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カエサルくんとカレンダー

2012/02/29 Wed 06:33

カエサルくんとカレンダー (福音館の科学シリーズ)カエサルくんとカレンダー (福音館の科学シリーズ)
(2012/01/18)
いけがみしゅんいち/せきぐちよしみ

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暦史に秘められた歴史ロマン

どの絵本をレビューするかだけでなく、いつレビューするかにも
気を配っていたりするボクが、今日、取り上げようと待ってた作品。
(すでに4人の方に先を超されてしまいましたが・・・)

2月はどうしてみじかいのか? それなりの年を経ているので
知ってるつもりでした。しかし科学的な理由だけでなく、こんなにも
人間味のあるエピソードが隠されていたとは、驚いた。

つまり公転周期の誤差を調整するために短くなっているのですが、
ではなぜ2月という中途半端な時期なのか? さらには月末の
30日と31日の区分けはどうやって決めたのか? にも理由あり。

そこにからんでくるのが解説役のカエサルくんなんですね。
2月生まれの女の子、ゆうかちゃんの素直な疑問を
いっしょにたどっていくことで、歴史の知識も身に付く力作です。
図解的な例え(というか多図絵と表記したい)も豊富で
絵本としても充分に楽しめます。

読後はカレンダーという数字の並びが、血の通った手紙のごとく
感じられるようになりました。

--------------------【Review for Review】--------------------
そして毎年、もう2月も終わりか なんて思い、年明け気分が抹殺される。
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ぞうはどこへいった?

2012/02/27 Mon 06:38

ぞうはどこへいった?ぞうはどこへいった?
(2012/02/03)
五味 太郎

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あけてびっくり

問いかけ形のタイトルなので、コンテナを開けると捕獲したゾウの
姿が消えていることは想像がついた。だから途中のページに
何か仕掛けがあるのではないかと、イリュージョンの種が仕組まれ
ているのではないかと、入念に注意しながら読んだのだが・・・

そうくるか!という技をみせられた。これは分からない。
さすがゾウさん。おみごとです。なんだか意識の盲点をつかれた
思いです。自分の身の回りでも勝手に、本当は居るのに居ない
ものとして扱っているものがないか、とふと考えてしまいました。

--------------------【Review for Review】--------------------
そういえば、ゾウを冷蔵庫に入れるときの3つの手順は? 
なんてなぞなぞあったな。
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ちくわのわーさん

2012/02/26 Sun 07:50

ちくわのわーさんちくわのわーさん
(2011/10)
岡田 よしたか

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ちくわをシュールな味付けで

ちくわをモチーフにしたナンセンス絵本。わーさんという名前があるものの
顔や手足はない。そのまんまやんけ! でもそこがかえって想像力をかきたて、
色々とチャレンジするわーさんに親しみを感じてしまいます。

何処かに向かっているようなんですが、途中マカロニと遊んだり、
巻寿司にからんだりと、シュールなコント的ネタがあり笑える。
深いメッセージ性はなく(たぶん)ヒマつぶしにはいいでしょう。
絵本そのものが空想的な道草の友といえますし。

ちくわの絵本といえば、顔や手足のあるちくわが登場する
「わくわくちくわくん:尾崎 美紀/はらだ ゆうこ」

未だ読んでないけどキャラクターグッズまである漫画の
「はいりたまえ!ちくわくん!!」などありますね。

ちくわってけっこう人気者?

--------------------【Review for Review】--------------------
ちくわってカロリー低いし、口の中でいつまでもクチャクチャ
できるので読書の友にもいい。
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みにくいフジツボのフジコ

2012/02/25 Sat 08:26

みにくいフジツボのフジコみにくいフジツボのフジコ
(2011/12/26)
山西 ゲンイチ

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吹っ飛んだ展開

フジツボ? なんでフジツボ? 確かによくよく見ると不思議な形を
しているな。いったい何なんだろう?フジツボって。
という疑問につきあってくれる展開ではある。ただし科学的方向ではない。
じゃなくて空想的、面白可笑しい方向へどんどん突き進んでいく。
仲間と体の色がちがうフジコの親さがしの旅を通してね。

