fc2ブログ

とっておきのカレー

2012/01/29 Sun 07:27

とっておきのカレー (創作絵本) (絵本塾出版)とっておきのカレー (創作絵本) (絵本塾出版)
(2011/11/01)
きたじま ごうき

商品詳細を見る

ごちそうさま!

カモシカが山小屋のカレーを食べにくるのはあるかもしれない。
そしてカレーのお礼に山の果物を持ってくるというのも。
その後も次々に珍客がカレーを食べにやってきては、お返しに
珍味なる食材を置いていく。それが次のカレーに使われる。

最初の珍客は実際ありえるかも、カモシカだけにモシカシテ・・・
そしてカモシカが来るくらいなら、次の珍客もありえるだろうな、
と徐々に積み重なって、ありえないだろう!というお客にまで
導く展開が巧みだ。全ては山小屋のおじさんが子どもたちにした話し。

そんな馬鹿な!と思わせつつ、最後に登場するカレーは
本物かも、と信じこませる空想的説得力であふれている。

作者の山小屋での体験が元になっているとのことから察するに、
おいしくて栄養満点の絵本づくりを目指す姿勢が、今回はカレー
という形で提供されたのだなと納得しました。

意味深な子どもたちの服、隅っこに登場しているヤマネなど
細部の描写まで、じっくりと味わえる作品です。

--------------------【Review for Review】--------------------
朝っぱらから、カレーが食べたくなった。イチローかっ!
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

みんなで いただきます

2012/01/28 Sat 08:12

みんなで いただきます (講談社の創作絵本)みんなで いただきます (講談社の創作絵本)
(2011/12/16)
内田 恭子、藤本 将 他

商品詳細を見る

若い女性の目をひく力はあります

微妙・・・部屋に飾りたくなるような絵だし、世界的な食の問題を
伝えるという姿勢も共感いたします。個別にみればいいんですが、
作品となったときに相乗効果が出ているかというと違和感ありです。

コンピューターで描いた絵は、線に味わいがあって、ハイセンスに
処理された画面はウマイなあと見とれてしまいます。雑貨などでも
人気の高いわけですね。機会があったらボクも欲しいです。
この絵は素材の魅力を活かすという点では最高だと思います。
逆に言うと、今回は本としての紙の魅力が、最初に伝わってくる。
ベースのクリーム色の紙がもつ幸せに満ちたトーンが最後まで続く。
でも今回のテーマを伝えるには本当に良かったのでしょうか?

心地いい読後感の中に問題の切実さが溶け込んでしまったと感じた
ところが残念です。でも絵本としては魅力的。だから微妙。

「そのこ」は食にまつわるガーナの問題を扱った絵本ですが、
絵は泥臭いんだけど、メッセージを伝えるという点で強烈な
ものがありました。それだけに・・・

--------------------【Review for Review】--------------------
さいきん皮膚が化膿しやすくなったなぁ。皮膚科の女医さんに
また来たの、みたいに見られるくらいに。こんどは右の脇腹、
まあ、耳の中や鼻の中よりはマシですけどね。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
へびのみこんだ なにのみこんだ?へびのみこんだ なにのみこんだ?
(2011/11)
tupera tupera

商品詳細を見る

黒蛇だけにブラックな結末

本の形、色、文字、紙の質感、などの造形要素が全てヘビに
合わせてコーディネートされているグラフィカルな絵本です。
飲み込んだものによって変わる黒いヘビの形がシルエットクイズに
なっている。そしてページをめくると、やっぱりとか、おおおっとか
ムフフとかなるのだ。ですが飲み込むものがどんどん大きくなって・・・
確かにこりゃ、終わってしまう。世界が終わってしまう。あああ。
とどまることのない人の欲望のなれの果てを見せられているようだ。

--------------------【Review for Review】--------------------
ヘビは来年の干支だなあ。と早くも一年後のことを考えている。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

おはよう ぼくだよ

2012/01/22 Sun 08:45

おはよう ぼくだよ (えほんのぼうけん35)おはよう ぼくだよ (えほんのぼうけん35)
(2011/12/13)
益田 ミリ/平澤一平

商品詳細を見る

ぼくになる

タイトルから何を想像しますか? この言葉は作品中に
たった1度だけ出てきます。ボク(←これを書いてる俺)は
よむ前と後で言葉の受止め方が変わってしまいました。

何気ない挨拶のようですが、そこに至るまでが深いので。
クマくんの考え悩んだ悟り(!?)が全て集約されているので。

まあ、絵本のテーマとしては自己発見系でよくありますが、
どう語るかによって、作者の見ている所も現れるテーマ。
その意味では、益田さんのイラストエッセイにも通じる
世間からの視線と自分への眼差しが交錯したデリケートな
境界線がみえて、なるほどと思いました。

