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タヌキ流発想えほん


初めてそれを見るタヌキにとっては、Tシャツではなく、
穴が4つあいた薄いものなのですね。同じようにホースは、
細長くクネクネして端に穴のあいたものになる。

タヌキの島へ流れ着いた物をめぐって、それが何なのかを
あれこれ悩む様子が微笑ましかったです。読む側は答えを
知っているだけに、上から目線で、ちがうちがう、
そうじゃないよ、と思ってしまいましたが、彼らが
見出した答えの独創性には感心してしまいました。
なるほど! タヌキ視点にたてば、その使い方もありだ。
特に傘の用途は目からウロコです。さすがタヌキの長老。

新しい発想する際は、知識や常識が妨げになることも
あるわけですね。住み慣れた先入観から一歩ふみ出せば、
新たな宇宙に出会えるかもしれない。

ラストは長老の一言、上から目線ぶりに爆笑です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今週は急に冷え込んできた。夏の終わりを実感。
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シンプルだけど深い

見開きの左右でそれぞれ「へいわの○○」「せんそうの○○」という
場面対比で構成された絵本。絵もモノクロの線画というシンプルさ。
家族や自然や町の様子の違いが、淡々と繰り返されていきます。
過度な描写や生々しさはありません。その分、各場面の背景に
潜むものごとについて、想いを巡らせることになります。
ページはつながっているものの、二つの場面を断絶する
見えない壁が感じられ、壁は本をめくる度に高く厚く固く
なっていく。それが終盤の展開で劇的に破壊される!
絵本としては見事な完成度ではないでしょうか。

ただし、あまりにも表現がスマートすぎて、
平和と戦争というお題をうまいこと処理した感が、ちょっと
気になりました。(あくまでも敢えて、の話ですが)

同様のテーマでおすすめの絵本は
「ぼくがラーメンたべてるとき:長谷川義史」
こちらは衝撃的でした。当時の長谷川さんは、ほのぼのとした
家族を描いた作品が多く、作品間でも対比関係になってたので。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨晩は南阿蘇水の本屋真夜中へ。円形の駅舎がメリーゴーランドの
ようで、周囲にテントも張られ、まるで一夜かぎりの本の遊園地の
様相。あいにくの雨でしたが、おかげで傘をさしながらの宮沢賢治の
朗読がみごとに絵になってました。駅舎に現れたアマガエルたちも
聞き耳をすましていたようで、屋外イベントならではの趣ですね。
映画は「ビッグ・フィッシュ」。画面と、前方に佇むカップルの
シルエットがかぶり、ついつい目がいってしまった。
物語が進むにつれ、身体を寄せ合ったり、上着をかけてあげたりと、
ある意味、いい演出になっていたかも。
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魔法チックで可愛い

作中に人間はいっさい描かれていませんが、部屋の様子や登場する
家財や小物類から、その家の住人をつい推理してしまいました。
スプーンのあかちゃんが生まれた=赤ちゃん用のスプーンが
用意されたと考えれば、3人家族になったということなのか?
兄弟のスプーンは登場しないので、初めての子どもになるはず。
作中にはクレヨン(色味が渋い)や絵本(ドイツ語版)も出てきた。
ピアノも演奏するようだし、食器類もオシャレ。特に赤の使い方に
こだわりが感じられる。冷蔵庫やトースターや鍋など赤で
統一したり、大胆な赤い壁があったりと、なかなかのセンスだ。
明らかに西欧よりで、絵本やトカゲやバスケットの名前から
察するにドイツとの関連性が高い。赤ちゃんは女の子かな。
ゆくゆくはバレエを習うことになるでしょう。
おそらく住人は・・・絵心のある魔法使いだ。

などと勝手に想像してしまったのは、それだけ絵本の世界観に
入り込めるということ。食器や家財に手足や顔がついてて、
黒猫と会話したり、料理をしても全く違和感が無いのですから。

