おばけばたけ:林なつこ:マイクロマガジン社
2018/08/26 Sun 08:24
タダものではない
韻を踏んだタイトルの響きがいいですね。
畑の入り口には、無料で自由に採り放題との看板が。
しかし、ここに踏み込んだら、お化けたちの脅しが待っている。
登場するお化けは[妖怪✕野菜]の組み合わせでユニークな姿。
九尾ならぬキュウリの狐とかあかんべえ茄子などなど駄洒落も
効いてて楽しめました。のっぺらポテトって・・・もともと
じゃがいもには顔がないんですけど(笑)
この畑にやってきた男の子は、お化けに出会っても
平然としていて、呪文で撃退してしまう。なかなかに肝が座った
男の子で、お化け野菜の扱いに手慣れているあたり、タダ者で
はないと見える。それもそのはず・・・・・
採ってきた野菜で作ったお化けカレーは美味しそう。
人間のボクでも食べたくなりました。
夏はカレーが美味しい! おすすめのカレーの絵本といえば
「オバケカレー:Goma」そのものズバリで、レシピ付きです。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
お気に入りのカレーはロイヤルホストの
カシミールビーフカレー。最近はCoCo壱番屋の
北海道カレー、クリーミーなコロッケとホタテを
あえて10辛で味わうのだ。
わたしのものよ:マルー:WAVE出版
2018/08/25 Sat 08:30
すべてはネコのもの?
タイトルの「わたしのものよ」は作中にも繰り返し登場する
言葉ですが、猫的マインドを端的に表してますね。
犬だったらここまでは言い切れない。「飼い主のものよ」
なんてなるのではないでしょうか。
描かれているのは、リリさんの家で、犬のゴマと共に暮らす
猫のサカナの日常。身の回りの物や家の外で出会うものを
次から次へと「わたしのものよ」とタグ付けしていきます。
これは所有欲というより愛着心の表現と受け止めました。
その愛着心の及ぶ範囲はどんどん広がっていきます。そして
ついには、サカナ自身はだれのもの?という哲学的な疑問に
遭遇します。果たして彼女の見い出した答えは?
読後はサカナと共に世界との一体感で満たされました。
ふと、うたた寝する前に読みたい絵本です。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日はガスの点検日、前回のように忘れて外出しない
ように気をつけよう。
フワフワ:おおなり修二/高畠邦生:絵本館
2018/08/20 Mon 05:43
飛べない鳥が飛ばした○○
フワフワしているのはダチョウの羽かと思いきや、
もうひとつあったのですね。それを追いかけるのが
ライオンというところで生まれる、ユーモラスな緊張感に
ニヤニヤしてしまいました。読み終えた後もこの先が
どうなるのか気になってしまいます。
ダチョウの野獣性が覚醒してもう一波乱ありそう。
その意味では、前半は無くてもいいのではと
思いましたが、展開の意外性を狙ったのでしょうか。
切れのいいスライダーの変化で読み手の予想が
空振りするような作品でした。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日はピンポイントギャラリーでのワークショップ。
気になったキーワードは
・とにかく分かり易くする。
・表紙の絵はタイトルの説明ではない。
・おさかなふわふわ じしゃくないちにち
かわいいおかし:かけひさとこ:教育画劇
2018/08/19 Sun 05:48
食べられても笑顔のまま(^_^;)
ボクはたい焼きを頭から食べる派である。尾ひれからだと
逃げているのを捕まえて、食べているような気分になるのに対し、
頭からだとお腹の中へ自然に入って来てくれる感じがするので。
これは鯛という姿をしているが故の意味付けになるが、
衣と具のバランスや、手にした時の安定感を考慮しても
尾ひれは最後にした方が理にかなっていると信じている。
で、本書では様々なお菓子と、それを食べたときの状態変化が
描かれているわけでして、冒頭には鯛焼きが登場する。しかし・・・
おいおい、そこから食べるのか!
登場するお菓子すべてに共通しているのは、動物の形を
していること。故に食べたときには身体が崩れるという
宿命を帯びているのだ。食欲はちょっぴり残酷なのだ。
怖いお菓子を集めたハロウィン版も作れそうですね。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日はピンポイントギャラリーのワークショップへ。
夏休みの締めとなるイベントです。
おうちでんしゃ:ナカオ マサトシ/かねこ あつし、かねこ やすこ:パイインターナショナル
2018/08/18 Sat 06:26
家中の動線がみえてくる
おにぎりが一列になってレールの上を進む、スニーカーや長靴も
同じように進む。それぞれが向かう先はお弁当箱や靴箱。
物には収まるところがあるわけで、それを終着駅に向かう電車
にみたてた幼児絵本なのですね。最後の行列には笑ってしまった。
読後は色々な電車を想像しました。服ならばタンスに向かう。
ジュースやアイスは冷蔵庫へ、本は本棚へ、などなど。
そういえば子供の頃、自作の貯金箱にお金の駅って書いたなぁ。
ところで一列になって家に入ると言えば、サザエさんの
エンディングが真っ先に思い浮かぶのですが、この絵本が
生まれるきっかけになってたりして?
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
最近コンタクトが急に見えにくくなったので、ひょっとして左右が
逆ではと思い、交換したら改善された。念の為、眼科でチェックしたら
やっぱり逆位置だったよう。どこで入れ替わったんだろう?
