大きな矢印
2013/04/28 Sun 05:31
![]() | 大きな矢印 (2010/10) 浅岡 鉄彦/大森 翠 商品詳細を見る |
ある日とつぜんの↑
まるで2001年宇宙の旅のモノリスみたいで
すね。それを見つけたのは人類の祖先ならぬ
動物たちですが、戸惑いながらも矢印の指す
天空を見上げます。
矢印は何らかの啓示なのか? それとも神の
いたずらなのか? ロケットやミサイルのよ
うにも見えるし、かなり思わせぶりな存在。
でも我々の日常にだって形は違えど矢印的な
ものはありそうです。みんなが同じ方向をつ
いつい見てしまうようなものがね。
この本自体がそうかもしれない。表紙が気に
なってついみてしまったので・・・読後に何
かが変わるかどうかはあなた次第か。
-------【Review for Review】-------
ここんとこ垂直方向のレビューが続いてる。
A Long Way Away
2013/04/27 Sat 06:29
![]() | A Long Way Away (2013/04/02) Frank Viva 商品詳細を見る |
PLANET〜UNDERWATER いっきに移動
昨日レビューした「そらのうえ うみのそこ」
と同様のコンセプトの絵本。こちらは米国発。
偶然にも、ほぼ同時期に出ているところが興
味深い。垂直移動絵本は世界的トレンドか?
前書の科学的リアリティーある描写に対して、
本書の特徴はグラフィカルな絵で楽しませて
くれるところ。旅をするのは蛸足型宇宙人。
本を開く側によってスタート地点が、地球の
海底だったり、宇宙にある自分の家だったり
と変わります。英文もシンプルでどちら側か
ら読み進めても成り立つところは、そらの〜
といっしょですね。
気分を高揚させたいときは下から、鎮静させ
たいときには上から出発するといいかも。
-------【Review for Review】-------
ちなみに作者のFRANK VIVAは自転車での
横移動絵本も出してます。
![]() | Along a Long Road (2011/06/28) Frank Viva 商品詳細を見る |
そらのうえ うみのそこ
2013/04/25 Thu 06:23
![]() | そらのうえ うみのそこ (2013/03/25) 長沼毅/大橋慶子 商品詳細を見る |
月〜海底 いっきに移動
上は月面から、下は深海の底まで。縦開きの
画面で移動しながら、究極の垂直移動が体感
できる冒険絵本です。最近は縦移動系の絵本
が増えて来ましたが、本書の特徴はどちらの
表紙から読んでもちゃんと話しとして成立し
ている事。同じ文なのに全く違和感がない!
すすむ方向によって読後感も変わりますね。
海の底へ向かうときは心の深層を見つめるか
のよう。また月に向かうときはゼロから努力
を重ねて成長するかのような気持ちに。
途中で遭遇する生き物や自然現象、乗り物な
ども丁寧に解説されているので、知的な探検
ができるところもこの絵本ならではです。
-------【Review for Review】-------
昨晩は電話で急に画像検索を依頼され、
プリントして郵便局へ。相手側にパソコンが
あればすぐ済むことなんですが・・・
もう、おおきいからなかないよ
2013/04/21 Sun 06:39
![]() | もう、おおきいからなかないよ (2013/02/09) ケイト・クライス/M・サラ・クライス 商品詳細を見る |
涙もいろいろある
おおきくなった(といっても5さい)ので、
もう赤ちゃんのようには泣かないと宣言する
ウサギくん。この単純な発想が子どもらしく
ていいですが、さらに自分の誕生会に招くの
は泣かない子限定としたのはいかがなものか。
はたして友達は何人集る? 人はどんなとき
に泣くかを示すことで、涙の裏にある意味を
考えさせるという奥行きある作品です。
このウサギのぼうやとママ、どっかでみたな
と思い返してみたら、同作者コンビの絵本で
「うさぎのうさぼうときょーふのママだいお
う」がありました。部屋の様子からすると、
別の家庭ですが、作品に流れているほのぼの
とした空気は一緒ですね。
-------【Review for Review】-------
このウサギくんいい家に住んでるよなぁ。
マルマくん かえるになる
2013/04/20 Sat 06:43
![]() | マルマくん かえるになる (2013/02) 片山 令子/広瀬 ひかり 商品詳細を見る |
ゆっくりじっくりと
カエルって面白い。卵からオタマジャクシに
なり、尻尾がなくなり、手足が生えてくる。
生物の進化の過程を一匹の人生で体現してい
るかのような変りっぷりです。さらに生き続
けると二足歩行するようになるか、あるいは
羽が生えてくるのではないだろうか(笑)
成長することが視覚的にわかりやすいので、
とても絵本的な生物ともいえますね。本書で
は、まだ尻尾が残っているカエルたちが、手