パステルの絵にも見入ってしまいます。作中の赤ずきんちゃん
と狼をぜひ絵本化して欲しいです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は南阿蘇水の生まれる里白水高原駅にて開催される
本屋真夜中へ。日暮れの古本屋と朗読と映画、自然の演出が
加わって、どんな情景に出会えるか楽しみです。
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黒い三両編成

電車忍者(おっ、漢字にすると格好いい)は三両一組。
汽車と電車と新幹線の先頭車両が連結され、野を超え、山超え、
町超え、池も超え、絶妙なチームワークで任務を遂行するのだ。

煙突から色々な物を出す汽車丸、客席や飛び道具ありの電車丸、
超スピーディな新幹丸と、それぞれの特技で危機を乗り越える
展開は、ロボットアニメにつながる痛快さがありました。

しかし、たくさんの忍者物絵本がありますが、電車と結びつけるとは!
語呂合わせの発想なのか。駄洒落が重宝されるというオヤジチックな
世界観も、コミカルな絵の力で自然に納得してしまいました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
令和最初の夏季休暇(←だから何というわけではないが)
も今日が最終日。例年より長く感じられました。
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読書中に読書体験ができる

本という、想像世界においては、どこにでも、いつの時代へも自由に
行くことができます。暑い夏であっても、物語の世界であれば、
雪山とか宇宙へ旅行なんてことも簡単にできます。そして現実世界で
似たような体験があれば、より一層物語の中にも入り込めるでしょう。
実際に知らない場所を散歩したり、迷子になったりしたことがあれば、
物語の中で主人公が同じ境遇に陥っても、より共感できますから。

本書は、絵本の中に、さらに絵本が仕込まれていて、その舞台は
異なるものの、文章は全く同じです! つまり男の子の現実と
リンクした物語が、男の子の拾った絵本の中でも展開されると
いう趣向になっているのです。

単純に仕掛けを楽しむ一方で、読書体験とは何なのかを考えさせ
られます。さらに言うと、読書での空想体験あれば、現実の人生も
物語のごとく味わうことができる、なんてことも。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は熊本ミステリー読書会の日。課題書の
「毒入りチョコレート事件」を復習しておこう。
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お国自慢で盛り上がろう

ちょうどお盆で帰省しているときに、実家の床の間に居ましたよ。
鮭をくわえた木彫りの熊が! さすが北海道代表です。
他にも、日本全国の名産品、特産品が登場。各都道府県の代表として、
にっぽんのまんなかあたりのデパート(←ゆるいネーミングがいい)で
開催される〈にっぽんいいものみてみて大会〉に出場し、
それぞれの魅力をアピールしていきます。

福島の赤べことか、沖縄のシーサーとか、有名所も登場。
知らないものもあったり、知ってても初めて産地と結びついたりと、
驚きもあり、好奇心がくすぐられる内容でした。
ちなみに、こちら熊本の代表は「木の葉猿」。赤、白、青の
顔がもののけチックで、お守りとしてもご利益ありそうですぞ。

大きなデパートでは、地域物産フェア的な催し物はよくありますね。
これを全国大会に見立てたことで、高校野球的に地元愛が湧き上がったり、
他県の魅力を感じたりと、大いに共感できる絵本でした。

今回は工芸品中心でしたが、食べ物大会も盛り上がりそう。駅弁とか。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
こちらは台風も通過し、静かな朝。
昨日の羽田ー熊本便も大きな影響はなかったようです。
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ナンセンスな絵に涎が


けっこう際どいところにチャレンジしている絵本ですね。
動物の身体の一部が食べ物になっているのですから!!
しかも加藤さんならではの、実に美味しそうな絵で、というより、
このタッチの絵だから絶妙に成立していると言えますね。特に
リスとかアヒルとかヤバいでしょ。読んでいると、ついつい
肉食獣の気持ちになってしまいそう・・・

そのあたりは動物たちも心得ているのか、身体の事は隠している
ようですが、タヌキがおへその秘密を公開したのをキッカケに、
ボクも私もとカミングアウトしていくので、ちょっとハラハラします。

