ふみきりカンカン なにがくる?
2012/04/30 Mon 06:03
![]() | ふみきりカンカン なにがくる? (あかちゃん・かどまるえほん3) (2012/03/28) 西片 拓史 商品詳細を見る |
待つのが楽しくなる
たしかにこの発想はありですね。踏切を劇場的にあつかうのは。
踏切だから来るのは電車? いえいえそうとはかぎりませんよ。
しゅっぽしゅっぽとやって来たのは、えっ、やかん! しかも
色とりどりのカップが連結されている。そしてさらに意外な
ものたちが次々と通りすぎていきます。
しかし、それらにはちゃんと共通点がありました。
後でわかって、そうか!そういうことだったんだ。と納得。
あっそうそう、読み終えたあとは表紙確認を忘れずに。
ニヤリとなりますよ。
--------------------【Review for Review】--------------------
まだよんでないんだけど、同じような発想だと思われるのが
「かん かん かん:福音館書店」「ふみきりカンカン:チャイルド本社」
それぞれどのようなオリジナリティを出しているのか気になる。
みえないばくだん
2012/04/29 Sun 07:49
![]() | みえないばくだん (2011/12/20) たかはし よしこ/かとう はやと 商品詳細を見る |
爆弾的メッセージ
昨日読んで、レビューするのが難しい絵本だなと思っていたら、amazonではすでに
14件ものレビューがあって驚きました。本書が出た当初は好意的な反応があったものの、
今年の3月11日以降では批判的受け止めも目立ち始め、賛否が極端に分かれていますね。
絵本という寓話的な表現をとってますが、中身は完全に大人に向けたもの。
それはラストの問いかけで明らかに。当事者にとっては後味の悪い問いかけです。
人間を動物に、原発を別な発明品に置き換えたりすれば、露骨さが抑えられて、
こども向けにはなるかと思いますが、それでは作者として表現しきれないものが
あったのでしょう。教訓として単純化するにはあまりにも重すぎる問題だし。
善かれと思って開発され恩恵を与えているものが、一方では害悪にも成りうると
判ったときにどうするか? という一般的な問いかけに読み替えることもできます。
この問いかけに誰もが納得できる答えは無い。状況次第で我々自身が本書でいうところの
「えらいひと」にも「とかいのひと」にも「いなかのひと」にも成りうるので。
なんだか当たり障りのない文になってしまいましたが、
そんなことを改めて考えるきっかけになった一冊でした。
--------------------【Review for Review】--------------------
考えてみると自動車だってそうだよなあ。(原発とはレベルが違うけど)
より優れたものを生み出すか、今ある替わりの手段をとるか、
それとも昔の不便な生活にもどるか。後者を選ぶのは現実的に難しい。
お日さま お月さま お星さま
2012/04/28 Sat 07:38
![]() | お日さま お月さま お星さま (2009/11/25) カート・ヴォネガット、アイヴァン・チャマイエフ 他 商品詳細を見る |
超カルト絵本
雑誌の紹介で気になってて、よんでみましたが、何やらものすごい作品の
ようですね、本書の成立ちを知ってみると。30年以上も前なの?原書は。
2009年の絵本だと勝手に思い込んでました。それくらいモダンな中身。
カート・ヴォネガットの小説は読んだことないんですが、名前や作品は
よく耳にする有名な作家。その彼が手がけた生涯ただ1つの絵本とのこと。
しかも、これまた著名なるグラフィックデザイナーが描いたイラストが
先にあって、それを元に物語をつけるという変則的なやり方で生まれた絵本。
主人公は家畜小屋の中で人間の赤ちゃんとして生まれた宇宙の創造主。つまり
幼きイエス。彼のたどたどしい視線を通して聖書的世界が記されていきます。
しかし、このイラストの流れから、そんなヒネリのある物語が、よくも出てくる
もんだなあと思います。西欧人的に心の底でつながっているものがあるのかな。
単純に絵だけみれば、グラフィックデザイナーらしい大胆かつ繊細な
