fc2ブログ

【絵本セレクション2016】

2016/12/31 Sat 11:19

今年も無事に一年の振返り、10冊選んでみました。


01 このあと どうしちゃおう→生と死をヨシタケさん流に語ると


02 おおきなでんしゃ→なんじゃこりゃ!電車の中に街が


03 エイハブ船長と白いクジラ→絵の芸術性も巨鯨スケール


04 ど 「どあい」の「ど」をみつけよう!→クリエイティブに尺度を構築


05 わたしのいえ→様々な家と住む人の生活感がじんわりと伝わります


06 奇想天外発明百科→同じ課題でも時代によって着地点が変わる


07 MONUMENTAL 世界のすごい建築→イラスト図鑑として完成度が高い


08 おじゃまなクマのおいだしかた→サスペンス的な味付けが絶妙


09 わくせいキャベジ動物図鑑→組合せ発想系としてとっつきやすい


10 えとえとがっせん→正規の十二支vs決起軍という図式が斬新

総括-----------------------------------
以前のように新刊を手当たりしだいレビューすることもなくなったので、
まだ読んでない作品も沢山あります。なのでこれが今年のベスト10とは
言い切れないけど、どれもお気に入りであることは間違いありません。
最近の特徴としては、図録・図解系の絵本が増えてきたように思います。
世の中に溢れる情報の分かりやすい再構築が絵本界でも求められて
いるのでしょうか。一方で作家性が色濃く出た作品も目立ちました。
器用に何でも描ける人というより、この人だからこそ作り得るといった、
一般受けはしにくくても多くの熱狂的ファンを獲得するような、
クセになる絵本も増えてますね。なんだかんだで、絵本の可能性は
まだまだ広がると実感した一年でした。
絵本10冊年間セレクト | コメント(0) | トラックバック(0)


読む前に広げる場所を確保しよう

年越し蕎麦の由来や意味について、改めて確認してみたら、
どうも勘違いしていた点を発見してしまった。
細長いことにちなんで、長寿・健康を祈念するという
意味はもちろん知ってます。それに加えて、語呂合わせで
新年がすぐソバに来ているから、という意味もあって、
だから同じ細長くても、うどんではないのだと、ず〜っと
信じてたんですが、そんなことはネット検索しても
全く見つからなかった・・・(汗)

なんて事を書き始めたのは、年越し蕎麦のついでに、
年越し絵本があるとしたら、どんなものが相応しいか、
と思ったもので。内容的には干支や大晦日や正月の
行事をテーマにした作品が正統だとして、
蕎麦に合わせて細長い絵本、という視点で今年の作品を
振り返ると、このメガロポリスになるのです。

折りたたんだ絵巻物的に絵が一枚につながり、
上から下へとめくる度にストーリーが展開していく。
全てひろげるとなんと3.7メートルにもなるのだ!
(敷布団を縦に2つ並べたくらい)

宇宙船で空からやってきた異星人が塔の屋根に降り立ち、
人類に歓迎されて親交を深めていく様子が、
グラフィカルな絵で緻密に描きこまれてます。
縦スクロールする昔のRPGゲームにちかい感じですね。
大都市に暮らす人々の風俗・文化だけでなく、
ファンタジックな舞台も登場したりと、変化に富んだ
内容で最後まで楽しめました。

最近は縦開きで空間移動する絵本もけっこうあり、コピーして
全ページをつなげてみたいと思った方も多いと思いますが、
そんな欲求をも具現化された作品です。

-------【Review for Review】-------
寒いと年末って感じするけど、季節が逆転している
南半球はどんな気分なんだろう、なんてふと想う。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


おかしがる方がおかしい?

絵本の世界に常識ってあるのだろうか?
基本的にどんな事だって起こり得る世界ではあるものの、
ある程度のルールがないと収拾がつかなくなってしまう。
動物が人間の言葉を話してもいいけど、なんの前触れも
なしに、人間が動物の言葉を話すのは違和感がある。
狼が子豚や山羊を襲ったりしても、女の子が狼を食べる
にはそれなりの理由が必要になってくるでしょう。

絵のタッチも影響しますね。写実的であればあるほど
出来事にもリアリティが求められる。

そんな観点で本書を見てみると、常識とおかしさの線引が
絶妙なところに設定されてます。羊の存在は必然として、
狼の立ち位置が程よい緊張感を出し、シャレたコントの
ような帰結へ至りますよ。

-------【Review for Review】-------
メッシやロナウジーニョのような足技を求めても
無理ですが、ちょっと努力すれば習得できる技術は
けっこう身の回りにあるもんです。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


ニワトリたちの冥福を祈る

タイトルと表紙で思わず手にとってみたものの、
正直言って何を伝えたいのか、よく分かりませんでした。
これは賛否が別れるなと思いきや高評価が多くてビックリ。

確かに始まりの勢いは圧倒的です。まるで異常発生したイナゴの
ごとく何もかも食い尽くして行く。しかもそれがニワトリという
ミスマッチが笑いを誘います。

ただし、そこにインフルエンザで何万羽と処分された鳥たちの
怨念を見出すと笑いも引きつってきます。単なるナンセンスもの
では済ませられない。これは身勝手な人間たちへの復讐?

