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身体がタコで手がヘビで頭が猫のリアルなキャラクター
なんて、冷静に考えてたら気持ち悪いだろ。
しかもピーターラビットやスヌーピーやミッフィーなど
を取り上げる雑誌の出版社から絵本になるなんて・・・
一昔前ならありえなかった。時代が変わったのか。

環境破壊がもたらした生態系への影響とか、倫理を超えた
科学技術の神への冒涜などネガな側面へ踏み込む一歩手前で
とどめているのは、ギュスターヴ君の底抜けの明るさですね。
それと猫顔が効いている。(これが人間の顔だとただのグロ絵)

それにしても異種交配的に出来た生物たちの奇妙奇天烈さは
見ていて楽しい。ドキッとしたのは人間の素足をもった生き物が
一匹だけ描かれているところ。悪夢に堕とされていく中で、
ふと、現実への脱出口を通り過ぎたかのように感じました。

絵のタッチはアンティークな博物画を彷彿させる格調高い
もので、ゆるキャラとかファンシーグッズのいかにもな
可愛らしさに食傷気味の方にはおすすめです。

絵本としての完成度を求めると、後半に登場するぬいぐるみは、
無理にストーリーに組み込まなくても良かったのでは。
せっかくの奇妙な世界観が覚めてしまったので。

-------【Review for Review】-------
追い込みの週末。
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いつでも出来たてアツアツ

パン系、ケーキ系に続く木版料理絵本の3作目は、
コロッケを始めとした揚げ物系が中心のメニューとなっています。
おいしそうなのはもちろんなのですが、身体にも良さそう。
これは、木版画という自然素材を活かした技法だからかもしれない。

(断っておくと)CGやアクリル絵の具で描いたら
人工添加物入りという訳ではないのですが、でも木版の場合
作業工程も含めて料理に通じるものが感じられますよね。
キッチンと工房、素材の準備から始まり、作業に刃物を用いる等。

白い画面に料理のみというシンプルな構成も、舌の想像力を
かきたててくれます。それぞれにソースをかけた画面が続くのも
食欲を加速、揚げたてのコロッケが食べたくなってきた・・・

-------【Review for Review】-------
9回裏まではまだ時間がある。
野球じゃなくて個人的な制作の話。
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帽子争奪劇その3

クマとウサギ、大魚と小魚ときて、今回は姿形のそっくりな
2匹のカメが登場、同時に帽子をみつけます。
しかしそれは1つ。なんとか自分のものにしたいようですが・・・

動きはほとんどなく、彼らの心情を伝えるのは、
わずかな目線の変化と会話のみ。駆け引き、裏読み、等々。
否、言葉はシンプルなので、そこに何を感じるかは
読む手の心が投影されているとも言えるわけでもあり、
そのあたりのバランスが絶妙です。

なんといっても長谷川さんの大阪弁訳が効いている。
この味わいと深みは英語では難しいでしょうから。
うん、日本人でよかった。

で、結末は? 前2作のようにブラックかと思いきや、
シリーズのトリにふさわしい落とし所へもってきましたね。
(画面は黒いけど・・・)

-------【Review for Review】-------
今日はワニをメインに描こう。
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これは猫じゃなきゃできない

元になっている実話そのものが、絵本のようです。
自分が失いかけた命をとりもどした動物保護施設で
献身的なふるまいをみせる黒猫。何をするかといえば、
怪我をして運ばれてきた動物のそばに寄り添うだけ。
すると最初は怖がっていたり気が立ってたりする犬や鳥たち
が不思議と落ち着きをとりもどす。

でもこれ共感できますよ、人間だって動物だし。
例えば子どもも注射されるときに、そばに子猫がいて
見守ってくれたら安心するでしょうから。

生きる勇気、と言ったらおおげさかもしれませんが、
読後に猫の体温分だけ健康になったことは確か。
トーンを抑えた色調の絵もすんなりと入ってきました。

-------【Review for Review】-------
今日は塗り絵の日
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渋さが滲み出てます