色と形の音楽的な展開なんですけどね。
この絵だけみせて、同じことを別の作家にやらせたらどうなるか興味ある。
ミステリー風になるか、ラブロマンス風か、あるいはファンタジー風な
味付けもありうるかも。などと想像も膨らむ絵本。
--------------------【Review for Review】--------------------
インドでよく行ったSUN & MOON という焼肉店を思い出す。
ききみみずきん
2012/04/27 Fri 06:05
![]() | ききみみずきん (いまむかしえほん) (2012/03/08) 広松 由希子/降矢 なな 商品詳細を見る |
自然のつぶやきが聞けたら
有名な民話の最新刊。実を言うと、この話しをちゃんと読んだのは初めて
なのですが面白い! 悪者退治をするでもなく、道徳的なことを説くでもなく、
誰かが傷つくわけでもない。幸せな結末だし、安心してお勧めできます。
それは 鳥や木々の言葉がわかる「ずきん」手にいれた男の人柄によるところが
大きいですね。よくあるじゃないですか、これで一攫千金を企んだりして
後で痛いめにあうとか、これを誰かが盗んで悪用するとか、いわゆる昔話では。
そうではなく烏の会話から知り得たことを、人助けのために活かし続け、
男自身も結果的に幸せになるという展開が新鮮でした。初めて読んだので。
なんだか今の世相にも合っている。内容を現代の事象に置き換えてみることも
できましょう。最も今、このずきんをかぶったら、かなり耳の痛いことが
たくさん聞こえてきそうですが・・・
--------------------【Review for Review】--------------------
良心がズキンと痛む。(失礼しました)
たんぽぽのおくりもの
2012/04/26 Thu 06:45
![]() | たんぽぽのおくりもの (2012/03/05) 片山 令子/大島 妙子 商品詳細を見る |
春ならではの粋な演出
失敗したと思っても、それが素敵なことに転じるときもある。なんてあとがきに
ありましたが、あまり教訓めいた解説なくても、素直に楽しめる作品です。
贈り物の中身をこぼしてしまったこと。
道順をちゃんとおぼえていなかったこと。
ハチミツを全部たべてしまったこと。
それらが鮮やかに解決してしまうなんて! 正にタンポポの贈り物。
心にも春が咲き誇る作品です。
--------------------【Review for Review】--------------------
いや、でも、ハチミツはちゃんと残しとけよ といいたい(笑)
ともだちやま
2012/04/25 Wed 07:18
![]() | ともだちやま (2012/01) 加藤 休ミ 商品詳細を見る |
大自然との戯れ
♪ 大きな山を ひとまたぎ キングコングがやって来る♪ なんてアニメの
歌詞を思い出してしまいました。本書の展開も負けず劣らずダイナミックですが、
登場するのは、ふつうの男の子。山の上からいっきに滑りおりたり、
山頂を抱きかかえてぶらぶらしたりと、体全体でスキンシップをとります。
そんなスケール感が心地よい作品です。山は話しかけたり動いたりはせず
あくまでも自然の一部として男の子と関係しているのもいいですね。
クレヨンを活かしたの触感的なタッチもテーマに合っていると思います。
欲を言えばもっともっと遊ぶシーンがみたかった。
--------------------【Review for Review】--------------------
もっともっと自由に遊べると思うんだよなあ。子どもの頃に、
砂場で泥まみれになって日が暮れるまで遊んだことを振り返ると。
これなんてよむ?―たべもののかんじ
2012/04/22 Sun 07:42
![]() | これなんてよむ?―たべもののかんじ (2012/02) すなやま えみこ 商品詳細を見る |
こんな漢字があったんだ!
蜜柑 西瓜 南瓜 胡瓜・・・おおおっ ちゃんと漢字変換された。
いつも文章で使う時はカタカナで表記しているだけに、あらためて
漢字で書くと新鮮ですね。よくクイズで 漢字で書くとどうなる?