あれっ、なんだか難しいことを書こうとしてるぞ。
絵本はいたってシンプルですから・・・

--------------------【Review for Review】--------------------
雪によって風景は隠される。けど、自分の心を覆っていたものは外される。
その瞬間がなんとも心地よいのだ。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

ポレポレやまのぼり

2012/01/21 Sat 07:23

ポレポレやまのぼりポレポレやまのぼり
(2011/12)
たしろ ちさと

商品詳細を見る

自分の足でちゃんと登るよ

画面の上からはみだすほど高い山の頂上。対してふもとには豆粒の
ように小さく描かれた動物たち。彼らの先には森の入り口が待ち受ける。
表紙になっているのは、これから始まる山登りのスタート地点だ。
乗り物は使わず、自分の足でちゃんと登るぞ、というわけですね。

心の準備とともにページを開く。山頂への到達がクライマックスかな
と思いきや意外とすぐに登りきってしまう。ということで頂上での
キャンプも存分に楽しめちゃいます。せっかちなハリネズミ、
たよりになるゾウ、そしてヤギのおとぼけぶりがいい味に。

途中に岩壁を登るシーンがあり、これって命がけじゃない!
と思ったけど、ロープもなしで大丈夫だったんだろうか・・・
いやいや、よくみたら彼らは初心者ではなかった。

ボクも達成感とともに絵本を下山。ページを閉じれば
ちゃんとスタート地点へもどってくる。うまいね!

--------------------【Review for Review】--------------------
先週は2日しか仕事してない。毎週そうならないかなぁ、と思った
けど入院はもういいや。体も心もなまってくるし。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

がっこういこうぜ!

2012/01/20 Fri 06:05

がっこういこうぜ! (えほんのぼうけん33)がっこういこうぜ! (えほんのぼうけん33)
(2011/11/30)
もとした いづみ/山本孝

商品詳細を見る

通学路に待ち受ける妖怪

ぐああっ!やられたぁ。こんなのが年末にでていたとは。
知ってたら2011年の絵本ベスト10(大晦日に作ってます)にいれたのに。
おのれ、フルビュルドラボーンめ!(←本屋でいたずらする妖怪←ボクが
絵本のノリで勝手につくった) それはさておき。

出てくる出てくる、すごいやつらが。まるで読み聞かせする者に
挑みかかるがごとく複雑怪奇な名前、そして見る者の目をハダカにするほど
変態的な容貌の妖怪たちが、いや宇宙人か?怪獣か?なんでもいいや。
そいつらが焼きそばを食べるし、あやとりするし、ハーモニカを吹くし
笑ってしまうくらい怖いぞ。もう何が何だかわからないぞ。

やつらを生み出したのは、学校へ行きたくないとグズってる男の子。
近所のちょっとクセのある人達を妄想進化させたんですね。
立ち向かうは、男の子を迎えにきたせいぎくんという男の子。
はたして、せいぎくんは妄想の世界から友人を連れ出せるか。
2人の会話でコント風に展開するノリノリの友情絵本。

TVで既存の怪獣・怪人がでる絵本もありますが、絵本作家が
オリジナルで勝負するとこんなことができるという胸のすく作品。
細部に至るまで凝った描写と映画的な場面転換もみどころです。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日3日の入院をおえて無事退院。今日から職場にいこうぜ!と
おもったら外に降った白いものが妨害しているぞ。妖怪のしわざ?
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
トラのじゅうたんになりたかったトラ (大型絵本)トラのじゅうたんになりたかったトラ (大型絵本)
(2011/10/29)
ジェラルド・ローズ

商品詳細を見る

トラの威を借るトラ?

