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わるいことがしたい!

2012/03/31 Sat 08:03

わるいことがしたい!わるいことがしたい!
(2012/03/31)
沢木 耕太郎、ミスミ ヨシコ 他

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わるいことのすすめ

「わるいことがしたい!」冒頭から大声で叫ぶ男の子に おいおい と
なりますが、子どもレベルですからご安心を。例えばトイレットペーパーを
部屋中にころがしまくったりとか。気持ちはわかる。誰がいちばん早く芯を
出すか なんてゲームもあったし。他にも玩具を壊しまくってみたりとか、
食べ物を散らかしまくったりとか。どんどんエスカレートしていって・・・

でも、ちゃんと元にもどすんだよね。絵本としての教育的配慮なのかな、
ちょっとつまんない。なんて思っていたら、最後の最後にキターっ!

作中で、わるいことの基準が、ダイナミックに変わっています。
子どもを管理しやすいように定めた大人視点での基準ではない。
なんでもかんでもわるいことのレッテルで縛る事への抵抗が感じられます。
自分の可能性や人間性を広げるという意味で、失敗をおそれず前向きに
挑戦することは、けっして悪ではない。

自由奔放なコラージュの絵も新鮮です。

--------------------【Review for Review】--------------------
昨晩は閉館前のジュンク堂新宿店へ。あまり利用してませんでしたが、
空いた本棚をみると寂しくなります。
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ゆうれいのまち

2012/03/28 Wed 06:12

ゆうれいのまち (怪談えほん4)ゆうれいのまち (怪談えほん4)
(2012/02/16)
恒川 光太郎/大畑 いくの

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意外と身近にある世界かも

●春の夜の夢・・・印象に残った言葉です。怪談というと季節的に夏の夜を
イメージしますけどね。春となるとゆったりとした長い長い夢か。

●幽霊の町・・・そのままに解釈すると死後の世界なのかな。魑魅魍魎とした
姿の住人は、もはや人や動物の姿をとどめていないけど。

●ぼくの友達・・・そんな町へ行こうとさそう彼は死神? 近所の公園にいこう
って感じでやってきますが、裏で何か企んでたら怖い。

●大人になる・・・幽霊に捕らえられ、町で生活することになった男の子は
そのまま成人してしまう。何もかもわすれて、というのが気になる。

幽霊の町って、ひょっとして今の大人たちの世界?
こどもの頃に持っていた心を忘れてしまった大人たちの?
なんてことをふと、早春の朝に想う。

だいじょうぶ。男の子は、そこから抜け出せたようです。

--------------------【Review for Review】--------------------
恒川光太郎さんの小説が気になったので、図書館に予約する。
「夜市」と「秋の牢獄」を。
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おひさん

2012/03/27 Tue 04:57

おひさんおひさん
(2012/02)
たかべ せいいち

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ようこそおひさん

確かに 太陽でもなく おひさまでもなく おひさんだ。
この親しみやすさが、そのまんま絵本になっています。
宇宙的、超越的存在でなくて、身近な偉い人って感じで登場します。
空からひょっこりと村へやってきてしまう、自分の足で歩いて。

そんなホンワカとした空想的展開でながら、一方で村人たちは、
おひさんに近づくと焼け死ぬのでは、と心配する現実的な視点もある。
その振幅が面白味を生み出しています。ちょうどスイカに塩をかけると
甘みが増す感じですね。川で洗濯を手伝おうとして服を燃やしてしまう
といった調子で。でもやっぱり、おひさんは空にいて世界中を
照らしてくれないと困ることもあるわけで・・・

村人とおひさんの一時の交流を通しポカポカ気分になれる世界観がいい。

--------------------【Review for Review】--------------------
最近あったかくなってきた。おひさんとの距離が3mくらい近づいた感じ。
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としょかんねずみ

2012/03/25 Sun 07:51

としょかんねずみとしょかんねずみ
(2012/01/16)
ダニエル カーク

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小さな才能をみつけるきっかけに

そういえば「としょかんライオン」という傑作絵本があったけど、
ねずみ・・・もあったんだ! うん、こちらもなかなか痛快ですね。
本が好きで図書館に常駐しているとこは、ライオンといっしょ。
でも、ねずみのサムは読むだけでなく自分でも本を書いてしまう。
なんと、ドキュメンタリーから絵本からミステリーまで。
しかも、それをちゃっかり本棚に忍ばせていたら、子供たちの
目にとまり、謎の作家として人気を集めてしまうのだからすごい。

