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シルム

2011/11/30 Wed 04:39

シルムシルム
(2011/01/18)
キム・ジャンソン

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迫力の格闘絵本

日本からみれば韓国の相撲となりますが、逆からみると日本のシルムに
なるんでしょうね、相撲は。本当にこの二つはそっくりだ。
というわけでルール等の解説はなくても、すんなりと絵本の世界へ
入り、チャンサ(力士)の対戦を楽しめます。

大地に踏ん張るつま先から相手をつかむ指先に至るまで、チャンサに
みなぎる力が、しっかりと描写されている。さらには観客一人一人の
表情まで細かく描き分けている。会場全体の熱気でページをめくる
手にも思わず力がはいります。お互い一進一退の決勝戦は圧巻!

心にまでも筋肉がついたような読後感を味わえます。

--------------------【Review for Review】--------------------
実際、筋肉痛なのですが、これは昨日買った家具を組み立てたせい。
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マイマイとナイナイ

2011/11/29 Tue 04:55

マイマイとナイナイ (怪談えほん2)マイマイとナイナイ (怪談えほん2)
(2011/10/08)
皆川 博子

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解のない怪

この怪談絵本はわからない。表現のレベルが高すぎるのか・・・

「怪談」の意味を調べると、化け物・幽霊などの出てくる気味の悪い話とある。
この作品には夜の夢の一部として化け物らしきものが描かれているものの、
直接的に怖がらせるような扱いではない。気味悪いかというとそうでもなく、
むしろ宇野さんの絵は美しいといえるし。

では「怪しい」の意味するところは?
【正体のはっきりしない事物に対する不可解な気持ち】とのこと。
なるほど、怪談=怪しい話しと受止めれば、内容にも納得できる。
不可解であることに納得するというもの変な話しですけどね。

女の子が見つけた眼の中に入るほどの小さな弟との関係が不可解だ。
クルミと肉体と心の空間的な関係がねじれていて不可解だ。
青空を航海する絵に付けられた「たすけて」という文が不可解だ。
女の子の傍らにいるカタツムリの存在が何なのか不可解だ。

心が出口のない絵本にとじこめられそうだ。
だれか たすけて。

--------------------【Review for Review】--------------------
今日は休み。有休調整です。つまり休むという業務をこなしている感覚で、
ある意味不可解。(なんて言わず有意義なものにしよう)
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空の絵本

2011/11/28 Mon 03:47

空の絵本 (講談社の創作絵本)空の絵本 (講談社の創作絵本)
(2011/10/12)
長田 弘、荒井 良二 他

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印象派絵画のよう

モネやセザンヌのような印象派の世界を彷彿させる絵本です。
一日の中で移ろい行く風景が、光や色彩の変化を通して直感的に
描かれています。空想に羽ばたくことなく、大地に足をつけ、
正面から自然を捉えている荒井さんの絵は、ちょっと驚きです。
とはいっても、作為性を極力排した中、キラリと光るものを
見せてくれるところはサスガですね。

自然の風景の中には、我々の心を見いだすことができます。
生きていると色々な事があるけど、明日は必ずやってくる。
ページを閉じた後、ボクの心には青空が描かれていました。

--------------------【Review for Review】--------------------
大きく深呼吸。さあ今週のスタートだ。

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かっぱ

2011/11/27 Sun 05:05

かっぱ (杉山亮のおばけ話絵本)かっぱ (杉山亮のおばけ話絵本)
(2011/10/14)
杉山 亮

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史上最恐の河童絵本

オドロオドロしい!絵本にでてくる河童といえば、親しみやすいキャラが
多かったのですが本書はちがう。「のっぺらぼう」「うみぼうず」に続く
お化け話しシリーズの第三弾では、一人で留守番する女の子のところへ
ヒタヒタとやってくる恐怖を味わえます。
木の枝や水面など細部まで神経の行き届いた描写が怖いもの見たさの
気持ちを巧みに誘い、アップを多用した大胆な画面が読者の視線を
凍り付かせてしまうほどの支配力だ。(と言ったら褒め過ぎか・・・)
そんなに怖いならよむのをやめようか、なんて思うなかれ。
大丈夫です。最後はちゃんと高ぶる気持ちを治めてくれますから。