江戸川乱歩の人間椅子に近い大胆さがあるな、このトラの発想は。
確かにトラだから、トラの絨毯に化けて宮殿に居着き、こっそり
旨いものにありつくというのは解らなくもない。

でも、洗濯されたり、尻にしかれたり、羽織られたりしても、
バレないなんて、どうなんだろう? いくらヤセこけているとはいえ
中身のあるものと毛皮だけのものは違うでしょ。

絨毯じゃなくて、トラの剥製と入れ替わるなら納得できますが・・・

「なんて細かいことは、いちいち気にすんなよ」という方はおおいに
楽しめる絵本です。これはバレるんじゃない?とハラハラしつつ、
本物と絨毯に気づかない王様たちのおとぼけぶりもユーモアとして
味わえばいいんですから。

クライマックスはトラが正体を明かすかどうかの決断をせまられる
ところ。この命がけのシーンはみどころです。

--------------------【Review for Review】--------------------
「ロボジー」面白かった。中身と外見のギャップを扱っている
点では本書にも通じるものがある。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
おにいちゃんが いるからねおにいちゃんが いるからね
(2011/09/16)
ウルフ・ニルソン文 エヴァ・エリクソン絵

商品詳細を見る

心がググッと背伸びする

あたりまえですが、生まれたときからお兄ちゃんという立場はない。
弟や妹がいるから、お兄ちゃんをお兄ちゃんたらしめるわけですね。
もしも、パパやママがいなくて弟と2人きりだったら、さらに、
お兄ちゃん濃度が高まるでしょう。

この絵本では、そんな状況を巧みに作り出しています。3時なのに親が迎えにこない
のは事故があったせいと思い込むことで。お兄ちゃんといってもまだ保育園児、
甘えたい盛りです。それでも弟のためになんとかしなきゃと奮闘する様子が微笑ましい。

兄に芽生えた自立心と弟を想う気持ちは、自力で家を建て、食べ物を用意し、
楽しいテレビまで作ってしまうほど。おもわず頑張れと応援してしまいました。
いや、いや、本当にそんな状況になったら大変シリアスなのですが、
事情がつかめている読者は、彼らを見守りつつ楽しめますよ。

ホッとできるラストもちゃんと用意されています。
そして心の成長ぶりを誰もが実感できることでしょう。
マイペースな弟との対比がいい味を出してます。

--------------------【Review for Review】--------------------
自分がなんとかしなきゃってときは成長するチャンス。
昨年末、初めて炊飯器でご飯を炊いときにそう思った(笑)
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

いのちの ふね

2012/01/12 Thu 06:35

いのちの ふね (講談社の創作絵本)いのちの ふね (講談社の創作絵本)
(2011/09/23)
鈴木 まもる

商品詳細を見る

命は旅をし続ける

青空に浮遊する白い船に見とれてしまいました。鳥のようでもあり
飛行機のようにもみえる船。何処にでも行けるし、誰でも乗れる。
そう、誰でも乗れる。命がのる船だから。
短い命も長い命も、大きな命も小さな命も、四足の命や羽のある命も。

命の輪廻という重いテーマながら、詩情あふれる描写が印象に残りました。
涙をそっと拭いてくれるハンカチのような読後感。
そして今を生きていることに感謝したくなる絵本です。

--------------------【Review for Review】--------------------
地獄を描写したものは生々しく具体的であるのに対して、天国は漠然と
していて、つかみ所が無いものが多い。それは生きることの二面性を表して
いるのかなと、ふと思ったりしました。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)

おめでとう おひさま

2012/01/11 Wed 06:39

おめでとう おひさま (おひさまのほん)おめでとう おひさま (おひさまのほん)
(2011/03/03)
中川 ひろたか

商品詳細を見る

新年の目標 覚えてる?

読み聞かせ雑誌「おひさま」から生まれた絵本で、このタイトルが
くるとニヤリとなりますね。もちろんおめでとうを言っているのは
太陽、そして山や海に生きる動物たちです。

始めは水平線から登場したおひさまの一言。「おはよう」でないのは
その日が一年のスタートとなるから。「おめでとう」の光で照らされ、
海や山の動物たちも「おめでとう」を返し、一体感が生まれます。

そして、新しい年はどうしたいかを語り合います。
「なるべく」という言葉の中に、肩肘張らずに、できることを
続けようという気持ちが感じられ、ホコッと暖かくなりました。

ボクもなるべく絵本のレビューをつづけるようにします(笑)
-------------------------------------------------------------
本書が昨年出ていたとは知らなかった。はい、なるべく新刊を
チェックするようにします。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
 | HOME | Next »