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しろくまのパンツ

2012/11/27 Tue 06:07

しろくまのパンツしろくまのパンツ
(2012/09)
tupera tupera

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よむ前からすでに仕掛けられている

絵本そのものが赤いパンツをはいている!
で、それを外してから(脱がせてから)ページ
を開くという趣向だ。するとパンツを無くし
て困ったというシロクマが登場。いっしょに
パンツを探すことになる。パンツの形に穴の
開いたページがあって、めくると持ち主の
動物が現れるという仕掛けがあり。色々な柄
やサイズと持ち主との関連性が楽しめます。
でも、シロクマがさがしているのは本につい
てた赤いパンツでは・・・という心配が空振
りとなるオチがまっていた。ナルホドね。

-------【Review for Review】-------
曜日ごとにはくパンツを決めていたりする。
月曜日は週のスタート力を増す大胆な柄、
火曜日は注意力を高める細かい柄とか。
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ケープドリとモンドリアンドリケープドリとモンドリアンドリ
(2012/11)
ワウター ヴァン・レーク

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モンドリアンの見た世界へ

Kijkvogelを調べてみたらオランダ語で
kijk(見る)+vogel(鳥)との意味らしい。
で、ケープドリという鳥のキャラクターが
登場する絵本シリーズがあって、その最新刊
となるのが本書だ。タイトルにあるように
kijkvogel=モンドリアンドリとしてるけど、
確かにこのほうが解りやすい。未来を見つめ
ようとする姿勢を、オランダの画家モンドリ
アンが新しい絵画を生み出そうとした姿勢に
重ね合わせて描いた美術的アプローチの絵本
と受止めればね。説明が長くなったけど、
前知識なしによんでも何の問題もないし、
むしろそのほうがいいかもしれません。

自然界の描写から出発して記号的な抽象画へ
いたるモンドリアンの足跡が、郊外の家から
直線的で色鮮やかな都会へ移動する形で解り
やすく描かれています。その探求はデジタル
なコンピューターの登場を予感させるような
ラストまで続く。そんな美術史をモチーフに
した遊び心あふれる作品です。

-------【Review for Review】-------
モンドリアンの絵は色味を渋くすると
日本的に見える。縦横の黒い線が畳とか障子
を彷彿させるので。紋鳥庵みたいな。
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オオカミがとぶひ

2012/11/24 Sat 07:32

オオカミがとぶひ (こどもプレス)オオカミがとぶひ (こどもプレス)
(2012/08/12)
ミロコマチコ

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動物的時空変換

我々の生きている空間と時間に動物という
次元軸を加えると本書のような世界が出現す
るのではないだろうか。いったい何かって?

つまり、風がびゅうびゅう吹き荒れる状況を
オオカミが外を駆け回っているから、と解釈
するのである。そんな観点で天候を始めとし
た一日の変化を勢いよく解説してくれる絵本。

雷や雨や夜なども動物的に説明されていく。
その勢いは時間のすすむ早さにまで及ぶ。
そんな中にさりげなく入っている男の子の本
が無くなったことの説明は微笑ましいですね。

超主観的に物事をとらえると世界が変わるよ。

-------【Review for Review】-------
だとしたらお腹がグルルルとなるのは、
中で小さなライオンが吠えているからかも。
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てくとこ ずんずん

2012/11/23 Fri 06:55

てくとこ ずんずんてくとこ ずんずん
(2012/10/05)
マーガレット・ワイズ・ブラウン/レミー・シャーリップ/木坂 涼

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一冊で二度おいしい

これは一冊で二冊分楽しめますね。英語の詩
と日本語訳の詩が並記されているので。

くろくろ ふわふわ てくてく とことこ
何度も繰返される言葉のリズムが心地いい。

一読した後、英語と見比べてみたら、原文は
かなりシンプルだったので驚きました。
英語のもつリズム感を日本語で表現するための
思い切った意訳とも受け取れますが、消化し
易くアレンジされていると思います。

