ピオポのバスりょこう
2012/07/29 Sun 07:16
![]() | ピオポのバスりょこう (えほんのぼうけん) (2012/05/26) 中川 洋典 商品詳細を見る |
大迫力のシーンが連続
ページをめくった瞬間 ううっ、眩暈が!
というシーンがあって印象に残りました。
それは、山々の雄大さであったり、
大都会の喧騒や人々の熱気だったり。
体調をくずした父にかわり、初めて都会へ買い物に
でかけた男の子の心境が画面から直撃してきます。
絵本の舞台になっているのは、南米のどこか。
だけれど、それは初めて田舎を旅立ち、東京や
大阪のような都会に踏み込んだ体験を彷彿させる。
まさにカルチャーショック。それは視野を拡げる
と共に、今、自分がいるところへの気付きでもある。
そんなステキな出会いのある旅の絵本、ぜひどうぞ。
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富山ナウ。今日は世界ポスタートリエンナーレトヤマ
へ行きます。これは、いわばポスターデザインの五輪。
体力、気力を整え、いざ出発だ。
おひげおひげ
2012/07/28 Sat 05:22
![]() | おひげおひげ (チューリップえほんシリーズ) (2012/06) 内田 麟太郎/西村 敏雄 商品詳細を見る |
伝染する変身ホルモン
別に何だっていいと思いますよ。
リボンでも口紅でも鉢巻でも。
ハッキリと判って、みんなで一体感が共有できるなら。
でもやっぱり、ひげというのは眼の付けどころがいい!
(それを言うなら毛の付けどころか・・・)
後付けではなく、体から発生するところに意味がある。
しかも、ちょっと生えるだけで、表情ががらりと変わる。
子どもや女の子、はたまた鳥や家まで。
みんながひげを生やしていくという勢いがもう痛快です。
そんな一体感、いいなあと思ったあなたの鼻の下にも
何か生えてきてませんか?
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さあ、オリンピック開幕だ。みんなに生えてくるのは、
がんばれ日本という髭。
旅する蝶
2012/07/25 Wed 06:39
![]() | 旅する蝶 Traveling Butterfly (2012/04/27) 新宮 晋 商品詳細を見る |
ヒラヒラと力強く
渡り鳥や生まれた川へもどる鮭と同じように旅をする蝶がいる。
それが本書に登場するオオカバマダラだ。カナダ/アメリカ北部
からメキシコへ行き、越冬したあと北上する。しかも、もどるとき
は数世代かけてというから、驚きだ。
これは人間でいうと、遥か彼方の星を目指し、数世代かけて
飛び続ける宇宙旅行のような感じだろうか。
自分のもっている地球のスケール感や時間感覚はあくまでも
ひとりの人間サイズだったことを改めて感じました。
われわれが勝手にすごいなあ、と思っていても蝶にとっては
あたりまえのことを繰返しているだけかもしれませんから。
そんなオオカバマダラの不思議な生態を、卵から成長し
長い旅を経て再び北上するまで追いかけた作品です。
蝶の仲間になって、自分も旅に加わった気持ちになれますよ。
--------------------【Review for Review】--------------------
10月に熊本へ異動することになりました。飛行機であっというま
の旅ですが、人生の中では大きな距離になります。
ある意味、インド赴任以上かもしれない。
おにぎりがしま
2012/07/22 Sun 07:43
![]() | おにぎりがしま (2012/06) やぎ たみこ 商品詳細を見る |
噛むほどに味わい深い
2012年の絵本界には〈鬼とおにぎり〉というお題でもあるのかねぇ?
