化に気づくのです。
今回の訪問では奇蹟がおこりましたが、ペトラはおばあちゃんとの新たな
関係が始まったことを、小さな胸で感じ取ったようです。

帰りの車中で彼女が母と交わした会話は、ちょっと出来過ぎですが、
過剰な説明や解説よりも、心に染みて来ました。

--------------------【Review for Review】--------------------
朝から降り続ける雨のせいで、余計しんみりとなってます。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

おべんとうんち

2011/05/23 Mon 03:20

おべんとうんちおべんとうんち
(2011/03/22)
石倉ヒロユキ

商品詳細を見る

ありがとうんち

食べたお弁当が、うんちになるまでを真面目に楽しめる絵本です。

表紙にも出ている、三色のトロッコが展開に一役買っている。
実際はお腹の中でグチャグチャになっている食べ物たち。
彼らを成分ごとにグルーピングし、理解しやすくしてると同時に
絵的にもスマートに見せてくれてます。ちなみに色ごとの意味は、
赤がタンパク質、緑が炭水化物、黄色が食物繊維で、その並びは
消化されていく順番。

ひらがなとカタカナの大きな文字を追えば、物語として楽しめるし、
漢字入りの小さな説明文で、理解を深めることもできます。
ウンチスケールのおまけ付。これは絵本の世界と現物を結びつける
うまいアイデアですが、使うときは慎重にね。

うんちは健康のバロメーター。読後はトイレタイムが楽しみに!

--------------------【Review for Review】--------------------
家に帰るまでが遠足、なんて言われますが、だったらウンチを出すまでが
食事と言ってもいいのではないでしょうか。食べっぱなしじゃなくて。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

フィートははしる

2011/05/22 Sun 03:42

フィートははしるフィートははしる
(2011/03)
ビビ・デュモン タック

商品詳細を見る

風力vs脚力

疾走する鳥がでる懐かしアニメといえば「ロードランナーとワイリーコヨーテ」。
本書のフィートは、そのロードランナーばりに走ることが大好きです。
でもなんか変・・・なのはページの進行にたいして逆向きに走ってるせい。
実は左から右へ大風がふいている。でもフィートは風に逆らって左へ行きたがる。
何かをめざしているのか?それとも世の中の風当たりと戦っているのか?
と思いきや、単にガンコなだけのよう。作者はタメにタメを作って最後の壮快感へ
持ってきたかったのか。なんて思いつつ裏表紙をみると、おいおい。
けっきょく、主役は風ってこと? 

何かを貫き通そうとすると困難に直面することもある。安易に流されるのは
よくないけど、本来の目的が達成できるなら、考え方を変えてみるのはあり。

--------------------【Review for Review】--------------------
自然の力、肉体の力、意思の力。力は直接見えないけど間接的に表現できる。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
 | HOME | Next »