キツネと星:コラリー・ビックフォード=スミス:アノニマ・スタジオ
2018/07/22 Sun 19:42
星が咲いた♪
手触りのいい装丁とグラフィカルなイラストに引き込まれました。
孤独なキツネと星との関係が、フォーマットに沿った精緻なイラストで
つづられていくかと思いきや、そのリズムが時に変化して、ハッと
させられたりもします。絵でありながらも音楽的。
なんて思っていたら、ふと、懐メロ「バラが咲いた」を連想して
しまいました。これって、僕の庭をキツネの森に、バラを星に
置き換えると、イメージがオーバーラップするんですよ。
you tubeで歌を聞いたら、ついついホロリと・・・
たとえ雲がかかって見えなくても、星はいつでも空にいる。
そして狐の胸の中にも、いつまでも消えない星が輝くのだ。
たとえ会えなくても、思い浮かべるだけで心の中を照らして
くれる人がいるってステキですよね。
--------------【Review for Review】--------------
明日から一週間ほど出張なので、しばらくレビューはお休み。
にちようびのぼうけん!:はた こうしろう:ほるぷ出版
2018/07/22 Sun 06:38
冒険への招待状
日曜日の朝、ミスターXより謎の指令を受け取った兄弟が公園へと
向かう。ただし、途中で誰にも見つかってはいけないという。
魔法を使ったり、怪物が登場したり、子どもの空想世界を
視覚化したりといった、方向ではなく、あくまでも日常世界の
中で起こり得ることを描いたところが本書の特徴と言えます。
いつもの公園であっても、誰にも見つからずに行くという
条件を加えることで、こんなにも難しく、スリリングになるとは!
ちょっとした冒険の種は日常に潜んでいるものなのですね。
公園内にも、謎の指令の続きとなる暗号が散りばめられていて
兄弟といっしょに、最終目的地へと至るワクワクを味わえました。
公園にはいったい何があったのか? ミスターXの正体は?
謎を解いた側はもちろんですが、謎を仕掛けた側も
それ以上に嬉しかったでしょうね。肝試しでの驚かす側や
サプライズパーティを仕掛ける側の気持ちも間接的に
伝わってきますよ。相手のリアクションを想像しながら
準備をするのも楽しいですから。
--------------【Review for Review】--------------
先日熱中症対策の講演を受けた。42度を超えると体を
構成しているタンパク質が、ゆで卵のように変質しはじめる
そうだ。脳がゆで卵になった様を想像して、ゾ〜っとなった。
エンリケタ、えほんをつくる:リカルド・シリ=リニエルス:ほるぷ出版
2018/07/21 Sat 06:13
かわいい絵本作家誕生
色鉛筆セットをプレゼントされた女の子が、興奮してその勢いのまま
絵本作りに没頭する姿をライブ感いっぱいに伝えてくれる作品です。
つまり絵本の中にもうひとつ絵本があるわけで、二重構造になってる。
これは作家側も描いてて楽しいでしょうね。
絵の基本とか、物語の展開がどうこうとか、テーマな何だとか、
難しいことは抜き。だってプロではなく子どもが楽しんで、
作っているものを描いているのですから。なんでもありです。
いきなり登場するは、首が3つある怪物で、1人だけ帽子がない。
なので女の子のタンスの中へ帽子探しに出かけるという展開。
プロの作家のごとく、女の子が途中で悩んだりするシーンも
挿入しつつ、かなりいきあたりばったりに創作は進みます。
ハプニングの連続で先が読めない。正に子どもの心の中を
のぞき見しているかのようで、おもわずニヤりとなってしまう。
でも、最後までちゃんと完成させたところはえらい!
冒頭を見返したら「ほんは もちはこべる うちゅうだね」
という彼女のセリフが・・・確かにそうだ。
読書は未知なる宇宙へ旅に出かけるような楽しみがあるよね。
この絵本は童心という宇宙に出かけたくなった大人にも
おすすめです。
--------------【Review for Review】--------------
加藤清正のことを調べていたら、明日お祭りがあると判明。
というか、熊本に5年以上も住んでて、そんなお祭りがある
ことさえ知らなかった・・・これはぜひ行かなくては。
おばけのかくれんぼべんとう:木坂 涼/いりやま さとし:教育画劇
2018/07/15 Sun 08:50
よく食べてよく化けよ
ふと、思ったのですが、お化けって扱いやすいキャラですよね。
どこにでもフワフワ出没できるし、化けることもできるし。
怖くも可愛くもできる。足が無くて不定形だから描きやすい。
要は表現の振り幅が大きく、何を描いても間違いにはならない。
なんて書いたら苦労して作品を生み出してる作家さんに失礼か。
でも、本書はいい意味でその軽やかさが生かされてるんです。
お化けの弁当といっても表紙のごとく、本当においしそう。
ゲテモノ系じゃないです。綿菓子のようなパステルカラー
三色のお化けの子たちが、様々な食べ物に化けてかくれんぼ、
ほのぼのと楽しめる内容です。そして、お化けの面目躍如と
なるドキッとさせるシーンもちゃんとあるゾ。
子猫が遊びを通して身体能力を育んでいるように、
お化けの子はかくれんぼ遊びで変身能力を育んでいるのかも。
--------------【Review for Review】--------------
昨日は暑かった。セミの鳴き声も絶好調。
せかいでさいしょのポテトチップス:アン・ルノー/フェリシタ・サラ:ビーエル出版
2018/07/14 Sat 07:24
実は人気メニューだった!
