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忍者を飼う?

手乗り文鳥→手乗り忍者に変換したらどうなるかという
空想的発想を突き詰めた作品です。といっても出会った
男の子との関わりかたはペットとの関係とほぼ同じ。
餌を与えるがごとく忍者団子を作ってあげたり、
遊び道具的な物を用意してあげたりする様子は、
不思議な違和感があります。

一応忍者ではあるので、体術を使ったりするなどの
リアクションはあるのですが、直接的な会話がないので
普通の対人関係とはちょっと違うし・・・
ペットショップに行くとカゴに入った手乗り忍者が
売られていて、本屋には猫や犬や小鳥と並んで
手乗り忍者写真集があるような世界観から抜け出せない〜

以上は表面的な感想ですが、裏返せば別な見方も
できる奥深さはあります。それが何かは怖いので
あえて書きませんが。

小さな男と少年の関係で思い出したのは
「おぢさん/レイモンド ブリッグズ」
こちらは会話が主体の人情味のある絵本です。

——————【Review for Review】——————
既存のフレームを借りると形にしやすい。
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楽しみながら理解も深まる寿司絵本

タイトルをみて寿司だけが羅列されているのかと思いきや、
もちろんその画面もあるんだけど、ページをめくると
寿司になる前の魚介類を描いたシーンが登場して、おっ〜
となりました。寿司の分類の仕方も分かり易い。
赤いもの、白いもの、光るもの、長いもの 等々
子どもにもとっつき易い切り口です。
絵本としては案内役のペンギンがいい味だしてる。
寿司屋を営んでいて新鮮なネタを自ら入手しているのですね。
リアルな描写の寿司や素材にペンギンがコミカルに
からんで楽しめちゃう、コスパの高い絵本です。

——————【Review for Review】——————
これも最近増えている図鑑系の絵本。
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どれもお似合いです

天ぷらは衣をつけると言うように、揚げ物料理は素材に服を
着せていると解釈できますね。他にはお握りや稲荷寿司など
も海苔や油揚げが服とみなせる。
だから絵本界としては美味しい服屋も開店できるわけだ。
羽衣をまとった天女風の店主がそれらしい。
身近な食べ物をきっかけに料理法や衣服とはなんぞやと
楽しく想いをめぐらせられる作品です。

余談ですが、パッケージデザインはそれぞれの中身に
似合う服を考える仕事とみなせるかもしれない。
コーヒーやビールの缶、お菓子などなど、常に新しい物が
並ぶ陳列棚はさながらファッションショーですね。

本作でも着飾った料理たちのコンテストが開かれますが、
はたして優勝したのは?

ちなみに料理素材御用達の絵本では床屋もあります。
「いろいろやさい とこやさん:山岡ひかる」
お菓子の美容院としては
「フルーツタルトさん/さとうめぐみ」も面白い。

——————【Review for Review】——————
寒いと衣が厚めになる。海苔をプリントした
テープなんか面白そう。
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自分の成りたい姿は?

怪しい容貌の仮面屋さんですが、評判はなかなかのよう。
自分を可愛くみせたいとか、もっと強そうに見せたい、
あるいは優しそうに見せたい。そんな動物たちの要望に
応じてみせます。仮面というところが実にクセ物で、
あくまでも借りの姿であるが故に見え隠れする喜悲劇が
うまくすくい取って描かれています。

各々を深掘りすれば別の絵本になりそうなテーマが、
出し惜しみされることなく登場。家族もの、ロマンス系、
ミステリー系などなど。仮面というのは、ファッションや
変装、整形手術などに通じるものがあり、大人はより
共感できる内容です。狐のエピソードで幸せな結末かと
思いきや、舞台裏があったところも仮面の話らしい。

——————【Review for Review】——————
千の顔を持つ男、仮面貴族なんていたなぁ。
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本は心の交差点

赤い本が際立つモノクロ主体の画面と、肩の力が
抜けたタッチの絵づくりが印象的な絵本です。

おじさんと動物たちが赤い本を通してつながる。
それぞれの動物によって関わり方が変わるのが面白い。
色んな形があるけど、最後はよく出来たパズルの
ピースのごとくピタリと収まる心地よさがあります。
共通しているのは、みんな本が好きだってこと。

絵本の主題とは、ちょっとズレるんですが。
レンタルショップで漫画やDVDを貸りるときに、
あるいは車にガソリンを入れるときに、セルフサービスで
利用する機会が増えた。利便性はあるものの、できれば
ボクは店員を通したほうが好きです。

なんてことを書いたのは、文字が読めるようになった
動物たちの気持ちと共感できる部分があったので。

——————【Review for Review】——————
昨日は熊本でも雪が降った。
寒いとついついカレーやラーメンが食べたくなる。
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瞑想的シンプルさ

終始眼を閉じているパトさん、表情さえ描かれてない相方。
たべる。ねる。といった動詞のみのシンプルな文章。

感情的な表現を徹底的に廃した静かな展開が、読み手の心に
じわじわと波紋を呼び起こすような作品です。
その意味では、パトさんの一生は今の我々自身を映し出す
鏡なのかもしない。

