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ぞうくんのすてきなりょこう (ぞうくんのちいさなどくしょ)ぞうくんのすてきなりょこう (ぞうくんのちいさなどくしょ)
(2011/05)
セシル ジョスリン

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トランクに荷物、心に好奇心

家族でフランス旅行することになったゾウくんは、行き先の言葉に
興味をもってママに色々と質問しまくります。

「ばんざーいって、なんていうの?」「はいって、なんていうの?」などなど。
全体は未知の言語を学習するという構成になっていますが、描かれているのは
母と子の微笑ましいコミュニケーション。うれしくてたまらないゾウくんの
おちゃめぶりと、それを受けるママの会話。なかなか冴えてますね。

原作は1961年のアメリカ。フランスのトリコロールを彷彿させる
青と黒の二色刷りと見開きのピンクの配色もおしゃれ。

--------------------【Review for Review】--------------------
パリにある絵本専門店を思い出した。「シャントリーブル」おすすめです。
http://www.chantelivre.com/japan.php
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すごいくるま

2011/07/28 Thu 05:19

すごいくるますごいくるま
(2011/06)
市原 淳

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驚愕の高性能をごらんあれ

たしかにこんなクルマがあったら すごいですねえ。

走る場所に応じて変形し、空へ、海へ、山へとどこでも行けちゃう。
さらに遊具になったり、お菓子を作ったりと、なんでも出来ちゃう。
懐かしのアニメ、チキチキマシン猛レースのマジックスリーを
彷彿させるような万能ぶりです。

運転するのはパパ。すごいクルマは、ある意味、頼りがいのある
パパの象徴なのでしょうか。古き良き時代を感じさせる絵柄は、
かつて人類がいだいたモータリゼーションへの憧れや期待を、
再び思い出させてくれました。

直接、言うようなヤボなことはしていませんが、動力はクリーン
エネルギーで、人や環境に優しいクルマだと推察します。
何と言ってもすごいのですから。

--------------------【Review for Review】--------------------
今年はすごい事が次々に起こっている。絵本もすごい作品が次々に登場。
自分にとってもすごいと言える年にしたい。
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8月6日のこと

2011/07/27 Wed 03:10

8月6日のこと8月6日のこと
(2011/07/15)
中川 ひろたか

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絵本による被爆体験

その日付が、とある出来事の象徴になってしまったものがある。
3月11日がそうなってしまったように、8月6日もそのひとつだ。
語呂合わせでいけば、ハムの日とか制定されそうなもの。
しかし1945年以降、8月6日は、日本人にとって、とある出来事の
記憶として永久欠番となってしまった。だからこそのこのタイトル。

また今年は、日本中が核の力について、新たな認識をもつように
なった年であり、2重の意味でメッセージ性の高い作品と言えます。
(「原発いらねえ」とストレートに言ってはいませんが・・・)

作品の中で印象に残ったのは、あの光が瀬戸内海を照らしたシーン。
紙の白地を活かした表現がみごとすぎる。ずーっとながめていると、
被爆してしまうのではないかと、思わずページを閉じたくなった方も
少なくないのでは。それに続くは黒地に白い雲が立ち上がるシーン。
ピカドンの瞬間だ。さらに追い打ちをかける画面が続く。

長谷川さんによる迫力ある筆致は、情け容赦なく我々の心に
あの出来事を刻み込んでくる。話しの中心となっているは、
中川さんの母の実体験。悲しんだり叫んだりする場面はなく、
淡々と事実をつづったところに、出来事の深刻さがずっしりと
のしかかってきました。

再読の際、見開きの白いページに背筋が寒くなりました。

--------------------【Review for Review】--------------------
この絵本は発売と同時に購入。8月6日にレビューしようと思ってたのですが、
待っているのももどかしく、気持ちで書いてしまった。
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バングルスせんせいちこく!ちこく?バングルスせんせいちこく!ちこく?
(2011/05)
ステファニー カルメンソン

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急げや急げ

先生が遅刻しちゃまずい。日頃、生徒たちに ぜったいに遅刻するな
と言ってるバングルス先生が、目覚まし時計をセットし忘れて朝寝坊。
さあ、大大大ピ~ンチ! はたして始業に間に合うのか?