シルクロードのあかい空:イザベル・シムレール:岩波書店
2018/08/17 Fri 08:03
嗚呼、シルクロード
旅出つシーンに描かれた夕日の赤い空に見入ってしまいました。
中国の西安から西へ西へと進むシルクロードの旅は夕日の沈む
場所をひたすら目指す旅でもあったわけですね。
世界地図をあらためて確認すると、ユーラシア大陸を東西へ
横断するシルクロードは陸路最長のルートでもある。
しかも太陽の動きと共に夕日の沈む西を目指して進むなんて、
なんとも雄大でロマンに満ちたものだったでしょう。
イザベル・シムレールは自身の旅の体験をもとに
そこで目にする様々な自然や動物や昆虫、各地の民族や文化
との出会いなどを、繊細な描写で伝えてくれます。
一本一本の線がまるで蚕の眉から生まれるシルクの糸の
ごとく、なめらかに各画面をつないでいきます。
その旅を、蝶の王女様と言われた香妃の亡骸が生まれ故郷の
カシュガルの村へともどる旅程にオーバーラップさせ、
時空をまたいだ体験もできる作品でした。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
NHK特集シルクロードのDVDを観たくなった。
ソフトクリームのソフトさん:大島 妙子/苅田 澄子:小学館
2018/08/16 Thu 07:33
お菓子な世界観もここまできた
様々なお菓子たちが商店街を営んでいるという世界観に
立ちくらみしそうになりました。ドーナツの眼鏡屋
プリンの帽子店、キャラメルの薬屋、モンブランの蕎麦屋!!
そして主人公はソフトクリームの靴屋。こんな絵本が出るとは、
なんとも豊かで飽食な世の中だなぁと思います。
日本の絵本界は、動物の擬人化キャラ程度は開拓され
つくしているので、ここまで振り切ったことをしないと、
新しさが出ないのかもしれない。
でも、ちゃんとお菓子の特徴が活かされているのは見事です。
活躍するのは走るのが得意なソフトクリームで、なかなかに
スリリングな展開を味わえました。走力の高さにはちゃんと
アイスならではの理由があったのですね。
自分がお菓子になって働くとしたら何になるだろう?
お菓子たちのオリンピックがあったら各競技の代表は
誰になるだろう? なんて想像もふくらみました。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日は昔懐かしいSFを読了。キャプテン・フューチャー
シリーズはやっぱりいいなぁ。アイデアの宝石箱だ。
えのないえほん:斉藤 倫/植田 真:講談社
2018/08/15 Wed 08:15
心が見た世界
タイトルの理由は冒頭で語られます。どんなにすごい画家でも
描けないほと醜い獣が登場するというのがひとつ。さらに読み進めると、
盲目の少女の世界を伝えるというのがもうひとつの理由であることが
分かります。つまり絵を描かないことに意味がある絵本なのです。
醜いと忌み嫌われ続けた獣は、いつしか心の中まで歪んでしまい、
ひと目を避けて生きるようになった。しかし盲目の少女に出会って
心を開くようになるのです。彼女は自分の手や耳で感じ取った獣を
ありのままに受け入れてくれたから。
ところが物語は獣の心が試される展開になり、胸が痛む結末へ。
淡い水彩で描かれた花の表紙からは想像もつかないくらい、
辛く激しい内容の作品でした。差別やいじめの問題を考える
方もいるでしょうが、ボクは素直に自分の想いを貫いた
獣の物語として受け入れたい。
絵は全くないわけではなく、ところどころに象徴的な描写があり、
読み手の想像を喚起させてくれます。獣と少女、それぞれの観点が
重なり合う仕掛けもさりげなく効果的でした。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昔の特撮物「怪傑ライオン丸」でも似たような話が
あったことを思い出しました。盲目の娘が、トビムサシを
怪人とは知らずに立派な侍として慕うという内容で、
かなり好きなエピソード。
まわるよる:tupera tupera:小学館
2018/08/11 Sat 06:54
ピーマンのにくづめだったもののはなし:若井 麻奈美:アリス館
2018/08/05 Sun 07:47
いいコンビとは?
ちょっと不思議なタイトルですね。食べ物キャラの話なんですが、
考えれば考えるほど???が湧き上がってくるのです。
だってピーマンの肉詰めは、すでに完成された料理の一品
ですよね。それが解散して、ピーマンと肉に分かれてしまう。
いいのか?これはありなのか? まあ硬いことは抜きにしても
本作の展開だと、ピーマンの肉詰めを否定することにならないのか?
お弁当に入っているとうれしかったピーマンの肉詰め。
絶妙の組み合わせで、ピーマンが嫌いでもこれなら食べれる。
緑と茶色に赤いソースという色の組み合わせも食欲をさそう。
何がいいたいかというと、いっしょになることに意味があって、
ピーマンと肉が合体することで、単独ではできなかった事も
できるようになる・・・というものではないのか。
ハンバーガーでバンズとパティがバラバラになったり、
寿司でネタとシャリがバラバラになって、それぞれに
独立してしまうような世界観を受け入れられる度量が
あるかたは、本作も楽しめるかもしれません。
p.s.ピーマンのいくら詰めはいかがなものか、
納豆詰めならありかもしれない。
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昨日のはたさんからの作品講評。厳しかったけど、
壁をやぶるきっかけになりそう。