そうそう、ポテトチップスはスナックではなく、皿にのせて提供される
料理だったんですよね。最初にポテトチップス誕生のエピソードを
知ったときは、驚きました。お客のわがままに業を煮やしたシェフの
イタズラ心によって生まれたなんて。絵本では、当のシェフである
ジョージ・クラムとそのお店を舞台にして、物語仕立てで、奇跡的な
料理の誕生秘話が描かれています。イラストは色味を抑えめで、
古き良き時代の風味まで伝えてくれてますよ。
考えてみると、どんな料理にも最初があるわけで、そのルーツをたどる
のは面白いかも。麺のようなもの、引き伸ばしたもの、穴をあけたもの、
食感や味の組み合わせ、地域独特の素材や料理法なども進化しているし、
納豆のように腐ったものなど最初に食べた人はどんな気持ちだったんだろう?
と色々想像が膨らみます。
試しにやってみたら、意外とうまかったといえば、赤飯の卵かけご飯。
硬めの飯粒をさらさらとかき込む。卵黄と醤油の味に加えて小豆を
噛んだときの甘みがいいアクセントに。実家で赤飯のときは、ボクだけに
母が生卵を用意してくれます(笑)。誰かこの旨さに共感してくれないかな。
--------------【Review for Review】--------------
月末に国内出張の予定が。帰ってきたらあっという間に
夏休みだなあ。早い!
しんごうきょうだいのにちようび:もとやす けいじ:絵本塾出版
2018/07/09 Mon 05:33
職場は信号機の中
歩行者信号に表示される人のマーク。中に人が居るんじゃ
ないかって、子供の頃から想像していた人も多いんじゃないかと
思いますが、彼らの生活ぶりがこの作品でついに明らかにされたゾ。
信号機の中に部屋があって、赤い人と青い人が交互に表に出たり
引っ込んだりしていたんですね!交差点の四つ角にある歩行者信号は
8台なので、合計して16人。みごとなチームワークで仕事を
している彼らの楽しみは、歩行者天国のときで、みんなそろって
街中へと散歩に出かけます。
特におおきなトラブルもなく、ちゃんと集団行動をして
時間どおりに信号機へ戻ってくるところに、彼らの真面目な
人柄がみてとれました。
人のマークを描いた絵本といえば
「トイレこちゃん:あさの ますみ/有田 奈央」もおすすめ。
トイレの案内マークが突然いなくなって大変なことになります。
--------------【Review for Review】--------------
iphoneにアプリを入れようとしたら、iOSのアップデートが
必要とわかり、それをインストールするには、MacのOSの
バージョンを上げねばならず、けっこう面倒な作業に。
おしりどろぼう:陣崎 草子:くもん出版
2018/07/08 Sun 09:39
しりとりバトル
そもそも、お尻って盗めるものなのかどうか?