あるいはなんて読む? なんて問題が出たりしますが、それってどう
なんでしょう。普段つかわないもの、書けないもの、読みにくいものなのに、
日本語としては存在している。もはや漢字という外国語ですね。
それはさておき、この絵本でも食べ物をテーマに、普段目にする機会が
少ない漢字が紹介されています。でも学習書的な目線ではないので、
とっつきやすい。食べ物の色を活かした画面構成、豆知識の紹介、
問題画面の絵に笑ってしまったりと、絵本的に楽しめる工夫が随所にあります。
土筆 玉蜀黍 無花果 なんて初めて出会う漢字もけっこうあって、
日本語の奥深さに感嘆してしまいました。
--------------------【Review for Review】--------------------
小学生のとき、日記で「怪獣」という漢字を使ったら、先生に褒められた。
よくそんな字を知ってるねって。自分の興味あることは自然に覚えるもの。
せんをたどって がっこうへいこう
2012/04/21 Sat 08:17
![]() | せんをたどって がっこうへいこう (講談社の翻訳絵本) (2012/02/28) ローラ・ユンクヴィスト 商品詳細を見る |
まだまだ線はつづく?
表紙から裏表紙まで一筆書きが続く、せんをたどってシリーズ最新作。
最初の頃に比べると一筆書きの線の割合がどんどん減ってきてますね。
テーマの線より、通常の絵のほうがメインになっているのが残念。
そのかわり表紙タイトルのように、文字の形そのものを一筆で
描いたものが、随所に出てくる。これは形の翻訳。英語から日本語に
置き換えた方はすごい。と別なところに感心してしまいました。
その点を置いておけば、絵そのものの面白さはあるので、
各教室の紹介を通して学校への興味をさそう絵本にはなっています。
--------------------【Review for Review】--------------------
昨日はインド帰還者の会。滞在中の思い出をネタにうまいカレーを食う。
たんけんケンタくん
2012/04/20 Fri 06:38
![]() | たんけんケンタくん――かいぶんえほん (クローバーえほんシリーズ) (2012/03/15) 石津 ちひろ/石井 聖岳 商品詳細を見る |
回文を作りたくなるぞ
島の探検をしながら回文をつくる楽しみを味わえる絵本です。
道中で出会ったものがケンタくんに「回文を作って」と頼むのですが、
自分でも色々考えはじめてしまう。ハマるとやばい! でも考えているうち
なんとなくコツがつかめてくる。例えば簡単なところで、
●回文作成法 その1
逆さからよんでも意味がある言葉をみつけて助詞でつなげてみる。
この木はキノコ 茄子と砂 イカと貝 仇が来たか!
●回文作成法 その2
その1をやっていると、助詞とくっついて意味を成す文ができることも。
キツネは寝付き→キツネ羽根つき
あーいかん。レビューを書いているつもりが、ついつい回文作りを
してしまう。でもそういう絵本なんだよなあ。
あっ!作者名にも回文みつけた。 石井おいしい!(笑)
--------------------【Review for Review】--------------------
さて週末だ。順調、順調。時間の中をジョギングしている感じ。
ようちえんがばけますよ
2012/04/16 Mon 05:56
![]() | ようちえんがばけますよ (2012/03) 内田 麟太郎/西村 繁男 商品詳細を見る |
幼稚園劇場へ
このキツネはすごいなぁ。自分が化けるんじゃなくて幼稚園を化けさせる
んですから。ページをめくる度に幼稚園が化ける。建物や園庭だけでなく
中にいる園児や先生までもがいっしょに化けてしまう。動物や魚や
あんなものや、こんなものにまで、時間の壁も越えて化けまくるぞ。
幼稚園というワンダーランドを、劇的に描写した絵本。
だれでも大歓迎。だれでも楽しめる。きみもぼくも。そんな場所が幼稚園。
と同時に、絵本というワンダーランドへ誘い込む仕掛けもある。
変身の呪文を唱えていたのはキツネとおもいきや内田さんと西村さんだった?
いいですね、ヒネりがきいてますね。
--------------------【Review for Review】--------------------
最近、一週間がリズミカルにすすんで心地よい。曜日ごとのメリハリを
工夫しているのがポイント。