四本足で歩いていくところは丸い地球。
画面を回転させながらみせる構成もユニーク。
文字もいっしょに回転させたら読み易かった
のですが、そこまではアレンジできないか。

そう言えば、歩くのではなく大地を掘り進ん
で日本からアメリカへ行く絵本もありますね。
「地球をほる/川端 誠」こちらでも画面が
一回転という大技がみれます。

-------【Review for Review】-------
先日、阿蘇へドライブしたついでに、道中に
あった子どもの本の店「竹とんぼ」へ。
時代を越えて読み継がれる作品がたくさん
揃えてあるこだわりの店です。
http://taketonbo.net/
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ブラック・ドッグ

2012/11/20 Tue 05:45

ブラック・ドッグブラック・ドッグ
(2012/09)
レーヴィ ピンフォールド

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すべては幻だったのか

ブラックドッグとは? 表紙には思わせぶり
に巨大な足跡が描かれているけど・・・
森の中に突如出現する一軒家は身を強張らせ
ているかのごとく細長い。前半はホラー調に
展開されます。思い込みが思い込みを誘い、
ホープ家の外にみかけた黒い犬は、どんどん
巨大になっていく。そして、幼い末っ子が
ドアを開け、ブラックドッグと対面するとこ
ろで緊張感はクライマックスを迎える。
気の弱い子は悲鳴をあげるかも。

でも大丈夫。後半は末っ子の素直さが、この
犬を鮮やかに手なづけるのですから。見た目
とっつきにくいなと思ってた人が、話してみ
たらそうでもないことってあるでしょ。

不安や噂が雪だるま式に大きくなる様が
みごとに視覚化された作品です。

-------【Review for Review】-------
逆もあるよね。期待ばかりがどんどん膨らん
でいくことも。
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あそこへ

2012/11/18 Sun 05:27

あそこへあそこへ
(2012/09)
マリー・ルイーズ フィッツパトリック

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ここから

思わせぶりなタイトルと表紙ですね。あそこ
がどこで、何があるのか? 女の子が色々と
想像します。簡単には行けない所にも思える
し、近所の角を曲がるとすぐそこにありそう
にも思える。はたしてそれは人生の終着点?
子どもが踏み込んではいけないところ?
こちらもあれこれ想像してしまいます。

生きていくことは、しばしば旅に例えられる。
時の経過や経験が空間的な移動や出会いに
置き換えられたり、悩みや決断が迷路や分か
れ道で視覚的に表現されたりする。

さらに考えてみると、実は、今 居るここが
目指していたあそこかもしれない。あるいは
とっくに通りすぎたかもしれない。だとして
も、未来を信じるかぎり、あそこは存在する。

夢を鞄に詰めたら、明日に向かって一歩を
踏み出そう。本書の女の子のように。

-------【Review for Review】-------
あそこならぬ阿蘇は近くなんだけどね。
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うれないやきそばパン

2012/11/17 Sat 08:47

うれないやきそばパンうれないやきそばパン
(2012/09/26)
富永まい/中尾昌稔/いぬんこ

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コンビニでも出会います

食べ物のキャラクターは当然ながら、食べら
れるという宿命がある。それを当人らがどう
とらえているかで、絵本の世界観がきまって
くる。つまり食べられたらこの世からいなく
なってしまうのですが、それを自分が選ばれ
たと喜ぶか、それともそこで人生が終わった
と悲しむかで。本書の場合は前者なんですが、
複数の身体に1つの人格というクローンのよ
うな設定になっているところが特徴的で食べ
られた後も同じキャラがパン屋の中で生まれ
続るという輪廻転生が起こっている。

古き懐かしき味の再発見というテーマとは、
直接関係はないので、そんなことはスルーし
て素直に作品を楽しめばよいことではある。
とは言っても、食べ物キャラを扱うときに、
作り手はけっこう気をつかう所でしょうから
受け手としてもちゃんと意識したいのです。