この作品をよんで思い出したのですが、
人形が主人公のシンプルな描写が深い味わいになっている
「私の船長さん:M.B. ゴフスタイン」もおすすめ。

——————【Review for Review】——————
今朝は目覚ましが鳴ってから、すぐに起床できた。
やろうと思えば出来る と 実際にやる は違うのだ。
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軽やかに描かれた南極遠征(原書)

昨日、鹿児島の長島美術館で出会って、つい購入。
きのう翻訳版をレビューしたばかりですが、表紙のエンボス調印刷が、
ー我輩が原書だーと主張していたし、2016年度ボローニャ絵本原画展の
ラガッツィ賞にも選ばれているということで来館記念に。

繰返しになりますが、以下が翻訳版でのレビュー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冒頭で乗組員、犬、冒険グッズ、等々がカタログのように、
ひとつひとつ小さく並べて描かれているを眺めていると、
子どもの頃、旅行の準備(おやつは300円まで的な)をするときに
ワクワクした気持ちがついよみがえってしまいました。

なんて書いたら過酷な冒険に対して語弊があるかもしれませんね。
実際はアムンセンとスコットが南極点到達を目指していた
頃の話なので、何年にも及ぶ生死をかけた過酷な旅ですから。

でも、身近な画材の色鉛筆を使ってスケッチ風に描かれているので、
南極探検がまるで夏休みの絵日記みたいに親しみやすく感じられました。
そこがこの絵本の良い面です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小さな絵が単語のごとく組合わされた構成の画面と英語の文字組が
実によくマッチしてます。シャクルトン隊の南極遠征で忘れてならない
のが、横断の中継点を設営すべく大陸の反対側から上陸した
マッキントッシュ隊。本体の方が途中で諦めて引き返したのに対し、
サポート側は命がけで役目を全うしたところに、現実の厳しさと
歴史的ドラマを感じます。

——————【Review for Review】——————
4年あれば大学は卒業できるが・・・
同じことを繰返している自分に気づくことが
成長の第一歩。
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軽やかに描かれた南極遠征

冒頭で乗組員、犬、冒険グッズ、等々がカタログのように、
ひとつひとつ小さく並べて描かれているを眺めていると、
子どもの頃、旅行の準備(おやつは300円まで的な)をするときに
ワクワクした気持ちがついよみがえってしまいました。

なんて書いたら過酷な冒険に対して語弊があるかもしれませんね。
実際はアムンセンとスコットが南極点到達を目指していた
頃の話なので、何年にも及ぶ生死をかけた過酷な旅ですから。

でも、身近な画材の色鉛筆を使ってスケッチ風に描かれているので、
南極探検がまるで夏休みの絵日記みたいに親しみやすく感じられました。
そこがこの絵本の良い面です。

——————【Review for Review】——————
今日は鹿児島遠征。ボローニャ国際絵本原画展をみに
長島美術館へ。
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生きのびた先にある喜び

誕生日に寿命を3日余分にもらっているから。

「ひいお爺さんは、どうしてそんなに年寄りなの?」という
ひ孫の質問への答えがシャレてますね。絵本なので魔法などで
延命しているのかと思いきや、実際は家族や友人が3日分長生きして
欲しいと誕生日に願ってくれているようです。その事実を知って
自分もちょっと寿命が延びた気がします。

そんなひいお爺さん、もう3日分の延長は不要と言い始めます。
その裏には、去り行く者から残された者への温かいメッセージが。
ひ孫のホープはしっかりと受け取ったようですね。

——————【Review for Review】——————
1月も半分が過ぎた。今日も出来る事を積み重ねていく。
いつ訪れるかも判らないその日に向かって。
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小さな本に込められた大きな可能性

人が自分の特徴に気づくのは、誰か別の者と関わったり比べたり
したとき。容姿や性格や能力などなど。若い頃はそれが悩みの種に
なったりもしますが、努力したり納得したりして折り合いをつけて
いくもの。しかしながら、まめまめ君の場合は超特別!
マッチ箱がベッド代わりになってしまうくらい小さいので。

そんな彼が自分の事を自覚するのは、学校に通い始めて多くの
児童と関わるようになってから。それまでは小さいながらも
虫と遊んだり、庭をジャングルのごとく冒険したりと
楽しんでいたのですけど、それが一変してしまいます。
魔法や奇跡で大きくなる。なんてことは起こりません。
成長して大人になっても小さいまま・・・

現実的に考えるとかなり過酷な設定ですね。それでも彼は
自分の居場所を見つけます。軽やかなタッチの絵が、
重くなりがちなテーマをユーモラスに語りかけてますよ。

——————【Review for Review】——————
ビロードのように滑らかな毛布の手触りは冷たいと
よりいっそう心地よい。指先は冷えた場所を
探して毛布の上を漂い、今朝もまた起床する
タイミングが先のばしになる。
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