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ぼくぱぐ

2014/11/30 Sun 06:43

ぼくぱぐぼくぱぐ
(2014/07/09)
かなざわ まゆこ

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ぱぐはぐ

遠くから表紙をみて、犬の写真集かな思い
きや、近づくと手描きのタッチに気づく。
なのでパグ犬を描いた画集だったかと思っ
て中身をみたら絵本でした。

でも画集と言えなくもないかな。文は極め
て控えめで、パグ犬の様々な行動や仕草が
魅力的に描かれているので。それらを順番
に追っていくと、心温まる物語に出会える。

ミルクたっぷりのカフェオレ〜炭火焙煎の
ブラックコーヒに至るがごときモノトーン
系の色の諧調と、ヨーロッパの街角を思わ
せるシャレた舞台が印象的ですね。

首輪を得ることで幸せになれると思った、
健気な捨て犬が、天使のごとき小さな一匹
に導かれて行き着いたところは?

犬の絵本で、関連性のあるものとしては、
「ダサいぬ:ダン・ヤッカリーノ作」
パグ犬の悩みを色彩豊かなタッチで描写。

「アンジュール:ガブリエル バンサン作」
もう有名ですね。白黒の鉛筆画が印象的。

-------【Review for Review】-------
今日は職場近くの図書館へ行こう。
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まばたき

2014/11/29 Sat 06:45

まばたき (えほんのぼうけん67)まばたき (えほんのぼうけん67)
(2014/11/26)
穂村 弘/酒井 駒子

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一瞬後の世界

視覚はまばたきによって一瞬とぎれている。
また、映画やアニメも静止画の連続になる。
となれば、目を閉じた状態で見る夢こそが
遮るもののない連続した時の流れを見てい
ることになるのだろうか。

逆に、まばたきしている状態だけを連続さ
せたら、ずっと眠っているように見えるか
もしれない。人が一生でまばたきする時間
を積み上げると、いったいどれだけの長さ
になると思いますか?

読後にそんなことを考えてしまいました。
怪談的ショック、あるいは浦島太郎を想起
される読者もいるかもしれません。

一瞬の時間を詩的に描いた絵本としては、
「クジラの跳躍:たむらしげる作」もあり
ました。こちらは、まばたきの間に起こっ
た出来事をゆったりと堪能できます。

-------【Review for Review】-------
金曜の夕方から月曜の早朝までが休日。
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くろいながい

2014/11/24 Mon 06:45

くろいながいくろいながい
(2014/09)
おくはら ゆめ

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永遠の始まりを求めて

絵的に極端なことを徹底的に押し進める類い
の絵本では、とてつもなく長ーくなってしま
うものを描いた作品がある。身体の一部分が
延々と長くなるもので思い浮かぶ作品では、
ある朝ジジ・ジャン・ボウはおったまげた/
あしにょきにょき などは印象深い。

いずれも伸びた身体が、やがて元にもどるの
ですが本書の場合は伸びっぱなしだ。伸びる
のは女の子の髪の毛なので不自然ではないが、
相方である猫の尻尾が伸びるというのは尋常
ではない。両者の共通点は黒いということ。

2人は黒い長い、髪の毛と尻尾をたどり始め
ます。もちろんそれは長い旅となるわけで…

2本とも途中で途切れることもなく、何かの
役に立っていたりするところに命が歩む時間
の流れを感じました。

で、その果てはどうなっていたのでしょう?
2本とも仲良く同じ方向に伸びているところ
に意味があるようですが、結局よく判らん、
という感想もありではないかと思います。

-------【Review for Review】-------
平行線とは無限の彼方で交わる2本の
線という数学の定義を思い出しました。
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ぴっぽのたび

2014/11/23 Sun 06:20

ぴっぽのたびぴっぽのたび
(2014/11/06)
刀根 里衣

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夢で色づいた世界へ

一目惚れってこんな感じだったなぁ。画面の
中に吸い込まれるがごとく魅入ってしまい、
表紙をめくるのをつい忘れてしまいました。
小さなカエルのいる赤い風景。限りなく繊細
で奥行きあり、幸せな気分に包まれてきます。

5月から始まる月から月への夢の旅。そこは
かな寂しさと希望を携えた季節ごとの想いが、
心の隅々へと、ミリ単位で染み渡ってくる。
気に入ったら、その場所にずっと居てもよい
のだと優しく語りかけてくる。なのでページ
をめくって、そこを去らねば次の画面へ進め
ないというのが、唯一、残念なところでした。

でも大丈夫。長い旅の先では求めていたものと
出会うことができますから。

amazonでの絵本レビューもちょうど2000
作めに到達しましたが、出会ってよかったと
心から思える作品のひとつです。

-------【Review for Review】-------
11月はシーズンイベントがなく落ちつける。
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X字架(じゅうじか)

2014/11/22 Sat 07:11

X字架(じゅうじか) (とぴかシリーズ)X字架(じゅうじか) (とぴかシリーズ)
(2014/10/17)
宇野亞喜良/穂村弘

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鮮血をすするがごとく

十字架ではなくⅩ字架だから大丈夫なのだ!
この場合エックスではなくローマ数字の10
と読ませるところがポイント。ちょっと都合
のいい詐欺めいた解釈ですが、許されるのだ、
大人の絵本なのですから。ニンニクや太陽の
光が苦手な貴方も充分に楽しめます。

血のように真っ赤なワインを片手に絵本バー
などで、斜に構えながら読んでみたい作品。
際どいシーンも芸術的遊び心とギリギリ言え
るように描写され、ニンマリしてしまった。

-------【Review for Review】-------
今日は天野喜孝展に行こうかな。
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あなのはなし

2014/11/20 Thu 21:31

あなのはなしあなのはなし
(2014/09/17)
ミラン・マラリーク

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ブラックボールの赤ちゃん?