バングルス先生のあわてぶりがダイナミックで笑えます。
こんなときにかぎって、着ていく服がみつからなかったり、車が動かなかったり
バスが満員で乗れなかったと、もうピンチの連続。似たような経験は誰しも
あるのでは。思わずがんばれ と応援してしまいました。

実は日曜日なんじゃない? なんて思ったけどそんなに甘くはなかった。

「ぜったい、ぜったい、ぜったいに がっこうへは ちこくしないこと」
教室の張り紙ですが、先生は最後の一文を変えます。
これにはおおいに共感。やっぱり安全第一ですよね。

--------------------【Review for Review】--------------------
寝坊しそうなときに必ずみる夢があります。
あわてて体操着に着替えるという状況で、そこで焦って目を覚ます
というパターンが多い。

今日は日曜日だけど、仕事にいかなきゃ。
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みるなのへや

2011/07/23 Sat 03:24

みるなのへや (いまむかしえほん)みるなのへや (いまむかしえほん)
(2011/06/01)
広松 由希子

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不思議な読後感

「みるな」 と言われると、かえって見たくなってしまうものですよね。

一晩の宿をかりた旅人もそうでした。奥の部屋をのぞくなと言われたにも
かかわらず、泊めてくれた女が出かけた隙に、ふすまを開けてしまうのです。
さらには、二番目の部屋、三番目の部屋と次々に進んでいってしまう。
ただの部屋ならまだしも、咲きほこる桜や海など、ありえない世界が
登場するので、気になって奥へ奥へと進んでしまいます。

次に何が現れるのか? 期待と不安が交錯する展開。
最後に登場したものから察するに、女は自分の子どもを守ろうとしてた
ようですね。それもまだ世の中に姿を現す前の。強い腕力をもたない
ものが、相手の精神に働きかけることで、守りきろうとしてたようですが。

何か化かされたような不思議な読後感は、この手の昔話ならでは。

そういえば「あけるな」という異色絵本(谷川 俊太郎:著/安野 光雅:絵)
を思い出しました。 かつて書いた自分のレビューを読み返してみましたが、
極端な表現をしすぎたせいか、半数以上が参考にならないとの評価。
「みるな」と書くことで、本への興味をひこうとしたんですが・・・
まともに読むと、危ない人が書いたみたいにも取れるなぁ。

--------------------【Review for Review】--------------------
だから本書に対しては みてください と言っときます。

ご参考までに、
あけるなあけるな
(2006/12)
谷川 俊太郎

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コウモリのルーファスくん

2011/07/22 Fri 04:25

コウモリのルーファスくんコウモリのルーファスくん
(2011/06)
ウンゲラー トミ

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ウンゲラー節が羽ばたいてます

1994年に刊行された「こうもりのルーファス/岩崎書店」
が翻訳者と出版社を新たにして再登場。
両者を比較してみると、かなり違いがあることに驚きました。
新版は旧版より倍近く大きいし、印刷色も落ち着きがあります。
旧版にはなかった絵柄もあるので、より原画に近い印象を受けました。
そもそも表紙からして、コウモリの向きが逆だし、いったいなんで?

調べてみると、海外で刊行されている作品も既に2種類あるので、
どっちを元にしているかの違いによるみたいですね。
色々事情があるのでしょうが、それはさておき。

普段は夜中に生活している、こうもりのルーファスくん。
とある好奇心から、昼間の世界にあこがれて眠らずに朝を迎えます。
太陽とともに表れる色鮮やかな世界。そこで自分の黒い体がいやに
なって、たまたま見つけた絵の具でカラフルな体に変身します。
それがきっかけで招いたトラブルと新たな出会い。

主役はルーファスなんだけど、人間の二面性に踏み込んでいる
ところは、ウンゲラーらしい展開です。モノクロ映画の世界に
郷愁を感じる我々の感覚はルーファスの裏返し。彼を助けた
タータロ先生の趣味も、ハンターに近いものがあるし。
単純に語りきれない奥深さがあります。

--------------------【Review for Review】--------------------
ちなみにこちらが絶版となっている岩崎書店版です。
こうもりのルーファス (世界の絵本)こうもりのルーファス (世界の絵本)
(1994/12)
トミー ウンゲラー

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ねこのうたたね

2011/07/21 Thu 04:53

ねこのうたたねねこのうたたね
(2011/06)
どい かや

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ネコになりたいときに

ネコたちのショートストーリーを集めた小さな絵本。
甘えたり、眠ったり、空想したり、遊んだりするネコたちを
通して、気持ちがほっこりとなれる作品です。

ボクはノビをしたりアクビしたりするときに、ネコをイメージします。
そのほうが、より効果があるような気がするので。小さなソファの上で
うたたねするときなど、精神的にはネコそのものかもしれない。