足を使って一人前に泳げるようになるまでを
描いています。がま先生の温かいサポートを
通し、学ぶことの面白さも伝わってきました。
絵本として印象的なのは、色ごとに版を彫り
おこしたという銅版画のタッチ。特にカエル
や蓮などを描いた深みある緑の諧調がいい。
あせらずさわがず、じっくりと歩む時間を、
しっかり画面に定着させています。
-------【Review for Review】-------
以前書いた「おたまじゃくしのチャム」の
レビューを思い出し読み返したら、ちょっと
恥ずかしくなった。
ガール・イン・レッド
2013/04/19 Fri 06:44
![]() | ガール・イン・レッド (2013/02/09) アーロン フリッシュ/ロベルト インノチェンティ 商品詳細を見る |
鉄筋コンクリートの森へ
現代的解釈による赤頭巾ちゃんの絵本といえ
ば、いまだに強く印象にのこっているのが、
写真家:サラ・ムーンの作品だ。モノクロに
よる象徴的な表現が大人の想像力をかきたて
衝撃的でした。それに勝るとも劣らないのが
巨匠:インノチェンティによるこの絵本。
現代の魔窟とかした喧噪的な都会を舞台に、
おつかいに出かけた少女の身にせまるのは、
人間の皮をかぶった狼の牙。毒々しいまで
に色彩を駆使し、都会の繁栄と荒廃を臨場
感いっぱいに描いた点はサラ・ムーン版と
対照的ですが、根底にあるものはいっしょ。
ただし、こちらは子どもにも配慮した結末
ですね。これは物語の持つ力を信じている
作者だからこその表現といえます。意思の
力で自分の未来は変えることができるとい
うメッセージにも受け取れるので。
-------【Review for Review】-------
しかし、病気のおばあさんをあんな所に
住まわせていていいんだろうか?
目でみることば
2013/04/16 Tue 05:30
![]() | 目でみることば (2013/02/04) おかべたかし/山出高士 商品詳細を見る |
一目瞭然?
帯にある、私が「引っ張りだこ」です。とい
う一文の通り、例え言葉や諺などの語源を、
きれいな写真で紹介した本です。
普段なにげに使っている言葉の由来に加えて
関連するトピックもあって勉強になりました。
ただし、写真は美しい反面、そのものを単純
に撮っただけなものが多かったのが残念。
「剣が峰」などもっと臨場感が欲しいし、
「蓼食う虫も好き好き」も蓼を撮っただけ。
もし「引っ張りだこ」が蛸をそのまま撮って
これが蛸ですと言っても物足りないでしょう。
表紙のように視覚的な驚きがあったり、演出
にもう一工夫あれば、作品集としてさらに楽
しめたかなと思います。
-------【Review for Review】-------
視覚というより感情に訴えかける表現が
欲しかった。言うは簡単だけどね。
あっ、オオカミだ!
2013/04/15 Mon 06:06
ふかいあな
2013/04/14 Sun 07:32
![]() | ふかいあな (2013/02/15) キャンデス フレミング/エリック ローマン 商品詳細を見る |
穴からの脱出劇
始めは小さな動物、そして次にもっと大きな
動物がきて、それが繰返されていって、最後
はいったいどうなるのかしら? という構成
の絵本は色々ありますね。その舞台が深い穴
の中というのがこの作品の特徴。カエルが穴
に落っこちて、それを助けようとした動物も
次々に穴へ落ちてしまう。外には舌舐めずり
する大きなトラが・・・なんてこったい!
穴の中からトラのお腹の中へ直行するのか?
版画による竹林と動物の描写は見応え有り。
関連するテーマの絵本としては、
「どうする どうする あなのなか」もお勧め。
穴に落ちた2匹の猫と3匹のネズミが確実に
助かる方法を議論するコミカルな作品です。
-------【Review for Review】-------
宇宙戦艦ヤマト2199を観る。こちらは地球
規模の危機。行って帰ってくることに意味
がある。
チェロの木
2013/04/13 Sat 05:46
![]() | チェロの木 (2013/03/06) いせ ひでこ 商品詳細を見る |
チェロの本
画面の白い余白が心地いいなぁ。それは光で
あったり雪だったり生命でもあったりする。
本の中から外へと、まるで空気のようにつな
がっていて、自分の気持ちと自然にとけ込ん
でいく感じ。自然に呼吸するリズムで音楽が
感じられました。その音はとても深いところ
からやってきます。なぜなら音楽を奏でる人
とその楽器を作る人と楽器の元になる木を育
てる人までたどっているので。
途中、呼吸がハッと止まる場面があり、時を
忘れて見入ってしまいそうになりました。
そしてさらに音楽は続く。未来に生まれ飛び
立つ無限の音色へ想いをよせ、余韻に浸る。
-------【Review for Review】-------
本になる紙も木から生まれてるんですね。