その勢いは図書館のほうで作家訪問の日を企画されてしまうほど。
果たしてサムは人前に登場するのか? 本を読むだけでなく、
創作することにも目を向けるきっかけとなるでしょう、この絵本は。
よろこんでくれる読者の存在って大きいですよね。
隅に隠れてニヤリとしているサムの気持ち、よくわかります。

--------------------【Review for Review】--------------------
こっそり絵を展示する美術館ねずみ とか。こっそり料理をつくる
レストランねずみとか、あっそれは「レミーのおいしいレストラン」だ。
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月へ アポロ11号のはるかなる旅月へ アポロ11号のはるかなる旅
(2012/01/17)
ブライアン・フロッカ

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絵本史上初の快挙か

月へはもう何度も行きました。月のほうがやってきたこともあるし、
話しをしたり遊んだりしたことも。もちろんそれは絵本の世界で。
本書でも月へ行けますが、これは空想ではない。本当の旅だ。
人類史上初めて月へ到達したアポロ11号の出発から帰還を通して
リアルな旅を実感できるのである。気分はまさに宇宙飛行士。

見返しにはロケットの発射から、宇宙船の飛行、月面着陸、離陸、
地球への再突入までの過程が、判りやすくまとめられている。
ここでしっかりと心の準備ができるのがいい。

本編は宇宙飛行士の視点を中心に、それぞれの段階が細部まで丁寧に
描かれている。真っ暗な宇宙、無重力の船内生活、緊張の月面着陸etc.
クライマックスは月から見上げる地球のシーン。感無量だ。

大きな飛躍とともに、文化や国を越えた地球人という視点を本当の
意味で得た瞬間。この歴史的足跡が改めて心に刻み付けられました。

--------------------【Review for Review】--------------------
月には目や口はなかった・・・
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なべぶぎょういっけんらくちゃくなべぶぎょういっけんらくちゃく
(2012/02)
穂高 順也/亀澤 裕也

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みごとな料理っぷりです

おおっ、これぞまさに鍋奉行! 食べ物時代劇キャラはこうでなくちゃ。
鍋形の頭の中には具がたっぷり、考え出すとぐつぐつ煮立って、出汁の
かわりに智慧が出る。みごとな裁きっぷりに、みなさん納得、一件落着。

今回の案件は、うなぎ屋から。拾った餅に蒲焼きの匂いをつけて
食べた旅人にたいして代金を要求。果たして払うべきかどうか。
小判を取り出した鍋奉行、みごとな裁きをみせてくれるのであった。

実はこの話しには元ネタがある。知ってる人はどんなオチが察しがつくかも。
作者の穂高さんも、それで再話絵本を作りたかったとあとがきで言ってます。
これは、ぜひともシリーズ化し、さらなる難題を裁いて欲しいものです。
となると、アク代官、まち娘も登場ですかねえ。

--------------------【Review for Review】--------------------
長引いた仕事も今週で一件落着、とはいかねども、一端決着くらいにはなった。
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Again!

2012/03/21 Wed 06:53

Again!Again!
(2011/10/07)
Emily Gravett

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ホットな遊び心にドキッ!

ウッ! 同じだ。
終盤にドラゴンならではのネタがあって、それが辰年を活かして
デザインしたボクの年賀状と発想が近かったのに驚きました。
その意味では、個人的にダブルサプライズの絵本。

表紙のチビドラゴン、手にしている本を寝る前に、ママに読んで
もらいます。しかし終わると、もう一度読んで(AGAIN!)とおねだり。
それが繰り替えされるで、いちいち付合うママは眠れません。
初めはダイナミックな話しだったのが、読み返す度にだんだん短く
のっぺりした内容に変わっていき、ニヤリとなりました。

ベットでの読み聞かせにいいかなと思った方、甘いですぞ。
バッチリ目が覚めてしまう仕掛けがあるので。
ペーバーバック版も9月に出るようですが、おすすめは新書版。
それは、カバーをはずしてみれば判りますよ。

それにしても、隅から隅まで楽しませてくれるEmily Gravett。
もっと翻訳版が出るといいのになあ。

--------------------【Review for Review】--------------------
さあ、水曜日だ。定時退社だ。前半の疲れをとりつつ後半にそなえる曜日。
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I Want My Hat Back