穴の開いた絵本では「はらぺこあおむし」を
始め色々とありますが、この作品には驚きま
した。主人公そのものがページに空いた小さ
な穴なのですから。

しかも穴から手足が生えて旅するというのだ。
なんとも次元を超越した存在である。

その穴が最初に出会ったのがドーナツという
のも興味深い。「ドーナツを穴だけ残して食
べる方法」なんて本がありましたが、その絵
本的回答が本書と言えなくもないからだ。

狼からの危機を脱する方法も奇想天外!最初
から最後まで、アバンギャルドな作品ながら、
初出は1964年とあるので、さらにビックリ。
穴絵本の原点かもしれない。

-------【Review for Review】-------
昨日は出張でセントレアへ。電車のチケット
を買うのに手間取った。
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うさぎのさとうくん こうちゃのうみ (おひさまのほん)うさぎのさとうくん こうちゃのうみ (おひさまのほん)
(2014/09/11)
相野谷 由起

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五感がクロスオーバーする心地よさ

四季折々の美しさを味わう。なんて書いたら
和食について語ってるみたいですが、それに
かけては、うさぎのさとうくん、達人級です。

時には小さなカップでお茶を飲むがごとくに、
あるいはケーキを切り分けるがごとく、さら
には卵焼きをつくるがごとく、森の緑や高い
青空や海に沈む夕日の美味しいところを、サ
クっと楽しんでしまうのだ。

五感の制約が解き放たれて心地よい気分に。
さとうくんならではの世界、ご賞味ください。

-------【Review for Review】-------
今日はグッドライダーズミーティングだ。
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ふたごのどんぐり

2014/11/15 Sat 06:32

ふたごのどんぐり (えほんのもり)ふたごのどんぐり (えほんのもり)
(2014/08)
上野 与志/いしい つとむ

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2人真っ直ぐに育つ

画像検索してみると本当にあるんですね、表
紙のような双子のドングリが。1つの鞘に2
つの実が片寄せ合っている姿は本当に仲が良
さそう。見ているだけで微笑ましいです。

絵本ではこの双子が成長する姿がすくすくと
描かれています。親木と別離したり、危険を
乗り越えたりして、小さな芽をつけた2人は
長い時を経てどうなったのか。

実際にこんな木が存在してたら奇跡だなぁ。
いやどこかにあるのかもしれない。そんなこ
とを信じたくなる、心温まる作品。

-------【Review for Review】-------
キングギドラはグレた三つ子だったのか?
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これにはビックリ!まさか近所のスーパーで
こんな高貴な方に出会うとは。ルーブル美術
館で微笑んでいるモナリザがプリンの蓋に登
場しました。よく見ると彼女が食べているの
はこのプリンじゃないですか。謎の微笑みの
理由はこのプリンの美味しさにあったのか?
表情がいつもより、まろやかにも見えます。
彼女の気持ちは分かりますよ。実際にプリン
を口にすると濃厚さがより増して感じられま
したから。これぞスイーツルネサンス(笑)

濃いリッチプリン

名画も恋する濃いリッチシリーズとしては、
他にも2つありました。

抹茶プリン:ダヴィッド作《アルプスを越え
るナポレオン》ん〜、これは男の渋さが。

杏仁豆腐:ルノワール作《うちわをもつ少女》
もありました。肌の白さが印象的です。

考えてみると、味の濃厚さと油絵の重層感は
必然性があると言えます。これが水彩画だっ
たら淡白な味をイメージしてしまいますから。
期間限定だったせいか、残念ながら今は通常
のパッケージにもどっていますが、思いがけ
ないところで、また出会うかもしれませんよ。
例えばこんな絵本の中とか。

ケイティとモナリザのひみつ (ケイティのふしぎ美術館)ケイティとモナリザのひみつ (ケイティのふしぎ美術館)
(2011/02/25)
ジェイムズ・メイヒュー

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こちらはモナリザが人恋しくなって額縁から
飛び出してしまう作品です。美術館にやって
きた女の子といっしょに、他の名画の中を出
たり入ったりして、ひと騒動を巻き起こすと
いうユニークな美術案内絵本でもあります。
名画の味わい方も色々あるのですね。
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えきのひ

2014/11/12 Wed 05:33

えきのひ (MOEのえほん)えきのひ (MOEのえほん)
(2014/03/14)
加藤 久仁生

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駅は迷路のごとし

舞台は人で溢れる大きな駅の中。好奇心にか
られ、よそ見をしているうちに姉弟は迷子に
なってしまいます。二人は無事にママと再会
できるのか?

駅構内の雑踏や複雑な構造が二人の心情と
連結する描写が秀逸です。不安や迷いが感覚
的に伝わってくる。さらに、未来を信じて、
前に進もうとする二人の心の出力までも。

都会の駅ならではの舞台効果を最大限に活か
した迷子アドベンチャー絵本です。

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大人だって駅の中で迷うからねぇ。
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