だ・と・す・る・と。
人類のとった唐突な対策案も、別な見方ができよう。
彼らが口にしているのは、襲ってきたニワトリではなく
既に処分された方なのではないだろうか。作戦というより
発狂的愚行ですね。人間たちの笑顔が薄ら寒くなってくる。

そうとでも解釈しないとやりきれない。
これは来年の干支でもあるニワトリへの鎮魂歌なのだ。

-------【Review for Review】-------
来年レビューしようかなと思ったけど、
ネタがないので今日することにした。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


怖さと甘美が入り交じる


性差をも超越した愛という意味では、大人向けかもしれませんが、
むしろ子どもにも感じてほしい内容でもあります。
ドキっとするシーンが登場するものの、そこはヒグチさんだから
こその危険と紙一重の表現。同じ恋愛テーマを描いても、他の作家さん
にはできない世界観に触れられます。

再読してみると、二人の間には過去に何らかの事件があったのでは、
と勝手に推察してしまいました。輪廻転生、魔女の呪い、罪の償い・・・
もちろん女の子の純粋な一目惚れもあり。

意味深な贈り物にもなりえる絵本ですね。

-------【Review for Review】-------
熊本で5回目の年越しへ。
大学なら卒業する頃か、早いなぁ。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


城も一日にして成らず


大きな城とはいえ基本は木造、重機ではなく人力が主体なので、
一戸建ての家が組み上がるまでの過程がスケールアップされた
ものとして捉えることもでき、大坂城が身近に感じられました。

また、出来上がるまでに多くの時間と労力がかかっている事実が
ページをめくる度に伝わってくるで、完成した城の俯瞰イラストに
はとても感慨深いものがあります。遠い目標に向かって進んでいるとき、
仕事や部活や勉強などで、すぐに結果は出ないときに
この絵本を思い出し、毎日少しづつでも努力を続けようと
想いを新たにできるという意味では、年末新年にもおすすめ。

各ページの下欄に解説があり、城築についての知識が得られる
ことはもちろん、潜伏調査中の3人の子ども忍者を探す楽しみもありますよ。
(余談ですが、完成までに15年かかっている割に、彼らは年を取らない)

-------【Review for Review】-------
あと2日で今年も仕事納めか・・・早い
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


友達だと思えば友達

服と動物という垣根を超えて友達になる。
きっかけは、名前が似ているってことでした。
「うわぎ」と「うさぎ」と「うなぎ」確かにそっくり。
そこへ似た名前つながりで、新たに仲間が加わり
変化していく上着の心境に、つい共感してしまいました。

遊びを通して、さりげなく服と動物の違いを描いた
伏線が見事。上着が名前に執着したのは好意から
ですが、友達とは何かを考えされられますね。

人間以上に人間的な上着の心にジーンとなります。

-------【Review for Review】-------
iPhone SEを購入。軽くて早いぞ。
4からの切り替えだけにその飛躍度を体感中。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


怖ウマお菓子

ケーキといえばクリスマスだけでなく季節物のイベントに
華を添える食べ物。和菓子でさえもハロウィンバージョンが
登場したりするし、今や何でもありです。

男の子が、甘い匂いに誘われて行き着いたお化けたちの
お菓子コンテストも、和洋のお化けや妖怪たちが大勢参加。
毒々しいかと思いきや、意外と美味しそうに出来てますね。
(カッパの作ったキュウリのケーキはどうだろうか・・)

迷路や絵さがし、シールデコなど遊び的な味付けも
もあって気軽に楽しめる絵本です。

ところでコンテストに迷い込んだサンタとトナカイは
いったいどうなったんだろ? 気になる。

-------【Review for Review】-------
コンビニでも頻繁に季節限定スイーツが
出てたりする。見逃したものもけっこうあるし、
来年はこまめにチェックだ。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


正月には十二支について考えてみましょう(その12) 


ネコが決起して、別な十二支をつくっちゃう。
なんて絵本がでないものかなぁ、と半ばふざけたレビューを
10年近く前にしたことを白状しましょう。
(しかし同意は得られず、参考にならない評ばかり
だったので作品名は伏せときますが)

まさか、それに近いことが実現するとはビックリです。
首謀者はタヌキですけどね。メンバーは他に、鹿や豚、
ハリネズミやコウモリ、熊にヤギ、カニにカエル、
バクやサンショウウオ、そして猫。

12匹vs12匹の対決となります。しかしながら
正規軍の方には龍という超越的な存在がいるので、
反乱軍は分が悪いのですが、あっ、と驚く技が登場。
対決の行方は最後までわかりませんよ。
絵柄も迫力があるかと思えば、時に脱力系になったりして
メリハリが効いてます。他の方のレビューにもあるように
小学生の悪ノリ的な展開が大人の心をも楽しませてくれる。
読後は拍手喝采です。

-------【Review for Review】-------
西洋的には12星座で同じことができそう。
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)


どこまで続く、クジラの食欲

なんでもかんでも食べまくる者が登場する絵本といえば、
かわいいところでは「はらぺこあおむし」
暴力的な食欲をもった猫の「はらぺこガズラー」
が思い浮かび、本書のクジラと重ね合わせてしまいました。

食欲と好奇心のおもむくままに、目についた物を食べまくる
展開は共通してますが、クジラだけにその量も半端ではない。
海の魚だけならまだしも、川を逆上っていき、はては街にまで
上陸してしまうという、ゴジラ顔負けの行動力をみせる。

最後はいったい全体どうなるんだろうと思ってたら、
神話的なスケールの帰結へ行き着き、なるほどと大満足。
ひょっとしたら地球のどこかにこんな場所があるかもね。

ページをめくるごとに登場する食べ物もおいしそう。
ごちそうさまでした。

-------【Review for Review】-------
薬局も食べれば良かったのに。 
絵本レビュー | コメント(0) | トラックバック(0)
 | HOME | Next »