2012/03/19 Mon 06:39

I Want My Hat BackI Want My Hat Back
(2011/10/06)
Jon Klassen

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帽子だけにハットした(言ってしまった)

原書を手に取る機会があったので、関西語による大阪弁と
読み比べてみました。

ちなみに以下は翻訳版でのレビュー
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クマがさがしまわっているのはお気に入りの赤い帽子。
表紙から気になってたんですが、クマの視線がうつろです。
それほど帽子を無くしたことがショックだったんでしょうか。
探し物の途中で出会う動物たちと話しをしているときも、
視線はずーっとさだまらないまま。

しかし、ハッときづいて目と目が合ったとき何かが起こる。

シンプルな展開の中にもヒネリが効いててニヤリとなります。
肝心のシーンが描かれていないけれど、こ、こ、これって?
ブラックな結末。アイツはいったいどうなったん?

要所要所で効果的に使われている赤い色にも注目。
長谷川さんによる大阪弁もいい雰囲気です。
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以上

全て会話文なんですが、出会う動物によって色を変えてあります。
翻訳版では、どの動物が話してもグレーで統一されていましたが。
その文章で明らかになったのは。な、なんと、アイツの行方が、
ズバリ書かれている!!!翻訳版ではあいまいにされてました。
いや、内心はそうなのかもと想像してたけど・・・
直訳するとドギツイからかな。でも大阪弁でいくんだったら、
そのまま言ってもよかったかなと思いました。

--------------------【Review for Review】--------------------
外は風がビュービュー吹いている。春一番?
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おにのおにぎりや

2012/03/18 Sun 06:46

おにのおにぎりやおにのおにぎりや
(2012/01/07)
ちば みなこ

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食べ比べ読み比べ

オニ と おにぎり。昨日は「オニじゃないよ おにぎりだよ」をレビュー
しましたが、同時期に全く同じモチーフの絵本がでるとは・・・
両者を読み比べてみると、扱うものが共通でも中身は対照的で面白い。

「オニじゃないよ~」はとにかくユーモラス。絵も明快でパリッとした海苔の感触。
対して、ほのぼのとした「おにのおにぎりや」はしっとりとした海苔のイメージ。
絵も舞台も洋風なので、フレンチのシェフが作った和食という味わいもある。
その意味では、英訳とかして海外に、おにぎりのことを伝えるにはいいかも。
(オニとオニぎりの言葉の関連性は説明がいるけど)

オニの子どもがおにぎり屋を始める展開は、ママゴトで泥団子を作る感覚の延長。
実際に行うのは、そう簡単ではないでしょうが、そこはオニの世界ですから。
いずれにせよ、語り口は違えど、おにぎりの魅力は両作から充分に伝わってきました。
口に合うかどうかは、読み手次第ですね。

--------------------【Review for Review】--------------------
絵本の選択肢が多い日本は、ほんとうに豊かだなと思います。
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オニじゃないよ おにぎりだよオニじゃないよ おにぎりだよ
(2012/01)
シゲタ サヤカ

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おにぎりを通して手をにぎりあう

『人間どもめ、オイラたちのおにぎりを食いやがれ! 』

てな勢いで大量のおにぎりを持って町に繰り出したのはいいんですが・・・
それが怖い形相の鬼ではねぇ。みんな逃げますよそりゃ。

きっかけは捨てられて時間のたったおにぎりを彼らが口にして、
人間はいつもこんなまずいものを食べているのか、と勘違いしたこと。
おにぎりを愛する鬼たちは、なんとかせねばと立ち上がったわけです。
一度失敗してもめげない彼らの(おせっかいな)試みは成功するのか?

アノ手コノ手でなんとか人間に受け入れてもらおうとするドタバタぶり
は爆笑もの。でもこれって、視点を変えると自分自身が鬼の立場に
なることもありますね。提案を受け入れてもらおうとプレゼンしたり、
商品の魅力をお客さんに分かってもらおうとしたり、とくに立場や年齢
など異なる相手にたいするときなどは、それに近いかも。
自分も同じように四苦八苦したことを考えると、鬼たちの奮闘には
笑いつつも親しみを感じてしまいました。

--------------------【Review for Review】--------------------
あっというまの一週間だった。後半で急に仕事が増えて持ち越すことに
なったけど。不必要な書類作成や残業の削減なんて言う前に、そうなって
しまうシステムのほうが問題なんだよなあ。
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