世の中にある円錐形で穴の開いたものは何があるでしょう?
スカート、三角帽子、アイスのコーン などなど登場。
そしてこれが本命かな、という出会いから、さらに大きく飛躍する!!!
いやもう好きにしてくれって感じなんですが、そういう絵本だから。
と、書いててだんだん投げやりになってきたけど、要は
中身の美味しいとこだけ味わえばいいのよ、フジツボのように。

--------------------【Review for Review】--------------------
フジツボを知らない子には分かりにくい内容かなって最初は思ったけど、
分からないからこそ好奇心をかきてる力があるのだなと考え直しました。
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みっつのねがい

2012/02/24 Fri 06:22

みっつのねがい (世界傑作絵本シリーズ)みっつのねがい (世界傑作絵本シリーズ)
(2012/01/18)
ピレット・ラウド

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幸せは心の持ち方次第

うっかり口をすべらたのが災いし、その相手を非難した結果、たちまち
2つの願いを使ってしまうという例の話なんで、知ってる人も
多いと思いますが、それでも充分楽しめます。

なぜなら、プレット・ラウドの絵がいい!
白い背景に、正に白昼夢のごとく描かれる空想世界。
3日後に何を願おうか? と思案しつづける夫婦の浮き足立った妄想が
フワフワと漂っていて、こちらもニヤニヤしてしまいます。
それらは、ぜーんぶ吹き飛んでしまうんだけどね。

3つめの願いは夫婦だけでなく、ボクも願ってあげたくなるもの
なんで、かなった後で本当によかったと共感。そして今もっている
あたりまえの幸せに気づく。

「3日前にもどしてくれ!」冷静に考えれば、そんな願いもできたと
思いますが・・・ この話しは色々バロディーが出来そう。

--------------------【Review for Review】--------------------
朝飯にソーセージが食べたくなってきた、でっかいのを(笑)

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長ぐつをはいたネコ

2012/02/22 Wed 07:01

長ぐつをはいたネコ長ぐつをはいたネコ
(2011/12)
シャルル ペロー

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長靴をはいた猫の正統派絵本

長靴をはいた猫のストーリーで疑問に思うところがいくつかあります。

3人の息子たちは何故ばらばらになってしまうのか?
父親の生前にも、住んでた場所があったはずだが?
→家を貸りていて、父から仕送りをしてもらってたが、それが途絶える
かわりに、それぞれに粉ひき小屋、ロバ、ネコが残された。

猫はかなりの智慧者ですが、父親が亡くなる前に同じことをしていれば
家族全員が幸せになれたのに・・・→そこまで切羽詰まってなかった。

農夫たちを猫がおどすシーンがあるけど、猫に殺すぞと言われても
こんなにおびえるものなんだろうか? →土地を支配しているオニの
影響で猫にさえも恐れるようになっていた。

なんていうように、こちらで納得できる状況説明を考えてしまう。
以前はスルーしていたけど、最近よく長靴をはいた猫を読むように
なったら気になってしまった。まあ古典ですし、シャルル・ペローさんが
そう書いてるんだから、いまさら突っ込んでも仕様がないことですが。

この絵本の作者たちも同じように気になったと思います。なぜなら、
絵の展開で物語が自然にみえるようフォローしているので。
特に猫の描写。逆境を楽しむかのように生き生きとしています。
ボクにとってはそれが一番の見所でした。

--------------------【Review for Review】--------------------
あっもうすぐ7時だ。めざまし占いをチェックしなきゃ。
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たまじいちゃん

2012/02/19 Sun 07:00

たまじいちゃんたまじいちゃん
(2011/11)
そえじま 良子

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明るく描いた魂の旅

こどもの描いた絵かな?と思ったら実際にそうだったんですね。
といっても小学生くらいになると、アニメや漫画に影響されがち
なので、こんな自由奔放に描けるのはある意味すごい。

描かれているものも珍しい。不動明王、釈迦、文殊菩薩、普賢菩薩、
閻魔、弥勒菩薩、薬師如来。そして魂となった祖父、たまじいちゃん。
元になっているのは住職から聞いた話しとのこと。それを親子で
物語にしたのが本作。49日かけて魂の国へ旅するたまじいちゃんだ。