「おにのおにぎりや:ちば みなこ/偕成社」
「オニじゃないよ おにぎりだよ:シゲタ サヤカ/ えほんの杜」
と年頭に登場し、さらに中盤で本書が名乗りを挙げて来た。
感心してしまうのは、共通した素材を扱っても、作家によって
こんなにも料理のしかたが変わるんだなあということ。
単純ながらも奥が深いおにぎりそのものと言えるかもしれません。
本書では、やぎさんならではの味わいがしっかり楽しめます。
なんといっても、おにぎりおにのキャラがいい! 可愛い姿に
似合わずものすごい力を秘めている。たった一人で何もない島を
実り豊かな自然の厨房?へと変えていってしまうのですから。
小さなおにぎりひとつの中に、無限ともいえる恵みの世界が
繰り広げられていますよ。そしてこの作品はひらがながよく似合う。
言葉のひとつひとつが米粒のようにぎゅっとあつまって、
中に驚きの具がはいっている。そんな印象もうけたので。
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〈鬼とおにぎり〉まだ受け付けてます(笑)
あまぐもぴっちゃん
2012/07/21 Sat 07:16
![]() | あまぐもぴっちゃん (えほんのぼうけん) (2012/05/23) はやし ますみ 商品詳細を見る |
通り過ぎた夏の想い出
迷子になった雨雲の子とであった男の子。おかあさんさんにお願いし、
次の台風がくるまで家に泊めてあげることに。子どもが生き物と出会い
共に暮らして別れるという定番的展開。でありながら雨雲のキャラクターが
作品をユニークなものにしています。ときどき水をあげないと体が
しぼんでいくところなんか、植物の世話にも通じますね。
絵本として充分に楽しめ、さらに人と自然との交流というテーマが
じわりと染み込ませてある。雨雲と水彩画の相性もいいです。
読み比べると面白い絵本としては
「まいごのきたかぜ」女の子にしか見えない北風が登場。
「海のおっちゃんになったぼく」海の子どもを少年が育てます。
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ボクがいま育てているのは新天地での野望。
いちにちおばけ
2012/07/17 Tue 06:34
![]() | いちにちおばけ (PHPにこにこえほん) (2012/06/08) ふくべ あきひろ/かわしま ななえ 商品詳細を見る |
お化けに化けると
おもちや、文房具、のりもの、と続いた「いちにち」シリーズ
の最新刊はお化け。夏向きですね。
男の子がお化けになって、その特殊能力を日常で使うシーンが
つぎつぎに紹介されていきます。判り易くはありますが、
おもちゃや文房具と比較すると意外性やインパクトに欠けるかな。
お化けを擬人化しても、見た目はそう変化しないですから。
それをおいておけば、色々と空想を楽しめる作品です。
怖いシーンの後にくるユーモラスな日常シーンとの対比が効いてます。
さて、あなたが1日だけお化けになれるとしたら、何になって、
どんなことをしますか?
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お化けになったら、やっぱりイタズラしたくなるよなぁ。
こんやは なんのぎょうれつ?
2012/07/16 Mon 06:16
![]() | こんやは なんのぎょうれつ? (絵本・いつでもいっしょ) (2012/06/16) オームラトモコ 商品詳細を見る |
前作「なんのぎょうれつ?」では動物たちが行列していましたが、
今回はお化けや妖怪たち。怪しさ倍増、いったい何があるのか
気になります。ということで例によって最後尾は70番目の魔女から
順番に前へ前へと列をたどっていきます。
妖怪も古今東西老若男女と世界中から大集合。なんせ70人ですから。
それを見ているだけでも壮観ですが、隣あった妖怪同士の
からみや、いたずらなど、列そのものに物語性をもたせているので、
みていて退屈しません。
全員が大集合した見開きは最高です。想像力をふくらませて
あなたも行列に加わってみませんか。
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最近ならんだ行列はなんだろう?ユニクロのレジ待ちかな。
【高尾天狗パン/一言堂】
2012/07/15 Sun 22:28
週末に八王子の美術館へ行く機会があり、ついでに二駅のばして
高尾まで。目当ては天狗の顔が刻印された一言堂のパン。

お店は駅の改札を出るとすぐのところにあり、奥には喫茶店も併設