眠りたい時に眠れる休日のうたたねは幸せ。
本書があれば、そんなネコ気分をいつでも満喫できます。

絵本には間伐材紙を使用。TWITTERでもふれられてましたが、
そこまで自然環境へ配慮するところに、作家としての一貫性を
強く感じました。

--------------------【Review for Review】--------------------
今日は休日。台風もピークを過ぎたようなので、都内散策しようかな。
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新装版 ベンチが ひとつ

2011/07/20 Wed 04:20

新装版 ベンチが ひとつ (講談社の創作絵本)新装版 ベンチが ひとつ (講談社の創作絵本)
(2011/05/21)
竹下 文子、鈴木 まもる 他

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そこに行けば必ず出会える白いベンチ

舞台となっている公園を俯瞰した絵がいいですね。見入ってしまいました。
そこには、見開きいっぱいの公園に、訪れた人々が小さく描かれていて、
それぞれの人から物語が伝わってきて、空想が膨らみ続けるからです。

老若男女、働いている人、休憩してる人、嬉しそうな人、辛そうな人、
毎日来てそうな人、特別な日らしき人。それぞれに感情移入してしまい、
考えていることや会話の内容まで伝わるくらい丁寧に描写されています。

作品の構成としては、白いベンチと公園の手入れをするおじさんの
一日に焦点をあてていますが、ボクは出てくる人みんなが主役と思たい。
様々な人生と、それを分け隔てなく受け入れてくれる公園を通して、
日々のささやかな幸せを描いた絵本。

1985年に刊行された作品の新装版とのこと。
16年を経た今でも白いベンチは健在です。

--------------------【Review for Review】--------------------
ときどき行く小金井公園には、お気に入りの場所があります。
奥の方にあるハナミズキのエリアなんですが、静かで落ち着ける場所なので。
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コックの ぼうしは しっている (講談社の創作絵本)コックの ぼうしは しっている (講談社の創作絵本)
(2011/05/27)
シゲタ サヤカ

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キッチンコメディ

街一番の人気レストランを舞台にした絵本のシリーズ3作目。
料理を勝手に食っちまうまな板や、料理中に中身を吐き出しちまう鍋など
とんでもないキャラクターが登場して、毎回、楽しませてくれます。

今回、最もとんでもないヤツは調理器具ではなく、うそつきのコック。
自分の失敗をウソでごまかし続けるのですが、それをしっり見てたのが
彼の帽子。たまりかねて大声で暴露しようとしますが・・・

漫画チックな展開で気軽に楽しめる作品。
まだまだ色々と続きそうな勢いです。

表の見開きには、彼のついたウソが料理のごとく陳列され、
裏の見開きには、それぞれの真実が明かされています。
前作を知ってる人は、ニヤリとなる事例も混じってますね。

--------------------【Review for Review】--------------------
先日、10年ぶりに川越に行ったら、古本屋「コミックランド高橋書房」の
前に柵ができてた。調べてみると「ほんだらけ」「雄文堂」「希林堂書店」
など有名どころは、とっくに閉店になっているらしい。
時代の流れかもしれないけど、ちょっと寂しい気持ちに。
高橋書房

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タンポポたいへん!

2011/07/16 Sat 02:40

タンポポたいへん!タンポポたいへん!
(2011/04)
シャーロット ミドルトン

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わかりやすい危機管理の本

タンポポの葉ってモルモットの好物らしい。パンダと笹、ウサギとニンジン、
みたいな関係なのかな。食べた事ないけどどんな味なんだろ?

さて、絵本では物事が単純化されたり、極端なことが起こったりします。
本書もそうで、モルモットが丘に暮らすモルモットたちが、好物のタンポポの
葉を食べ続けた結果、一本足りとも残らない状態になってしまうのです。
実にわかりやすい。

そして偶然にも、クリストファーくんは最後の一本を見つけます。
でも、食べたら無くなってしまいます。さて、彼はどうしたか? 

森林伐採、石油採掘、電力消費。人類の行為も神様的視点からみると
このモルモットの話しのように見えるんでしょうね。

クリストファーくんの考えた解決策も実にわかりやすい。
消費するものは、増やすか、作り出すか、蓄えるか、しないとね。
当たり前の事を、ユーモラスに伝えてくれる作品です。

--------------------【Review for Review】--------------------
時間を増やすにはどうすりゃいいんだ。時間の種はないのか?
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