最近は大バーゲン的に沢山の妖怪が出てくる絵本が多い。
それだけに、一人(いや一匹か?)とじっくり向き合える
この手の作品は貴重な存在です。

--------------------【Review for Review】--------------------
11月って大きなイベントがなく落ち着けるところがいい。
来月になると怒濤のように慌ただしくなり、あっという間に数ヶ月が過ぎていく。
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さあ、とんでごらん!

2011/11/26 Sat 02:38

さあ、とんでごらん!さあ、とんでごらん!
(2011/10/08)
サイモン ジェームズ

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巣立ちの瞬間へ

絵がいいです。個人的に言うと好みじゃないんですけど、でも絵がいい。
細くて拙い線画と淡い色の水彩。それがまだ空に羽ばたくことのできない
小鳥のジョージの未熟さ、それと彼のこもる巣が風で飛ばされるという
軽さ、儚さが良く伝わってくるからです。ホント、息を吹きかけると
ティッシュのように画面から吹き飛んでしまいそうな絵なんです。

ワクワクしながら風任せに街中を転々とするジョージに対し、
懸命になって彼を追いかける母親のシリアスさも印象的です。
そしていつの間にかボクもジョージのことを応援していました。
大丈夫、キミはちゃんと翼をもっているんだから。
しかし、ジョージは最後までマイペースだったな。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日はデパートのスイーツ売り場が賑わっていた。時節柄か。
それにしても一個で600円以上もするマロングラッセって・・・
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童話のどうぶつえん

2011/11/25 Fri 03:47

童話のどうぶつえん童話のどうぶつえん
(2011/09)
漆原 智良

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面白い!行きたくなりました

動物たちを童話の世界に関連させて楽しく紹介する動物園の話し。
「ウサギとカメ」「3匹の子豚」「猿蟹合戦」など有名な作品に合わせ、
動物同士をカップリングしたり、わらや木やレンガの家を作ったり・・・
園長のアイデアに町の人達も協力して、小さいながらも子どもたちが
ワクワクするような動物園が出来上がっていきます。

そんな動物園があったらいいなあと読みすすめていたら実話でした!
ということで再び感動。東京郊外にある羽村市動物公園とのこと。

実在するならば写真を使って簡単に紹介できそうですが、
優しいタッチのイラストによって語ることで、動物園に込めた夢や
思い入れがよりストレートに伝わってきました。

--------------------【Review for Review】--------------------
前にも書いたけど、積まれたワラと 木の小屋と ブロック塀のそばを
ノラ豚たちが徘徊していて、ここに狼がいたらリアル3匹の子豚だなと
思ったことがあります。インドの田舎で見た光景。
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ぶつくさモンクターレさん

2011/11/21 Mon 03:03

ぶつくさモンクターレさん (PHPわたしのえほん)ぶつくさモンクターレさん (PHPわたしのえほん)
(2011/10/08)
サトシン

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注意:ぶつくさ言いたくなります

本書を読んだ後でレビューを書くのはお勧めしません。
なぜなら、ぶつくさ文句たれたれモードに入ってしまいますから。

「なんなんだ、この作品は! 否定的なことばかり続きやがって!」
「なんか読み聞かせしている方が、不愉快になってくるぞ!」
「最後くらいスカッとさせてくれてもいいじゃないか!」

なんてことを言いたくなってきます。実際、他の方のレビューも
そんなことが書かれてて、心がモンクターレさんになってます(笑)

最後にぼそっと言った彼のセリフは、ある意味、この作品にも
向けられていると受け取れますね。

文句ばかり言うことを否定的にとらえている点は肯定したい。

関連した絵本では「タラがだいはっせいしたら」。素直に笑える。
母親の言動への不満を小学生の立場でユーモラスに訴えてます。

--------------------【Review for Review】--------------------
さて連続休暇も終わったし仕事復帰だ。でも、人に託した仕事って
想定外の結果になってること多いんだよなぁ。あっ、イカン。
ぶつくさモードに入ってしまう。
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ユメリとおばけのなかまたちユメリとおばけのなかまたち
(2011/10)
あべ ひでき