されていました。天狗の顔をじっくりと眺めた後で意を決して
かぶりつく。おおっ、甘ーい。これがきな粉クリームか。
ピーナツクリームを和風にした印象。中に混じっているツブツブの
塊が食感のアクセントに。小腹を満足させるにはちょうどいいです。
さて、これを絵本におきかえるならどの作品がふさわしいか。
天狗が登場する絵本はたくさんありますが、お店の雰囲気や
このパンとの相性でいうとイメージするのは和風タッチの作品。
そして刻印にも通じる表現手法ということで探してみると、
切り絵で力強く描かれたこの絵本にいきつきました。
長い日照りで作物がとれなくなった村人の飢饉を救う天狗が登場。
強面だけど根はやさしい天狗どんは、食べると甘いこのパンにも
似た存在のように思えます。
高尾まで。目当ては天狗の顔が刻印された一言堂のパン。


お店は駅の改札を出るとすぐのところにあり、奥には喫茶店も併設
されていました。天狗の顔をじっくりと眺めた後で意を決して
かぶりつく。おおっ、甘ーい。これがきな粉クリームか。
ピーナツクリームを和風にした印象。中に混じっているツブツブの
塊が食感のアクセントに。小腹を満足させるにはちょうどいいです。
さて、これを絵本におきかえるならどの作品がふさわしいか。
天狗が登場する絵本はたくさんありますが、お店の雰囲気や
このパンとの相性でいうとイメージするのは和風タッチの作品。
そして刻印にも通じる表現手法ということで探してみると、
切り絵で力強く描かれたこの絵本にいきつきました。
![]() | がんこな天狗どん (2009/01) 毛利 まさみち 商品詳細を見る |
長い日照りで作物がとれなくなった村人の飢饉を救う天狗が登場。
強面だけど根はやさしい天狗どんは、食べると甘いこのパンにも
似た存在のように思えます。
おとうさんのかさ
2012/07/15 Sun 06:14
![]() | おとうさんのかさ (2012/06) 三浦 太郎 商品詳細を見る |
かさもどうぞ
おかあさんにお花を届けようしたメルシーちゃんを描いたのは
「おはなをどうぞ」。その姉妹編ともいえる作品です。
雨の日に傘を持っておとうさんを迎えにいくメルシーちゃん。
今回も道中でつぎつぎと動物たちに出会います。
「かさのなかにいれてください」とやってくる動物はだんだん
大きくなって、はたしてみんな入りきれるのか?
という展開は視覚的にもわかりやすく絵本的。
そしてやっぱり今回も途中で傘を失ってしまうんですね。
でもだいじょうぶ。おとうさんもこのほうが嬉しいかも、
という温もりある結末にニッコリ。
--------------------【Review for Review】--------------------
八王子夢美術館「たむらしげる展」へ行って来た。たくさんの
懐かしい作品に出会えた。そういえばあの頃の自分は、と感慨にふける。
手作りの版下まで展示されていて、氏の印刷表現へのこだわりが
熱く伝わってきました。
ツリーハウス
2012/07/14 Sat 06:48
![]() | ツリーハウス (2012/06/23) ロナルド トルマン、マライヤ トルマン 商品詳細を見る |
親子のコラボ絵本
いつ、だれが作ったのか? とにかくツリーハウスはそこに存在する。
エッチングでプリントされた線画のツリーハウスは、絵としても
全く変わらぬ姿で画面の右ページに建ち続けている。
それをみつけたのはクマ。海からクジラにのってやってきた。
つづいて船でやってきたもうひとりのクマと住み始める。
さらに後からやってくる様々な動物たちは、手描きの絵として
エッチングのツリーハウスの画面に描き加えられています。
ツリーハウスと動物たちを描いたのは別々の画家ですね。
それぞれ父と娘が分担しているところが面白い。
住む環境を築きあげる世代、そこに生まれ引き継いでいく世代
という関係になっているところが、創作テーマとみごとに融合。
文章はないけれど、想像力を刺激する画面からは色々な声が
聞こえてきます。不思議な時間感覚も特徴的。
もしも絵本のようなツリーハウスにであったなら、
あなたはどんなことを描きますか? あるいは今、居るところが
我々にとってのツリーハウスなのかもしれません。
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昨晩はピンポイントギャラリーへ。ハダタカヒトさんの絵本コンペ優秀賞作
「さよならぼくのあかいパンツ」はインパクト大。あっ、おしりが!
こういう直接的で意味深い表現は好きです。