本書には登場しませんけど、お腹がハンバーグのカメとか、
角がクロワッサンの羊とか、舌がササカマボコの犬とかを
勝手に想像してニンマリしてしまいました。

自分だけが人と違っているのかな?と隠していた事が、
実は他の人もそうだったと知って、ホッとしたり、親しみが
わいたりすることは確かで、そこはすんなり共感できます。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
実はボクのアソコも・・・いや、それは秘密にしておこう。
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二つの意識がつながる

絵本や寓話の中では、人間の子どもと、動物が会話をするなんて
ことは、けっこうあります。それは、子ども側の空想的な視点に立てば、
自然な事として描かれていますよね。本作では、その視点がちょっと
ずれています。現実に人の言葉が話せる動物(青いトカゲ)がいて、
その動物の側から人間の子を見たらどうなるか? という切り口で
物語が展開されていくのですから。

トカゲの側から見れば、自宅で読書しているときに、突如現れた
男の子は驚異的な存在になります。大きさ的にも怪物ですよ。
トカゲは自分の家にくるな、と男の子を追い返すのですが・・・

読む側の意識は、トカゲと男の子の間を行ったり来たりします。
どちらの立場にも共感できますから。そしてお互いがお互いの事を
思いやることで、距離感がつめられていく展開に引き込まれました。

青いトカゲは、空想の世界と現実の世界のつなぎ役でもありますね。
誰かと初めて出会って友達になるまでの、心中のゆらぎが
トカゲと男の子を通して、ヒリヒリと伝わってくる絵本です。

二通りの意味にとれるタイトルも秀逸!
始めと終わりの見返しでの、視点の切り替えも見事。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
暑さで夜中に目覚め、グレープジュースで喉を潤す。
これがまた美味くて、ついついガブ飲みしてしまうのだ。
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〈うれしい〉と出会う

寝床の場面で、枕元においてある2冊の絵本に「あっ、これこれ」と
うれしくなってしまいました。「あめふりさんぽ:えがしらみちこ」
&「あさになったのでまどをあけますよ:荒井良二」ですから。
ちゃんと本作のテーマに沿った作品を登場させているのですね。

それと、男の子が石のコレクションをずらりと並べた場面もよかった。
新たに加わった、2つのハート型の石は、男の子の優しさや
家族愛を感じさせてくれて、うれしくなりました。
それにしても色々な石を集めたものですね。食べ物や動物への
見立てかたは、なかなかのセンスです。それぞれに発見したときの
うれしいエピソードがありそうです。

つい、気になった場面から書き始めてしまいましたが、
男の子が、朝起きてから、幼稚園に行き、夜寝るまでの、
一日で出会った〈うれしい〉気持ちが、たくさん登場する
という、心の気づきにフォーカスした作品です。

今日は自分も〈うれしい〉を意識してみようかな。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
そういえば、ウルトラマンに登場した怪獣ガバドンに
似ている石をみつけて、大切にしてたことがあったなぁ。
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店長は象だゾウ

夏にピッタリの語尾遊び絵本です。なんと言ってもソーダですから。
基本のクリームソーダから始まって、そりゃそうだ が転じ、
そらソーダへ。飲めばふわりと空へ浮かび上がる・・・そうだ。
他にも色々なソーダが登場。クイズ形式の展開もあって
楽しめました。言葉遊びで乾いた心もシュワッと潤いますよ。

あっソーダ!とくれば、ここ熊本の、阿蘇だ。
阿蘇には、ヘンテコな動物が生息しているそうだ。
例えば、行ってみタイ、飲んでみタイ、という
欲望にあふれた鯛とか。走れるカモ、飛べるカモ、
なんて空想的な鴨とか・・・これは余談ですね。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー 
今日から夏季休暇だ。色々楽しんじゃおう。
エイエイオウ、という元気な王さまになっちゃオウ。
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