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モンスターたちとピクニックへ

1:今、旅行できている金沢に在住の作家だ。
2:絵本作家だけでなく歯科医師もやっている。
3:出版はクセのある絵本が多い長崎出版。

以上の3点がとても気になったので金沢の書店で購入しました。
まあ、作品の内容には直接関係ないところですけどね。

主役は魔女の女の子、脇を固めるは、ドラキュラ、フランケン、
狼男、ミイラという、モンスターのレギュラー陣だ。
彼女たちが真夜中の墓地へピクニックに出かけるんだけど、
そこでひと波乱があって、めでたしとなる展開。

絵はいわゆるCGの線画をベースにしたものですが、
黒の輪郭と絵のまわりの黒い縁取りが、けっこう効いてます。
個人的にはこういうモンスター・ホラー系って好きです。
恐ろしいキャラクターが可愛く描かれるというギャップが特にいい。

ギャップといえば、医師でもありながらホラー系のモチーフを
扱ったというのが興味深い。まさか治療中にこんなことは
想像してないと思いますが・・・(汗)

--------------------【Review for Review】--------------------
本書に出会った明文堂書店は金沢ビーンズにある大きな本屋。
ここは、駅から距離があるけど、児童書も充実していて展示も
わかりやすいのでお勧めです。
http://www.kanazawa-beans.com/
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くらげのりょかん

2011/11/19 Sat 02:56

くらげのりょかんくらげのりょかん
(2011/11)
やぎ たみこ

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時空を超越したおもてなし

旅館っていいですよね。お風呂につかり日常まみれのを垢をおとして、
その土地ならではの名産を味わい、のんびりゆったり心と体を癒す。
くらげ旅館はその点お勧めです。ただのくらげじゃありませんよ。
地球の海に浮かんでいるやつじゃなくって、星の海に浮遊し、
高度な文明とホスピタリティの精神にあふれたくらげ(星人)なのです!

きのこ山で道に迷ったおじいちゃんと男の子は幸運にも初めてのお客に
なり、貸切状態でくらげたちから精一杯のおもてなしを受けます。
そのレベルはもはや宇宙スケール。お客は気付かないけれど、読者は
舞台裏がどうなってるか見れるので、驚愕の連続にクラクラしちゃいます。

ところで、くらげたちの目的は何なの?地球侵略でないことは確かですが、
彼らと自由貿易することになったら日本の旅館は太刀打ちできないぞ(笑)

非日常という絵本の形をしたおもてなし、ぜひご堪能くださいませ。

--------------------【Review for Review】--------------------
今日の予定は七尾美術館でボローニャ絵本原画展だ。
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のはらのおへや

2011/11/18 Fri 02:46

のはらのおへや (ポプラ社の絵本)のはらのおへや (ポプラ社の絵本)
(2011/09/02)
みやこしあきこ

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すてきなお部屋にご招待

茂みの中の小さな秘密の空間。男の子だったら秘密基地にしそうな
ところですね。女の子は洒落たリビングルームという感じか、なるほど。
引越して来た女の子が家のそばを散策中に見つけたのがそんな空間。
その場所を通して、近所の女の子との出会いが描かれています。

花を添えたり、おもちゃを持っていったりして、お互いが会う前から
心がつながっていく展開にワクワクしました。小さな空間は、ある意味
ネットのコニュニティーにも置き換えられそうですが、五感で共有できる
のが生の世界の良さ。2人の女の子の気持ちが直接出会うシーンは
ウワーッとなりました。こんな気持ちは林明子さん絵本以来久しぶり。
モノクロをベースに色を活かした表現は相変わらずみごとです。

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今日はこれから金沢へ旅行。この時期は毎年恒例となってしまったな。

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