引き締まったお尻とか、お尻に限らず、スラリとした足とか、
逞しい胸とか、欲しいなぁなんて思うことは無きにしもあらずで、
絵本の世界であれば、体の一部をとっかえっこするなんて日常茶飯事で
はあります。我々の世界でも雷にへそを取られるなんて話も
あるくらいですからで、パンツをはかず、外へ飛び出したカバくんに、
どろぼうにおしりを盗られるよ、とママが注意したのも不思議な
説得力があり、カバくんのおしり争奪劇へもすんなりと入っていけました。
しつけ系の内容かと思いきや、他の動物たちがカバくんのお尻を狙う
理由がこれまた、ほのぼのとした過激さもあって話は意外な方向へ。
おしりパンパンな人間のおじさんまで登場して、話も膨らみますが、
最後はちゃんと収まりました。というか、うまくはぐらかされた感じ。
慌ててたり、他の事で頭がいっぱいになって、出かけた後で忘れ物に
気づいたときのダメージは大きい。さすがにパンツを履き忘れることは
ないけど、携帯とか財布とか買い物メモとかは要注意項目です。
そして、カバくんには、パンツよりも大事なものがあったんですね。
--------------【Review for Review】--------------
昨晩は「大人のための絵本朗読会vol.3」を初めて観に行きました。
音楽や少劇もからめて絵本を味わい尽くせる贅沢な内容。
特に琴の生演奏には背筋がゾクっとなりました。深みのある
音に加え、琴という生き物と接しているかのような奏者の
動きが神秘的だった。
まよなかかいぎ:浜田 桂子:理論社
2018/07/07 Sat 07:19
文具たちは知っている
男の子が眠っているときに会議をはじめたのは、彼の使っている
文房具たち。ランドセルから飛び出し、今日はちゃんと正しく使って
くれたかどうか、使い方もうまくなったかどうか、報告し合うのです。
参加者の語りを通して、男の子の学校での様子が手に取るように
伝わってくるところが見事!(直接男の子の手と触れ合っているだけに)
遊び道具になっていたカスタネットが本来の楽器として扱われ感激して
いるかとおもえば、定規が背中をかくのに使われて嘆いていたりと、
それぞれの役割ごとの発言に、なるほどなと共感してしましました。
文房具たちの視点は、子どもの成長を見守る親や先生の眼差しそのもの。
読後は物を大切にする心も育まれるのではないでしょうか。
最後に文房具らのチームワークが発揮された結果をみせたところもニクい。
その夜に定規が笑顔で報告している様子が目に浮かんできました。
結局、男の子は終始ずっと寝ているんですけど。その間に自分のこと
が話題になっているとは・・・夢にも思ってないでしょうね。
ちなみにボクはというと、ボールペンの芯をカッターで切って
インクで教科書を汚しまくってたりしてたっけ・・・
会議があったら大問題になっていたかも。でも今は文具として
大切にしているから許してね。
--------------【Review for Review】--------------
今朝目覚めてテレビをつけたら。ちょうどベルギー×ブラジルの
結果が放映されていた。さすがに全試合を生で見るのはきつい。
なんにでもレナール!:玉置 永吉/中川 貴雄:教育画劇
2018/07/06 Fri 08:46
ごっこ遊びが魔法で本格化
レナールはモグラの魔法使い。”なんにでもレナール”と唱えたら、
動物の子のごっこ遊びが、バーションアップしてしまうのだ。
例えばママゴトに夢中になっていると、レストランのコックになって
素敵な料理を振るまえるようになってしまう。
レナールがおまじないを唱える度に、次のページで動物たちが変化。
予想を上回る展開もあったりして、魔法の力にワクワクさせられ続けました。
ボクも小学生の頃にスーパーカーのプラモを作っていたときは、
レーシングドライバーになって、ヨーロッパのサーキットを
疾走していた。今思うとレナールの魔法が効いてたのかもしれない(^_^)
レナールの魔法使い仲間にはケイールがいるとみている。
得意な魔法はもちろん、どこにでもケイール!
--------------【Review for Review】--------------
今日はちょっと寝坊。いつでもキオール という魔法を覚えたい。
どしゃぶり:おーなり由子/はたこうしろう:講談社
2018/07/01 Sun 09:25
さあ、こい! 雨
プールや海でおよいだり、風呂でシャワーを浴びるのは気持ちいいもの。
なので雨を浴びるのだって楽しめるはず。中途半端な雨じゃなくて、
どしゃぶり雨ならなお良い。海水浴や森林浴があるように、
降水浴という健康法やレジャーがありそうな気もする。
もしも気分が乗ってきたなら、思い切って雨の中へ飛び出して
みるのもわるくないかも。絵本の男の子のようにね。
傘を投げだし裸足になって、無邪気に雨と戯れてみるのです。
想像してみてください。様々な雨音、肌を叩く感触、大地から沸き立つ匂い等を。
自然の中に五感が開放されていく心地よさを思い切り味わえるのでは。
この作品はイメージの中でそんな体験をもたらしてくれます。
雨との一体感を楽しむ男の子が、オーケストラの指揮者のように見えたシーンが
特に印象的でした。雨は自然の奏でる打楽器でもあるんですね。
どよ〜んとした梅雨や災害とも関連してマイナスな側面もある雨だけど、
絵本の中でなら、どんなに降っても大丈夫、濡れる心配もないよ。
--------------【Review for Review】--------------
ワールドカップは本戦になると別次元!
日本の居場所がないのではと心配になるレベルの高さ。
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