おじいちゃん、おばあちゃんの椎茸キャラが渋い!
乾物ならではの特徴を活かした大活躍に拍手です。

変身ヒーロー系や忍術系の特殊能力とも言えるのですが、
身体への負担が大きく、ここぞというときにしか
使えないところも、リアリティがあります。

かなり衝撃的なので、祖母や祖父は入浴中に身体が
変化しているのでは… なんて妄想が読後に発生しそう。

木の根元にある玄関口の前には、日向ぼっこ用の
小枝を縁側のように横たえて置くなど、さりげなく
彼らの生活感が伝わってくるところもいいですね。
この独特の世界観をもっと味わいたいなぁと思ったら、
もうすぐ第二作も登場するよう。楽しみです。

-------【Review for Review】-------
今日も部活がんばろう。気持ちは高校生に若返り。
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ちょっと怖いぞ

室井滋さんの子どもの頃のおばあちゃんとのエピソードを
描いた絵本。通知表に書かれた自立を!という指摘から、
「じりつ」という妖怪を想像してまうなんて只者ではない。
しかしながら、おばあちゃんはさらに只者ではない。
可愛い孫娘の自立の為の奇策に仰天です。怪談風の展開に
緊張感も高まりますね。

長谷川さんの絵でけっこう好きなのは、和室や小物類の
描き方。一見ラフな水彩画にみえてキチンと細部まで
描きこんである。畳や襖、レトロな体重計などなど。
昭和仕立ての出汁の効いた筆致が、人情味ある話を
引き立てるんだなぁ。今回も美味しい!

-------【Review for Review】-------
眠れないときは牛乳を飲む。そして楽しい
空想にふける。
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お金じゃ買えないお金

男の子がおばあちゃんからもらった初めての百円玉。
硬貨としてでなく宝物的に大事にする気持ち、よく分ります。
しかも会話ができて仲良くなったらもう手放せない。

でも百円玉の立場からすれば、いつか男の子の役に立ちたいと
願うわけですね。何かを買うことは必然的に別れを
意味するわけで、2人がそれを決断するシーンが印象的でした。
後半は旅するお金の冒険物語として楽しめて、
最後にサプライズがあります。

自分も小さい頃 自作の貯金箱に「お金の駅」と名前を入れて
収入と支出を物語化してました。今はかつて駐在していた国の
お金をお守りがわりに財布にいれてたりします(余談まで)

-------【Review for Review】-------
昨晩は横になったけど眠れなかったので、
まあいいやと早々にベッドから起き出てしまった。
眠たくなったときに眠るのが一番気持ちいいし。
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心地よく青に酔う

青は世界中で最も好まれる色と言われますが、
一言では括りきれないほどカバーする色域が広い。
他の色、例えば赤だとピンポイント的で、淡くなったらピンク、
暗くなったらブラウンと呼び名が変わってしまう。
空と海も青、自然界で最も多くの面積を占める色でもある。

ところが動植物となると青は希少な色なんですね。
絵本にはそんな青をまとった生き物たちが数多く描かれています。
宝石のような青い羽の鳥や蝶。実物は毒々しい爬虫類の青でさえも
が怪しい美しさを醸し出していて、どの場面も魅入ってしまう。

画集的に眺めながら、青い生き物たちと共に
心地よい時を味わえる色彩浴的な作品でもあります。

青が印象に残った絵本としては
・モノクロに対比された青で水男の存在感を際立たせた
「水おとこのいるところ」
・瞑想的な青い世界が静かに眠りへと導いて行く
「おやすみのあお」
などもおすすめしたい。

-------【Review for Review】-------
今日はデパートの古本市へ行ってみよう。
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上から下へそして再び上へ

縦スクロール独特の空間体験が楽しめる絵本です。
なまけもの君が高い木の上の住処から、水浴びを
したいが為に下へ下へとおりて行く。

途中、色々な動物たちに出会うのですが、なかなか
地上へはたどり着かない。一体どんな高いところに居る
んだよと判明してきます。

こりゃ戻るのが一苦労だろうなぁ、なんて心配が
増してきますが・・・終盤の急展開が見物ですね。
緩急のメリハリが心地よい!

-------【Review for Review】-------
せめて今日はのんびり過ごそう。なんてときに
思いつくのは子どもの頃に読んだSFの再読。
年配になってから再びバイクに乗るリターンライダー
という呼び名があるけど、読書ではリターンリーダー
とでも言うのだろうか。
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