身近な者の死を描くと、過去を振り返って癒しを求めたくなるもの。
しかし、それをふまえて、旅立つ者の未来へ視線を向けているところに
生きる側の強さを感じました。生前のおじいちゃんのキャラが
そうさせたんでしょうか。明るい方向へ進んでいるのは。

絵本を作るのに年齢は関係ない。考えてみれば子役がいるように、
子画家がいてもいい。その意味では今だからこそ生まれ得る作品。

--------------------【Review for Review】--------------------
本の検索、予約、購入リスト化をしていると、次々に面白そうな
作品が見つかって、いつまでたっても終わらない。
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ふにゃらどうぶつえん

2012/02/18 Sat 05:41

ふにゃらどうぶつえんふにゃらどうぶつえん
(2011/10/25)
ふくだすぐる

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ふにゃっちゃいました

こどもの絵で作ったのかな、ふにゃらふにゃらした動物たちは?
表紙を見てこちらも思わずふにゃ。読み進んでふにゃふにゃ。
ページをとじると、気持ちまでもやわらか~くなりました。

動物たちをふにゃりとさせたのは、女の子の感謝のことば。
首をすっと立てたキリンさん、ゆったり落ち着いたゾウさん、
グクッとした目つきのライオンさん、みんなみんな女の子の
「いてくれて ありがとう」のひとことで豹変しちゃいます。

おはなちゃんへ、こちらこそありがとう。

ムシャクシャしているとき、イライラしているとき、リキみすぎ
のとき、心の処方箋としてもどうぞ。

--------------------【Review for Review】--------------------
雪はやんだみたい。家にこもる口実も消えたか・・・
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Grandpa Green

2012/02/15 Wed 07:11

Grandpa GreenGrandpa Green
(2011/08/30)
Lane Smith

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想い出は枯れることなく

緑、緑、緑、どこまでいっても緑、とにかく緑で、心地よい。
自然の生命力を感じさせる色は、お爺ちゃんがたどってきた
人生を写し出す色でもある。お爺ちゃんは庭師。
今は作業を手伝ってくれるかわいい孫をもっているけど、
戦争に駆り出されたり、病気の少年時代もあった。

そんな想い出のシーンを伝えるのは、丁寧に剪定された植木たち。
絵本では案内役ともいえる孫の少年といっしょに、赤ちゃんの形
をした植木から順番に人生をたどっていきます。

絵本の構成を活かした遊び心あふれる演出、植木の触感的質感、
これはまぎれもなくレイン・スミスの傑作!

絵を見ているだけでも理解できるので、原書でもおすすめします。
今年翻訳版がでたら、2012年のベスト10に必ず入れるでしょう。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨日は茶色くて甘いものの日だった。職場の女性方も色々気遣い大変だな。

あらすじの伝え方が、そのままメッセージとなるような
レビュー表現を会得したいな。
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王国のない王女のおはなし

2012/02/12 Sun 08:25

王国のない王女のおはなし王国のない王女のおはなし
(2011/10)
アーシュラ ジョーンズ/サラ ギブ

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我が道を行くお姫様

どれくらいいるかは知りませんが、お姫様絵本コレクターは必見の作品。
表紙からくるキラキラオーラが半端じゃない!本書が高級ファッション
ブランド店に置いてあっても全く違和感ないんじゃないでしょうか。
いや、実際、馬車で旅するお姫様が主人公なんで、旅行用鞄を発祥とする
ルイ・ヴィトンなんかとコラボできそう。それくらいの華やかさと
モダンな雰囲気をまとってます。

要所要所に挿入されている影絵的な表現が効いてますね。彩色ページの
華やかさを際立たせるのに一役買っている。さらにシルエットで人々の
立ち居振る舞いを強調し、内面までも巧みに暗示している。

物語として好感をもてたのは、お姫様物語によくあるような、華麗な城で
王子様と結ばれるという結末ではなかったところ。魔法も出てきません。
でも、運命的な出会いがあった。もうこれだけで充分。その意味では、
既存の価値観にしばられない大人の女性向け絵本といえます。

--------------------【Review for Review】--------------------
ちなみにボクはお姫様絵本コレクターではありません。単なる絵本ずきです。
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