本書のキャラは、店のおじいさんがパンに
込めた想いを投影したものと言えます。
だからどのやきそばパンも同じだし、売れた
後も全く同じパンが登場する。

変わらず続いてて、いつでも会えるという
魅力を食べられる側の視点で伝えようと
したときに、この世界観になるわけですね。
と、勝手に納得したところで筆を置こう。

-------【Review for Review】-------
あっさりレビューしようとしたのに、理屈っ
ぽくなってしまった。
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へんてこサーカス

2012/11/16 Fri 08:25

へんてこサーカスへんてこサーカス
(2012/09)
フィリケ えつこ

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錯視の策士だな

サーカスの演目というかたちで、さまざまな
だまし絵を紹介していく、凝った趣向の絵本。

という点では「だまし絵サーカス:講談社」
と同じなんですが、表現が対照的です。
「へんてこ〜」は全てモノクロにすることで
形が明快になり錯視効果を際立たせてます。
さらに光沢印刷をところどころに組み合わせ、
デザイン的にもシャレた感じで、手触りも楽
しめちゃうのがいい。文章はいっさい無し、
純粋にトリッキーな世界を味わえます。
(最週ページに種明かし的な解説あり)

錯視そのものは、どこかで見て既に知ってい
るものがほとんど。ところが! 動物や演目
に関連させたことで、不思議さが身体感覚を
直撃して効果が増幅。読後は真っ直ぐ立って
られなくなるかも!?

-------【Review for Review】-------
今週末は阿蘇方面に行ってみよ〜っと。
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きょうりゅう、えらいぞ

2012/11/14 Wed 05:22

きょうりゅう、えらいぞきょうりゅう、えらいぞ
(2012/07)
クリス ゴール、小畠 郁生 他

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土木車進化異説

これは働く車の絵本としてみてもいいし、
恐竜の絵本としても楽しめちゃう。ブルドー
ザーやクレーンやタンクローリーなどガテン
系の車両がみごと擬人化ならぬ擬恐竜化され
た太古の世界が登場。メカニカルでワイルド
な恐竜車の生態がドカーンと力説されてます。

確かに工事現場で動き回るする車はパワフル
で大きくて迫力満点。乗り物というよりも
別の生き物に見えますね。その意味でもこの
アプローチは感覚的にも理に叶っている。
読後は働く車でいっぱいの工事現場が動物園
やジュラシックパークにみえてしまうかも。

-------【Review for Review】-------
そういえば、懐かしの特撮「レッドバロン」
にも土木建設用のロボットが登場してたっけ。
DVDも出てたし見直したくなったぞ。
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バナナンばあば

2012/11/11 Sun 06:54

バナナンばあば (クローバーえほんシリーズ)バナナンばあば (クローバーえほんシリーズ)
(2012/08/10)
林 木林/西村 敏雄

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バナナ三姉妹の人生

スーパーで買う豆腐や納豆のパック、あとは
ヨーグルトやプリンなど3個でひとまとめに
なったものってけっこうありますよね。
だんご3兄弟もいましたが、本書に登場する
バナナのおばあちゃん三姉妹は異色。それは
柄がつながっている点。よく考えてください。
生まれてからずーっといっしょだったわけで
すからね。どこへ行くにも何をするのも。
しかし遂に大事件が発生!なんと意見の相違
から枝分かれしてバラになってしまうのです。

いや、今まで生きて来た中で喧嘩することは
何度もあったはずなんですが、特に若いころ
などは。でもうまくやってきたんでしょう。
なぜにその歳で分かれちゃうのか???
歳をとって、枝の部分がもろくなったので
ポキッといってしまったのかな???

そんなわけで分かれたのをこれ幸いと、思い
思いに好きなところへ出かけ、生まれて初め
て3人3様の体験をします。どれもバナナな
らではの味がでててニヤッとなります。
結局また帰っていっしょになるんだけどね。

身体がつながってていっしょにいるのと、
つながってないのにいっしょにいるのは別の
意味がある。本当に絆が強いのはどっちか?
なんて風にまとめておきましょう。

-------【Review for Review】-------
手元に4色ボールペンが。これでも合体と
別れの話しがつくれそう。
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